仙人日記
   その92の42013年文月


7月4週・・・神々のり物・谷から引いた真清水



激しい雷雨と雹、落雷、停電、水道ポンプ停止
7月24日(土)17時 晴雷雨 居間からの高芝山稲妻

バリバリバリ、どかんと恐ろしき音と稲妻。激しい雷雨と共に白い氷の玉が屋根を打ち、芝生に跳ねる。
高芝山上空は実にお見事な光のショウを展開。
稲妻をムービーじゃなくてスチルで撮れないかとカメラを構えて、高芝山とがっぷり四つに組む。
光ってからシャッターを押したのでは当然撮れはしない。
光を予感し広角にしてシャッターを切り続けるが、そう簡単に撮れない。

やがて音と光の間隔が短くなり、やられたと思った瞬間、停電。
その瞬間を見事に捕らえたが断水、停電で写真どころの話ではない。さあ、どうしよう?



レバーが央に ブレーカーがとんだ状態 

此処ですね

自動制御装置は問題なし

停電・断水
西嶋ポンプサービス社員来る
7月25日(日)曇 ポンプ室

焦る!
外の電柱に取り付けられた
ブレーカーをONにしても
ポンプは沈黙したまま。
あれこれ試してみるが作動せず。
これでは今週末は水無しで
過ごさねばならぬのか?


取り付け工事をした
西嶋ポンプサービスに電話するが
土日は営業してない。
うーん、どうしよう。
このままタンクに残っている水を
大切に使って週末まで持たせるか?

それとも池の工事中パイプラインから
水を引き生活用水にするか?

そうだ、若しかすると
西嶋社長の携帯電話が解かるかも。
で、電話を掛けたら
直ぐ来てくれるとのこと。
やったー!

「実はポンプ室の配電盤にもう1つ
ブレーカーがあるんですよ。
これがとんでますね。
このレバーが中央に来てると
ポンプは作動しません」

レバーを下に降ろしのOFFに 
2.4気圧で揚水
3.4気圧でOFFを確認


「先ずレバーを下に降ろして緑にし
一旦OFFにします。
次に上に揚げ赤のONにすれば
ほら、揚水開始です。
序に揚水、停止の自動装置を
点検しておきます。

給水弁を閉めて作動させると
3.4気圧で揚水停止、
排水弁を開けて水抜きすると
2.4気圧で揚水開始と。
これでOKですね」

上にあげのONにする 



玄関にかれた1箱の桃


翌朝は扇山より小倉山より上条山より高い
鉄塔山に登って汗びっしょりになって降りてきたら
今度は黄色い籠に入れられた桃が
玄関ではなくテラスで待っていました。

「あれあれ、昨朝の桃の送り主も解らぬのに
またまた桃がやって来ましたよ」
「あれまあ、食べても食べても減らない
不思議な桃ですね。
こんなお話を聞いたら子供達はきっと
《その山荘は何処にあるの、どうしても行きたいよ》と
駄々をこねるに違いありませんよ」
桃たちが山荘にやって
7月23日(金) 晴

山稜を巡り森を駆け抜け山荘に戻り
玄関のドアを開けると箱に詰められた桃が
にこにこ(●^o^●)と
微笑みかけるではありませんか。

「あれ、誰だろう、この桃を届けてくれたのは?」
山荘路の途中にある坂本さんかな?
でも昨日車で通りかかったら呼び止められて
2箱も大きな桃を貰ったばかりなので
坂本さんではないな。
とすると山荘畑の隣の果樹園主の坂下さんかな?
それともお婆ちゃんと2人で桃を作っていた
中村さんかな」

 
テラスにもが置かれているぞ!


神々のり物・茸&蜩のコンチェルト
7月28日(日) 晴 鉄塔山 Evening cicada

暁の神アウロラはシケイダに夜明けを告げる曲を奏でろと命ずる。
太陽神アポロンは「さあ、もうすぐ天空に駆け登るぞ!とびっきり美しい音色で森を満たせ」とシケイダに叫ぶ。
叫び声に驚いてドタリと木から落ちてしまったひぐらしは、のったらのったらと茸に這いあがり呟く。

「やれやれ、日本では日暮と呼ばれ欧米でも夕蝉( Evening cicada)なんぞと呼ばれ
おいらの出番は夕方だけのように思われているが、実は夜明けこそ大忙しさ。
おいらの雇い主は暁の神と太陽神。
従っておいらは本当は夜明け蝉(Morning cicada)でもあるのさ。
奏でる主題はいつも決まっていてね《復活と不死》さ。
夜明けは正に復活そのものであり、アポロンは如何に深い闇に捉われようと甦り、
不死であると宣告するのがおいらの仕事さ。
さてそれでは今朝もお得意のチャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調といきますか。

《るふらん》
ほら、耳を澄ましてご覧!第一楽章の序盤45秒後から始まるヴァイオリンの哀しく透き通るソロが聴こえないかい?
映画《オーケストラ》を熱演したメラニー・ロランの顔さえ迫って来るような。



収穫のトンモコロシ 林檎畑
とんもころし全倒じゃ!
7月24日(土)17時 晴雷雨 

24日夕刻の激しい雷雨は停電、
水道ポンプの停止を引き起こしただけでなく
被害は唐黍畑にも及び
収穫寸前の唐黍数十本を総て薙ぎ倒した。

いかな? 林檎畑
さあ、このまま放置しておいたら
当然、実は熟さず
今年の唐黍収穫は0になってしまう。
だが倒れた唐黍を立たせるのは
とても難しい。

難しい理由その1
唐黍の根は浅くてもともと倒れ易い。
その2
収穫寸前なので茎に着いた実が
重くて重心が高く
更に不安定になっている。
その3
その2の結果、支柱を立てて
茎を支える方法が取れず
根元を土で固めるしか術は無い。
しかし根が浅いので
土を固めても直ぐ倒れてしまう。

