|
その112の1ー2015年 弥生 |
3月1週・・・やっちまったぜ!またまた肋骨骨折じゃ!
積雪倒壊を防ぐ陶房屋根の勾配工事に着手 2月22日(日) 晴 窯室&陶房 |
昨日、危険な雪道をバイクで下り、 1m単管、ボン・ジョイント、 切断ディスク、序に風呂場用に置く ポリアンサス2鉢を買って、 何度もスリップしながら、 急坂雪道をバイクで戻る。 ・ 車なら絶対登れない雪道だが、 バイクだけ 抜けられる雪無し農道があって、 上手く其処を利用すれば 2か所の凍てついた急坂の1つを 迂回出来るのだ。 ・ さて問題の工事だが、 いつものように頭で考えたことと 現実の工事の間には、 越え難いギャップが生じる。 突如牙をむいて そのギャップが襲い掛かってくる。 |
50cmに切断した単管を接続 |
屋根そのものは大した重さではないので、 クランプを外して屋根を持ち上げる。 ザイルで屋根を固定しておいて、 そこにボン・ジョイントで単管を繋ぎ、 50cm高くなった位置に 屋根を固定すれば工事は完成。 ・ たったそれだけで屋根の勾配は増し、積雪、雨水を 素早く落としてくれるのだ。 しかし、先ずザイルを屋根にセットし引いたが、 屋根はビクとも動かず とても引き上げるなんて無理と判明。 |
3段にしてどうにか高さ調整 |
そんなら思い切って 高い方の柱に 単管を繋げ、高くするのではなく、 低い方の柱を切断して 更に低くして、その上に屋根を 乗せれば勾配は増す筈。 ・ 1晩考えてこの方法は 極めて危険と判断。 不安定な梯子に乗って 火花を散らしながら、 金属管を切断するだけでも 充分危険。 ・ それだけでなく更に 切断単管に屋根の重力が 掛かっているので、切断ディスクが 挟まれ割れて飛び散る恐れあり。 ・ 飛び散ったディスクの破片が 顔面に襲い掛かることは、 言うまでもない。 で、今朝、頭を良く冷やし考えた。 |
50cmの勾配を付ける接合鉄管を切断 窯室&陶房 |
七色の雲を棚引かせて春の風情の高芝山 面倒だが屋根を剥がし、屋根上から単管を繋ぎ、重い屋根を徐々に押し上げ クランプで固定すると云う当初の計画に立ち戻るべき。 ・ でその方法で、2時間かけてどうにか単管の接続に成功。 これから未だ細かい手直しが必要だが、峠は超えた。 今日午後から雨か雪らしいが、どうにか間に合ったぜ! ・ ところが峠を超えた瞬間の気の緩みを、観逃がすものか、と 虎視眈々と狙っている者が、居たなんて、知らんかった! きっと高芝山だけは知っていたんだ。 ほら、何か言ってるぜ! ・ 「ふんふん、甘ちゃんの見習い仙人め、きっと又痛い目に遭うぞ!」 |
山荘一番咲きの水仙 奥庭 グッラッと椅子が揺らいだ瞬間、 態勢を即応させる前に、 陶房の作業台に左脇腹から激突。 ・ 作業台は破損し内臓を護ろうとした肋骨は、 見事その使命を達成し 2本の自己犠牲にとどめた。 褒めてやらねばなるまい。 勿論、肋骨をである。 ・ 高芝山のお告げは、間違っていなかったぜ! |
肋骨骨折じゃ! 「やったぜ!十数回目の肋骨骨折じゃ!」 工事現場の足場が 不安定であることは充分認識していたので、 踏み台の椅子に体重を掛ける時は、 僅かでも重心がずれる気配があれば、 態勢を即応させ落下を防ぐつもりであった。 結果としては実に甘い判断であった。 |
傍らで大犬のふぐりも群生 奥庭 |
暖かくなった山荘に初めてやって来た里の鳥・目白
どうしたんだろう?仙人がヨロヨロしているよ 心配顔の目白 奥庭 2月22日(日) 晴 |
考えてみるに肋骨は単に内臓を護っただけでなく、 アキレス腱を傷めていながら、安静にせず山に登ったり、 トレーニングを続けている頑固な老い耄れ仙人に、有無を言わせぬ 判決を下したのだ。 ・ 「どうだ、これで、もうお前は登山どころか、朝の筋トレもストレッチも出来まい。 そーら、息をするたびに肺が膨らみ肋骨が広がり、 痛みが脳天に達するだろう。 治るまでに3カ月は掛かるだろうから、これで酷使されてきたアキレス腱も 否応なしに休養が取れると云うわけだ。 めでたし、愛でたし! |
作品が勢ぞろい |
大皿は陽介作品 |
