その88ー2013年弥生 |
ワインと一輪の花弁・仏の座 3月3日(日)晴 居間食卓 はらりと一輪の花弁が落ちたのです。 誰からも見向きもされず雑草として嫌われている仏の座の小さな小さな赤紫の花弁が 夜明けの光とワインの奏でる協奏曲に包まれて 妖しく煌いているではありませんか! |
あれ!この光何処から |
この美しい刹那との邂逅に総てを奪われました。 そりゃ確かにチャイコフスキーの バイオリン協奏曲は深く心を抉る。例えばこんな風に。 ・ とにかく美しく哀しいのだ! 究極の美しさが哀しみであると有無を言わせず精神を呪縛し 肉体を圧倒する。 このヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35が如何に美しく哀しいかを、 体現する為に生まれて来たのではないかと思わせるほど メラニー・ロランもまた哀しい美しさに満ちている。 |
ワイングラスの光だ! |
可愛らしい小さな箸置花瓶から唇形花が一輪ポトリ! |
もう決してあの刹那は 2度と訪れないと思っていました。 けれどこの夜明けの光と ワインの協奏曲は チャイコフスキーの バイオリン協奏曲を超えていました。 ・ 深紅の十字架に架けられた 唇形花が 上唇に歯ブラシのような毛を着け 下唇を十字架の中心に曝し 敢えて磔刑に身を投じた訳を 語っているのに その言葉が理解出来ない。 ・ 如何なる国家反逆罪を犯したのか 懸けられた深い呪いとは いったい何なのか? 嘗てこの唇形花の蜜を吸って遊んだ 子供達に吹きこんだ 快楽への誘いが国家反逆罪に 問われたのか? |
新作・箸置き花瓶でさあ朝食だ! 3月3日(日)晴 居間食卓 |
夜明けの光とワインの奏でる 協奏曲のクルスに 踊り子草属の花弁が身を投じた刹那。 そのいったい何処に 心を抉られたのか さっぱり解りませんなそれでは。 ・ と、呟くのは そうだ折角暖めたのに こうしてボーと深紅のクルスに 見とれていては玉蜀黍も 冷めてしまうし焼き立ての人参パンも 香りが飛んでしまう。 ・ それでは唇形花の語る言葉は 解らないけど とにかくこの美しい刹那との邂逅に 乾杯しようか! とか何とか云って仙人は 朝からワインをしこたま呑んで今日も 一日中森や畑を相手に 遊び惚けるのでしょうかね。 |
森の達人登場 |
えっ!森の遊びってこれなの? |
森に棚を付けてあげよう! 3月2日(土)晴 奥庭 「森で遊び惚け様かな」と云う声を聴き付けたのか森の達人が音も無く現われて奥庭で何やら始めました。 ブルーシートを庭いっぱいに広げ2bもある合板を並べて一体何をしているのか? ははーん、森の中に据付けてある陶芸の棚やログハウスのテーブルが朽ち果ててしまったので改修するつもりだな。 新品の合板に防水シートを張って雨にも耐える棚やテーブルを作って春の活動準備。 |
ログ玄関に1つ |
先ずは朽ち果てて最早残骸すらない ログ玄関前のテーブル。 えーとログを建てやのが2002年3月 だからもう10年経ったんだ。 ・ そりゃ10年も雨風に叩かれ 強烈な紫外線に晒され続ければ 朽ち果てるのも無理は無いな。 そら、どうだぴっかぴっかのテーブルだぞ。 |
ログのテラスにも3つ |
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森の中に作った作陶テーブルや 作品棚なんか作品の重さで ひん曲がり今にも作品が落ちる寸前。 作品を1つ1つ棚から下ろして 新品の棚と交換。 ・ 初期の作品ばかりで実に 使い勝手が悪そう。 よくもまあ、こんなもん作ったもんだ。 我ながら天晴れ! しかしこうして並べてみると 捨てたもんじゃないかな? |
陶芸庭にも6つ |
よく観ると中にはなかなかどうして 個性豊かな芸術性の高い 作品も在るではないかと自画自賛。 森の達人は その内の1つに目をつけ曰く。 「あら、これいいわね。 先日お茶碗割ってしまったので これ使おうかしら」 ・ おー良かったね碗君! 永遠に使われること無く森に埋もれる 運命にあったのにこれで 晴れて碗君のデビューが実現したね。 |
