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その108の3ー2014年 神無月 |
凍らない内に干さなくちゃ! せっせと水やりに励んだが、 11月下旬になっても成長が追い付かず 未だ太くならない内に 冬がやって来て、山荘の最低気温は零下続き。 ・ 未熟な細い大根を急いで干したが 凍てついてカチンカチン。 とても干し大根にはならなかったのである。 でも今年はご覧の通り立派に! |
急げ!冬が来たぞ! 昨年は酷い目に遭った。 8月に発芽した大根が、その後の日照りで 枯れてしまい、慌てて蒔き直したが 時、既に遅し。 |
うーん、いい香りだなー! |
大根干し 折らないようにスコップを使い、一本づつ丁寧に抜き取られた畑の大根。 それを一本づつ洗い、きれいに泥を落として、水気が飛ぶまで並べておく。 そうやって下準備ができた大根を運び上げ、ログハウスの軒下に吊るすのだ。 ・ 軒下に真っ白な大根が一列に並ぶ。初冬の風物詩が一つ完成。 後は北風小僧の勘太郎がやって来て、 ぴゅーぴゅーと冷たい息を吹きかけてくれるのを待ちましょう。 |
美味しい沢庵になーれ! |
枯葉がログハウスの屋根に いっぱい積り 樋から溢れ出してパラパラ。 ・ 落ち葉は森の過ぎ去った夏の 記憶をぎっしり詰めて 太陽の香りに満ちています。 軒の大根が落ち葉に 語り掛けます。 ・ 「くんくん、実にいい匂いだね。 だがどうだい、俺様の匂いも 悪くはないだろう。 何しろ俺様の匂いは夏だけでなく 冬の太陽もミックスだぜ!」 |
ハート形大根出現 |
太陽を沢山吸い込んでおくれ |
序にお芋も干してと |
さて次は干し柿作りだ! |
2進法の森 「ある、ない」そのどちらかだけ、実に簡単であり明白ではないか!。 といわれても、くだらない雑念にからめ捕られてる頭では、 なかなか理解できない。 でも、夕陽を追いかけながら、朝日を浴びながら、森の中で その単純で複雑な2進法に頭を巡らせてみる。 ・ コンピューターで使われているのがこの2進法の0と1だけの世界。 何時か人間が、遥かに進化したら、 あるいは宇宙の別の知性と遭遇した時も、 この2進法がコミュニケーションの基礎になるかもしれないという。 |
余りの美しさに息を呑む一瞬! 11月22日(土) 扇山に続く山荘の森 ニューロンのように絡み合い、密やかな感性を交換する森の樹木。 無数の樹幹が紅く燃える血液の海に、入り組んだ黒々とした影を落とす。 ≪ようこそ、知の森へ!≫ 森が囁く。 ・ ≪To be or not to be, that is the question. ハムレットを待つまでもなく、生命は生か死かの2進法。 宇宙だって虚空の0と星(大小に関係ない存在としての星)の1からなる2進法。 そう、ここまでくれば時間だって2進法だと気づいたろう。 永劫の不変は時間の死、つまり0。それに対し僅かでも変化があれば時間は1。≫ ・ 森すべてが、いつもこんな風に語り掛けてくるんだから、森の逍遥は実に愉快だね! |
葡萄畑の紅葉と雲海! |
紅葉に敗けずと狂い咲く君子蘭! |
あれー!どうしたんだい? 何を間違えたか 春に咲くはずの寝室の 君子蘭が咲き出したでは! ・ まーまー無理もありませんよね。 寝室の窓から見える 森や畑は何処も彼処も 負けじとばかり競い合って 燃えているんですから! |
眼下に広がる葡萄畑が 雲海の白銀と 協奏曲を奏で、見上げると ほら、雲海に呑み込まれながら 山の森が燃え上がり 激しくティンパニーを 打ち鳴らしているでは! ・ それでは山の森がくれた 山柿を君子蘭の お話し相手に加えてあげよう。 さあ、お前もイ短調に乗って 死の直前の鮮やかな 調べを聞かせておくれ! |
