《A》 快適キャビンへ
白亜紀の夢 爆発的に生命が 満ち溢れた中生代。 その翳りが見え始めた 白亜紀末期・6000万年前。 甚平鮫は登場した。 ・ 白亜紀の文字を目にした だけで心ときめいた 少年時代の感性が 船上で甦る。 ・ 甚平鮫を追う 地元ガイドの目の彼方を 見つめ6000万年の 時を超えんと胸躍らせる。 ・ 黒ずんだディープブルー の底に揺らぐ微かな影は どんなに目を凝らしても 我々には見えない。 だが確かに彼らには 甚平が見えるのだ。 |
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屋上から甚平鮫を追跡 |
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恵比寿鮫 甚平鮫は一頭で 1つの宇宙と同型の 豊かな生態系を形成する。 ・ 主食とするプランクトン オキアミ、小型甲殻類幼生や 頭足類幼生を求めて 甚平や鰯や小型魚が先ず 宇宙の中心に居座る。 ・ 鰯、小型魚を捕食する 中型魚が集まり 更に鰹、鮪など大型回遊魚が 魚を追って生態系を成す。 ・ 従って甚平の居る所は 豊漁の場であり 漁師は挙って舳先を向ける。 それ故甚平鮫を 豊漁を齎す『恵比寿鮫』と 呼ぶのである。 ・ 生命の希薄な海の虚空・ 大洋にぽつんと灯る 1つの生命銀河。 その銀河の主が甚平なのだ。 |
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視界を覆う巨体 Whale Shark 《甚平発見!》の 鐘が打ち鳴らされる。 ・ 何も見えないが カメラを抱えて闇雲に 飛び込む。 ・ 先ずシュノーケルの 水を噴出してから何処に 甚平が居るのか 見定めようと海中を見下ろす。 ・ 視界は黒と白点に覆われ 吃驚仰天! 甚平鮫の真上に居るのだ。 これじゃ写真が撮れない。 |
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甚平鮫(ジンベイザメ) |
・ 急いで離れファインダーを 覗くと可愛い小さな 黒い目が 無邪気に辺りをウォッチング。 ・ 悠然と泳いでいるのだが 人間より遥かに速い。 早く撮らねばと焦り 唯我武者羅にシャッターを きり続ける。 ・ 写るのは黒い肌と 白点のみで全体像が 全く捉えられない。 コンバージョンレンズさえ あればと悔やむが レンズは船室に置いてきて しまったのだ。 ・ これ程の大接近は 想定外。 何たるドジ。 |
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2度3度と 甚平を追って船は アリ環礁南端の沖を 巡航する。 ・ 合間を縫ってダイビング。 DV中に甚平鮫と 遭遇出来れば様々な アングルから写真が撮れると 期待に胸が膨らむ。 ・ しかしそう旨くはいかない。 世界で最も遭遇率の 高い1つである アリ・ビーチですら DV中の遭遇率は10%以下。 つまり遭遇の90% 以上はシュノーケリング。 |
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エア切れ寸前まで 粘るが鮫の影すら見えず。 総てのダイバーは 船に上がった。 ・ ガイドのマウルーフと 2人になった時 突然水上で彼が叫んだ。 「じんべい!」 ・ 片方のフィンとカメラは既に 船に上げてしまったが カメラのみ取り戻し 再び潜行し甚平を追う。 ・ 如何せん片足フィンでは 甚平に追いつけない。 くそー! あと1分早く気付けば と悔やむが 逢えただけでも僥倖と 船に戻る。 |
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徐々に巨体の全容現る |
珊瑚海に差し込む光をキラリと巨体に揺らめかせ 悠然と深みに泳ぎ去る甚平鮫。 モルジブは総ての生命の混沌たる坩堝なのだ。 |
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砂のアート 1200もの島々から成る モルジブは 珊瑚が築き上げた国。 ・ 平均海抜2.4mで 海面が1m上昇すると 国の80%が失われると 言われている。 ・ つまり1000もの島が 海に没してしまう。 地球温暖化で真っ先に 消えてしまう国。 ・ 人々が居住する島は 僅か200で その他の多くの島々は 無人島である。 ・ 無人島の1つに上陸し 島を散策した後 一旦船に戻り再度 島での晩餐のため上陸。 |
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驚いた! 砂浜に甚平出現。船のスタッフが短時間に 造り上げた砂のアート。 |
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満天の星 陽が落ちて 闇に閉ざされた島に 上陸する時の演出も 中々凝っている。 ・ 砂浜に穴を掘り 蝋燭を入れて誘導路にし この甚平卓へと導く。 誘導路の終点で突然 この大きな甚平に遭遇させ ダイバーを喜ばせる。 ・ 空を見上げると 雨季だというのに 無数の星々が光を散らす。 人工の光も 月光も無い漆黒の闇に 唯星だけが煌く。 ・ 食事後に甚平卓は 砂浜に還され 無人島は何も 無かったかのように 夜の底に静かな影を落す。 |
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Ghost Crab 夜行性のツノメガニが そろそろと穴から出てきて 無人島に上陸した 人間共を睨みつける。 ・ とても目とは思えない 白い卵のような アンテナを立てて ぐるりをジロリ睥睨する。 ・ 蟹の目の多くは 自在に動き全方位を視野に 収めるが このアンテナは 更にその能力を超えている。 ・ どう考えても 特殊用途を意図して 造られたものとしか思えない。 この無人島の監視を 任務として造られ 発信装置をも兼ねてるのか? |
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若しかすると地球温暖化による島の沈没危機や不法侵入者を 知らせる為に雇われたGhostか? ・ Ghost Clubさんそんな怖い目で見ないで 一緒に宴に加わって ワイン呑みませんか? |
《D》 ナポレオンとのランデブーへ