アキレス腱に懺悔 そこまで深読みして 2本の肋骨(実際は9番2か所)は、 敢て折れたのだ。 何とまあ、 賢く健気な肋骨であることか! 折れた肋骨に感謝せよ!」 |
紅茶空き缶を再利用して陶芸小道具入れが出来たぞ! |
||
てなわけで、 昨日から歩くことも儘ならぬ身を 引きずりながら、アキレス腱に懺悔し、 しみじみと折れた肋骨に 感謝の祈りを奉げ、 ・ 唯々ひたすらに作陶したり、 陶房小屋の小道具入れを作ったり 謙虚な時を、老い耄れ仙人は、 過ごしているのである。 |
完成した箸置花器 |
中央は村上作品 |
鬼子母神診療所にてX線撮影の結果 9番2か所と判明 2月25日(水) 右の図は、肋骨骨折直後(2月22日)と 3日後の受診時(2月25日)の 肋骨の形状の違い。 受傷した直後は、その外力によって、 形状的にずれが生じる。 ・ しかも、骨折の直後は、 アドレナリンの分泌もあり 痛みが比較的軽度であるが、 数日後に痛みが増強。 |
25日の受診時には、上の絵のようにずれていた 骨折部が整復されていて、画像からの骨折判断が難しい程、復活が進んでいる。 ・ 骨折の瞬間から復活への、凄まじいまでの闘いが開始され 折れ曲がった肋骨は元の位置へ動き出し 更に折れた骨の先端どうしが、新たな骨細胞を作り出し必死に接着を試みる。 ・ これらの一連の復活への闘いは、生体所有者の意思とは 乖離した指令によって遂行されるのだ。 そこまで精緻なシステムを機能させて生命は畢竟、何を目論んでいるのか。 生体所有者の意思を、遥かに超えた未来で生命は質的変換を遂げるのだろうか?。 ・ 未熟仙人よ、老い耄れ爺なんぞと自らに悪態を垂れる前に、 もっとこの精緻なシステムを機能させる生命を敬い、大いに讃頌せよ。 |
すっかり凍てついた池にも春の兆し 奥庭 |
寝返りに挑戦! 今日は骨折3日目、 何か変化進展は無いかと、 出来なかった寝返りに挑戦! ・ 骨折している左脇腹を 下にして体を少しづつ回転。 ぐいん、ぐいんと痛みが走り、 脳の司令塔が 即、回転をやめるよう強権発動。 ・ しかし此処で 司令塔の言い成りになっては、 耄碌爺の沽券に拘わる。 あれっ!耄碌爺に 沽券なんてあったっけ? ・ どうにか半転に成功したものの、 今度は間欠的な痛みではなく、 どっくん、どっくんと 心臓の拍動に合わせて 途切れなく痛みが続く。 |
さて何分耐えられるか、 時計を見ながら苦痛と戦う。 3分を過ぎたら、 痛みへの防御反応で感覚が鈍磨し、 痛みの奴も諦めて ・ 耄碌爺が勝利する筈であったが、 どうして、どうして敵も さるもの引っ掻くもの。 執拗なまでの痛みの攻撃に、 遂に耄碌爺はギブアップ。 ・ さて起床後は、いつもなら 真っ先に筋トレとストレッチ。 流石に昨日は出来なかったが 今朝はどうか? ・ 肋骨骨折なので、まー腹筋は無理として、 その他の手足の運動は 出来るのでは? 恐る恐る屈伸や前後屈を試みたが、 例えば体の横曲げなど 腕がちょっと曲がって、手首が 曲げる方向へ僅かに動いたのみ。 |
扇山の雪を覚えているかな陽介君! 扇山の頂 |
聴こえてくるよ春の足音 |
でも目白住人はヨロヨロだって! |
こりゃ完全にお笑いだ。 第三者が観ていたら正しく噴飯もの。 それでもって骨折耄碌爺さんは、 朝のお努めを果たした とでも云うつもり? この体操、題して【アポロジー】。 ・ とまあ、こんな風に骨折3日目の朝を、 ドキドキしながら仙人は 迎えたのであります。 |
次は腹筋運動じゃ! 6日目の朝、「痛い!」 しかしどうにか、 1回目の腹筋が出来た。 それなら2回目も 出来ないことは無いと、痛みを堪えて 2回、更に3回と 顔を顰めながら続行。 |
書斎が日中28℃上昇だって!夏じゃ! |
でも山荘路は未だ雪と氷で通れないね |
遂にいつもの103回の腹筋運動を 達成したのが昨朝。 つまり骨折以来6日目であり、 前回の骨折記録に記された日数と 同じで腹筋が復活したのだ。 ・ だが、昨朝の無理が祟って 今朝は腹筋出来ないのではと 恐れていた。 何しろ肋骨骨折で一番痛む動きが、 腹筋運動なのだから、 連続103回もの過度な刺激を 加えたらどうなるか、 日の目を見るより明らか。 ・ それだけに2日目の今朝も どうにか103回の腹筋運動が 出来た時には、マジ嬉しかったぜ! しかしアキレス腱は 相変わらず腫れが引かず、 今のところ回復見込みなし。 ・ その上どうやら脳細胞も 骨折したらしく 【おいらにもギブスをはめて 休ませておくれ!】なんぞと吼えるでは! |
