仙人日記
 
 その108の12014年  神無月
11月1週・・果たして、まぶ君は生きれるのか?
≪うーん、いいなー!≫
と云ったきり
仙人はすっかり
固まって
石になってしまったのさ。

なにしろ
燦然と煌めくルビーが
森の梢から
無数に降ってくるんだ。

 で、ちょっと森の上に
目をやると
どうだい、雪の富士山だぜ!

それも
恥らう様な薔薇色に
染まって、大きな笠を被り
まるで神々しいね。
燦爛たる錦秋の宝石
11月3日(月)晴 山荘前庭


紅い光の宝石や
薔薇に染まる新雪が
色覚を司る錐体細胞に滲む。
浸み出した紅は
脳に達し記憶の宝庫に迫る。

大脳辺縁系の一部である、
海馬体が
遥かに遠い46億年前の
記憶の扉を開く。

熱核融合反応によって
生み出された
ガンマ線が太陽を真紅に
輝かせ
漆黒の宇宙へ旅立つ。

あー若しかすると
その46億年前の記憶が
真っ赤な血液となって
今、仙人の
肉体を駆け巡っているの
だろうかね! 
 薔薇笠雲の夜明け
11月3日(月)晴 前庭から



前庭をる森の宝石

夜明けの光をびて
雨あがるの朝
11月3日(月)晴 前庭から

2日もグズグズ、降ったり
止んだりしていた
重い空が、雨を一気に払って
目に染みる碧い空と
眩い太陽を届けてくれた。

待ってましたとばかり
前庭の山法師が
紅く燃え上がり、竜胆が
紫の光を放つ。

あれ、蝶だ!
先日の山荘最低気温は2.5℃。
もう蝶が飛ぶには寒すぎる。
翅の後が敗れ
よろよろと辛うじて飛んでいる。

地面に舞い降り
動かなくなってしまった褄黒豹紋。
翅を拡げ温めようと
太陽に翳すが、動けない。

もう君の季節は
終わってしまったんだよ!
 

の破れた褄黒豹紋 

芒原野からの

太陽の詰まった草の実


雨なのに何でやねん!

お馴染みの
まぶ君でーす

のぶ君プロフィール
歳:50

家族:妻、息子1(23)、娘(21)、息子2(20)
犬(ウエストハイランドテリア 親(8歳) 娘(6歳))

趣味:ゴルフ (ハーフ2時間ぐらいです)

ランニング (太らないためのカロリー消化 週30キロぐらい嫌々走ります)

山登り(今年の夏から始め八ヶ岳、三つ峠、白馬いってました)

山登りを初めての感想・・ 危険な山は登らない、冬はやらない。

疲れは残るが、カロリー消化は少ない。
山から帰るといつも体重が増えてます。

きれいな女性が
何を求めて一人で山登りするのか理由をききたい。



ピッカピカの
のぶ君でーす
さて朝のお散歩しましょうか
11月2日(日)曇 小倉山からの扇山

仙人の新たな弟子がやって来た。新人の名はのぶ君。
勿論、のぶ君は弟子入りするなんてこと、ちっともご存じない。
山荘に来て、山に登ったり陶芸したり、大地と格闘して野菜や果物を作ったりして
仙人に扱き使われると知っていれば、決して来なかったのだ。

山荘活動の余りの過酷さに耐えきれず、例によってまぶ君は考えたに違いない。
「どうして俺一人が、こんなにも苦しい目に逢わねばならぬのだ。
そうだ、旨いこと云って騙くらかして、犠牲者をもっと増やせば、苦しみは減らせるに違いない」
逸早くまぶ君の陰謀を見抜いた、お利口なまさ君なんぞ
「こりゃヤバイ、君子危うきに近寄らず」とばかり、ドタキャンで魔の弟子入りを逃れたのである。

さて新弟子、のぶ君は泣かずに過酷な労働に耐えられるのでしょうか?


起床6時、筋トレ、ストレッチ後出発
≪晴れてれば
夜明けと共に起床だが明日も
朝から雨模様だし
よし、明日の起床は6時だ≫

さて彼らは時間にルーズか
はたまたいい加減か?
6時5分前に筋トレ、ストレッチを
終えて居間で待っていると
6時10分に現れた。
そうか、布団を畳む時間を10分と
読んだのか。
≪よーしサバゲに出発じゃ!≫

散歩開始、山荘6:22

朝霧の座禅までは
ルンルン

にょっきり頭を出した山荘の
 小倉山頂から
 

小倉山のログ四阿で
のぶ君とブチ君

のぶ君は雨予報に備え
防水着を用意し
登山靴に身を固め
やる気満々。

まぶ君は
「あのー先生、
雨具なんかあったら
貸してもらえませんか?」
と極めて消極的。

よーしそんなら
ゴアテックスの上下と
ゴム手袋を
貸してやるから
それを着て中畑に集合。

こうして雨の中
薩摩芋掘りは始まった。
さて、
2人の健闘ぶりは?