森の柿もお見事! |
山全体が燃え出す |
風が吹き抜けたような爽快さ そんな壮大な先の世界は、イメージするには遠すぎる。 光りを受けて深紅に燃える葉を仰ぎ、陰影を濃くする檜林を傍らに、 光と闇、有と無なんて呟きながら、「9という数を2進法で表すと?」という問いを、 真剣に考えるのは何だか悪くない。 ・ きれいな対象形になるという解・・・<1001>がひらめいた時は、 頭の中に爽やかな風が吹き抜けたような爽快さを覚え、世界が 一層美しくいとおしくなるのだ。 2進法の森は、0と1の無数の組み合わせで、きらきらと眩しく輝き、 遠い遠い世界へ知性を誘おうとしているかのようだ。 |
随分大きくなったわね! 朝陽と夕陽しか食べない柿が、 ずんずん大きくなって そんなことを呟くだなんて実に驚きました。 でも森は優しく教えてくれました。 |
そんなら、時間の1で世界は動き出し 宇宙の1で星が生まれ 生命の1で、あたし達柿も生み出されたの? でも0と1しかないなんて困る。 例えばさ、9なんて数は0と1の世界では どうなるんだい? |
甘柿もたわわに実って! |
夜明けの柿採り開始! さあ、そんなら先ず10進法の約束を思い出してごらん。 例えば2014の4は100(10の0乗)=1が4つあることを示しているだろう。 もっと解り易く云うと1桁目は1が4つあると表している。 ・ 次の2桁目の1は101(10の1乗)=10の個数が1つ、 その更に左の0は102(10の2乗)=100が1つも無いことを示し 4桁目の2は103(10の3乗)=1000が2つ在ることを表している。 で結局1000×2+100×0+10×1+1×4=2014と なっているのさ。 |
じれったいね! 今は0と1だけの2進法の正体を 知ろうとしてるのに なんで10進法が出てくるの? ・ そんな柿のブーイングに にっこり微笑んだのは木の下で 柿をキャッチしていた あの薫&光君の グランマではありませんか! |
高鋏を伸ばして |
解ったわよ! つまり10と2を入れ替えれば 2進法の世界が 出来上がるのね。 ・ 1桁目は20(2の0乗)=1の集まり 2桁目は21(2の1乗)=2の個数 で、3桁目は22(2の2乗)=4 4桁目は23(2の3乗)=8の集まりを 表しているんでしょ! |
ー1.4℃の大気に太陽が温もりを |
下で落とされる柿をキャッチ! |
太陽を2つにして暖めよう |
奥庭の3本の柿木から280個程 |
ほら、御覧なさい! グランマの顔がまるで少女のように 輝いているでしょ! ・ 話しかけられた甲州百目柿だって 実に堂々としていて 如何にも解ったような振りを装い グランマのお話しに 耳を傾けているではありませんか。 |
熟柿は別にヨーグルトのトッピング |
柿は朝陽と夕陽だけを食べて大きくなるのだろうか? そんな幼児が考えるようなことをふと思って苦笑してしまう。 でもだからこそ、柿ともお話が出来るのかな? 甲州百目柿は元々は百匁(375g)のもんめから名付けられたとか。 ・ つまり1個で400g程の大きさの柿の意。 こいつに朝な夕なのバーミリオンの太陽がどっさり詰まっている。 皮を剥いてみると、溢れ出す光に思わず見とれてしまう。 |
愉しい枯露柿作り! ある晴れた日に、高芝山を背景に グランマの手に身を委ね 気持ち良さそうに皮を剥かれている 柿が訝しげに 首を傾げポツリ、喋ったのです。 ・ グランマは本当に解っているのかな? ちょっと試してみようか? 「そんなら9を2進法で 表したらどうなるんだい?」 ・ さあ、グランマは大慌て! 何しろ森が話してくれた10進法の 10を2に入れ替えただけで その先のことなど 考えてもみなかったので 森の風に応援を頼みました。 ・ あふあふ笑いながら 森の風はこう云ったのです。 |
