仙人日記
 
 その1231ー2016年  如月


2月1週・・・新雪の山荘に出現した超知的マシン・Geo Mobile

新雪の夜明けに翔び立つ!
左手に翳す超知的マシン・Geo Mobile 2月7日(日)晴 扇山の頂

≪お前は虚空を虚無で満たそうとしているのだ≫
繰り返されるその執拗な呪縛から逃れる術も無く、腹筋、ストレッチ、筋トレと
夜明けのトレーニングを終え電動シャッターのスイッチを入れた瞬間、
虚空と虚無の呪縛が一気に吹っ飛んだ。
物質と反物質が絡み合って虚空に還るならば、
虚空を虚無で満たそうとすることに意味を与えることが出来るかも知れない。




グリセードで一気に下る

そこでいつものあの能天気な仙人にギアチェンジ。
いそいそと長靴を履きストックとカメラを持って、
いざ新雪に輝く雪山に出陣じゃ!

狐や鹿、鼬の足跡を追って扇山の開けた森に出ると、
水晶峠に掛かっていた薄雲が
天女の羽衣の様に棚引き光を発し、
確かに虚空を虚無で満たそうとすることに
意味を与えることが、
出来そうな予感に満ちてるでは!
漆黒のシャッターの外に
全く予期せぬ銀世界が広がっただけなのに、
何故、虚空と虚無の呪縛が
一気に吹っ飛んだのか?

言語を紡ぎ呪縛からの解放と
予期せぬ銀世界を繋げようと試みたが、
その余りにも大きな乖離に
気づきあっさり放棄。
 
羚羊になって森を走る


ジャプカイ族の住む里クランダのオブジェ
超知的マシン・Geo Mobile 2月7日(日)晴 テラスからの新雪の里

すっかり鬱から脱した仙人は一気に扇山に駆け登り、
グリセードで新雪に煌めく急斜面を雪煙を上げて走り抜け、
まるで羚羊になった様。

頬を上気させ羚羊は僅かに微笑んでいるようでした。
きっと長らくベッドに捉えられていた仲間が
今日でお勤めを終え、
森に還って来る希望が開けたのを歓んでいるのでしょう。 
 



技術的特異点が中核に霞む
技術的特異点
Technological Singularity

将棋に於ける 人間と
人工頭脳コンピューターとの
闘いは終わった。

最早人間の頭脳は
人工頭脳の相手にはならず、
人工頭脳は
人工頭脳を相手に将棋を指し、
更に頭脳を磨き上げているとの
ニュースに接したとき
何故気づかなかったのか?

自らの思惟の至らなさに、
今更ながら呆れて物が言えない。
一昨夜から読み込んでいる
「ミレニアム4」で初めて目にした
技術的特異点が
齎した衝撃に
打ちのめされているのだ。

新たな著者
ダヴィッド・ラーゲルクランツに
よって甦ったリスベット・サランデルは
『ミレニアム』の記者
ミカエル・ブルムクヴィストに
メールを返す。

「もう1つ訊くけど、ブルムクヴィスト、
人間が、自分たちよりも
少しだけ賢い機械をつくり出したら、
どんなことが起きると思う?」 
何となく読み流してしまったが、
これこそが本書の中核を成す
テーマでもあったのだ。

中核から波紋する知

中核に光る人工頭脳

リスベットの問いかけ


爆発的連鎖の彼方に!
知に煌めくGeo Mobile 2月8日(月)晴 山荘眼下の夜景

どうなるのか、少し考えれば1965年、統計家 I. J. Good が述べた
恐るべき帰結に至るではないか!
少しだけ賢い機械を作り出したその瞬間こそが技術的特異点なのだ。
その特異点に達したら、そこで生み出された人工頭脳が、
人間が成し遂げたようにもっと優れた更なる頭脳を作り出すことは確かで、
その爆発的連鎖の彼方に限りなく全能に近い超知的マシンが生み出されるのだ!

若しかするとその超知的マシンこそが
我々の認識する宇宙そのものであり、神の概念なのかもしれない。



虚空に挑む知的マシン
知能の爆発的発展

統計家 I. J. Good は
こう述べている。

「超知的マシンを、
いかなる賢い人もはるかに凌ぐ
知的なマシンであるとする。

虚空を虚無で満たせるか?
そのようなマシンの設計も
知的活動に他ならないので、
超知的マシンは
さらに知的なマシンを
設計できるだろう。
それによって間違いなく知能の
爆発的発展があり、
人類は置いていかれるだろう。

虚空が騒ぎ虚無を揺する
従って、最初の超知的マシンが
人類の最後の発明となる」。

特異点と云えば
ブラックホール内に存在する、
時空に於ける特異点しか
思い浮かばなかったが、
実は人工頭脳も又
技術的特異点に向かっていたのだ。

揺すられた人工頭脳は像を融かす
自らの思惟の至らなさ
無知蒙昧さに全く、
ぐうの音も出ないぜ。

虚空の風が虚無に囁く

新雪のラッセルは心むね!
≪特異点の後では
科学技術の進歩を支配するのは
人類ではなく
強い人工知能や
ポストヒューマンであり、

従ってこれまでの人類の
傾向に基づいた人類技術の
進歩予測は通用しなくなる
と考えられている≫

と衝撃的な技術的特異点の
概念を初めて提示したのは、
数学者ヴァーナー・ヴィンジ
と発明者でフューチャリストの
レイ・カーツワイル。


雪帽子じゃ!
「ミレニアム4」に登場する
人工知能研究の世界的権威
フランス・バルデルのモデル
となったのが、
レイ・カーツワイルなのでは?

実際レイはフランスと同じく、
人工知能研究の世界的権威なのだ。
仙人と同じ1944年生まれなので
ヴァーナー・ヴィンジは現在72歳。

今年は随分遅い雪だこと!

山荘の屋根も発電はお休み

重くて倒れそう

森の中は動物の足跡が点々
 
郵便屋さんもお休みかな?
 14年前の2002年、
執筆に専念するため
サンディエゴ州立大学数学教授を退職。
アメリカ合衆国の数学者、
計算機科学者、SF作家で
ヒューゴー賞受賞作の長編
『遠き神々の炎』と
『最果ての銀河船団』で
知られている。
 
森レストランも休業


いずれの作品も未だ読んで
いないので早速図書館に手配。
特異点の概念は
数学者であり作家でもある
ヴァーナー・ヴィンジによって
大いに普及した。

ヴィンジは1980年代に
特異点について語りはじめ、
オムニ誌の1983年1月号で
初めて印刷物の形で
内容を発表した。

つまり僅か33年前に提示された
ばかりの概念なのだ。
昨夜もこの技術的特異点に
心を奪われ、眠れず
思惟の深みにどっぷり。

やがて虚空を虚無で
満たそうとしている実態が、
実はこの技術的特異点で
あったと気づき唖然!
人類の知の彼方に在るは、
虚空に漂う
虚無だったのか! 

それではになって下るぜ!



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