仙人日記
 
 その1201ー2015年  霜月

11月1週・・・光速を超えて煌めく虚空夜叉・チェレンコフ

HP10周年:その120÷12ヶ月=10年

光速を超えて煌めく虚空夜叉・チェレンコフ
ーベル物理学賞、東大宇宙線研究所長・梶田隆章(56)に2015年10月6日決定

「≪光の速度を超えるなんてあり得ない!≫ だって! 小賢しい奴め。俺様には出来るのさ!」 
虚空夜叉はジプレッセンの髪を振り乱し叫ぶ。
「その証拠がこれだ!俺の名前をとってチェレンコフ光なんて呼んでいるけど、どうじゃ中々美しいじゃろ!
左上の蒼い光と右下の虹の煌めきを結ぶと、ほら観えるだろう、果てしなき虚空を旅してきた俺様が!
大気に激突し、大気ニュートリノとなって今、5万トンの純水を満たした
直径40メートル、高さ40メートルの大劇場・スーパーカミオカンデに御登場と云うわけさ」



妖しい光を発するアンネ薔薇

「いいこと、頭にアスファルト道路を思い浮かべて。
その横に砂を厚く敷いた道を並べて。
これで準備完了。
さあ、あなたはアスファルト道路から
砂道に直角に突っ込みます。
砂道に突っ込んだ途端、タイアは砂に取られ、
速度はガクンと落ちます。
でも直進しますよね」
山荘プリマは

「それじゃ何故虚空夜叉は光より早く飛べるのか、
オペラに載せて謳って聴かせましょう」
待ってましたと云わんばかりに、
大劇場に登場したのは、お馴染みの薔薇や山茶花。
 
山茶花も輝き始めたでは!




生姜初収穫
その先はバックコーラスの
あたしたちの出番よ。
と生姜や占地も登場。相変わらず
知ったかぶりの山荘住人には
呆れて物も云えません。

「次はね、右の車輪を砂道に
左をアスファルト道路に
乗せて、さあ、アクセル全開!
あれれ、右車輪は空転し
左車輪は、しっかりアスファルトを
捉えて車を前進させようと
焦っているでは!

占地も勝手に生えて

その結果どうなった?
そう車は直進せず、
大きく右に曲がってしまったでしょう」

「そんなに観客の皆さんを
焦らすのはお止め!」
紅く熟した鬼灯が登場し、
矢庭に語り出したでは!

「賢い皆さんは、もうお分かり
ですよね。
実はこれは屈折率の
お話しなんです。
光も走り易い空気中つまり
アスファルト道路から、
水中である砂道に突入すると
曲がってしまうんです。
速度も当然落ちます。

光の速度が約30万km/秒と
云うのは真空中の話。
真空から水に飛び込むと、
速度は25%も落ちて、
約22.5万km/秒になって
しまうんです。

ところが虚空夜叉は、
水どころか、地球だって
素知らぬ顔して同じ速度で
突き抜けてしまうんです」
 ・
「 おい、おい、それじゃ
折角歌い手が変ったって、
お客さんを焦らしていることに
違いは無いぜ」
と、しゃしゃり出てきてのは、
今、山荘奥庭で撓に実る百匁柿。

 
チェレンコフ光だ!

ありゃ!しゃしゃり出て来たのは
百匁柿だけだはありません。
真昼間から真っ赤な顔して
鼻歌気分の蝮草の実。
何とまあ、黒板持参で、
黒板にはあの厭らしい座標やら
sinθとか入射角とか屈折角とか
が書かれているでは!

「いいかい、光が空気中を脇目も
ふらずに真っ直ぐにすっ飛んでくる。
空気より遥かに密度の濃い
水中に飛び込むや否や、
車の様に右に大きく曲がる。
その時の入射角と
屈折角を計るんだ。

すると面白いことが解る。
60°で飛び込むと
水中では41°に曲がり
50°では35°・・・
こいつのsinをとって割り算すると
どいつもこいつも
みーんな同じ1.3334・・・。


そっか悪りい、悪りい!
ここで突然sinが出てきちゃ
お客さんに逃げられてしまうよね。

sin60°はね、黒板にあるように
P1の位置から水中に
飛び込むまでに進んだX軸方向の
距離で、sin41°は水中距離。



鬼灯も赤く点灯

美味しい柿ゼリーを毎朝堪能
これを割り算にすると
水中でどの位遅くなったかが解るだろ。
つまり水中より
空気中の方が常に1.3334倍速い、
と云うこと。

逆に割れば0.74996・・・となって
水中での速度は
約25%落ちることを
示しているのさ。

蝮草も素粒子のつもりで



地球を貫き大気ニュートリノはミュー型からタウ型へと変身
変身はニュートリノが質量を持っている証拠

「進んだ距離の比が、どうして速度の比と同じになるのかって?」
目ざとく黒板の最後にさり気無く書かれた部分を見つけて、騒ぎ立てるのは、
美しい森を覆っていた霧らしい。
「あいつ、いつも存在に絡みつき、世界は白い空洞に満たされているかのように嘯いているけど、
存在そのものを拒否してる漆黒の虚空を気取っているだけで、
他愛もないもんさ。
まーしかし、煩いから答えてあげようか!」と、それまで黙っていた百匁柿。