アキレス腱と肋骨 だけじゃなくて頭もヤバイぜ! えっ!歯も駄目だって! ほんじゃ完全に ポンコツじゃ! |
その上禁断症状じゃ! さて久々に予約ミスから、 薬切れならぬ本切れの禁断症状を起こし、 昨日、山荘に向かう車中で 読む本無しの、悲惨で 落ち着かぬ移動となってしまった。 移り行く車窓の光景を愛でながらの 読書こそ、 究極の悦楽なのだが・・・。 ・ 薬切れの麻薬中毒患者の 気持ちが、痛い程身に染みたが、 その分車窓の光景を堪能した。 未だ芽吹いてはいないが、 森や山は確かに春の予感と 生命の気配に満ちていて、 眺めているだけで、ワクワクしてしまう。 ・ 徐々にではあるが、 回復しつつある肋骨骨折と早春が重なり、 生命の悦びが細波のように、 肉体と精神の渚に打ち寄せる。 |
氷もすっかり融けて、早春賦を奏でる筧と水仙 2月23日(月) 晴 奥庭の滝 唯ひたすらに死に向かって、衰え朽ちていく肉体と精神が、 果たして早春の生命の細波をしっかり受け止め、新たな渚となって 明日を生み出すことが出来るのか? ・ 本の禁断症状を断ち切るべく、車を塩山図書館へ走らせる。 待っていたのは4冊の新刊本。 宮部みゆきの「悲嘆の門」の上下、小池真理子の「千日のマリア」、伊坂幸太郎と安倍和重の「キャプテンサンダーボルト」。 ・ さてさて今回の宮部みゆきは、「模倣犯」や「理由」に匹敵するような 優れた作品が書けたであろうかと、早速読み始めた。 前回の「ソロモンの偽証」では、後半の模擬裁判の不自然さとこじつけに辟易し、 斜め読みして読了しただけに、あまり期待せず読み始めた。 ・ が、どうやら今度は力の入れ方が本物で、冒頭からぐいぐい読ませる。 手を抜かず、5歳になったばかりの幼い女の子と死につつある母の置かれた絶望的状況を、 克明に描いていくプロローグは、宮部の真価発揮。こりゃ期待できるかも! |
50年間活躍した第3大臼歯との別れ |
さらば半世紀の友! 喪失儀式 初めての抜歯 3月5日(木)目白 大根、セロリ、人参、ピーマン、 玉葱、トマト、 時にはブロッコリーや春菊など 大皿に用意し、 スライサーで薄くスライスし 檸檬と醤油をほんの少し掛けて 朝食のサラダの出来上がり。 ・ ありゃ!噛めないぞ! この数十年 続けられた朝の定番サラダが、 歯が痛くて噛めないなんて 考えたこともなかったので ビックら! ・ 朝一の8時に 歯科医院に駆け込むと 「こりゃもう駄目だ。 グラグラで抜くしかないね。 ほんじゃ、あーんして! 内と外側に麻酔を打つからね、 ちょっと痛いよ」 とか言ったかと思うと 次の瞬間には 左上の一番奥8番の 親不知は無情に 抜かれてしまったでは。 初めての呆気ない喪失儀式。 |
ブロードピークの方解石 |
抜かれた歯を観ると 今まで顎に着いていたとは思えぬ酷い腐蝕。 僅かに3本の突起が、 歯肉に食い込んで、 辛うじて残っていただけ。最早とっくの昔に 機能を失っていたのだ。 ・ さらば、知恵歯よ! |
8047m峰の菱面体結晶 |
方解石と知恵歯 あれっ! 何処かで観たような宝石。 そうだ、1989年に ブロードピーク峰(8047m)の 山稜で見つけた方解石だ! 確か山荘の ヒマラヤの石をディスプレイした 飾り棚にあった筈。 ・ 早速探してみると、在った! 形と大きさは異なるが 確かに質感、色彩、肌触りが そっくり。 ・ 方解石は動物の殻や骨格などが 水底に積もって 途方もない時を経て 生成された堆積岩である。 似ていて当たり前。 ・ それじゃこの知恵歯を ちょっと大きくして 方解石の飾り台に乗せてみよう。 ほら、何処からどう見ても 立派な方解石じゃ! ・ 2億5千万年の眠りから覚めた 恐竜の歯のように 深い時の累積を感じさせる 何とも素敵な光沢。 ありがとう!よくぞ半世紀も 働き続けてくれたね。 |
知恵歯の断末魔 左上8番抜歯 |