ドゥマゲッティ・ダイビング
珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ
其の26
Dumaguete
撮影日:2010年7〜8月 場所:ドゥマゲッティ 撮影or編集:坂原忠清 |
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サバイバル・ロッジ 六本木でテレ朝の会川氏、藤平氏と呑んでいた席で 「どうですか、共同出資してダウインにDVロッジを建てませんか?」との話が出た。 老いさらばえたら、夏は山荘、冬は熱帯の海で過ごす、それもいいかなと一時は乗る気になった。 だがもう少し世界の珊瑚海DVを堪能しそれでもドマゲッティの魅力が他より勝っていると判断出来たら 共同出資しようと保留にしていたが、どうやら数年前にロッジは完成。 ・ 何度か是非ロッジに来てくれと誘いを受けていたが、どうも老いると行動力が著しく低下するようで 飛行機に乗っての長旅が厭になりDVそのものから遠ざかってしまった。 従って完成したロッジを訪れることもなく、ロッジ建設の現地担当のロッシーの死も知らず。 ・ カミギン島DVの話をしたら藤平氏が「私も行くから帰りに是非寄ってください」とのこと。 それじゃ行ってみるかと重い腰を上げたのである。 確かに素晴らしく静かで美しい場所ではあるが、ロッジは蚊と蟻の攻撃に曝される荒野に在り トイレの水は流れないし、風呂の湯を揚げるポンプは殆ど故障中。 ポンプの代わりにロッシーの妹エレンがキッチンで湯を沸かしバケツで運んで風呂に入れてくれたが とてもDV後にリラックスできるロッジではない。 ・ やはり出資しなくて良かったと思いつつ、それではバタバタで懐かしのドマゲッティの街に出てみるか。 エミリンが「無理です。バタバタでは街まで遠過ぎて行けません。この街には タクシーもありませんから幹線道路のクダラ・ブリッジまで歩いて、いつ来るか分からないバスを捕まえるしかありません」 うっひょうー、こりゃ本物のサバイバル・ロッジだ! |
Dumaguete Dv Map(位相図) |
(PC・Diversより) |
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DV Site ・ 7月27日:アポ島 @チャペル Aロック Bカノラン 7月28日:スミロン島 Cライト・ハウス Dサウス・シー・フロント 7月29日:アポ島 Eマムサ・ポイント Fサンクチャリ・ポイント 7月30日: Gマサプロッド北 Hマサプロッド南 7月31日: モスレイ・ツイン温泉 |
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《A》 懐かしドマ 《B》 アポ島DV 《C》 スミロン島周辺 |
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相対評価・・・《5》最高、《4》良い、《3》並、《2》やや悪い、《1》悪い
珊瑚の成育 | 4 | 透明度 | 4 | 魚影 | 3 | 静けさ(ダイバー数) | 3 | 周辺環境(汚染等) | 4 |
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総合評価・・・《4》
《A》 日常光景としてのBeggar
決して手を出して 布施を乞うようなことはしない。 唯、少し物悲しげな笑みを 湛えて私の目を覗き込むだけ。 ・ コインを緑の碗に入れても 表情は変わらない。 カメラを向けたら視線を外した。 ・ 街の中心ケソン公園前の ペルディセス通りを 行き交う多くの人々にとって ベッガーは日常光景なのだが 眼差しがとても優しいような 気がふとした。 ・ 母子の反対側で 車道を背にして盲目の若者が ひたすらハーモニカを吹く。 昨日も一昨日も同じ場所で 白いペットボトルを杖に掛けて 無心に吹いていた。 |
母子と哺乳瓶と緑の布施碗 |