覆っていた深い霧が薄れ存在を明らかにする 扇山の森 11月3日夜明け

こりゃ凄い事なんだぜ!
だってさ、これから光の水中での速度が計算出来るんだ。
虚空夜叉が黄色い文字で記しているように、
光の空気中(真空中)での速度30万km/秒を水中での屈折率
1.3334・・で割れば水中速度が解ってしまう。
「例えば時速60km/hと45km/hで進む車を考えてごらん。
1時間に進む距離は当然60kmと45kmでその比は60/45=1.3333・・・だろ、
速度も60と45だからおんなじ。
つまりここで屈折率と速度の比が同じであることが解るんだ。

 
光は大地に阻まれるがニュートリノは突き抜ける 扇山の森 11月3日夜明け


壮大なる虚構・・・存在への認識
2014年1月3週 ≪利休鼠の夜明け≫より



先ずPCで文字を打ち出して
「宜しく!今日から山荘住人の
1人になったヤッケと
申します。

黄色は光から貰って黒は
皆さん御存知、漆黒の虚空夜叉から
お裾分けしていただき、
まー序に漆黒を切り張りして、
ちょっとアクセント等つけて登場しました。
以後お見知りおきを!」

厚紙に載せて型作り
「それでなんなんだい?
仰々しく≪壮大なる虚構≫だなんて
仙人の作った昔の図など
引きずり出して、
まさかお前さんまで
ニュートリノの話に加わろうとか?」
ありゃ!遂にボン・シルバーまで
出てきました。

「そのまさかなんです。
ボンさん、だいたい観客の皆さんは
sinθとか屈折率だとか
どうでもいいんですよ。
ニュートリノとは何処から来て、
正体は何なのかを
知りたがっているんですよ」

「お前、山荘の顔とも呼ばれてる
俺様を気安く
ボンさんと呼びゃーがって、
何様のつもり、許せんな」


どうですか、こんなもんで!
するとどうでしょう、
新参者のヤッケの奴、
いきなりボン・シルバーに駆け寄り
「どうですか、こんなもんで!」

途端にニヤリと
嬉しそうなボン・シルバー。
「これ俺のヤッケ!」
許せん等と云っていたのに
なんとまー現金な!
「ふんふん、それでお前さんが、
ニュートリノの出自とか
そいつが質量を持っている理由を
知ってるとか、
知ったかして、教えてくれるとでも?」

「図星!と云いたいのですが
いや、実はあたしには何にも
解っていないんです。、
でもなにか喋らないと
山荘住人に
して貰えないんじゃないかと!」


この位置でどうかな?
「まー昔の図を観りゃ、
ニュートリノが宇宙線だってことぐらいは
解るけど、その先が
未だあるんかい?」

「実は持参したのは昔の図
だけではありませんで、
新聞の切り抜きから
こんなもんも借りてきたんです」

試着はボン・シルバーに


新デザインのノースフェース

昨年林檎畑の北森伐採で、チェーンソウの刃の切れ味が落ちているのに無理して伐ろうと奮闘。
チェーンソウを腹に強く押し当てエンジンを吹かし続けたもんだから、
着ていたノースフェースのヤッケが、熱した排気ガスで焼け焦げてしまった。
誕生日の贈り物に新デザインのノースフェース、Mountain Raintex Jacket CY(サイバーイエロー)、L-TNFを贈ってもらったので、
このヤッケにアルファベットで名前を入れることにした。

更に折角NTTからso-netに替えたブロバイダをもっと積極的に利用し、
HPのサーバーをso-netに移すのも雨の日には持ってこいの仕事かな。
なんぞと考えたがいずれもデリケートで矢鱈目ったら時間の掛かる仕事。果たしてどうなることやら。
アルファベットの型が見つからず、仕方なくPCで打ち出した文字を切り抜き型を作って、
それを鉛筆でヤッケに写し、油性マジックで塗り潰す。ほぼ1日掛かってしまったが、
実に美しくデザイン出来たので製作者の村上も満足。




光子は修羅となって光を失い、天使となってチェレンコフ光を発するのさ!

