仙人日記
 
 その116の12015年  文月

7月1週・・・山荘の森で土方仕事じゃ!

燃える薇マチルドとレナール夫人,白銀の蘭ジュリアン
7月4日(土)曇 石段 Our Lord's Candle 

野心的な青年、ジュリアン・ソレルの目を通して来るべき革命(七月革命)を恐れながら
堕落した生活を送る、王政復古下の聖職者・貴族階級の姿を
あますところなく表し支配階級の腐敗を鋭くついていると評されるスタンダールの「赤と黒」。


背景でしかないのだが、ジュリアン・ソレルが死刑を敢て選んだストーリーより何故か「赤と黒」と云うと
この背景描写が、真っ先に浮かんでくる。
「赤と白」なのに、この赤白の花のアーチが何故「赤と黒」を連想させ、更に堕落した支配階級の描写を
呼び起こすのか?
若しかすると白銀の蘭の英名・Our Lord's Candle にあるのかも知れない。
燭台となって無数のキャンドルを灯すこの白い蘭は夜の宴を照らし、
王政復古下の聖職者・貴族階級の堕落した支配者の姿を、ジュリアン・ソレルの目となって観ていたのだろうか?



石段の雑草抜きは大仕事だぜ

これなくしては、庭や畑の雑草には
とても立ち向かえない。
畑でしっかり汗を流した後に山に登ると、
全身の筋肉がほぐされるようで
ほんわかと気持ちいい。

畑と山では使う筋肉が異なり、
農作業では局所的であった血の巡りが、
登山で全身に広がり
気分よくなるのだろう。

その後の太陽風呂が
畑と山での汗を一気に拭い落とし、
何だか生まれ変わったように肉体が
生き生きと甦る。
今朝は昨夕時間切れで、
刈ったままにしておいた雑草を熊手で集め
庭と石段、畑を綺麗にした。
清々しくなった庭を観るだけで、
幸せな気持ちになる。

特に石段の雑草取りは面倒で、
段の1つ1つに深く根を張った
無数の雑草には泣かされる。

しかし刃の代わり
ナイロンロープを回転させる
刈払機・カルサーの威力は絶大で、
実に見事に雑草を刈ってくれる。


 石段が綺麗になったな、感心感心!


傷物でがんすが、茄子参上

落ちる前に採って! 高貴な香り

これからガンガン生りますぜ

赤ちゃん誕生、天空南瓜

杏子が熟してぽろぽろ落ちだした。
先週あたりから
熟しているのに気付き
幾つか収穫したが、
食べるのを忘れ
そのままにして置いたら
腐ってしまった。

今朝は収穫して即、朝食で試食。
仄かに甘く、えも言われず
上品な香りにうっとり。
長崎の茂木琵琶の香りは
更に杏子を上回り、甘さも極上。

となると狙うのは人間だけではない。
美味しそうな実には必ず
傷がついているのだ!
引っ掻き傷が
幾つも着いているのは兜虫の仕業。

大きな穴が開いて
種まで露出してるのは
野鳥たちの食事の跡に違いない。
甘くない野菜だけは
何とか難を逃れているが、
油断は出来ないぜ!


彼方此方勝手に生えて来た南瓜

11月まで生ります、ピーマン

生で食べてね
 
勝手に芽吹いたトマト

一気に沢山生りますぜと胡瓜 

赤く熟れるのにもうちょい時間を! 


森の巨木、山荘池・キッチンを
7月5日(日)曇 山荘の森で土方仕事じゃ!

昨夜、何か破壊されるような鈍い音が2度程響いた。
聞いたことのない鈍い音で、幾ら思い巡らしても何が齎す音なのか解らない。
深夜、それも雨では外に出てその音の原因を突き止めるのは、躊躇われる。
悶々と眠れぬまま朝を迎え、奥庭に出てみると北の森の赤松が倒れ、池に覆いかぶさっているでは!

あと2m程で山荘の建物を直撃する位置。
前から気にはしていたが、建物までは届かないだろうと予測していた。
まー予測通り、池で止まったからよかったが、森の木が大きくなると山荘の直撃は避けられない。
陶房の森を伐採したように、池の奥の森も伐採せねばならぬが、
いずれの樹も大きくて簡単に伐採出来そうもない。
悔しいが業者に頼むしかないかな?