吊るし柿 <吊るし柿日和>と名付けてもいいような日が、11月にはある。 空は何処までも青く澄み、冠雪を戴いた富士山が美しく、ほんの僅かに風を感じる。 朝の気温がぐっと下がり、空気が澄んでいる分だけ乾いている。 そんな日は、テラスの日溜まりの中で、太陽の色をした大きな百匁柿を丁寧に剥いて行く。 ・ 次から次へ裸になった艶やかな柿たちが並ぶと、まるで太陽の子どもたちのようにピカピカだ。 5個ずつ紐に結わえられ、軒下に干されると、見事な今年の吊るし柿簾が完成。 これから真冬になるまで窓辺を彩りながら、 太陽の恵みを浴びて極上の甘~い干し柿ができるのだ。 |
慌てることないさ! 9の中に21=2や22=4、23=8が 在るのか、無いのか 調べるだけ。 ・ ほら9の中には8が棲んでるだろ つまり4桁目は住人有の1。 そいつが棲んでるので9の残りは 1しか居ない。 となると1は1桁目にしか棲めないから 1桁目は住人有の1。 2、3桁目は空き家になるから0。 ・ さあ、グランマの頭の中に 爽やかな風が吹き抜け すっかり少女になって心の中で 叫びました。 ≪解ったわ!1001でしょ≫ ・ えへん、少女になってしまった グランマは在りもしない威厳を込めて 柿に告げたのです。 ≪そんなの簡単よ。1001よ。 どう、左右対称で美しいでしょう≫ |
ピラーで剥いて さてところで111を10進法で 表すといくつかな? そう、ラッキー7だ! ラッキー7と云うと野球が語源と 云われてるが実は 存在の起源を意味しているのさ! ・ だからこそ人々は7に 幸があると 本能的に悟っているんだよ |
5個ずつつなげて |
柿とグランマの会話を聴いていた チベットの密教仮面が 厳かに、しかしどことなく親しみを 込めた笑みを浮かべ 恰も知の森の総元締めの様な顔して のたまうのでした。 ・ 時間の1で世界は動き出し 宇宙の1で星が生まれ 生命の1で、森羅万象が存在する。 つまり111こそが 存在のキーワードなのさ。 |
剥かれて眩しい百目柿 |
まあまあ、チベットの密教仮面も偶には気の利いた面白いことを云うんだね。 密教仮面の鋭い洞察(?)はさておいて、 さて此処に吊るされた君達、干柿の数なんだが、コンピュータは≪丁度1バイトです≫と云うんだ。 さて10進法で表したら幾つだろう? 氷晶で編んだ笠雲なんか被って、それまでつーんと澄まして聞いていた雪富士が 突然しゃしゃり出てきて、そんなこと言い出したんだよ。 ・ あー、その前に1バイトが8ビットで、ビット数が2の指数だと教えておかないと解らんね。 えっ!指数がわからんて!、ほら2の上に乗った累乗を示す数さ。 例えば、25の5のことさ。 ところで君達、ビットって聞いたことあるだろ? そう、コンピューターの最少単位で、1ビットは0と1、つまり在るか無いかの2つ。 |
さあ、雪富士と、どっちが綺麗! ほら、ソフトをダウンロードしたり、画像を取り込んだりすると必ず出て来るあのビットやバイトさ。 ビット(bit)は破片、バイト(bite)は噛むと云う意味で、 破片を1噛みすると桁が上がって、バイトになると云うコンピューターの 最小単位と基本単位を意味する造語さ。 ・ 我こそが一番輝いていると、言い争っていたピカピカの柿どもは一瞬押し黙り互いに顔を見合わせました。 そのどの顔にも≪くそー雪富士なんかに嘗められて堪るもんか!≫と しっかり描いてあるではありませんか。 グランマを試した柿達が、今度は雪富士に問われたもんですから、 如何にも解ったような振りを装っていた柿達が、如何に慌てふためいたか、想像できるでしょう。 さてさて面白くなってきましたぜ! |
