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その121の3ー2015年 師走 |
12月3週・・・深遠な道理を悟る薔薇にどうしても逢わねば!
薔薇は朝な夕なに2度も花開くのだ! 燃える最後の光を放ち扇山山巓に落ちる薔薇 薔薇が帰って来た。さあ、それでは花びらを数えてみよう。 あれ、今まで気づかなかったけどこのアンネ薔薇には仄かな香りがある。 若しかすると食べられるかも知れない。 生がいいのか、ソテーにしたらどうだろう、いっそグラタンにして味わってみようかな? 薔薇のことだけを想って、 薔薇を肉体の隅々まで詰めて、朝な夕なに森を逍遥しよう。 嬉しいな來春には更に5株のアンネ薔薇が京都のアンネ薔薇親元から届けられるとの知らせ。 |
蝶によって届けられた薔薇の書簡 (浴室のパンジー) 調子乗りでうっかり絢は頂きましたメールに嬉しくなり それに失礼が恥ずかしく京都のアンネのバラの育ての親さんに電話をし 坂原先生の山荘をアンネのバラでいっぱいにして頂きたいの と頼みました。確保?できました。 5株 怪しい絢の間違いのお詫びでございます。来春をお待ち下さいませ。夢見る夢子 |
時の回廊を経て薔薇に迫る未踏峰 朝の食卓ランチョンマットの薔薇幻想 さて5株も届けられる美しいアンネ薔薇を何処に植えようか? 寝室からも居間、キッチンからも眺められて、陽当りも良い処と云えば、滝の裏側に在る小さな庭園しかない。 今あそこには紅白の椿、石南花、アイリス、曼珠沙華、紅梅、百合などが 雑草と共に勝手に生きてるが、此処の雑草を抜き施肥し耕作すれば、 美しい薔薇の庭園に様変わりするに違いない。 |
何もおっしゃらないでください |
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その前に奥庭の南際に植えてある3本の薔薇に命を注ぎ、 生きていることの素晴らしさを認識させねば。 先ず大地が掘り易い適度な湿りを帯びていることを確かめ、唐鍬をゆっくり静かに差し込む。 殆ど抵抗なく重く硬い唐鍬が大地に沈む。 此処の処続いている快晴で大地がカチンコチンになっているかと案じていたが、 長き雨の不在による乾燥は見られず、 大地は唐鍬をしっかり咥え込み湿った黒々とした豊穣な土壌を露わにする。 |
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複雑でなんだかよくわからない |
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有機肥料15kgを露わになった黒々とした土壌に鋤き込む。 大地が激しい歓びの歌を叫ぶ。そうだったんだ。 早春から咲き出し、初冬の今でも咲き続けるアンネ薔薇の虜になり、 日々うっとりと見とれてばかりいたが、その美しさを生み出す大地のケアをすっかり忘れていた。 ほったらかしにされていた大地は、薔薇に与える有機肥料を失い、 ≪あーこのままでは、もう来年は美しい薔薇を咲かせることは出来ません。 早く深く唐鍬を差し込み、命を与えてください≫と訴えていたのだ。 |
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積木はゆらいではいるけれど |
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総ての知慧、叡智を総動員して!深遠な道理を悟る薔薇にどうしても逢わねば! と再び昨朝に続いて穴掘りと、掘り出してしまったアイリスや百合、曼珠沙華の球根の移植。 山荘の彼方此方で妖艶に咲き誇っておくれ! 更にカチカチに凍てついた白菜を、これまたコチンカチンの大地からよいこらと引き抜き、 包丁で根を切り落とそうと刃を当てるが、てんで話にならない。 昨朝の様に湿り濡れそぼった大地を想定していたが、 2日続きの寒気でしっかり凍てつき白菜の根まで固く閉じたまま。 仕方なく包丁を振りかざし勢いをつけて、バサリ、バサリ! |
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行先のない一方通行の長いレール |
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十数株をテラス下まで運び、4つ切りにして設えた干し棚に載せる。 勿論今度は包丁の切れ目を入れるのは根元の部分だけにし、その先は手で裂く。 こうすると幾重にも巻いている葉が切断されず、バラバラにならず見た目も美しい。 そんな事も知らずに白菜漬けを作っていたなんて実に、こっ恥ずかしいぜ。 作業が終わりさてそれでは扇山へと歩き出すと、水晶峠から赫奕たる太陽が光を放つ。 さあ、たっぷり太陽を浴びて、甘くなっておくれ!午後には樽に漬けてあげるからね。 |
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日だまりの中の一かけらが |
なにしろぶっ魂消たのだ! 滝の氷がマリンバになって きらきら、キラキラ あんまり美しいので、そうだ! 山荘での 幻のマリンバ演奏会は、 どうして実現しなかったんだっけ? |
キラキラきらめくようなこの日を |
そう思ってプロのマリンバ演奏者である 須田直企君(生田中学探検部員)の お母さんの連絡先を調べていたのだ。 探検部ファイルの隣の ≪心象スケッチ≫と書かれたファイルが 滑り落ち、中から何やら はらり、ほらり。 あれ、何だろうと目を通すと 39年前の生徒の手紙。 いったい何故こんな処に挟まっていたのか? |
私は決して忘れません |
読んでみると とても中学生とは思えぬ力作では! いやー参ったぜ。 誤字もないし文章の乱れもない。 ・ 仙人が中学生だった頃の作文なんて 誤字脱字、意味不明で恥ずかしくて読めない。 こ奴只者ではない 。 さてはおぬし 綿矢りさ(芥川賞の最年少女性者)の前世か? それとも恋は人を芸術にいざなうのか。 |
そんでもって、 いったい当時の仙人はどう思ったのか、 調べてみたら≪心象スケッチ≫の片隅に こんなメモが見つかった。 |
しかし仙人が覚えているのは、 その少女の瞳が 与謝野晶子の目の輝きに似ていたような 記憶があるだけで、 あとは何も覚えていないらしい。 |
木枯らしの中に突然舞った 一枚の葉には 14の春の熱い溜息が記されていた 木枯らしの中には 枯葉しか舞わないと思っていたのに・・・ |
水々しい若葉が寒さにふるえて 痛々しいのだ ねえ 君! こんな寒い処へ 迷い込んではいけないよ |