仙人日記
 
 その126の42016年  皐月


5月4週・・・薔薇に滴る光の精

薔薇にる光の精
5月29日(日)5時23分 晴 寝室アマルティアの夜明け

夜明けの太陽とアンネ薔薇があんまり美し過ぎて、神のくれた時間にうっとり!
今朝の日の出は山荘で5時23分。起床直後の腹筋103回の筋トレに入る瞬間に、
高芝山頂の右からいきなりドカンと光の奴め飛び出した。
夜明け前の薄明に眠っていたアンネ薔薇が一斉に輝き出し、恍惚の笑みを浮かべ光を体内に導きいれる。



可憐な轆轤木(エゴの木 前庭)

待ってました山法師です(前庭)
人参との決
5月28日(土)曇晴

決別を余儀なくされた。
デリケートで充分な水分と光、暖かさに恵まれ
更に時が熟さないと人参は発芽しない。
そんなことよーく解っているので先ず、
種を一晩水に潤かし

種そのものに水分を浸み込ませ、
種を蒔く畑は深く耕し
プールになるまで水を注ぎ、
しっかり濡れそぼった大地に
種を蒔くのだ。

 
其れから1カ月以上も
絶やすことなく朝晩散水し
大切に見守って来たのに発芽したのは、
僅か十数本のみ。
5畝の畑に数千個の種を蒔いて
 僅か十数本の発芽だなんて、酷い仕打ち。

 
山荘の人参は1年かけて育てるので
味も香りも市販物とは
比べ物にならぬ優れものに育つ。

あんまり美味しいので
今年は思い切って
例年の4倍の広さの畑に
人参の種を蒔いたのだ。

それがこの有様。
遂に堪忍袋の尾が切れた。
もう人参のご機嫌をとるのは止めた。

咲き乱れるアンネ薔薇(奥庭)

光の花、松葉菊(前庭)



滴る光の精を受け輝く
5月30日(月)雨 踊場のぺねとらしおん

決して気を許さず野生そのままのチビが
自発的に山荘に入るなんて、
どうしたって考えられない。
第一、山荘にどうやって入ったのか?

ドアは開けたら必ず閉めるし、
開け放しにするときは
網戸を閉めるので人目につかずに
出入りすることは不可能。

畑のじゃが芋は子狸に喰われるし、
野性猫は寝室に潜り込むし、
いよいよ山荘は野生動物に
乗っ取られるか!
乗っ取られた山荘

ありゃ、何か動くものが居る。
ベッドと壁画の壁の隙間に
チビと呼んでる野良猫が居るでは!
実にお魂消た。
一体何処からいつの間に入ったのか?

もしかすると一晩中この部屋にいたのか?
それに気づかなかったなんて
まさかあり得ない。
だいたいこの猫、すごく臆病で
山荘に来るようになって、 もう数年になるのに
餌をやろうと近づくと、直ぐにげてしまう。

 
北回帰線のりに酔うボンシルバー
5月29日(日)晴 奥庭 冥界の使者の歓喜



 幾重にも重なる悦楽襞の迷宮
5月29日(日)5時23分 晴 ジオと薔薇の夜明け

そんな風に溢れるほど夜明けの光を肉体の深奥に呑み込み、新たな生命讃歌を謳い上げるんだね!
永劫の闇からやって来て薔薇との邂逅を果たした光は、
花弁に滴る精を散らし、再び永劫の闇に向かうかのように天の山巓に駆け登って、
それから、どうするのだろうか!


自分のまさにこの無残なあり方を、悲惨なあり方を隅々まで知っていて、
無力でしかも反抗するシーシュポス
の様に、
山頂を離れ、神々のあの
昏い洞穴の方へと少しずつ降ってゆくのだろう か!



先ずは圧力釜で蒸芋に

次に子芋を唐揚げで
子狸との闘いに勝ったぜ!

昨日の晩餐には
子狸の食べ残した小さなじゃが芋を
唐揚げにして
ビアの摘みにしてみた。

昨年は電子レンジでチンして
水分を抜いてから揚げて食したが、
今回は冷たいままの
油に入れて徐々に熱して
じゃが芋の中に熱を通してみた。
   
昨日のクリームシチューの様な味が
どう変化するか、ドキドキしながら
1つ目を口に入れる。
≪まるで、クリームのお餅だ!≫ 

 
クリームシチューがお餅になって
ねっとりと口に広がる。
こんなに美味かったっけ!
きっと子狸も野生猫もあんまり

山荘からいい匂いが漂って来るので、
もう我慢できなくなって
山荘乗っ取りを決意したんだな! 
さあ、闘わねば! 

小狸との闘いの勝利じゃ!