未だ森の座禅草は雪の中 |
ほら森の倒木も氷柱のお髭 |
寒そうに抱き合う座禅草 |
で早速森に出かけると未だ未だ森の中は雪や氷が彼方此方に在って寒いのです。 いつも座禅草は早春を待たず雪の下から沢山芽を吹き花を咲かせるのに今年は未だほんの少しだけ。 大きな倒木はすっかり枯れ果てて朽ちる寸前の年輪から太い氷柱を幾筋も垂れ下げ 「未ださぶいぜ!この氷の牙が消える頃には熊も穴から出て来るがもう少し待ちな!」とのたまうでは。 とんでもない!熊と逢うなんて御免こうむりますよ老倒木さん。 |
水温む春がやってきたぞ! 早春の光を孕んでキラキラ、きらきらと 水が歓びの歌を謳っているのに 北の国では暴風雪が荒れ狂い9人が死んだ。 ・ 車に閉じ込められこのままでは死ぬと車から脱出し 数百b離れた家に向い 自宅の500b手前で死んだ北川さんは23歳。 54歳の今井さんは徒歩で職場から 帰宅中に自宅から190b地点で息絶えた。 更に53歳の岡田さんは人家の 僅か70b手前で死亡したと云う。 ・ 冬の追いやられる早春は冬将軍の機嫌が悪いのだ。 |
光が嗤う3月の暴風雪 3月3日(日)晴 山荘池 北海道湧別(ゆうべつ)町で暴風雪の中、 凍死した同町の漁師、岡田幹男さん(53)は、 長女の夏音(なつね)さん(9)の体の下に両手を回し、 娘の体を守るような状態で発見されたことが4日、分かった。 夏音さんは低体温症だが命に別条はない。 父親が10時間以上も暴風雪から守り、体温で温めたことが娘の命を救った。 新たに1人の死亡が確認され、 2日からの道内の暴風雪による死者は計9人になった。 9人の命を奪った今回の暴風雪は 強風によって雪が巻き上げられ視界が奪われる 「ホワイトアウト」という現象が起きた可能性があるという。(産経新聞) |
光の嗤い声が聴こえそう |
蕗の薹 |
最初の水仙 |
咲き続ける山茶花 |
嬉しそうに満面の笑顔で出てきたので早速蕗味噌を作って野菜に付けたり魚や肉料理に使ったりして 早春の香りを愉しみました。 |
どんぶらこっこすこっこ 耳を傾けたら聴こえてきたのです。 幼少の頃聴いた懐かしいメロディーが。 赤紫の桃がぽっかり割れて 現れたのは肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれる 黍団子のような クリーム色の男の子・桃太郎。 「おいおい、何処へ行くんだい? おいらこれから鬼退治に行くんだけど 良かったら一緒に行かないかい?」 |
冬花のアネモネも早春賦を詠います どうやらアネモネもヴィーナスも黍団子に釣られて 桃太郎の家来になって鬼退治に 出かけたらしのですが、いくら仙人が訊いても知らん振り。 やはりあれは老化仙人の 痴呆が産み出した幻視だったのでしょうか? |
桃が割れた!長い早春の影を引く座禅草 |
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「ふーん、そうすればその美味しそうな黍団子 食べさせてくれるのかい?」 「そりゃかまわんよ。おいら全身が黍団子で 出来ていて疣いぼの1つ1つが全部 黍団子なんだぜ。 鬼退治に来れば黍団子食べ放題さ」 ・ さあ、それを聴いた食いしん坊の仙人 嬉しさに舞いあがって 即、桃太郎と鬼退治に出かけたのですが どうもその後眠ってしまったらしく 何も覚えていないのです。 ・ 仙人は不老不死の筈なのにどうもこの仙人は 未だ見習いなので老化が進み 折角の鬼退治も覚えているのは 「どんぶらこっこすっここ」の夜伽声だけだとか。 |
森の団子・蟷螂の卵 |
クレソンも早春に踊る |
柳もほっこり |
