仙人日記
 
 その125の12016年  弥生


4月1週・・・甦る使嗾する銀河

使嗾する銀河は甦り、漆黒に星を産み続ける
さあ、畏れるな漆黒を切り裂け! 3か月後の村上の傷跡

中央の紅から炎が噴き出し、その先端の漆黒に星が生み出されているのが観えるかい?
そうして次々に誕生した光の粒が漆黒に無数の穴を穿ち、
宇宙の96%を占め絶対的な権力を振るう、暗黒物質と暗黒エネルギーに立ち向かっているんだ。
銀河は儚い生命に対して使嗾する神となり、
阿修羅となって宇宙の父である漆黒と、永劫に闘い続ける事を生命に命ずる。

1月1日にヘリで虚空に吊り上げられた損壊肉体は、阿修羅となって闘い続け遂に、
此処まで甦ったんだね。



山荘池の蝦蟇が産卵を始めました
本を読んでいて
見知らぬ言葉に出っ会すと、
新たな恋人に巡り逢ったかのような
心のときめきを覚えることがある。
ここ十数年、残念ながら
新たな恋人には巡り逢えず、
寂しい想いをしていたが、遂に見つけた。

それも飛び切り意味深で
展開に富んだ言葉だったので、
嬉しくてうれしくて2ヶ月も誰にも言わず
密かに逢引を重ね、
一人悦に入っては、ほくそ笑んでいた。
≪使嗾する神・ドストエフスキー≫ 
う、何じゃ≪使嗾≫だって!
確か≪嗾≫は、けるを着ければ嗾ける、
そうあの、犬なんぞをけしかけるの
≪嗾≫だったよな?
それに使を着けるとどんな意味になるんじゃ?

「新カラマーゾフの兄弟」の
著者亀山郁夫は
『ドストエフスキー 父殺しの文学』の
序文で使嗾についてこう書いている。
「これから本書を読みすすめていく読者に対し、
あらかじめ一つの点について
注意をうながしておこう。

漆黒の星を連ねた銀河
漆黒の星を切り裂く光が眩しいね!

本書のなかで私は、「父殺し」という表現とともに「使嗾(しそう)」という語を
キーワードのようになんども用いることになる。
「使嗾する」とは「他人を唆(そそのか)す」の意味であり、一般には「教唆(きょうさ)する」がより多く使われるようだが、
本書では、あえて「使嗾」の語を用いることにした。
「使嗾」という語がより微妙にはらむ「不確実性」のニュアンスを大事にしたいと考えたからである。
ただし、本文中にはその認識をふまえたうえで両者を使い分けた部分もある」
 

ふんふんなるほどなんぞと感心していたが、
この≪使嗾≫に噛み付いたのが大阪府立大教授のドストエフスキー研究者の萩原俊治であり、
その噛み付き方たるや半端ではない。


さて起きるか!

どれどれ春をウオッチング

前東京外語大学長であり
現名古屋外語大学長でもあり、
更にマスコミを操りバックにし
権威の鎧で全身を覆い尽くした
67歳亀山郁夫に、
素手に近い69歳の大阪府立大教授が
如何に立ち向かったか!

「使嗾」という言葉を使って
読者を惑わそうと
している亀山の小ずるい計算。
亀山はこう言いたいのだ。
あなた方は
知らないかもしれませんが、
「使嗾」という言葉には
あなた方の知らない
さまざまなニュアンスが
あるのですよ。
私がこれからそれを
教えてあげますからね。

亀山は「世界で初めて」
使嗾という言葉を使って
ドストエフスキーを論じた
研究者だと吹聴したいのだ。

と云い切り更にこう続ける

春は何処に居るんじゃ!
亀山がそんな風に
吹聴し続けるのは
未来永劫にわたって赤恥を
かき続けるということだ。
だから、今すぐ、
「使嗾」という言葉を使って
書いたドストエフスキー論
(たぶん亀山のドストエフスキー論すべて)
を回収することだ。

こうなると俄然話は
面白くなる。・・・
ま、そんなわけで2ヶ月も
≪使嗾≫を追い続け
愉しんだのである。
2冊の本を交互に読んでいたら
いつの間にか
カーテンが仄白み夜明けを告げるでは!
慌てて本をベッドの棚に載せ、
布団に潜り込むが
最早夜は帰って来ない。

仕方なくカーテンを開くと
外は真っ白。
電動でない風呂場シャッターを
開ける為庭に出てみると、
細雪が儚さそのものの様に舞っている。

春を求めて3千里!

芝は未だ枯れたままだし

 

在ったぜ懐かしい花の香
ささめゆきのささめとは何だ?
ささめると云う動詞は無いし、
ささめと云う名詞も無い。

男と女の閨 の語らい、
ひそひそ話のささめごとの略と
するなら細雪はひそひそと降る雪。
そうか細雪は
天と地の
閨の語らいだったのか!

となると谷崎潤一郎は、
大阪船場で古い暖簾を誇る蒔岡家の
四人姉妹の物語に何故≪細雪≫と
タイトルを着けたのか?
父親殺しは家族に君臨する権威への反逆であり、
延いては国家への反逆に連なる。
と亀山は「新カラマーゾフの兄弟」等で繰り返し語る。
ドストエフスキー自身、
空想的社会主義サークルのサークル員となったため、
28歳で逮捕され死刑判決を下され
国家反逆と云う父親殺しの途を歩んでいる。

せめぎ合う漆黒の星と光

銃殺刑執行直前に皇帝ニコライ1世からの特赦が
与えられ5年間のシベリア流刑で済んだお陰で、
その後の『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』、
『カラマーゾフの兄弟』
等の作品が生み出されたのである。

さて自らを権威の鎧で全身を覆い尽くした亀山郁夫は今、
日本のロシア文学界に
君臨する権威そのものであり、
その兄弟によって殺されねばならぬ宿命にある。
 
漆黒の裏側は白では!
使嗾する神に選ばれた萩原俊治は、
果たして父親殺しを
成就出来るのであろうか?
それとも亀山郁夫は特赦を与えられ、
今後ドストエフスキーの
5大作品に匹敵するような傑作を世に問い、

権威の鎧を重ね着し
更に高みに登り詰め、
ロシア文学界頂点に君臨し続け、
殺せもしないカラマーゾフの兄弟たちを
嘲り嗤うのであろうか? 

雌蕊の臭いが堪らんぜや!



ー11.3℃(1月25日)の寒波で凍結死した君子蘭

しかし捨てるには忍びず、
出窓に放置しておいた。
若しやとの期待はあったが、
葉は復活の兆しは見せず、枯れるのみ。
にも拘わらず生殖活動だけは、
母体の死の上に再開!

ゲコゲコ、≪春は何処に居るんじゃ!≫と
蝦蟇があんまり煩いものだから、
そら此処に居るぞと
蕾を着け、咲き始めた死んだ筈の君子蘭を
見せてあげたら一言。

≪そりゃギリシア悲劇の『オイディプス』じゃ!≫
何を云ってんだか、
相変わらず呆けっぱなしの蝦蟇め!
お前は君子蘭の言葉が聴こえるのか?
使嗾する君子蘭は叫ぶ
父を殺し母を犯せ!

山荘建設以来22年間、厳しい冬の寒さに耐え、
咲き続けた君子蘭が
1月25日、ー11.3℃の寒波に襲われ
葉が総て凍結してしまい、
遂に死んだ。 
 
凍死からった君子蘭



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