仙人日記
   その92の12013年文月

7月1週・・・ 梅雨明けのギンギラギン太陽 

梅雨明けのギンギラギン太陽
7月6日(土)曇晴 梅雨明け宣言日 中庭より

朝霧のヴェールの彼方から灼熱の熱球が昇る。
高原の爽やかさに満たされていた20℃の山荘大気は熱球の出現と共に一気に30℃に跳ね上がり、
突然真夏がやって来た。




突如燃え盛る夜明けの太陽が侵入
7月7日(日)晴 寝てはおれんぞ4時半起床 寝室

一応クーラーは取り付けてあるのだが、山荘の標高は高いので涼しく滅多に使うことは無い。
ところがこの梅雨明けの強烈な太陽には、流石の山荘も太刀打ち出来ない。
太陽が出た途端、東の窓から射し込む熱射はじりじりと寝室を焼き、室内を沸騰させ喚き散らす。
「おい、何時まで寝ているんだ。起きろ!さっさと畑に出て働け」

夜明けのギンギラギン太陽はこよなく美しいのに、実に人使いが荒いのだ。
さあ、それでは未だ4時半だが起きて先ずパンを焼いて、えーとそれから芝に水を撒いて涼しくして畑に出撃。
そうそう、この尊大なギンギラギン太陽も働かせねば。




墜落しないようにザイルで結んで


《やーい、へっぴり腰!》
と揶揄したくなる無様な腰つきに嗤ってしまう。
ザイルさえ結べば
嘗てのクライマー感覚が甦って
かなりのアクロバットも平気の平左と思っていたが
どうも勝手が違うようだな。

いやね、実は屋根が熱くてスニーカーを
通してじりじり太陽が迫ってくるんだよ。
それでもって短時間で
太陽光発電を邪魔する枝葉を伐ろうと
焦って長鋏を振りかざしたんだが
鋏が下向きなんで
力を加えると枝が刃からするりと抜けてしまい
何度やっても伐れず、足は熱いしで
つい腰が引けてしまったのさ。
さあ、太陽にいでもらおう!

さあ、そうなると
為さねばならぬは太陽光パネルに翳を落とす
森の木々の伐採。
延しに延していたこの危険で面倒な伐採も
梅雨明けとなっては
制限時間いっぱいで待ったなし。

ハーネスを腰に巻きザイルを結びつけ
これで屋根からの墜落を防ぎ
屋根の縁ギリギリまで迫り翳を落とす枝葉を伐る。

 熱いフライパンの屋根上で伐採じゃ

森と山荘パネルの太陽争奪


痛快だね。
こうやって汗をたっぷり流して
肉体労働をすると、どうしてこんなにも
心が満たされ嬉しくなるんだろう。

山荘を覆う小楢の巨木がわっさわっさと
森を揺すらせながら嗤う。
「おい、へっぴり腰のスカタンめ、何を勝手なことをほざくか。
この大きな森の翳が見えぬか?

幾らお前が鋏を振りかざそうが高が見習い仙人。
小楢様の寿命に較べたら無いようなもんだ。
今日の処は勝ちを譲ってやろう。
だが10年後は、はてさてどうなるかお愉しみ!」
どうだいこの落ち着いた戦いぶり。
何度か繰り返すうちに
枝伐りの骨が解り、足裏の熱さにも慣れ
太陽パネルの翳もすっかり取れ
発電効率もぐーんとアップ。

1億5千万kmの彼方から
8分19秒かけてやって来た光がこうしてパネルに
吸い込まれ電気エネルギーに変換され
山荘の動力源となり
山荘そのものを1つの生命体に変えるんだ。
ようこそ!、1億5千万kmの旅人。
山荘も森と同じように君達から命を貰っているんだよ。

太陽をう森の木々に負けるな! 
森の労働者ギンギラギン太陽
さあ、これで山荘パネルの勝だ、どうだ!

筋肉を浮き彫りにする光が眩しいね。
こうして森の中に置いてみると老いぼれ仙人もいっぱしの労働者に見えるから大したもんだ。
この分なら未だ当分森の住人・小楢様とも張り合っていけそう。
ふれーふれー見習い仙人!
あれ、字余りでさっぱり盛り上がらないぜ。駄目だこりゃ。

見習い仙人の戯言を聞き流しながら、仙人を早くから叩き起こした尊大なギンギラギン太陽は
すっきりした屋根の上で黙々と発電し続けるのでした。



赤山鳥(アカヤマドリ) 山荘の森
大慌ての森の妖精
梅雨明け早すぎるぜ!

