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その107の4ー2014年 神無月 |
トロヤ群の小さな巌塊に立つ仙人 こすもすに還る日は来たりぬ 10月18日(土)晴 大菩薩嶺雷岩 天空をあてどもなく彷徨う小さな巌塊に立ち、太陽を見上げ、未だ見えぬ木星に目を凝らす。 太陽と見えぬ木星を7.8億kmの直線で結び その直線を1辺とする壮大な正三角形を天空に描いてみる。 太陽を基点として7.8億kmの1辺を、太陽と木星を含む同一平面上に、ゆるゆると延ばし、 もう1辺を同様にして、木星を基点に描く。 ・ 7.8億kmの壮大な2辺の先端が、雲海の彼方から徐に現れ、 やがて2点は合体し、トロヤ群の小さな巌塊を成し、木星を先導するかのように軌道を巡り始めた。 そう、その正三角形の頂点はラグランジュ点と呼ばれる、 天体力学における円制限三体問題の 5 つの平衡解の1つである。 ・ その4つ目の頂点L4こそ、太陽と木星の重力によって生み出された5つの奇跡の揺籃の1つ。 山荘のテーマを木星と定めた瞬間から、この壮大な正三角形の頂点に、 トロヤ群(周期約12年)と呼ばれる小惑星群が城郭をなし、アキレスを眠らせているのを 仙人は知っていたのだろうか! |
さて壊れたアキレス腱は動くかな? 月と地球の重力バランスポイントである 5つのラグランジュ点とヒマラヤを 酒のつまみにして、 陽介君と近未来のオデッセイについて 語り合ったのは3年前。 月と地球を結ぶ直線を1辺とする正三角形の 頂点に存在するL4,L5を拠点にしての セーリングと月登山の実現性について 熱く語った≫ ・ と云うことは、当然月植民地建設後の 太陽ー木星系のラグランジュ点を 視野に入れた自らの永劫の回帰点を 思い描いていたに違いない。 |
お気に入りルートで遊ぶ700歳 10月18日(土)晴 大菩薩嶺雷岩 知っていたに違いない。 木星をテーマにした山荘が建設されてから 出版された「チベット未踏無名峰へ」の 巻頭言には、こう書かれているでは! ・ ≪宇宙との接点であるヒマラヤ高峰の山巓を超えて、 宇宙そのものへのオデッセイを思考し、 栗田陽介氏は宇宙飛行士の 途を歩み始めた。 |
問題の左アキレス腱をそっと上げる |
あの深みへの旅を始めよう 10月18日(土)晴 大菩薩嶺雷岩 宇宙では総てが、物凄い速度で飛び交っている。 1つの巌塊を停止していると認識させるには、認識者はその巌塊と同速度で同方向に飛ばねばならない。 2つの物体であれば、それで停止状態を認識できるが 3つの物体間で、互いに動かぬと認識出来る状態を、作りだすことは大変難しい。 天体力学における円制限三体問題の 5 つの平衡解は、 1772年にジョゼフ=ルイ・ラグランジュ(仏国人:数学者、天文学者)によって示された。 トロヤ点は見つけられたのである。 ・ 太陽と最大惑星である木星の位置関係が固定されたトロヤ群は、太陽系の永劫の不動墓標であり 不動であるが故に、宇宙への出発点ともなるターミナルでもある。 来世の太陽系知的存在は此処を揺籃の地とし、肉体を捨て此処に眠るのであろう。 この巌塊こそ回帰すべき聖地であり、新たなる旅を夢見ることを可能にする5 つの平衡解のうちの1つなのだ。 ・ 700歳になった仙人は、 雷岩の巌塊上に立ち、そんな誇大妄想に唯ひたすら耽るのであった。 さて、ほんではその仙人の老いぼれた脳に描かれた 誇大妄想を、ちょっくら覗いてみようか! |
あれ、 木星模様を じーっと 見つめていたら 木星の 巨大な赤い眼が 浮かんできたぞ! ・ ふーん、 きっとお腹に 潜んでいた木星が アキレスに 魅かれて滲み 出てきたんだ! |
大好きな木星模様のカーディガンを着て |
