その88の2ー2013年弥生 |
陽気に誘われてフラリ ちゃりんこ散歩 |
あれ!亀が歩いてる 3月6日(水)晴 神田川 おいおい! 目白の住人にしては冷てーぜ! 目白だって 満更捨てたもんじゃないぜ。 ・ そりゃ山荘に較べれば 月とすっぽんなのは言わずもがなさ。 がまあまあ偶にはすっぽんも 味わってごらんよ。 ・ と余りにも目白の風が騒ぐもんだから そいじゃちょっくら 出かけてみるかと愛車を駆って 目白台からびゅいーんと 神田川に下ったのでした。 |
神田川に現われた陸亀のりくちゃん |
神田川沿いにめぐらされた 鉄柵の長かった影が随分短くなって すっかり早春の風情。 ・ よっちら、こっちら よく磨かれた鼈甲色を光らせて 脇目もふらず 唯ひたすら歩いているのは いつもの陸亀のりくちゃんでは。 ・ ふーんガラパゴスの象亀は確か 270kgとか云ってたけど お前さんはどの位あるのかな? えっ!レディーに 体重聴くなんて失礼だって! そうかりくちゃんは淑女だったのか? ・ で、赤い靴下はいてるのか。 |
赤い靴下の陸ちゃんの散歩 りくちゃんに初めて逢ったのは もう随分昔のような気がするけど あれから毎日毎日 この神田川沿いに椿山荘から 芭蕉庵を通って新江戸川公園の 回遊式庭園を巡って 延々とカテドラル大聖堂まで 散歩してるのかい? |
何処まで行くんだい? |
飼い主に聞いてくれ! そんなん あたしが知ってる訳ないでしょ。 あたしは唯唯歩いてるだけ。 美容と健康の基は活動にありよ。 どう、このスタイルと 肌の色艶、見とれてしまうでしょう? ・ 犬や山羊、子豚の散歩などよく見かけるが 亀の散歩とは流石に目白。 まいったぜ! |
芭蕉庵から椿山荘へ
芭蕉庵・ここ亀の散歩コース |
庭には美しい竹林が |
大銀杏は気根が下がって |
ちょっと椿山庭へでも 3月6日(水)晴 椿山荘 700年前の南北朝の頃から 「つばきやま」と呼ばれ 江戸時代の浮世絵師である 歌川広重の「名所江戸百景」 でも描かれていると云うのだから こりゃ半端じゃない。 ・ 此処を素通りしていくなんて 画竜天晴を欠くぜと訳の解らんこと 呟いて冠木門に立ったのは 山荘でお馴染みの仙人。 どうもこの目白ちゃりんこ散歩を 仙人はそう、例えば 田舎からやってきた 大層な独り大名行列に擬し 参勤交代でもしようとのつもり? |
冠木門から美しき庭園へ |
となると目指すはいつもの 芭蕉庵、椿山荘、江戸川公園、 小石川植物園巡りではなく さては江戸城の本丸を超えて 大奥に達し更に天守台に達するつもりか ・ 其処まで行ったら ついでにピカピカに生まれ変わった 東京駅まで脚を伸ばし 噂の黒塀横丁でちょっと一杯なんて。 ・ あ、イケネー。 ちゃりんこと云えども車に ちげーねー。 酔っ払い運転は法律違反じゃな。 何をぶつぶつ云ってるのか どうも何処にいても仙人は はちゃめちゃナンセンスの塊やな。 |
小さな料亭が散在 木春堂(石焼料理) |
奥庭が見渡せる入り口 |
江戸情緒たっぷり |
どうしてお気に入り散歩コースから 椿山荘庭園は外せないか? たかが手懐けられた自然でしかない 云ってみりゃ人造自然。 ・ そう思ってどこか斜に構えた視線で 冷たく突き放して観ていたのだが 何故かとても心地よいのだ。 そりゃそう映るよう意図的に自然を 配したのであるから 当たり前と云えば当たり前。 |
懸崖を利用した滝や池 中庵(鮨処) |
懸崖にさり気なく置かれた幾つかの石。 その間を流れ落ちる小さな滝。 季節感をそのまま宿す花や葉に木々。 石、小滝、木々それらのコンビネーションには 明確な意図が示され人々は その意図を自らの心象風景に取り入れ 新たな心象を創り上げ 時として心地良さに揺さぶられる。 ・ この手懐けられ仕組まれた意図に 操られた心地よさにどこか 馴染めない抵抗感を抱いていたのだ。 |
