その102ー2014年 皐月 |
≪C≫ |
耳を澄ましてごらん!ほら森から何か聞こえてくるよ。 5月5日(月) 山荘前庭の石卓 ≪皆さんようこそ! 森でキャンプファイアーするんだって! それじゃ特別に虹鱒を小川に放してあげよう。上手く捕まえられたら、 そいつをキャンプファイアーの火で焼いて、今夜のご馳走したらどうだい? 午後1時に座禅草公園においで、待ってるよ! うーん、解ってはいると思うけど勿論、虹鱒を捕まえられるのは妖精たちだけだよ≫ |
あーそうそう、 この声が聞こえるのは 妖精たちだけなんだよ。 目をよーく観てごらんよ。 |
座禅草公園で釣り糸を垂れる恵太 |
大人たちはみーんな、 そんな声聞こえないもんだから 唯ニコニコしてカメラを見てるけど 妖精たちのなんと真剣な瞳。 |
さあ、掴み取りだ! |
一番大きな5年生の 亮哉君だけ目を閉じて 少し笑っているだろ。 もう大きくなりすぎて 妖精の感性を 失いつつあるから、 森の声がちょっとしか 聞こえないんだ。 ・ だもんだから、 「あれ、何か聞こえるような 気がするけど 森がそんな事 喋る訳ないかな?」 なんぞと少し疑問を抱いて、 大人のように 微笑んでいるに 違いありません。 |
追い詰めてゲット! |
まあ、僕は釣り専門さ |
亮哉が早速1匹ゲット |
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あー葉っぱの目が 気になるって? 葉っぱが目を閉じているのは、 妖精たちの真剣な表情から 特殊の勘を働かせて 「ふーん、こりゃ何かあるわ。 |
妖精ジュニアはこっち! |
こんな時は目を閉じれば リッキーの心に 入り込めるから、 ちょっと盗聴してやろうかしら!」 と不埒(ふらち)にも リッキーに 乗り移ろうとしているのです。 |
綾は逃げて泉咲一人挑戦 |
こいつを焼いて喰うんだ! |
泉咲は6匹もゲット! |
またさんそうにいきたいです みさき(7さい、2年生)
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森の声は本当だったね! |
焼肉も無料なの? |
そんな事云って森の奴、 きっと地元業者の手先なのよ。 後で虹鱒代金頂きますなんて 云って 妖精たちから虎の子を 巻き上げるんだわ! ・ と、リッキーに入り込んで 森の声を聴いていた 元妖精の葉っぱは 固く信じていたのです。 |
処がどうでしょう。 捕まえた魚代どころか その後の飲食代まで 只なので葉っぱは吃驚! 「あら、塩山てお金持ちね!」 ・ リッキーはむくれて 「違うよ、これは森がお友達になった 記しにくれたんだよ。 ほら、森が最後に僕に くれたのはカブト虫の幼虫だよ。 これ、森の宝物なんだ」 |
飲み物だって只よ |
大きなウインナーもだって! |
防獣柵を抜けて 撮影:葉子 |
ちょっと森へ テントを張り終えてから 葡萄畑を横切って 読書の丘を少し登って 森をずんずん 歩いて土竜の赤ちゃんに 出逢いました。 真っ黒くろ介みたいで とっても可愛いいんですよ。 |
散歩早くも断念の2人 撮影:葉子 |
4歳のリッキーは元気一杯! 撮影:葉子 |
土竜(もぐら)の赤ちゃん発見 |
あたし一番! 撮影:葉子 |
≪D≫ |
コンロの炭に着火 撮影:葉子 |
野菜と鶏丸ごと 撮影:葉子 |
あれれ、キッチンは あっちなのに 陶芸窯の前にコンロなんか 持ち出して 大昔の妖精たちは一体 此処で何を始めるつもりなの? |
そうか、解ったぞ! 大昔の妖精だった頃の勘が甦って 陶芸窯の奥の暗闇に忍ぶ 何かの気配を感じたんだな。 ・ 此処で美味しそうな匂いを 漂わせれば その暗闇に潜む奴が きっと出て来るに違いない。 |
こんなもんかな? 撮影:葉子 |
玉葱もよし! |
調理鋏でちょん切って! |
丸鶏のDutchオーブン料理完成 |
さてさて出て来るでしょうかね? 若し出てきても 果たして見えるのでしょうか。 水晶体が ほんの少しでも濁っていると 彼らは見えないからね。 |
出た!真っ黒くろ介だ! いい匂いがするぜ! 轆轤室の作品棚 それどころか、奥庭で咲き出した牡丹の 大きな花弁からも ほら、ほら、未だ真昼間だと云うのに 真っ黒くろ介が・・・。 ・ もう夜が待ちきれなくて 真っ黒くろ介が次々と出て来るでは。 そうか真っ黒くろ介は 仙人のお友達なんだな! |
えっ!轆轤室にあった あのトトロの壺に真っ黒くろ介が 乗っていたなんて! ・ 妖精たちには見えていたのです。 陶芸窯のある奥庭から 丸鶏の焼き上がるいい匂いが流れて来ると トトロの壺からソロリ、そろりと 出てきたのは真っ黒くろ介。 ・ 妖精たちには見えていたんです。 |
牡丹からもぞろぞろ出たぞ! 僕も食べたい! 奥庭で咲き出した牡丹 |
