仙人日記
 
 その132の12016年  霜月

11月1週・・・太陽の差し込むギアマンのチャペルで



ふーん、神学校で結婚式か!

 新婦母の手作りボード

入口にはマリア様が
 とてもこの奥に
100人も収容できる
宴会場を備えた
結婚式場があるなんて
想像できない。

何の案内も宣伝もない、
質素な聖書神学校の
表札しかないのだ。
結婚式に招待された人たちも
この門の前に立ち、
果たして此処でいいのだろうかと
戸惑うのでは?
気に入った!
こんな処なら1日に
何組も熟す結婚業者と異なり、
1日1組の結婚式しか
扱わないだろう。

予想にたがわず、
1日中貸し切りで、まるで
我が家の別荘で
気軽に知人を集めて
パーティーを開いている感じ。
ふーん、目白には
こんな処があるんだ! 

Yuki & Syoko 


太陽の差し込むギアマンのチャペルで
11月3日(木)快晴 メイヤー・ライニンガーチャペル

実は強引で何とも怪しからん愚息からのメールが届いたので、ちょっと心配になり
この神学校へチャリンコで偵察に出かけたのだ。
目白に住まいして40年にもなるが、この神学校が目白に在るとは知らなかった。
何処にでもありそうな教会だが、ステンドグラスが印象的で、
都心とは思えぬ静謐に満ちた空間。




仙人ものろーぐ・1

受け継がれてきた形式の意味を理解し、その無意味さも認識しつつ尚敢て、
その無意味な形式を嗤いつつ踏襲してみる。
せめてそのくらいの知性は持っているのではと愚息に期待していたのだが、
どうもそこまでのレベルには達していなかったようである。

押し並べて黒の式服では、何とも能が無いではと、黒のレザースーツで乗り込んでやろうと、
数週間前からネット検索し銀座に出かけ実物を着てみたりと準備。
子羊の柔らかい革のスーツをやっと探し出し、シャツも六本木ozieで2枚ゲット。
このシャツ、スイスのSpoerry(スポエリー)1866社が紡績会社としての長年の経験を活かして開発した、
特殊紡績技術を用いて縫製されたアイスコットン。





新婦母がバージンロード手前で

花嫁に魔除けのフェイスベールを
掛ける母の修美さん。
古代ギリシャ・ローマ時代から
受け告げられ、宗教改革後に
プロテスタントに受け継がれた慣習で、
このベールを外して
キッスすることで2人の壁が
取り除かれるとか!

ベールを掛ける


緊張の刹那落涙を堪える父と瞳を閉じて父に別れを告げる翔子

「お父さんが涙を流すのを見て、凄ーく吃驚!」

≪右足を前に出すと、何だか右手も一緒に前に出てしまいそうで、
それだけは避けようと必死に歩きました。
何だか泣いては恥ずかしいような気がして堪えていましたが、矢張り涙が出ていたんですね≫

ハワイの結婚式でもそんな感想を述べていたお父さん。
ハワイの時はアットホームな結婚式で、何だか練習のような雰囲気でした。
でも今日は107人もの招待客を迎えての、退っ引きならぬ結婚式。
さあ、これでお別れですね!


途中で新郎にタッチ
愛は忍耐強い。
愛は情け深い。ねたまない。
愛は自慢せず、高ぶらない。
・・・・・
すべてを忍び、すべてを信じ、
すべてを望み、すべてに耐える。

コリントの信徒への手紙13章朗読



仙人ものろーぐ・2

殆ど白に近い淡い紫とグレーの2枚で黒革のスーツにピッタリ!
しかしこれを知った愚息のセリフ 「結婚式には殺生した黒革のジャケットは駄目なんだ!」。 
この阿保は果たして≪その無意味な形式を嗤いつつ踏襲してみる≫との認識の元に、
それでもお嗤い種の革禁忌を取り入れてやろうと考えたのかと期待したが、見事裏切られた。

「殺生が駄目なら当然披露宴の料理も肉や魚は無しで、
ベジタリアン料理だろうな」と愚息に云ってやったが、返事は「それもそうだね」と宣い、
せっせとレンタルモーニングを手配しているでは!
モーニングが18世紀のイギリス貴族の乗馬服であることを愚息は知っているのか?





≪チャペル窓1≫

ステンドグラスの光の中で


チャペルの壁に嵌め込まれたステンドグラスを通して
快晴の空から放たれた光の矢が飛び込んでくる。
画像左下の≪チャペル窓3≫は南に面して嵌め込まれたステンドグラス。
翔子の頭上で輝いているステンドグラスである。

光の矢は無垢のドレスを淡い薔薇に染め、後に靡かせたベールに光を孕ませる。
46億年の光のメッセージを受けて、
ステンドグラスが、光球面近くで反射する太陽内部の定在波模様擬きを描く。
さあ、たくさん光を孕んで光の子を生んでおくれ!

≪チャペル窓2≫

≪チャペル窓3

≪チャペル窓4≫


≪チャペル扉5

≪チャペル扉6

讃美歌≪いつくしみ深い≫を歌う

 司式を務める中村彰牧師





 仙人がどうしていたかって!
モーニングなんぞ着せられて
最前列席に座らされて
ちんまり座っていたと思うか!

そんな事ある訳ないじゃん!
当日の専属写真家を詐称する仙人、
2台のカメラを駆使して
あちこちパチパチ。

≪ほら、ほら儀式の最中に
祭壇に上がっちゃ
駄目でしょ!≫
誰がそんなこと決めたんだ!

ったく困ったもんだ!

互いに誓約しあう
 悠樹:Yuki
1980/oct/29


ー幼少ー
お調子もので、いたずらばっか
するワンパクな子供。
ー結婚動機ー
この人と一緒の将来が僕にとって
一番大切だと
思ったから。
翔子:Syoko
1986/sep/02

 ー幼少ー
人見知りしない
活発な女の子。
ー結婚動機ー
一緒に居て
楽しく 癒されるから。

宣言と祝福 
 
指輪交換

誓約書署名 
 
祝祷を受け退場

≪チャペル扉7≫ 
扉のガラスにも
ステンドグラスが嵌め込まれ
太陽を呑込み
華麗な光で心象を射る。

≪チャペル扉8≫ 



仙人ものろーぐ・3

いいか、イギリスで乗馬と云えば狩猟、フォックスハンティング、
狩猟はどっからどう見ても殺生以外の何ものでもない。
そりゃ狩猟着のメインはゲームジャケットではあるが、モーニングも殺生に加担していたのさ。
そんなことも知らず、莫迦丸出しで 「結婚式には殺生した黒革のスーツは駄目なんだ!」
とは無知蒙昧そのもの。
モーニングこそ殺生そのものではないか!

世間の常識とか、しきたりなんて精々そんなもの、とも認識せず何とも情けない愚息。
そこで仙人は考えた。そうだ愚かな息子に代わって仙人が
≪その無意味な形式を嗤いつつ踏襲してみる≫との認識の元に、
モーニングを着たら洒落になるのでは!




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