山荘晩秋の風物詩・柿簾 と、どうでしょう その汗の一滴が突然輝きだし叫んだのです。 ≪256個だ! 8ビットは28だから 2×2×2×2×2×2×2×2=256さ≫ まー、その汗の美しく爽やかなこと! 新しい星の誕生ですね。 |
たらーり、たらーり、 使ったことのない脳みそなんか使って 必死に考えたもんですから 脂汗とも冷や汗ともつかぬ汗を、 柿達は流しました。 (あれ、柿に脳みそなんてあったっけ!) |
柿の蜜が滴り落ちて星が生まれた! |
ちょっと明日から読書&DVを兼ねてタヒチへ出張です! 持参本:「ノア・ノア」ゴーギャン著、「月と6ペンス」モーム著、「ふたりのゴッホ」伊勢英子著、「ゴーギャンの世界」福永武彦著、 「ポール・ゴーガン」インゴ・F・ヴァルター著、「ゴーガン」高橋明也著、「ゴーギャン、夢と現実のはざまで」伊藤寛純編集 |
ゴッホの耳を切断したのは ゴーギャンか? 一瞬にして Y=a/X の2本の漸近線が 鮮やかに浮かび上がった。 y軸にゴッホが現れ 37歳の死を超えて尚 幻像として世界を徘徊する。 ・ x軸では砒素を呑んだ ゴーギャンが54歳の彼方へと 飛翔する幻像と化し 美の極限を追っていく。 ・ そうか、ゴッホとゴーギャンは、 我が心象風景の中で アルル、耳の切断 をキーワードとして Y=a/X の 漸近線として描かれていたのか! ・ a=37×54=1998とする 双曲線上にG&Gの 最後の作品が 死をカンバスとして描かれる。 |
地中海を南に侍らせる 南仏アルルでゴッホとゴーギャンは 共同生活を試みたが 2人の強烈な個性は 美と死を挟む2本の Y=a/Xの漸近線となり 原点で交差した後 限りなく無限の彼方へと乖離する。 ・ 作品を生み出す毎に 美の神髄へと近づいていくかに 観えるが、決して 手にすることの出来ない美の神髄。 ・ アルルを原点として点対称を成す 美と死の双曲線は 際限もなくゴッホとゴーギャンに 迫り、生命を吸い取る。 ・ 迫る双曲線に恐れ戦き ゴッホは自ら 左耳を切断し、ゴーギャンと 馴染にしていた娼婦・レイチェルに 不毛な性愛の証として 与えたと思っていたが・・・・・。 |
ゴーギャン自画像 (Eugène Henri Paul Gauguin ) 1903年5月8日没 54歳 |
近年の研究で ゴッホの耳を切り落としたのは ゴーギャンとの説が浮上。 (ゴッホとゴーギャンが娼婦・レイチェルを巡って 口論となり、激昂したゴーギャンが 剃刀を手に取りゴッホの耳を 切り落としたとする新説が唱えられている。 ) ・ 1897年、貧困と絶望のなかで、 遺書代わりに描いた大作 『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』 を仕上げ ゴーギャンは自殺を試みるが未遂。 ・ 一方、精神を病みながら ゴッホは37歳の若さで不可解な 銃による死を迎える。 銃を撃った場所、経緯などは 明らかになっていないが 自殺とみられている。 ・ 死して尚、2本の漸近線は 再び交わることなく 永劫の乖離を続けるのであろう。 漸近線の1本の軌跡が タヒチで観られるかもとの幻想に憑かれ、 ふとタヒチに行ってみようと! |
ゴッホ自画像 (Vincent Willem van Gogh) 1890年7月29日没 37歳 |
先ずランギロア環礁でダイビングし その後タヒチ島に飛ぶ。 レンタカーでゴーギャンの過ごした パペーテから 13歳の少女テフラと ゴーギャンが同棲していた 「理想の楽園」・マタイエア村を訪ね、 美と死が描いた 2本の漸近線を追ってみよう。 |
そんな訳で 11月下旬から12月6日前後まで タヒチに行くことになり 12月の陶芸活動は7日でなく14日に 延期します。 ・ 次回は釉薬を掛け本焼予定。 しかしその前に溜まっている作品を まとめて先に焼いてしまうかな? |