レタスやブロッコリー、春菊も


 
銀の滴を鏤めた弦楽器ラバブが奏する胎内回帰Ⅰ 
5月30日(月)雨 踊場出窓から 静謐な雨の森に注ぐ光の精

雨具のゴアテックスを静かに叩く音はそのまま衣服を抜け、
肉体に浸み込み心象空間に共鳴する。
ギリシャの映画監督テオドロス・アンゲロプロスの
≪雨音の背後に潜む音楽が聴きたくて旅に出る≫のフレーズが被さり、暫し雨音に心を奪われ雨の森を歩む。

心象空間に響く仄かな音色は、水琴窟で奏でられる大地讃頌。
母なる大地に抱かれ、幾重にも重なる悦楽の襞の迷宮に彷徨い、
濡れそぼつ漆黒の水琴窟で肉体を失う。




薔薇の館になったぜ! (奥庭)

山法師と薔薇コラボ
復活、テラスでの食事
5月16日(月)曇晴

新玉葱をサラダにして
クレソン、パセリと一緒に
カルビに載せ、
それを採りたての山荘レタスに
巻いて食べてみた。

テラスでの夕餐は総ての料理に
風の戦ぎ、雲の銀の油彩、森の匂いが加わり
一段と美味しくなるが、
それだけでなく
確かにカルビ焼の山荘野菜巻は
飛び切り美味である。

 
2日前に塩漬けした辣韭、
茄子、胡瓜の糠味噌もビアに最高。
夜明け4時半から活動を始め、
たっぷり汗を流し
更に新緑の海を
泳ぎ回るようにして逍遥。

 
 
午前中は北鎌尾根の山行記録の
編集で地図作製、
画像トリミングとデスクワーク。.
午後から土を篩に掛け
ポットにゴーヤーの種を植え付け、
畑に出て大地に鍬を振るう。

大地に零れ落ちる汗に
今年初めて聴く春蝉の通奏低音が、
コラボし、まったりした時が流れる。
初夏の訪れを覚えつつ、
こうして汗を流せる歓びが
最早そう長くは無いと告げる音色。

使嗾する極上のスパイスとなって、
その音色が生の悦びを紡ぎ出すのだから、
傾聴しなくては!

虫食いクレマチスも宴に参加 (前庭)

木星にも合うね!



5台のスプリンクラーが散水開始
5月27日(金)曇晴 西畑西側スプリンクラー

ブフォーと5台のスプリンクラーが動き出し、西畑と葡萄畑に散水開始。
今年初めての散水だ。スプリンクラーは1時間程も撒き続けるのでホースで撒くより効果絶大。
手動でスプリンクラーを動かすことも出来るのだが、水の管理はJA傘下の組の当番が行っているので、
勝手にスプリンクラーを稼動させる訳にはいかないのだ。

2年前にそんな事情を知らず、勝手に操作して組の当番に迷惑をかけたこともあり、
折角のスプリンクラーも使うことが出来なかったので、
今回、5つのスプリンクラーから勢いよく放水された時には、実に嬉しかった。それでも柵際とかスプリンクラーの死角があるので、
ホースでの散水も欠かせない。で、今朝も水遣りからスタート。



採りたて青梗菜と辣韭

蕪の葉サラダ
熱くて入れぬ太陽風呂
5月16日(月)曇晴

空を駆ける羊雲が悠然と
P2峰に流れる。
よし、夕刻トレーニングは
あの羊雲を追ってP2峰へ行こう。
羊雲と共にP2峰の稜線に出て、
樹間に残照を散らす扇山へと縦走。
 
山荘に帰り太陽温泉の
湯加減を確かめると熱過ぎて入れず。
慌てて冷たい山の水で温度を下げ、
溢れる湯にどぼん!

 

これから9月頃までは
晴れさえすれば太陽光だけで
湯が沸くので嬉しい。
夜明けから
汗を流し畑作に勤しみ、

山を駆け巡り、こうしてテラスで
1日の労働の歓びに浸り
ビアが呑める事こそ、何よりも
正しく究極の贅沢と実感!

珍しく蛍烏賊の刺身が入った

茸とタン、ハツのソテー




胎内回帰Ⅱ

失われた肉体は
光の世界で
新たなフォルムを得て、
生命活動を始める。

漆黒を遡る肉体の残像は
濃厚な時のスープ
に解かれ、
存在の認識を凌駕する。

その感覚が生誕と
胎内回帰である
と気づくのに
そう時間は掛からなかった。
森が開け座禅峠が、
降りそぼつ雨の
スクリーンに朧な影を落とす。

さあ稜線に出るよと峠が
告げる頃には、
水琴窟で存在の認識を
凌駕する儀式に
参列している自らさえ、
くっきりと
捉えることが出来た。

雨の森は思索の森。





 
  無力でしかも反抗するシーシュポスの彷徨
5月30日(月) 雨 小雨の小倉山森の逍遥
 
胎内が仏像の空洞部分を意味していると知っていたのに、
《無力でしかも反抗するシーシュポス》が、山頂を離れ回帰する場所が、
 《神々のあの昏い洞穴》 と知っていたのに、
子が孕まれる母親の腹の中と胎内はイマージュの埒外にあり、久しく乖離していた。

《おかえりなさい!》 身をくねらせビーナスは囁く。
 



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