芋掘り後に
美味しい山荘ビアを
呑んでも
ぶち君は一向に
沈んだまま。
どうも覇気がない。
生きることに唯、佇み
今こうして
生きていることに
何らの歓びも
見い出せぬ状態なのかも?

ほなら、
ぬるま湯の都会生活に
サバイバル刺激を与えて
生きていることの
素晴らしさを
ほんのちょっぴりだけ
味あわせてやろう!

小倉山の頂で宣告。
≪ぶち君はここから
未知の南尾根を
水晶峠まで下り山荘へ
独力で帰ること。
のぶ君は今来た北尾根を
一人で戻ること≫

待てど暮らせど
来ぬ人は竹久夢二の
永遠の恋人・彦乃さん
ではなく
ぶち君でした。

先ずは葉っぱをくぞ!
いいか、石垣沿いに
アスパラガスの芽が出ている。
こいつを踏んずけたり
倒したりしないよう充分留意し
先ず、薩摩芋の葉を取る。

次に根っこをるんじゃ!
 だが、総て抜いてしまうと
芋の在りかが解らなくなってしまう。
そこで根本をよく見極めて
その茎の部分だけ残すこと。

こうしておいて
葉を片付けててから
この部分を移植スコップで掘ると
芋が出てくるんだ。

やったー念願のだぞ! 
 そうそう、この大量の芋の葉は
葡萄畑の石垣下に
運ぶこと。

これだけ多くの葉が真夏の
太陽を吸い込んで
大地に眠る芋の根に送り
大きな芋に育てるんだな、なんぞと
感じてくれたら嬉しいのだが。

採った葉っぱをぶぞ!

チームワークが

何度やっても雨の畑はいぜ!


 先ず土をって、何を作ろうか?

初めての陶芸体験なので、のぶ君は先ずは荒練り、菊練りの基本から。
≪ほら観てごらん、菊の紋様のような、アンモナイトの様な
綺麗な渦巻きが出来るだろう。
こう練ると土の空気が抜けて、粘土が均質になって焼いた時に爆発や
変形、焼き斑が生じないんだ≫



空気が粘土に混じっていると
焼いた時に土中の空気が膨張して
爆発し作品が
バラバラに破壊されてしまう。

そうするとその作品が
壊れるだけでなく、その破片が
飛び散り
他の作品の釉薬に付いたり
破壊したりして
被害は窯全体に及ぶんだ。

コンパスで何やら
だから何と云っても
陶芸の基本は、練って練って
練り続けること。
汗びっしょりになる位練っていると
やがて、土と手が馴染んでくる。

土の感触が心地よくなってきて、
僅かに土の状態、
柔軟さ、湿り具合、粒子の粗さ
なんぞが伝わってくる。
そこまで練れればOK!。

失敗したので挑戦!

あたしちっともくならないわ!

僕、うんこ作りの人!



広島風おみ焼き(のぶ作)もう出ないの?

≪山荘に来たる者は、
畑仕事、山登り散策、作陶活動だけでなく
必ず調理を分担すること。
と申し渡してある。

さて新人のぶ君の調理の腕前は如何に?
初日の晩餐に出てきたのは
広島風お好み焼き。
うーん、初めて食べたような気がするが
がっつりエネルギーが詰まっていて
これ食べたら元気ばりばり。

畑で採れたての人参をたっぷり入れて
人参パンを10人分焼いて
時間のかかるモツ煮込みやシシャモの南蛮漬けを
作って、そうそう畑のじゃが芋で
海老を入れたポテトサラダも調理してやろう。

採れたての人参、胡瓜、大根、セロリをスティックにして
生ハムで巻いたのも新酒ワインには合うかな!

の後の乾杯! 

美味い!サバゲの朝食

シシャモ南漬、モツ煮込み、豚角煮
実は調理の他にもう1つ
重要な課題が山荘活動には
課せられている。

≪汗を迸らせる活動≫を
理想として山荘活動は
プログラムされるが
この汗は
肉体を対象にするだけではない。
山荘活動を
通して感性が
創り出す
自らの心象風景を
描く為にも、
全力疾走して
汗を迸らせ
ようではないか!

さあ、それじゃお土産掘った薩摩芋、レタス、大根、白菜、でも! 
その心象風景を
山荘活動のHPに
1週間以内に
載せて
山荘での1つの活動を
締めくくろう。
そう呼びかけてきた。
活動を通して
描かれた心象風景が
参加者の生の在り様を
雄弁に語るようになれば
云う事なし。

でと、ぶち君は何を描いたかな?
ありゃ、たったの一行。
小2のみさきちゃんだってもっと
しっかり書いているのに
1週間もかけて1行しか書けないとは!

やっぱりサバイバル刺激は
何の役にも
立たなかったのかな。

果たしてまぶ君は
山荘活動に今後生き残れる
のだろうか?

カプレーゼ(まぶ作)
モッツァレラチーズと
サラダ

待てど暮らせどぬ人を待つ食卓
サバゲで遅れたブチ君



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