《E》 夜のココ海



ココ島ダイビング

珊瑚復活の兆し

僅かながら
珊瑚が見られるので
ほっとした。

南回帰線と北回帰線の間に
挟まれた熱帯に
それも赤道直下近辺に
位置しながら
ガラパゴスもココ島も
冷たい南極からの海流
フンボルトの影響で
珊瑚の成育は悪い。

それに追い討ちを
かけたのがエルニーニョ。
僅かなココ珊瑚は
壊滅的被害を受けた。

しかし僅かに残る珊瑚を
肉芽のようなピンクが
被っている。
珊瑚復活か?



黄珊瑚
夜 の 花

Orange Coral

オレンジ珊瑚が
触手を一杯に伸ばして
花開いている。

この珊瑚の花は
日没後でないと開かない。
つまり日中のDVでは
決してお眼にかかれない
花なのである。

この触手でプランクトン等を
捕食し石灰質の
外骨格を形成し酸素を供給し
海の森となる。

珊瑚の適正水温は
25〜29℃だが
ココ島は23℃以下になる。
生育は難しいのだ。



五色海老群居
Painted Spiny Lobster

宝石としか
言いようがない。
ライトを当てた途端に
燦然と輝き
五色の光を放つ。

漁船の入域が
禁止されているので
この宝石あちこちに
ゴロゴロ転がっている。

あまり口の合わない
コスタリカ料理に食傷ぎみ
だったが昨夜は鮪の刺身。
これには仏人、独人
勿論日本人も大歓迎!

海老も美味しいのだが
調理予定があるか
コック長に聴いてみよう。



青海亀の眠り
Green Turtle

ココ島の冷水用に誂えた
5ミリのドライスーツは
面倒で着脱に3倍もの
時間がかかるが
保温力はある。

ところがこの夜は
突然震え上がり
歯の根が合わぬほどの
寒さに襲われた。

深度17mを超えた途端に
冷水域に入ったのだ。
手指までもが
悴んでしまいシャッターが
操作出来ない。

青海亀に接近し
シャッターを押したものの
撮れたか否か
寒くて手応えが無い。
コンピューターの記録は
最高水温が
23℃であった。



サファイアの瞳
Starry Puffer
模様河豚

心を抉りとられた。
これほど美しい瞳に出逢うことはもう決して無いであろう。



蝉海老蠢く
Slipper Lobster

確かに「スリッパ」に
似ていなくもないが
この英名ではかわいそう。

せめて和名の「蝉」と
呼んでやって欲しい。
この平たい板状の2本の
角は鞭のような
第二触覚が変形したもの。

問題は何故
細長い鞭のような触覚が
板状に変形する必要が
あったかである。

同時にこの板状の触覚の
機能についてであるが
未だ何も
判っていないようである。



蜘蛛ウツボ出現
Starry Moray

母船Sea Hunterの
ラウンジに数枚の
写真が掲げられている。

その1枚に
鸚鵡顔のような
摩訶不思議な相貌をした
蛇の写真があった。

名を尋ねたら
「Starry Moray」との
答えが返ってきた。

「ふーん、
ココ島には不思議な
生物が居るんだな」と
思っていたが
こいつに突然出逢った。
これを真正面から
撮ると実に不思議な
相貌になるのだ。



禿武鯛の深い眠り
Daisy parrotfish

DV中の母船は
チャタンかウェイファー湾に
錨を下ろす。

ウェイファー湾には
50年前のチリの捕鯨船が
沈んでいる。
環境保護でココ島への
入域が未だ禁止されてない
時代の船で
船名は『コンセプション』

この沈船を利用して
ハゲブダイが熟睡。
成魚の禿武鯛は透明な
粘液繭を作って
外敵から身を守り
眠るのだがこいつ
全くの無防備である。

きっと鮫は
この船の中まで
襲ってはこないのだろう。



波羽太のぎょろり
White-streaked grouper

模様からすると
白点羽太のほうが
名前はぴったりなのだが
実は白点羽太は
尾鰭は黒っぽく殆ど
白点は見当たらないのだ。

こいつの尾鰭には
白点がびっしり付いている。
従って間違いなく
波羽太なのである。

波羽太君もぐっすり熟睡。
魚は眠っている時も
眼を開けたままである。
何故、魚の眼は
閉じる事が出来ないように
造られているのか?



眼鏡黒剥の逆ダンス
White cheek tang

ココ島では常に
サーモクラインが発生し
その極端な温度差に
苦しめられる。

急激な寒さも堪えるが
水中光景が
歪んでしまうので
撮影が難しくなる方が辛い。

眼の下に白線があり
メガネクロハギと
呼ばれているこの魚を
撮ろうとしたら
サーモクライン発生。

こんな風に沢山の固体が
凝集して逆ダンスを
演じるのは珍しいので
寒さに耐えて
歪みの収まりを待つ。


《F》 ココ島への上陸










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