白いペットボトルにコインを 入れてたら チャリンと小さな音が響いた。 ・ 眼差しが優しいだけでなく 布施をする人が居ることに心が和む。 だがコインを入れる瞬間は いつも僅かに緊張する。 ・ 何処かに布施をすると云う驕りが 潜んではいやせぬか? はたまた免罪符としての行為でしか 無いのではないかとの懐疑。 ・ インド、チベットの追剥ぎのような ベッガーには決して抱かない その緊張感に戸惑う。 ・ 右手首を失った盲目のシンガーが カラオケで歌う。 右腕に布施碗のペットボトルを 括りつけ左手にマイクを持ち。 ・ 《生きる》ことの厳しさと尊厳が ひび割れた音色に相乗し ひしひしと胸を打つ。 |
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若き盲目のハーモニカ吹き |
片腕・盲目のカラオケ流し |
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《B》 さばいばる・ロッジ
ベノニ港発9時の 船に乗るため 早朝6時にホテルを 出てミンダナオ島へ。 ・ 船が1時間遅れ バリン・ゴアン港に 着くや否や電撃即行 でカガヤンデ・オロへ。 ・ 14時20分の 飛行機に飛び乗り マクタン島に戻る。 セブ島に渡り 中華料理店で遅い 昼飯をとる。 ・ ラッシュで動きの とれぬ街中の間道を 抜けてセブ島を南下。 |
ロッジの夜明け |
リロアンで21時半の 船に乗り ドマゲッティに向かう。 ・ 再び車に乗り ネグロス島を 南へひた走る。 ・ 藤平ロッジに 着いたのは23時を 廻っていたろうか? ・ 「ビールも呑まず 待っていました」と 藤平氏の 出迎えを受け さばいばる・ロッジの 生活が始まる。 ・ ビールで乾杯した とたんに蚊の襲撃。 20か所以上 刺され痒くて痒くて 堪らん。 |
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朝のジョギング |
朝の食卓 |
車、船、飛行機、車、船、車と乗り継ぎの 長ーい強行軍を終え 夜中の1時過ぎ部屋に入り さてシャワーを浴びようかと・・・ ・ 何とお湯が出ない。 ありゃ、トイレの水も流れない。 藤平氏の悪戦苦闘の結果 どうにかその場は凌げたが絶望的。 ・ だが朝になるとこの さばいばる・ロッジの真価発揮。 海が美しいのである。 |
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ロッジの眼下に漁師の家があり 家の先に広がる海から 荘厳な太陽が静かに静かに 昇って来るのだ。 ・ 山荘でも行うストレッチを たっぷり行い浜辺に飛び出す。 波を追って渚を走る。 ・ 海から陸へとテリトリーを広げた 生命の囁きが聴こえぬかと 耳を澄ましながら渚を走る。 |
暮れなずむ海 |
誰も居ない海 |
雑草の生い茂るロッジ全景 |
子山羊に舐められる |
「実は庭にプールを造りたいと 穴は掘ってあるんだけど資金不足で 出来ないんですよ」と藤平氏。 ・ 中々お洒落な外観なので プールと芝の庭にしたら リラックス出来るロッジになるだろうが その前にシャワーのポンプ室や トイレを直さねば住めない。 ・ 快適なサウスシー・ホテルに移ろうと 藤平氏に相談したら 「満室で泊れませんよ」との返事。 私は知っているのだ。 この時期、ホテルはガラガラなのを。 |
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一見美しい芝生に見えるが 唯雑草が生えているだけ。 子山羊が走り鶏が飛び回り牛が のんびり草を食む。 ・ 白筋の入った黒い子山羊に 声を掛けたら 歓んで飛んで来た。 抱き上げた途端に顔を舐められた。 山荘の犬、悠絽のお得意業。 そう云えば悠絽は どうしているだろうか? ・ このロッジにも犬が飼われ 朝のジョックには付いてくる。 名前は無いと云う。 |
名無しのロッジの犬 |
ロッジ外観はお洒落? |
《C》 バスレイ・ツイン温泉
温泉中腹からのアポ島 |
源泉の出る岩穴 |