仙人は若しかすると 60兆個の細胞 総てが 木星の対流細胞 (convection cell) なんだ! ・ そいつが内部から 湧き上がって来て 巨大赤色斑を 描くんだな。 ・ やっぱり そうだったのか! |
三世に立つ |
小惑星は木星の摂動によって、 いくつかの群をなして運動する。 各群はその公転周期にしたがって 分類される。 ・ 群の中で特に注目されるのが、 トロヤ群(周期約12年)と 呼ばれる小惑星群であり、 これは太陽と木星との間を 一辺とする正三角形の一頂点、 すなわち両天体の系での ラグランジュ点に 位置することが知られている。 ・ なお、トロヤ群の名は、 この群で最初に発見された 小惑星 (588) アキレス (Achilles) にちなむ。 ← |
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太陽-木星系の ラグランジュ点とは、 木星 の トロヤ群 への重力、 太陽の トロヤ群 への重力、 トロヤ群の重心系から見た 遠心力の 3 つが 釣り合っている点の事である。 ・ 2 体に比べて質量が 無視できるほど小さな第三の物体を ある速度を与えて この軌道面内に置くと、 最初の 2 体との相対位置を 変えずに回り続けられるような 位置が 5 つ存在する。 → |
2 体の共通重心を中心として これらと同じ周期で回転する座標系から見ると、 ラグランジュ点では 2 体が作る重力場が 遠心力と釣り合っている。 このために第 3 の物体は 2 体に対して不動のままでいることができる。 各点は L1, L2, L3, L4, L5 と呼ばれる。 ・ L4 と L5 は、 正三角形解または トロヤ点などと呼ばれ、 2 体の位置を底辺とする 正三角形の 3 番目の頂点の 位置にあり、従星が主星の周りを 公転する軌道上で従星に先行(L4) あるいは追従(L5)する。 |
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L4 と L5 のは軌道長半径は 主星‐従星間距離よりわずかに短く、 従星の軌道長半径よりわずかに長い。 公転の中心は 主星‐従星系の共通重心にあり、 主星の重力と従星の重力の合力が 共通重心への向心力として働く点が、 三角解点である。 ・ 太陽質量は木星の105倍。 つまり太陽-木星間の距離を 105:1に内分した点に 太陽・木星系の重心がある。 ・ 太陽-木星は7.8億kmなので 重心は太陽中心から74万km 離れていることになる。 太陽の半径は70万kmなので 重心は太陽表面(光球)の外にある。 (Wikipediaを編集) |
紅葉の森に身を委ねて 特に姫ノ湯沢左股から 右股へのルートは笹に覆われ、 ほぼ消えてしまいマークが必要。 ここ数回、続けて雷岩への ルートファインディングに失敗してるので、 今度こそと目を皿のようにして 谷を詰めたが結果として、 今回も雷岩の左の谷に入ってしまい失敗。 うーん、4回も続けて迷うなんて悔しい。 この未熟者め! |
ジャンダルム以来の 岩肌を愉しむ 朝トレ出来なかったので 昼から大菩薩嶺に初秋を観に行った。 お気に入りの岩場ルートである 富士見新道は 案内板から完全に削除され、 踏跡も極めて不明瞭。 |
果てしなき高みへの旅 |
いろは紅葉 |
大紅葉 |
染まり始めた2千m稜線 大菩薩唐松尾根 初秋の森 |
大菩薩嶺データ 山荘発12:20→北岸駐発12:55→ 富士見新道から雷岩→ 2千m稜線14:50→ 唐松尾根→北岸駐15:40→ 山荘着14:20着(往復32km) 行動時間2:45 15541歩、10km878m, 480Kcal (朝からの活動の計) |