さあ、焦ったのは森の茸達。
これから7月下旬にかけてたっぷり
雨が降って
梅雨が明ける直前には土砂降りが
続いて茸達にとっては
極楽の日々が訪れる筈だったのだ。

チョコレートを塗したような
美味しそうな天狗騙し茸なんぞ
水分不足が祟ってか
或いは喉の渇きに耐えきれぬ虫に
喰われたか
傘に穴が開いてしまって可哀そう。

あれ、観たことのない新顔が
にょきにょき顔を出したぞ。
さては梅雨明け宣言を聞いて
「こりゃ大変、今顔を出さないと
来年まで出番がなくなるぜ」
とばかり慌てて参上したのかな。

手より大きな赤山鳥(アカヤマドリ) 山荘の森

観たことの無い未同定茸 P2の森

観たことの無い未同定茸 P2の森

唐傘茸(カラカサダケ) P2稜線

鱒茸(マスダケ) 山荘の森

天狗騙し茸(テングダマシダケ) 小倉山頂


万年茸・
観たことの無い
未同定茸の名前判明 P2の森
判明日:7月13日(土)

マンネンタケ(
Ganoderma lucidum) 《ヒダナシタケ目マンネンタケ科マンネンタケ属》

コメント1〜黒い柄を持ち傘は腎臓形で堅い殻皮に覆われています。
表面はてかてかに光って黄褐色から紫褐色で肉はコルク質です。最近ガンに効くといわれ珍重されています

コメント2〜万年茸、食べれば長生きできるのか、それともこのキノコの寿命が長いのか?

  ドリンク剤の含有物を記したラベルなどに霊芝(れいし)と書いてあるのが、このキノコだ。
滋養強壮鎮静薬になるらしく、中国などでは、栽培もされている。 シイタケなどと違い傘も柄も固い木質である。
 若い物を採取し焼酎に漬けて3年経過した物を飲んでみたが、お世辞にも美味しいとは言えない。 漬け過ぎたか?

画面のように変化していくようです。
(キノコ写真一覧、野生のキノコより
)



唯一度の生殖後に枯死する竜舌蘭の喜としみ
7月6日(土)曇 梅雨明け宣言日 テラスより

標高4300mの荒れた大地で百年後の生殖を夢見て、ひたすらに養分を蓄え唯一度の生殖で死を迎える。
生殖の日が近づくと1日で10cmも伸びる花序と呼ばれる柱をぐんぐん伸ばし、10m程伸びると3000もの花の開花が始まる。
やがて羽を持った600万個と云う途方も無い数の種子を生み出し、天空に大地に放出する。
しかし無数の種子は新たな生命を生み出すことなく殆ど無に化してしまう。

何と壮大な生殖、それは正しく《虚空に向かって放たれる生命の孤独》
若し人間に許された生殖がプヤ・ライモンディのように唯一度であり直後に死を迎えるなら、世界から老人は消えてしまい
会話のように頻繁に交される現代の生殖は、全く異なる様相を帯びることであろう。

山荘の竜舌蘭・ユッカはプヤ・ライモンディのように、生殖時には1日で数cmも伸びる花序と呼ばれる柱を延し開花するが
枯死せず毎年、生殖を繰り返し続ける。
果してユッカは進化したのか、退化したのか、それとも竜舌蘭の一生に一度の歓喜と哀しみを捨てただけなのか?
今年も山荘の衛兵の如く立ちはだかり、咲き乱れるユッカに語りかけてみる。



プヤ・ライモンディのを吸う蜂鳥 
静岡大学 理学部生物学教室





何と壮大な生殖 それは正しく

 プヤ・ライモンディ全容
岐阜大学 応用生物科学部

くプヤ・ライモンディ
静岡大学 理学部生物学教室





虚空に向かって 放たれる 生命の孤独



山荘2世のノウゼンカズラ 中庭石段

季節到来南瓜 葡萄畑

石段を飾るノウゼンカズラ 中庭石段

やっと咲いた胡瓜 葡萄畑
ギンギラ太陽に狂喜
待ってたぜギンギラ!