根本からボッキり

その上浮島からチェーンソウが届く範囲は
極わずかで、最初から難しい作業になる。
バランスを崩して倒れたりしたら、
それこそ自らの脚を切断なんてことにもなり兼ねない。

何とか梢を10本程切り落とし、
池の中の木々はそのままにして、上の森へ。
さて、何処からどう手を付ければいいのか?
大きく育った山茶花や灌木をなぎ倒し、
ぶっ太い幹が池の崖にしっかり食い込んでいる。

《えらく大変だが、やらねばならぬ》
と肝に力を入れて倒木を睨む。
太くて長くて重くてびくとも動かない
赤松の倒木が、池に覆いかぶさりせせら笑う。

先ずはせせら笑う梢の部分を
チェーンソウで切り離し、
それから上の森に上がって幹を切断する。
だが池の上の梢を切るには
池の浮島に乗らねばならず、極めて不安定。


ザイルで引き上げる 



ぼっきり
手始めに石垣の上の幹に
チェーンソウを伐り込むが、
切れ目に閉じる力が加わり
チェーンソウの刃が
圧迫され動かなくなってしまう。

こうなったら幹の下に
丸太を入れて梃子にし、幹を持ち上げ、
切れ目を開くしかない。

こりゃ大変だ!

重くて動かない

切断に切断で細かく

池の上に被さった樹も伐らねば


その作業を数回繰り返し、どうにか切断したものの次はその幹を引き上げなくてはならない。
しかし崖の灌木に食い込んだ幹は、重いだけでなく灌木に邪魔されビクとも動かない。
大体足場が極めて不安定で、幹を引き上げようにも力を加えられないのだ。そこでじっくり考える。
どうしたらこの太い幹を引き上げられるか?
《そうだ、ザイルだ!》ザイルを幹に掛けて、上の足場の良いところで引き上げてみたらどうだろう?
 ヤクの毛で編んだザイルを持ってきて幹にかけ、肩絡みで引いてみる。

 

池の浮島に乗って伐る
僅かに動きはするが、
とても森の上までは無理。
更に考える。
よしこうなったら根競べの持久戦。

僅かに動いたら、ザイルで固定し
幹が動き易くなる様
灌木や土をどかし、
再びザイルを引いて幹を上げる。
結局この繰り返しを1時間も続け、
遂に倒木処理に成功。

伐った幹の引き上げ




白ワイン用でーす、葡萄

今年は実が少ないキウイ

赤ワインになりまーす

幾らでも生りますぜ、モロッコ

今年は変なのだ。
十数年咲き続けた
百合・マルコポーロが発芽せず、
発芽したものの
枯れてしまった山百合。

百合にとって受難の年
かと思っていたら、
冬越しした錦鯉の
一番大きなのが死んだ。
冬越しした錦鯉が
死んだのは初めて。

更に例年たわわに実をつけるキウイが
僅かしか結実していない。
林檎畑の一番大きな樹に林檎が
実を結んでいない。

又春先に白い花を無数に
吊り下げるエゴの樹が、
花を着けなかった。
そして奥庭の梅が
見事に実をつけていないのだ。


種を採り始めて3代目モロッコ

狙われた長崎の茂木琵琶

余りにも美味しくて鳥に喰われる

奥庭林檎 今年は林檎畑の林檎全滅
 
西瓜一番星でーす
 
早すぎて腐る無花果



梅の収穫

とホップを崇め奉り、何種類ものホップを仕入れ
常温上面発酵のエール系ビアや
低温下面発酵のラガー系ビアを造ってきたが、
どうも物足りない。

ある日ふとビアの仕込みに梅ジュースを入れてみた。
呑んでみてノックアウト。
これぞ究極のビアとばかり、ここ十数年、
梅ビアに嵌った。
さて、その梅ジュースの仕込みは年に1度。
この時期を逃しては美味しいビアが呑めないのだ。
梅ビア仕込み

ビアと云えばホップ。
苦味と爽快な香りを生み、ビールの泡持ちを良くし、
また、過剰なタンパク質を沈殿させ、
ビールの濁りを取り除き、
更に、雑菌の繁殖を抑え、ビールの腐敗を防ぐ。
まー云ってみればホップこそビアの神髄。

今年は梅の実が少ないな! 



赤く熟れた梅の実

梅ジュースを酵母と一緒に入れ
ビアを1次発酵。
瓶詰直前に2度目の
梅ジュースを樽に入れ2次発酵させる。

こうすると
香がリアルタイムになり
最初の一口で梅の香が口中に広がり
自然発酵させたフルーツビアを
遥かに超えたテイストとなるのだ。


先ず籠に落として

瓶詰しながら、ふと気づいた。
泡立てに必要なプライムシュガーを
計量して瓶に詰める作業が
デリケートで手間暇かかり面倒。

何しろ0.1gの違いで泡立たない
沈黙ビアになったり逆に
爆発ビアになったりと、厄介なのだ。
このプライムシュガーの代わり
梅ジュースを使ったらどうか?
よし、次回から試行錯誤開始じゃ!