瓜肌楓かな? |
小羽団扇楓(こばうちわかえで) |
北岸駐車場から福ちゃん荘テント場へ なになに、十代将軍徳川家治の時代で 側用人・老中をつとめた田沼意次が 幕府の政治改革を行い、賄賂政治が横行したって! ・ 中学生の時に覚えさせられた当時の流行り歌が 深遠な忘却の彼方から不意に現れ 仙人は口ずさみながら山を登りましたとさ。 「田沼様には及びもないが、せめてなりたや公方様」 ・ そんな時代に トロヤ点を追う数学者・ラグランジュの情熱は いったい何処から齎されたのであろうか? しみじみ感慨に耽る仙人でした。 |
何しろトロヤ群の中で、 ひっそりと眠り続けるアキレス腱を いきなり叩き起こして 標高2000メートルの岩場を登りだしたのだから 小惑星 ・588は吃驚したであろう。 ・ それにしてもラグランジュは凄い! マリー・アントワネットの数学教師でもあった ラグランジュは、242年も前に、 オイラーの直線解は一般の三体問題の場合にも 成り立つと示したのだ。 その結果、小惑星 ・588の居城は、トロヤ点であると 突き止められたのである。 えーと、その頃の日本は、どんな時代だったっけ? |
ルートの消えた姫の湯沢 |
大菩薩湖まで届け! 大好きな木星模様のカーディガンを着て、すっかり木星になった気分で トロヤ点に聳える巌塊に寝そべる仙人。 ・ やおら700歳の仙人は、傷んだ左アキレス腱を天空高く持ち上げたでは。 去来する時空に傷んだ脚で、何を描こうとしているんでしょうかね? もしかすると、この木星模様のカーディガンを編んで、プレゼントしてくれた太陽に お礼の絵手紙を描いているのかも知れませんね。 ・ 太陽と木星、 小惑星 (588)アキレス (Achilles) をめぐる壮麗な墓標と、旅立ちのドラマは、 どんな絵手紙になって深遠な天空に届けられるのでしょうか! |
チョコが柔らか過ぎだ! |
仙人への感謝を込めて |
あれ!この線どうする? |
仙人にお礼をしなくちゃ! なにしろもう700歳なんだから一度くらいは、ケーキを焼いてやってもいいかなと、ふと思いついた。 キッチンクローゼットを開くと、あった!「Cooking Book」。どれどれ36ページにクリスマスケーキの作り方があるな、 こいつでスポンジ生地を作って、 あとは生クリームを塗ってトッピングと文字書きすれば誕生日ケーキになるのでは。 ・ とまあ、いつものように甘く見て、作ったこともないケーキ作り開始。 最初の卵黄と卵白のホイップでギブアップ! 角が立つまで泡立て、固いメレンゲを作らねば、ふくらみが悪く固いスポンジになってしまうと書いてある。 そこで気合を入れて、しっかりホイップしたが幾ら掻き回しても、中々固くならず腕が痛くなる。 ロッククライミングより厳しいぜ!こりゃ前途多難じゃ! |
仙人700歳ケーキに添えられたカード 10月20日(月)晴曇 山荘主ケーキ作りに没頭 仙人様 未知なる年代へと進まれるのは、きっと新しい冒険の始まりでもあることでしょう。 700歳の幕開けに、高らかなファンファーレを盛り上げる為に 今年はパーカッションをプレゼントします。 ますます好奇心旺盛に、新しいフィールドを探してください。 心の翼を拡げ、どこまでも、どこまでも、世界を駆け巡ってください。 |
本当は未だ見習い仙人! |
しかし本物仙人になる日は近い |
はみ出したぜ! |
卵黄と卵白に分けて素早くホイップ 子供たちが栽培収穫したバニラ棒を 数十本買ったことがあったな。 確か山荘に持ってきて ラムやブランデー、ジンに漬けて 残りをグラニュー糖に入れて バニラ糖を作った記憶があるぞ。 |
