仙人日記
   その902013年皐月

5月1、2週・・・ 彷彿として浮かび上がる『晩鐘』 


 山桜と新緑に包まれる山荘
5月1日晴 肋骨左11番の骨折記念日となった日

山荘の翠の屋根が芽吹いたばかりの森に語りかける。
「ようこそ、2013年の春へ!
寒い冬がやっと終わり春の訪れを迎えながら、突然の冬将軍の気まぐれ攻撃に何度も襲われ
折角の芽吹きが凍て付き死んでしまったけれど
それでも死を乗越えて花芽を復活させ、とうとうこんなにも見事な花を咲かせたんだね。
あと2週間もすれば、そのおどおどとした冬将軍への畏れに慄いているような浅黄の葉も、この私の屋根の色のような
深い翠になって、もう冬将軍なんてへいちゃらになるからね」



勝手に生えた空豆 葡萄畑

大根がつんつん 西畑

越冬したレタスがスクスク 西畑

小松菜が美味しそうだな 西畑
 夏日、真夏日の合間に
に襲われた野菜

  で、その翠の屋根のメッセージに
合わせて畑の野菜にもエールを送ろうと
山荘主はせっせと
畑のスプリンクラーを修理して、
美味しい水を沢山あげようと葡萄畑で
活動していたのです。

ところが葡萄畑の下のスプリンクラーが
どうしても上手く作動しないのです。
散水しながらの修理だったので
修理中にいきなり
強烈な放水攻撃に襲われ
ズボンもシャツもずぶ濡れになり
顔への攻撃を交そうと
走りだした途端、濡れた菜花に滑り転倒。

落下地点がスプリンクラーの
真上だったので
脇腹がスプリンクラーの槍に串刺し。
幸い11番の左肋骨が
槍侵入を食い止めてはくれたものの
肋骨はポキン!

肋骨骨折の常習者でありX線で観ると
過去の骨折痕が10箇所近く
確認できるがいずれも山での骨折。
下界での骨折は今回が初めて。
うーん、下界で骨折するようじゃ
もう仕舞じゃな!
 

が白い玉を付け始めた 西畑

越冬したパセリがいい香り 西畑

霜害から復活した茗荷 西畑
 
青梗菜はそろそろ食べごろか 西畑  
 
冬越し春菊は花盛り 西畑
 
春植え春菊はサラダに 西畑



アスパラの花と一緒に真珠も 中畑

それなのに20日以上も雨が降らず
森も畑の野菜も沈黙したまま。
えーとこの前、森のアリアを聴いたのは・・・
と山荘日記を辿ってみると
あった、あった4月20日だ。

恋焦がれていた雨がやって来たのは5月11日。
一日中降って翌朝は畑の野菜が
無数の真珠を着けて、あちらでもこちらでも一斉に
アリアを歌い出したではありませんか。
待ち望んでいた
先月20日以来の雨が輝く真珠になった日

5月11日(土) 終日雨 5月12日(日) 曇後晴

光に満ち溢れた晴れた空が大好きなのに
いつも雨を待ち望んでいる。
雨が降れば森も畑の野菜も大喜びして
透き通った水晶を全身に纏って
喜びのアリアを聴かせてくれるからだろうか?

 
食べ損なって花になったブロッコリーにも真珠が 西畑



連なる木蓮 前庭

鮮やかな林檎の紅 奥庭

畑の菜花と躑躅 中庭

盆地を見下ろす牡丹 奥庭
早春から春爛漫
山荘の花々

池の畔には芍薬 山荘池

アイリスも咲き出した 前庭

石楠花はもう終わり 居間

工事後の中庭にも躑躅 中庭


 逞しく空へ甦る葡萄葉!
死んだと思っていた山荘葡萄樹が甦る・・・数年後にはワインへの期待も

5月12日(日) 曇後晴

3年前に収穫してワインを造り、さあいよいよこれから山荘産ワインが毎年醸造出来るぞと期待に胸膨らませたのだ。
ところがワイン醸造後の翌年、大きく成りかけた葡萄の樹は虫に食われ枯れてしまったのだ。
農薬を使わなかったので太くなりかけた幹は実に簡単に虫に襲われ息絶えた。

さて今後どうするか?農薬を大量に使ってまでも葡萄栽培を続けるべきか
それとも今までのように農薬使用は最低限に抑え葉が出る前の一度だけにして、
それで生き延びられない葡萄樹は諦めるべきか?

で、新たに生命力の強い苗を購入し3年が過ぎたがさっぱり葡萄は育たずワインは諦めていたのだ。
それだけに葡萄の予期せぬ葉の茂りに大喜び。
昨日の雨で葡萄も森や畑の野菜に負けじとアリアを歌い出したのであろうか?




霜害で枯れたジャガ芋も復活 中畑

死んだ葉の下から再び柿の芽が 中畑

死んだ次郎柿も逞しく発芽 林檎畑
 
蓮3週間前に植えたピーマンは死んだ 石卓
数回に亘る冷害で大打撃
3回目の苗植え

 
 
茄子も冷害で全滅、ショック 石卓
 
里芋は未だ発芽しないが果たして? 石卓

トマトも凍て付き総て枯れた 石卓 

生姜も寒さに弱く発芽せぬ 石卓 



毎日食べてるクレソンに画眉鳥が 山荘池

画眉鳥がクレソンの茂る疎水に現われたのも
疎水に棲息する虫を捕食するのが目的。
こうして春は果物や植物から虫を中心とする餌に代え
卵を産み子供を育て、生命の爆発する
夏を迎えるんだ。
森が芽吹いたら鳥達が餌台にやって来なくなった。
芽吹いた柔らかい葉を狙って
虫が沢山生まれ、その虫を食べに鳥達が森を飛び交い
もう餌台のフルーツなんてお呼びじゃないんだ。
 
最後の南瓜を食べに白頭鳥 奥庭




暑くて網戸を入れる 二階テラス

出窓はビスで固定 二階イオ

網戸の数がすぎて大変 二階書斎

テラスのペアガラスは網破れあり 一階テラス
冷害を恐れていたら突如
真夏日30.4℃

5月9日晴 勝沼で30.4℃


風呂場も2箇所設置 浴室



静寂の夕暮れ・・・大忙しの一日の終わり
 
5月12日(日) 曇後晴 山荘テラスへの窓から
彷彿として浮かび上がるジャン=フランソワ・ミレー作『晩鐘』


テラスの大窓を額縁にして光の終焉が山々と村を染め大きな壁画を展開する。
この光が1858年のバルビゾンの農村でミレーが目にしたものと同一であると不意に確信する。
《晩鐘》から貧困、敬虔、深き信仰を見出したゴッホが、繰り返し模写したアンジュラスの祈りを奉げる農婦が彷彿として浮かぶ。
激しい不安感に苛まれたダリが死と性の抑圧を見出した光の終焉がそのまま160年の時を超えて今此処にある。
この絵画はでじゃ・びゅが齎した《晩鐘》なのだ!

「ミレーは田舎の夕暮れの音である遠い鐘の声を、その絵のなかで聞かせようとした。
人間と大地との闘争がすんで、平和となったときのもの寂しい詩味と、たそがれの広漠たる野にいる、
素朴で孤独な祈祷者の厳粛さとを、深く感じて表現しているのである」

ロマン・ロラン




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