荷電粒子が物質中を通過すると、物質の局所的電磁場が乱される。
物質の原子中の電子は、通過する荷電粒子の場によって動かされ、偏極する。
場の乱れが通過したあと、電子が再び平衡状態に戻ろうとするとき、光子が放出される
(伝導体においては、光子を放出することなく平衡状態に戻る)。
通常の場合には、光子は破壊的に干渉しあい、放射は検出されない。
しかし場の乱れがその物質中の光速を超えて伝播するとき、光子は創造的に干渉しあい、
観測される放射は増幅される。
(wikipediaより)


オイラにピッタリだろう

オーラを発してボン・シルバーは大歓び!11月4日 奥庭
 じゃんじゃん
どうだ
似合
うか!

「そんな新聞切り抜きやwikipediaを
コピペして誤魔化し一気に
決着を付けようたって、
そうは烏賊の金ちゃんだぜ」

とマタマタ訳の解んないこと云って、
問題をぶり返して
ボン・シルバーの小うるさいこと。
どうも最初の
≪砂道に直角に突っ込みます。
・・・ 速度はガクンと落ちます。
でも直進しますよね≫が
引っかかっているらしいのだ。

「その時の屈折率は、
入射角が0になるのでC1もC2も
0になってしまう。
つまり屈折率は0/0なので、
常に1.3334・・の筈の屈折率は
成り立たず、
従って水中での光速は
減速しないのでは?」
 
ボン・シルバー仙人に変身



故障したバイク

どっこいしょと長ーい、長ーい坂道をアップダウンし、クタクタになって山荘夏駐車場まで故障したバイクを運ぶ。
バイク屋に電話し来てもらうしかない。
プラグ交換くらいで済むといいのだが、どうも嫌な予感。
これだけで汗ぐっしょりだが、霧は刻々と晴れつつあり眼下の雲海が見事なのでそのまま扇山へ。
這い上る霧が紅葉の森に絡み、実に幻想的!




人力でバイクを引き上げ

バイク屋登場
「あーりゃらこりゃら、
いけないんだ、いけないんだ。
それって新参者虐めだ。
いいかい、0/oなんて、
やっちゃーいけないんだぞ。

だっていいかい
30万÷0=1.3334・・とすると
0×1.3334・・=30万となり
あり得ないことになっちゃう。
不能と云って
0で割ってはいけないのさ。


直角に突っ込むと屈折は
しないけど光速は
水中ではやはり25%減速するのさ」
とこれまた突然やって来た
ロバート・デニーロ親方の鋭い指摘。

さすがプロだね。
車となれば何でもご存じ。
あれ、でも数学の不能だなんて、
ことまで知ってるとは!
ちょっと怪しいぞ。
さては?

プラグ交換

エンスト原因は地蜂だ!



ロバート・デニーロ親方

ロバート・デニーロに似ている親父さんが朝早くからバイクで駆けつけて、バイクを倒し車体下部に付いているプラグ交換。
さあ、一発で掛かるかな?あれ、やはりかかりそうで掛からない。
仙人は莫迦の一つ覚えで20分、30分と唯々律儀にキックを続けるのだが、
デニーロは2,3回キックしただけで排気口をチェック。「地蜂だ!」と一言。
排気口を観てみると、たっぷり土が詰まっているでは!これじゃエンジンは掛かりっこない。
しかし観た瞬間、これは地蜂の巣作りではないと気づいた。
バイクを急斜面で右に倒した時に、ズーズーと滑り落ち、その時に排気口に土がめり込んだのだ。
しかしさすがにプロ、音できっと排気異常を判断したのであろう。

悔しいな!もうこのバイクとは20年来の、云わばお友達!何度か地蜂の巣作りでエンジンが掛からず、
それ以来排気口には枝を突っ込み栓をして地蜂侵入を防いでいたのだ。
従って音を聞いただけでエンジンの掛からぬ理由は掴めたはずなのだ。それなのに、あーそれなのにナンタルチア!
本当に悔しいぜ!まーしかし来週からは再びツーリングで山に行けるぜ!




ロバート・デニーロ親方お世話になってます 山荘玄関前


「入射角が0になると実際には水面で光は反射され
水中への透過率は少なくなるので、
あくまでも透過した光についての速度だけれど、
やはり減速するのさ。
どうだい、少しは役にたったかな!」

随分と山荘住人が騒いだ割には、
結局どうも虚空夜叉に踊らされただけで、
山荘の井戸端会議は今後も
続くんでしょうね。
バイクで走ると寒いもんだから、着ぶくれして
ブクブクになったロバート・デニーロ親方。
怪しいぞなんぞと云われたもんだから、更に薀蓄を披露。
不能と云って片づけるのは気が引けるのか、
最後にポツンと。
 
山荘建設前から20年以上のバイク知己 山荘玄関前


Index
Next