さあ、たくさんお食べ! 5月5日(月) テラス 空がコバルトの絵の具で、すっかり塗り潰されると 周りの山々が、まるで真っ黒くろ介になっちゃって、ほら金色に光るめんたまが、 あっちでもこっちでもピカリピカリ。 リッキー数えてごらんよ! 一体、まっ黒くろ介は何匹居るんだい。 ・ くろ介ったら、あんまりいい匂いだもんだから 真っ黒なお鍋にまで張り付いて ちゃっかし妖精たちの仲間入りして、澄ました顔してるね。 |
宴のBGMは生演奏でね |
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それじゃ連弾といくか! |
あーお兄ちゃんたら感動して泣きそう! 実はね、もう大人たちたっらビールなんて呑んじゃって 妖精たちの名演奏なんかそっちのけ! だもんだから、まっ黒くろ介やお友達になった森の木々が気を利かせて、ほら わざわざ音符まで流したりチベットのお姉さんまで駆り出してみたり・・・。 |
わー演奏お礼の特大ケーキだ! |
みさきの演奏そんなに素敵だった? |
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頷くのはケーキだけ? |
みさきがVサインをした途端、真っ黒くろ介は驚いて天井に飛び上りました。 ≪真っ黒くろ介出ておいで! 出ないと目玉をほじくるぞ!≫ サツキの歌声がみさきのVサインから響き渡り、みさきの指がめん玉を狙っていると思い、 真っ黒くろ介は吃驚仰天! ・ どうも昼間から出てきたり真っ黒くろ介の動きがおかしいと思っていたけど みさきがあんましサツキに似ているので、さては真っ黒くろ介め、みさきをサツキだと勘違いしたな。 安心をし、みさきはサツキのようにお前のめん玉なんぞほじくりはしないよ。 |
≪E≫ |
スカンポだ! |
「明日は5時起床! 5時半に水晶山へ出発するぞ」 そんなこと云ったって なにしろ都会で育った軟弱なモヤシ妖精。 起きられる筈がない。 ・ 5時に起き、居間で仙人がストレッチと 筋トレの腹筋100回を始めたら な、な、何と元気な恵太の声。 「おはようございます!」 ほー、さすがに恵太は修行が出来てる。 モヤシに葉っぱが生えたな! |
どうじゃ大物水晶だぞ! |
「亮哉はどうした?」 「起きたみたいだけど テントで又寝てしまったようです」 ・ あー水晶は 観ていたんですね。 「確か、亮哉の趣味&関心ごと 得意技or芸などは DSゲーム 折り紙・絵・早起きだった筈。 未だ起きてこないとは 何事だ!」と 水晶が呟いたんです。 |
水晶に切られ出血 |
でも10分遅れの5時40分には 亮哉も加わって 水晶山へ出発したのです。 たった10分の遅れですよ。 ・ でも水晶の奴 意地悪して亮哉を脅したのです。 「そりゃ、こっちの水晶は大きいぞ!」 とか何とか云って 亮哉をおびき寄せ、いきなり 鋭い岩角で亮哉の指に 噛み付いたのです。 |
随分採れたぜ! |
これ透明度高いぜ |
血が出たもんだから 亮哉は驚き慌てふためき 「ぼく、もう帰る」 と水晶山を下り始めたのです。 ・ さて、道なき道を一人で帰すと 途中で熊や猪に 襲われるかも知れません。 そこで恵太に 仙人は訊いてみたのです。 |
割ると綺麗なのが |
「恵太どうする? 亮哉を一人で帰すと 水晶どころか熊や猪が加わって ヤバイことになるかも」 ・ さあ、恵太の逡巡たら それはそれは見ものでした。 もっと大きくて美しい水晶が この上で僕を待っているかも? アメジストだって見つかるかも? |
ママもお手伝い? |
なんぞと思っていたのか それとも此処で おめおめと引き下がっては 「ふん、恵太はそんな 弱虫だったのか」と仙人に 思われてしまうかも知れない。 なんぞと想いは 千々に乱れていたのでしょうか? 1分、2分、3分経っても 返事は返って来ませんでした。 |
一人になっても黙々と |
お仕事の後に食べる朝食は最高! |
芽が出たばかりの蕪、小松菜、大根に |
水晶山を登ってから 小倉山の頂で 綾や泉咲ちゃんと合流する 予定でしたが 結局、恵太は亮哉と下ることを 決意し遠ーい山荘まで 重い水晶を持って なんとか帰り着きました。 ・ 凄いのは綾と泉咲ちゃん。 小倉山のてっぺんまで 登ったのです。 負けたね亮哉も恵太も。 |
南瓜や生姜にも |
これアスパラね! |
クレソンをお土産に |
レタスさんにもね |
さあもう、お友達になった森や 真っ黒くろ介とも お別れです 真っ黒くろ介の正体が≪煤渡り≫なのは知っているだろ。 遠ーい遠-い昔、生命が燃え盛る太陽から生み出されたように、真っ黒くろ介も 炎から生み出されるんだよ。 夕べ森の中で燃やした木々からも、きっと沢山の≪すすわたり≫が生まれたんだろうね。 どうしたら逢えるのかな、その真っ黒くろ介達に! ・ あれっ!そうか、カメラの前に飛び込んできたこの子供達が真っ黒くろ介なんだ。 真っ黒くろ介は妖精たちの黒い瞳に吸い込まれて、 ≪ふんふん、此処は中々棲み心地が良いわい≫なーんて云ってるのかもね。 |
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