カミギン島の温泉と異なり硫黄泉。 源泉の岩穴は硫黄の結晶で 黄ばんでいる。 この岩穴は病気の治療になるらしく 入れ替わり湯治客が出入り。 ・ 浴槽は3つあるが谷の流れ そのものが温泉になっているので 流れに浸かっているだけで気分よし。 ・ アポ島の珊瑚は実に華麗。 デンマークのダイバー アンナ、ロッドリンとチームを組んで さあ、いざ出陣。 |
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朝御飯もサービスしますので・・・ とまで云われて尚 ホテルへの移動に固執する訳にも いかず、それじゃ気分直しに 近くの温泉にでもと。 ・ 出来たてのほやほやで 2週間前の7月15日に温泉歩道が 整備され植樹が完成したばかり。 車道はデコボコで車は途中まで。 ・ 振り返るとDVサイトのあるアポ島が おっとりと横たわる。 |
硫黄温泉の流れる谷 |
アポ島へのDV船 |
《D》 海岸通りのナベサダとタタ
洒落た店の並ぶ 海岸通りは 心象風景の中にしか無い 懐かしの夢の世界。 ・ すっかり鍍金の剥げた 骨董品に近い アルトサックスを下げて 夕暮れの海岸通りを 流す初老の男。 ・ 目元といい面長な 顔立ちといい サックスを吹くナベサダに そっくり。 ・ ナベサダは誰にでも聴かせる 訳ではない。 ベンチに座る恋人に そっと近付き 今宵のランデブーを 静かに奏でる。 |
サックス流し、ドマのナベサダ |
もしか気が変わって 私の為にも吹いてくれないかと ベンチに座って待つが 見向きもしてくれない。 ・ スペイン料理店 ココ・アミーゴの前で 海を見つめながらナベサダが 立ち止まった。 足早に近づき「吹いてよ!」 と前払でナベサダにコインを渡す。 ・ 二コリともせず 渋い顔をしたまま徐に音色を紡ぐ。 米ビルボード誌の ジャズ・チャートで2位を記録した 26年前の『ランデブー』でも 流れるかとふと思ったが 聴いたことも無い 甘ったるく物悲しい曲であった。 ・ 最終日にアミーゴに寄って 黒ビールを呑みながら ドマのナベサダを再び目で探した。 ナベサダの 『ランデブー』は何処からも 聴こえなかった。 |
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ココ・アミーゴで乾杯! |
エレン、ガンガン、エミリンと |
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ブイーンと勇ましく バイクの音を響かせてタタが ケソン公園にやって来た。 後ろに跨りタタの太目のお腹に 手を回ししっかりしがみ付く。 ・ タクシーは無いしサイドカー付きの バタバタでは遠過ぎて ダウインまで帰れないし・・・ そしたらエミリンが携帯で連絡し 友達のタタを呼んでくれた。 ・ 軍事大学を出たタタはバイクの 運転には自信があるのか やたらと飛ばすうえに とてもお喋りなのだ。 ・ 夕暮れの渋滞する車を縫って 高速発進、停止を繰り返しながら 仕事のことや、日本のことや バイクや車についてしゃべりまくる。 ・ ドマゲッティ最後の夜 タタとロッジで日本酒とワインで 別れの宴を張った。 |
危うし山荘主!酔っぱらいタタの迫力 呑むほどに陽気になりエミリンやガンガンまで巻き込んで 宴もたけなわとなると 軍事大学で鍛えた体力に物云わせ タタのお喋りピッチが上がる。 |
やおら立ち上がり両手を 大きく広げ 「Oh my darling!」 と叫ぶや否や 山荘主をしっかり抱きしめ更に 「Kiss me!」と迫る ・ 太い左腕の入れ墨が無言の威喝。 透かさずガンガンが日本語で 「酔っ払い、酔っ払い!」と囃しながら カメラを向けてパチリ、パチリ。 ・ たじたじとなった山荘主 這這の体で部屋に逃げ帰ったが その後も食堂は騒然。 どうやらタタは泳ぐと云って服を 脱ぎ始めたらしい。 ・ 誰からも好かれ 明るく積極的で行動力のあるタタは 今日も風を切ってバイクで ドマの海岸通りを 飛ばしているのだろうか。 ・ それともミンダナオに飛ばされ モロ・解放戦線と闘っているのか? |