造園業者に植えて貰った
ノウゼンカズラの花数が少ないので
翳を落とす欅の枝を伐ったりして
日射時間を増やしたが変化無し。

そこで終日
陽のあたる中畑にノウゼンカズラを
挿し木をして2年目。
石段まで這いあがり凄まじい勢いで
咲きだしたではないか。
朝から夕まで陽が当たらぬと
ノウゼンカズラは咲かぬと知ったのだ。

山荘調理、ビア仕込みに欠かせぬ
生姜の栽培は毎年失敗。
失敗原因はノウゼンカズラと同じく
その植物の個性を充分に
把握して無いどころか誤っていたのだ。

乾燥を嫌い保湿性のある地を好む
と本に書いてあったので
てっきり半日陰がいいと勝手に判断。
これが間違いで乾燥は嫌うが
陽当たり良好でなければ駄目だったのだ。

しかし今年は遂に発芽した。
落葉マルチで乾燥を防ぎ今年こそ
何とか収穫に漕ぎ付けたいな。

ゴーヤーも爆発寸前 葡萄畑

清楚なモロッコの花 葡萄畑

梅雨明けに輝く夏椿 テラス
 
出たぜ!生姜の芽 林檎畑
 
採っても採っても蔓延る野薔薇 億庭
 
待ち望むんでいた山百合の蕾 億庭


跋扈する雑草群

有機肥料を鋤きこんだ畑を
雑草が見逃す筈は無い。
作物の僅かな隙間を狙って
生えるは生える。

執拗に根を張り1週間で畑を
雑草の海と化す奴だけでも
雄日芝、大荒地の菊、蓬、烏の豌豆と
数十種類に及ぶ。
この雑草刈りに欠かせないのが
エンジン式の刈払機。
 
ヤベー刈払機クラッチがれた 陶房
2台の刈払機を使い分けて毎週
刈り続けているのだが
十数年使い続けた古い方の
「カルサー」のクラッチが
回転を伝導しなくなってしまった。

分解してクラッチ、クランクと点検したが
何処も正常に機能。
うーん、悔しいな、こんな単純な構造の
機具の原因が掴めぬとは。
前回メーカーに修理依頼したら
「買い替えて下さい」との回答。

仕方なく自分で修理。
実に簡単で、燃料管の交換だけでOK。
メーカーには修理する意志が無いのだ。
さて、捨てるには忍びないし。

山荘畑に跋扈する雑草群
オヒシバ、オオアレチノギク、ヨモギ、カラスノエンドウ、メヒシバ、コニシキソウ、オオニシキソウ、ヤブガラシ、アマズル、ヤブマオ、イタドリ、
コミカンソウ、スイバ、カラムシ、タケニグサ、スベリヒユ、カヤツリグサ、ヘクソカズラ、カラスムギ、クズ、ノゲシ、ギシギシ、イヌビエ、アカザ

セイダカアワダチソウ、センニングサ、ヒメジオン、ハルシオン、イヌタデ、タチイヌノフグリ、カタバミ、ツユクサ、ヒメオドリコソウ、オニタビラコ・・・
 

伝導クランクは異常無し 陶房

クラッチ接触面も正常 陶房

となると此処か? 陶房



ぐんぐん育つワイン用山荘葡萄 葡萄畑

果出来ぬ林檎 林檎畑

ミニトマトぎっしり 葡萄畑

美味しそうな枇杷たわわ 前庭
ギンギラ太陽をたっぷりい込んで
夏の収穫真近

こんなにぎっしり実が着いてしまったら1つ1つが大きくなれなくて、結局小さな林檎しか出来ないぞ!
そんなの解かっているさ。
でもそれなら一体どの林檎を摘果して捨てろと云うのさ。
どの林檎だってみーんな大きくなりたいって、太陽に向かって叫んでいるのに「はい、お前さんはもうお終い!」
って訳にはいかないだろう。

昨年は少ししか稔らなかった長崎茂木の枇杷が、どうです今年はたわわに熟してとても美味しそう!
そっか、長崎茂木の枇杷の種から稔った枇杷でも此処は山荘だから山荘枇杷であって茂木枇杷ではないのかな?
まー細かいことはさておいて、ワインと一緒に愉しめるのは来週かな。

赤星病の 奥庭

大変だ!赤星 林檎畑

やはり農薬では無理か 奥庭
あれっ!やべー
林檎の葉に赤い星が出た。

急いで西畑の林檎や
林檎畑の富士を観に行くが
どうやらやられているのは
奥庭の林檎の木だけのようだ。

このまま放って置けば必ずや
風によって運ばれ
林檎畑の富士も赤星病に
やられてしまう。 
 
防毒ガスマスクで 奥庭
さて、赤星病の農薬は
「フルーツ山梨リンゴ防除暦」を見ると
5月、6月はスコア顆粒水和剤
トリフミン水和剤となっているが
山荘には置いてないから
ジマンダイセンでどうだろう?

斑点落葉病、赤星病、黒星病・・・
等に効果ありと書いてある。
よし出撃じゃ。 



里人が使っていた貯水 古いパイプが残っている
7月6日(土)曇 山荘原野の水源地 
 



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