あれ!水車も回ってる |
渋いねこの門 無茶庵(蕎麦処) |
山荘クレソンは此処のを移植 蛍沢 |
白玉稲荷神社の落日 |
確かに蛍沢に架けられた木造の橋は 庭園の緑や石塔と調和し 心地よい安らぎを与えてくれる。 しかしこの橋はつい数か月前に新たに 架けられたものでその前は 一面にクレソンが繁る池塘であった。 ・ あんまり見事な美しいクレソンの大群落に 魅かれて数本を山荘の池に 植えたら此処でも群落を成した。 この以前のクレソン大群落を知る者には 果してこの木造の橋は どう映るのであろうかと考えてしまう。 |
お御籤のお守り番 |
豪快な大滝 |
三重塔・圓通閣 |
チャペル・ルミエール |
過剰な意図が自然を殺してしまう畏れを 蛍沢に覚えつつ振り返ると ぎーぎーぎったんと 今にも止まりそうにゆっくり回る水車が 歌っているでは。 ・ この水車と藪に覆われた小川との アンサンブルは 正に無作為の作為であり 今にも止まりそうな動きになるよう 落下水量まで調節する演出には 脱帽してしまった。 ・ この無作為の作為こそが 究極の庭園を 産み出せるか否かのキーである。 |
残照に映える河津桜 |
夏至の太陽がヒールストーンと 祭壇石の直線上に来るよう 造られたストーンヘンジのように この三重塔・圓通閣も 太陽を意識して建てられたのではと 思わせる位置に在る。 ・ 上の木立の間から覗く落日と 左画像の残照なんぞ 無作為の作為そのものである。 ・ 庭園を観る冷たく突き放す 視線の奥には 本来自然とは人間にとって 心地よいものでなく 生命の糧を得る為の闘いの場であり 従って時には神であり 畏れ敬う対象であるとの認識がある。 |
皇居は一足先に春が
白梅 |
大手門 |
紅梅 |
それを十全に知り尽くした上で 敢えて狼を飼いならして 家畜とするように 自然を飼いならして人間との心地よい 関係を作るならば 可能な限り無作為であらねばならない。 ・ 作為の濃度が増すほどに その光景から与えられる心象風景は歪み 不安定な情緒を産み出す。 椿山荘の庭園が 700年もの長い間名園として 名をとどめてきたのは 無作為の作為にあるのであろう。 |
大手濠の瘤白鳥 |
椿山荘の庭園に比べると 皇居の庭は 唯広いだけで殆ど死んでいる。 それでも健気に紅白揃って 梅は綻び木瓜は微笑み寒桜は 早春の風に光を躍らせる。 ・ 大手濠の石に佇む瘤白鳥が 閑を持て余して なにやら思い悩んでいるげな気配。 直ぐ近くの大手門の守衛も 両手を腰に回し 唯じーっと立ち尽くている。 |
木瓜(ぼけ) |
重い大手門 |
寒桜(かんざくら) |
山茱萸(さんしゅゆ) |
長い時間おし黙って立ち尽くすなんて 余りにも非人間的行為なので ちょっと声掛けしてやろうかな。 「ちょっとシャッター押して頂けませんか?」 ・ 無視するかと思ったら非人間的行為が 突如中断され喋った。 「それは出来ません」 ふーん、そうなのかでも良かったね。 喋ることが出来て。 あれ!それじゃこの画像は 誰が撮ったんだ? |
支那満作(しなまんさく) |
東京駅正面 |
南北ドームのレリーフ |
駅のぐるりはビルばかり |
地下の八重洲黒塀横丁 |
非人間的行為と瘤白鳥にバイバイし 大手門からビルの森を縫って 東京駅へ出る。 目指すは江戸情緒を模写した黒塀横丁。 ・ 12店舗が軒を連ねているが おでん、天麩羅、串焼き、家庭料理 炭火焼、魚料理と和食店は6軒。 居酒屋、バーが2軒。 エスニック店が沖縄、韓国、中国と3軒。 ・ さて残りの1軒はなんじゃ靴の リフォームと合鍵だって。 江戸情緒はすっかり期待はずれ。 |
天井がちょっと合わないぜ |
此処から江戸の香り |
さて肝心の味はどうかな? |
うーん、やっぱ見せ掛けだけかな? |