黍団子だけじゃないぜ。 森にはこんなにも美味しそうな団子だってあるんだ。 中身は何かって?カマキリの卵がぎっしり詰まっているんだよ。 座禅草と仙人の話し聴いていたけど随分しっちゃかめっちゃかじゃないかい? ・ あの美味しそうなクリーム色の花に騙されちゃいけないよ。 知ってるかいあの座禅草は外国じゃスカンクキャベツと呼ばれているのを。 花だけじゃなくて仏像の光背と云われている赤紫の仏炎苞まで臭うんだぜ。あんなもん誰が食べるかってんだ。 それに夜明けの光を浴びている座禅草がどうして夜伽声を出すんだい? そうか老化の進んだ未熟仙人はもう既に朝と夜の区別も出来ないんだな。 ・ そんな蟷螂の卵の悪態を聴きながらクレソンは早春の小滝にうっとり。 柳なんぞ光をたらふく吸い込んで朝からこっくりこっくり居眠りなんぞして気持ち良さそう! あーそれなのに北国では早春の吹雪で9人もの人が命を失ったのですね。 |
9日は西日本と東日本は |
2013年3月9日(日)晴 山荘 |
北海道を中心に、 8日から9日朝にかけて、 猛吹雪の大荒れの天気となった。 10日は、さらに大荒れの天気となりそうで、 気象庁は、警戒を呼びかけている。 ・ 9日朝にかけての大荒れの天気で、 北海道では、広い範囲で大雪となり、 余市では30cm、札幌でも 25cmの雪が降った。 また、強い風が吹き、襟裳岬では、 最大瞬間風速32.5メートルを観測した。 ・ 10日は、北海道付近を別の低気圧が 通過し冬型の気圧配置が強まるため、 北日本では、9日よりも 大荒れとなることが 予想されている。 ・ 北海道の日本海側と太平洋側では、 昼前から雪をともなった 非常に強い風が吹き、 最大風速は、海上で25メートル、 陸上で20メートル、 東北地方の太平洋側では、 陸上で20メートルと予想されている。 |
机上で咲き乱れるクレビア こんなに暖かくなったなら 1月に予定してた森の落ち葉集めに 来れなかった妖精たちを呼んであげてもいいかな? となると何か美味しいもの作ってあげねば。 ・ いつもの栗、胡桃入りのスイートポテトと マンゴのトッピングを仕込んでと。 そうだ海老があるからこいつを白ワインに漬けて 茹で上がり直前のポテトと混ぜて水切りし 更に鍋で水分を取ってと。 あっ、少し焦がしちゃった。 ・ 山荘人参、胡瓜、玉葱、ゆで卵、マヨネーズを入れて フレンチドレッシングの代わり オリーブ油と塩、胡椒で味付けてどうだ。 あれ、いつもと違うポテトサラダになってしまったぞ。 |
まるで初夏のような 3月8日(土)晴 書斎 堅く凍て付いた冬の壁がメリメリ音を立てて崩れ落ち 一気に春が来た。 最高気温は24℃に達し2重ガラスの山荘室内は 25度を超えまるで初夏のよう。 書斎のクレビアなんぞ慌てふためいて どかーんと爆発し狂ったように咲き出したぜ。 3月の夏日だなんて在りえない。 地球はいよいよ活発に活動を開始したのか! |
イオの部屋でも満開 |
14.、2kgもある大物水晶 3月8日(土)晴 水晶山 今度こそ恵太は水晶山に行って 自分の手で水晶を 掘り出そうと意気込んでいるらしい。 さて、それではちょっくら 水晶山へ偵察に行ってこよう。 何しろもう10年近く水晶山へは行っていない。 どうなっているだろうか? |
驚いたな! 水晶なんて全然見当たらないぜ。 どっち向いてもごろごろしていた あの水晶が 何処にも居ないのだ。 ・ きっとあまりにも有名になって 全国からアマチュアが殺到し 採り尽されてしまったのだろう。 恵太残念だが諦めな! |
折角の水晶だからチベットから連れてきた 龍の台座にでもしてやろうかな。 こんなんでどうだろう? おー龍が命を吹き込まれて水晶の上で 昇天の熱気むんむん。 ・ 鹿角の隣ではどうだ? 今正に飛び出さんばかりじゃないか! そうか、お前はそんなにも水晶を 待っていたのか。 |
見捨てられたでっかい水晶の塊がゴロン。 大きすぎてきっと誰も持ち帰れず 放置されたままになっているのだろう。 仕方ない重いけどこいつをどっこいしょ。 あれれ、予想外に重いぜ。 ・ でこいつを林道まで運び降ろしバイクに乗せて 山荘に戻り体重計に乗せると おー14.2kgもあるぜ。 |