素早く休息を入れず、連続して 唯ひたすら無心にホイップする、とある。 何か考えちゃいかんのか? さて、次にバニラとグラニュー糖を加えるとあるが・・・。 あー、そうだ、パプアニューギニアの 山奥に出かけた時に 学校を造るので協力して欲しいと頼まれ |
バニラ糖を加えメレンゲと卵黄を混ぜる |
差当り卵5個でどうだ |
ホイップで腕が痛くなるとは! |
あった、あった! 早速こいつを加えて更に ホイップし続ける。 漸く堅くなり始めたので 文字書き用のチョコを湯煎し 林檎畑下の栗を 拾ってきて、そうそう無花果も いいかな、と序に 無花果や柿も収穫して 中々、忙しいぜ! |
熟成中の山荘ワインが、 現在最高の美味さ! そのワインの最良の友として 待ち草臥れていたのが、 山荘の果物達。 ・ この果物達を たっぷり使ってやれば ワインも果物達も歓声を上げて 歓ぶに違いない。 |
文字書きのチョコ湯煎 |
栗もたっぷり入れようでは! |
コンベックで160℃、27分焼いて 焼きながら、急いで書斎に上がり PCで調べてみる。あった、あった! ≪コンベック→ガス高速オーブン単独運転の事です。 ガスを燃焼させファンが高速回転し、庫内を暖めます。 高温の対流が起こり、 臭いが移らないと言う特長もありますよ≫ そうか、それじゃこれでOK! どうです、生まれて初めて作ったスポンジ生地が ふっくらと焼き上がりました。 |
コンベックとは何だ! ケーキの型のことか?それとも焼き方か? 何度かレシピを読み直して 文面から判断しようと試みたが、解らん! うーん、解らんが160度、27分と 書いてあるから ガスオーブンをその値にセットして焼いちまおう! |
焼き上がったら半分に切ってワインを塗る |
ふわふわ遊具(第3会場) |
よっちゃばれ踊り(第2会場) |
桃ゆるきゃら |
じょいそーらん(第2会場) |
金の扇は豊饒の歓び? |
原始の律動・祀り なんだ、何だ! 山荘の眼下が騒がしいぞ。 |
山荘の森が いつものように 盆地からの上昇気流を受けて ざわっと戦(そよ)ぎ 風が運んだお喋りを 教えてくれるのです。 |
あれ、中学生か?(駅前通り) |
甲州葡萄太鼓とか?(中銀前) |
祭りを盛り上げる太鼓(第1会場) |
勇壮な移動大太鼓(路上) |
パーカッションだぜ! ほらあの誕生日ケーキに 添えられたカードだぜ。 あいつがね ひらひらと蝶になって 山荘から里に舞い降りて こう告げたのさ。 |
「どうだい、甲州葡萄太鼓は 中々いいけど そんなに巧いと 菅原淳が打楽器六重奏曲に 編曲した ≪組曲惑星の木星≫なんかも 叩けるのかね?」 ・ 実にあのカードは只もんじゃないね! そう云われちゃ 叩かない訳にはいかないと 知ってるんだものね。 |
薙刀を振りかざす(路上演技) |
甲斐風林火山(路上演技) |
ケーキカットした途端、雲と共に仙人は消えたとさ! 700歳のガラコンサート さあ、いよいよケーキカットです。 ケーキをパーカッションのドラムに見立て、ナイフを ドラムスティックにして、演奏開始。 曲目は勿論、グスターヴ・ホルスト作曲、菅原淳が打楽器六重奏曲に編曲した、 ≪組曲惑星の木星≫です! ・ ラグランジュ点の居城トロヤ群にある小惑星588・アキレスを訪ね、 生まれて初めての大きなケーキを焼き、 豊饒の歓びに満ちる秋祭りを堪能する仙人の様を、パーカッション六重奏が調べます。 ところがどうでしょう!ざっくり、ナイフがケーキを切り裂いた瞬間、 ≪組曲惑星の木星≫は雲となって漂い、仙人を呑込み 700年の星霜の彼方へと消えてしまったではありませんか! 小惑星588に還ってしまったのでしょうかね? |
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