白の槿咲きだす 前庭
一番大きく稔っている唐黍を
3本収穫して皮を剥いて観ると
どうにか食べられるが
来週辺りが収穫時であり未だ早い。

さて、ここまで丹精込めて育てた
唐黍だが・・・・・
躊躇っていると頭上の槿(むくげ)
森の闇をバックにして
爽やかな白銀を投げかける。

花弁が闇を透かし漆黒を帯び
今にも闇に融け込みそうで
危うい美しさを醸し出しているでは。
何の脈絡も無しに
その危うさが何だか唐黍の叫びに
思えて結局
仙人は唐黍畑に向かったのである。

動かない 前庭石卓

鬼茸かな? 鉄塔山

せせり(ホソバセセリ テラス
 
あれ!此処にも 鉄塔山
「あーそれってさ、
闇に呑まれる槿と唐黍が重なって
このままでは折角育てた 唐黍への
労作が無為に帰してしまうと
連想しただけでないの?」

ホソバネセセリやタマシロオニダケ達が
そんなようなことを
ワイワイガヤガヤとかしましく
お喋りしてるのが
聴こえるようでした。
いつものように全く煩せい奴らだ!
 
アンネ薇にも似合う蜩 前庭石卓


神々のり物・桃と唐黍とアンネ薔薇&蜩
7月28日(日) 晴 前庭の石卓

倒れた唐黍を起こしスコップで土を掘り唐黍の根元に寄せ、倒れた側の土ををしっかり踏み固める。
2mにも達する重く不安定な唐黍が、こんな簡単なことで元に戻るとは限らず
何回も試行錯誤を重ね、それでも再び倒れてしまうとガックリ。
ガックリくると疲労は倍加し、中腰作業なので腰の痛みは耐え難くなり、汗は際限も無く迸り出る。
それでも終わらない作業に最早、労働の歓びは何処へやら。

ところがどうだい!
その労働が大変であればある程、成し遂げた後の緩やかに満ちて来るあの充足感の深さ。
嬉しくて早速、とんもころしや採れたての山荘の李や届けられた桃を
石卓に並べてさあ、ワインで乾杯しようではないか。
あれ、《復活と不死》を奏でるひぐらし君も参加するって!
そんならお得意のヴァイオリン・コンチェルトを奏でておくれよ!




山荘まで掘りんだユンボ 山荘森
パイプライン最終工事
7月25〜28日 山荘の森

1週間かけて水源から掘り進み
遂に山荘までパイプを埋設。
山荘での工事は3つ。

先ず1つ目は陶芸棚の置いてある
広場に水源から引いた水の
貯水槽を作る。
2番目にその水を池の上の
大岩まで導き大岩から落とす。
つまり滝を
造ろうと目論んでいるのだ。

だが問題は水量の乏しさで
とても滝に成る程の
水量は期待できない。
そこで疏水上部に設置された
池の循環ポンプを使って
滝の水量を自在に操ろうと計画。

3つ目は井戸から
汲み上げている水道本管に
パイプラインの水を接続し
水源の水を山荘の生活用水として
使えるようにしようとの試み。

池の上にを作ろう 山荘森

陶芸広場に貯水を 山荘森

ゲートで本管と続出来るか? ゲート

ゲート本管に接続可 ゲート

工事の様子がに映る 山荘2階

疏水の1本松を断し滝造り 奥庭
と、まあ計画は
実に素晴らしいのだが果して
水源の水脈は時間と共に
発達し機能するようになるのか?

業者は「そりゃ、時間はかかります。
湧水の様子を観ながら
ヒューム管の取水孔の位置を変えたり
数を増やしたり
時々様子を観に来ては
いろいろやってみますよ」と云う。

最初の1が滝上から 奥庭
業者が帰った後
大岩の上に導かれたパイプから
ちょろちょろ水が流れ出しているでは。
急いで大岩に樋を着けて
バケツで水を受けてみる。

山荘原野の谷間からの旅人が
きらきら光を反射しながら
バケツの中に小さな湖を作る。
やあ、ようこそ!
心からこの瞬間を待ってました。


神々のり物・谷から引いた真清水
7月28日(日) 晴 奥庭の疏水

指を組んだ両手を天空に翳し太陽神を仰ぎみる。
眩い白光が収斂され一筋の流れとなり、組んだ指の間を走り抜ける。
漆黒の闇を突き破って天空を駆け昇るアポロンの熱情が、海の水を雲に変え雨に変え谷の真清水を生みだすなら
この最初の1滴に感謝すべきは、やはり太陽神・アポロンにであろうか。




砂漠の長いキャラバンで滾々と湧きでる清水に出逢った歓び。
水の無い凍て付いた高所キャンプからベースキャンプに下り、氷河の割れ目から吹きだす豊かな水との再会。
いずれも忘れ得ぬ水との感動的邂逅であったが、それに勝るとも劣らぬような感激に
襲われるとは考えてもいなかった。

いつか自分のこの手で掘削しパイプラインを谷間から山荘まで引いてやろうと計画してから十数年。
結局、業者に委託しての工事となってしまった。
うーん、如何に悪戦苦闘しようがやはり自らの手で掘削工事を成し遂げるべきであったとの悔いは残る。
にも拘らず、このちょろちょろとした乏しい流れを目の前にして仙人は
紛れもない感動的邂逅に咽ぶのだ。



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