 
良く洗って水切り乾燥
 
ビア仕込み樽と広口瓶に詰める
 
計量して同量の砂糖を入れる


か来ましたぜ!とげるボーンシルバー
7月5日(日)曇 中庭

そうそう昨日うっかりして、水道バルブを閉めたまま太陽温水器の湯を風呂に落としてしまった為、
導水管に空気が入りサイフォン機能が失われてしまった。
業者に電話し空気抜きバルブを開き、エア抜きを試みたが水量は半分以下で、
その上出てくるのは湯でなく水。

つまり温水器から落ちるのでなく、温水器に上げる水がそのまま風呂に入ってしまっているのだ。
いや違う。上部にエアーが入っていて、そこからちょろちょろ水が長いパイプを通って流れ、
温水が冷水になってしまうのだろう。
うーん、こんなドジを21年も使っている太陽温水器で仕出かすなんて、アンビリーバブル!
しょうがない業者に来てもらうしかないか? 



エアー抜き出来ない

業者登場したが駄目
太陽風呂送水不良
サイフォンに空気混入

先ずエアー抜き蛇口に、
石油ポンプを利用して作ったポンプを
はめ込み吸い出しを試みる。
うんともすんとも云わず、
サイフォン機能は復活せず。

次に屋根上のタンクに連なる
2本の管を切断して、
風呂へ落とす管の空気を
直接抜くことを試みる。

サイフォン機能を回復させた後に切断部分を繋ぐ。何とも野蛮で乱暴な方法であるが、これなら確実に導水出来る。
上手くすれば2分の1の確率で1本の切断で済むかも。運を天に任せ黒いホースを切断。切断した上部ホースから湯が噴き出す。
やったー!このホースが屋根上のタンクから風呂へ湯を落としているのだ。

下部ホースから水が噴き出せば、そのホースはタンクへ水を上げる為のもの。
そうなったらその切断ホースは即繋いで、もう一方のホースを切断せねばならなかったのだ。
ラッキー!
だが出張費、技術代、部品代と費用は嵩み、うっかりミスの代償は小さくない。

しかし再び同じサイフォン機能が
失われた場合、
今回の修理で繋いだホースを
再び外せば、
機能は復活させることが出来ると判明。

全くの無駄ではなかったのだ。
その上、修理人は
「技術料金はサービスしますよ」
と笑顔で答える。やったね!

が、これってエアー抜き弁の
欠陥であって
製造業者の責任なのでは?  

最後の手段、切ってしまえ!熱湯噴出

で、繋いだのですがこれって修理?



真紅のインパチェンスが告げる

花が咲き始めてしまったのだ。
食べられなくはないが、花が咲いてしまうと
葉が堅くなり、苦みが強くなり
あの初々しい生命の輝きは、失せてしまう。

さて何処に飾ろうかなと
西畑の春菊の花を摘んでいると
何処からともなくか細い声が聴こえる。
前庭に出る木橋を上ると
ゲートに現れたのは40年前の少女。
再び、≪誰か来ましたわ!≫

毎週、西畑の春菊を摘んでそのままサラダにしたり
さっと熱湯をかけて柔らかな食感を愉しんだり、
思う存分春菊の香りを堪能してきた。
しかし遂に別れの日が来た。


畑から採って来た春菊がいらっしゃーい! 



先生覚えてますか!関原でーす 

40年ぶりです! 

「今日は!先生いらっしゃいますか! 関原です。覚えてますか。40年ぶりです」 
以前HPで見て山荘に興味を持っていたらしい。
もうすっかり忘れていたが、どうも中学でフランス語をやっている時、関原雅美が生徒だったようなのだ。

「先生は中一の時の私の担任でした。
何だか先生たちがアルプス登山に出かけるので夫々の隊員がフランス語、ドイツ語、英語を担当し、
先生はフランス語担当になったとかで」 そうそうそうだったな!
「それでフランス語に興味を持って、高校でもフランス語をやりたいとカリタスに行ったんですけど、
フランス語科に入るには中学で学んでいないと許可されず結局英語しか出来ませんでした」

そうだ雅美だ!
「えっ、そうです。
よく名前覚えてましたね」

確かパキスタン領の
ヒマラヤ遠征に通っていた頃
≪ウルドゥー語クラブ≫
なんぞと云う
訳の解らん怪しいクラブを
作って日本初の
≪日本語ーウルドゥー語≫
辞書を作ったりした
記憶はあるが、
はて、≪仏語クラブ≫
なんぞを作ったろうか?

あの頃、目白の
仏語会話教室に通い
鞄にはテープレコーダー、
耳にはイヤホンで
連日、仏語漬けの日々を
送っていたのは確かだが・・・。

山荘スイートをどうぞ! 
「今は保健師やってます。
明日甲府の会社で
健康診断をするので
411を走って来たんです。
で、411には確か
坂原先生の山荘が有った
筈と突然お邪魔しました。
旦那は三浦で
直売の高梨農場を
経営してます」

いつも興味津々で
目のキラキラした13歳の
女の子が突如
53歳になって現れた驚き!
きっと今も
あのキラキラした目で
世界を見つめて
いるんだろうね。

雅美の心象風景には
如何なる世界が
描かれているのだろうか!



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