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その103の4ー2014年水無月 |
そう、これなんだ! 心象風景に描かれている正真正銘の山荘は! でもそいつを心の中からどうやって取り出して、視覚化するか悩んだね。 その実現不能な難問を、いとも簡単にアンネの薔薇が実現しちまったもんだから驚いたぜ! アンネ薔薇がただ者ではないとは、薄々感じてはいたが まさか、山荘を天空の方舟・ゆぴてるにメタモルさせるとは、彼奴、時空の支配者なのか! |
宙に浮くテラスの薔薇 |
120年前までの記録にも無い観測史上初めての大雪や寒さに耐え やっと咲き出したアンネの薔薇を摘みとるだなんて そんな破廉恥で極悪非道なことは出来ません。 ・ アンネの苦しみや哀しみの総てを吸い取って様々な色彩を放ちながら 凛として咲く薔薇を切ってしまうなんて、とてもできません。 ・ ところがそれを大胆に幾つも切り取って大きな花器に活け テラスに飾った人がいるのです。 薔薇は直ぐ萎れ花弁は無残にハラハラと散り落ちてしまうに違いありません。 |
処がアンネ薔薇を活けた途端 テラスは天空の 遥かなる高みへとフワリ。 どうです、 山荘のあった森は 最早遥かな下方に沈み テラスのアンネ薔薇は より一層艶やかに輝きます。 ・ と、にっこり微笑み薔薇が 花弁を震わせ、喋ったのです。 「ようこそ、 天空の方舟・ゆぴてるへ! |
山法師とアンネ薔薇 |
テーブルの下に 再び天空が広がるのが そんなにも 不可解で珍しいのですか? ・ 考えて御覧なさい。 地球は上も下も天空に 挟まれて浮かんでいるでしょう。 ほらテラスと同じでしょう。 つまり山荘は 実は1つの星なのです」 |
大地が天空に断ち切られ漂う |
秘密の暴露 男は「破った本の紙片は捨てた」と供述し、供述通りの場所から紙片が 見つかったことから秘密の暴露と判断され、器物損壊容疑での逮捕。 (wikipediaより) ・ アンネの薔薇を手折ってテラスに飾っただけなのに 男は本人しか知らぬその秘密を暴露してしまったため 破り捨てた場所が特定され逮捕されてしまった。 ・ 逮捕された男は取調官の仙人にこう語ったという。 「テラスを吹き抜ける風があんまり美味しそうだったから 大きく口を開けて食べてみただけなのです」 |
アンネ薔薇の仕掛け人来る |
そりゃ、幼い子供が 語るなら 取調官だって嬉しくなって 「ほっほー、 風を食べるだって! 君は心底、詩人だねー」 と感心もするけれど。 ・ 36歳にもなって それも器物破損容疑で 逮捕されておきながら その言いぐさはないだろう。 |
そら!薔薇の魔力をご覧! |
富士山を弄ぶかの蔓薔薇 咲き始めた石段アーチの薔薇 咲き出した蔓薔薇が枝を差し伸べ、枝の指先で天空の雪富士を弄びながら、仙人に同調して喋るでは。 ・ 「いいかい、風を食べるだなんて人を喰った言い方で 器物破損罪がチャラにでもなると思ったら大間違いだぜ! そんな風に大口開けて、ワフワフと風を吸い込んだって、風を食べたことにならないと 36歳の大の男は知っているのさ。 ・ 充分に知った上でワフワフするなんて実に悪質だね。 畢竟その行為は虚偽と認識した上での、ネガティブな作為でしかないと云うことさ。 心神喪失状態を装ったって逃れられないぜ」 |
惑星の山巓に迫るペンキ屋 そうか、ノアの方舟は 木のタールで塗られていたのか。 そんなら 木のタールをたっぷり塗ってやろう。 ・ 仙人は刷毛にタールを含ませ ゴフェルの木で 造った方舟をせっせと塗り始めました。 |
方舟はゴフェルの木でつくられ、 三階建てで内部に 小部屋が多く設けられていた。 方舟の内と外は木のタールで塗られた。 (『創世記』における記述) |
塗り終わったら天空の宴じゃ! |
どうですか、天空に一直線に延びあがる緑の稜線。 その先に蒼く霞んで屹立する、ヒマラヤの様相を帯びた潔い岩峯。 両側が垂直に切れ落ちた鋭利な緑刃の上に、山荘のテラスは在ったんですね! 此処で仙人に木のタールを塗られ、方舟に仕上げられ 遥かなる時空の彼方へと、飛び立つんですね。 |
ログ屋根にもオイルステンを |
雷雲の来る前に終えねば |
面倒なラティス塗り |
積雲の大集合 二階テラス そうなのです。 ゴフェルの木と云うのは 山荘の前庭にある 大きなスカートを履いた様な あのジプレッセンの ことなのです。 ・ ジプレッセンて、ほら糸杉のことですよ。 宮沢賢治が「春と修羅」に 書いていた ZYPRESSEN 春のいちれつです。 |
おれはひとりの修羅なのだ (風景はなみだにゆすれ) 砕ける雲の眼路をかぎり れいろうの天の海には 聖玻璃の風が行き交ひ ZYPRESSEN 春のいちれつ (春と修羅より) |
おいらにも塗ってくれとジョン |
おー美しか! |
もうすぐ塗り終わるぜ! |
ツートンじゃ不味いか? |
山巓のログハウスに甦った小倉山標識 ゴフェルの木で造られた小倉山の方舟が、驚いたように叫びました。 ・ 「あれっ!そうなると 器物損壊容疑で逮捕されたあの男が食べていた風と云うのは 若しかして行き交う聖玻璃の風のことかい? 玻璃とは透き通った水晶のことだから、山荘前庭に在る大きな水晶もあの男と 絡んでいると云うことなのかい?」 |
方舟となって天空を漂う 「第二の理由かい? あのね、アンネはオランダで生まれた ユダヤ人なんだぜ。 それがどうして薔薇を描くのに 阿蘭陀語でもなくヘブライ語でもない 独逸語を使うんだい ・ それも単なる独逸語じゃなくて難しい 古典的独逸語なんだぜ。 どうだい、これでも未だあの薔薇は アンネの薔薇と言い張るかい?」 |
男は大きな口を開けて聖玻璃の風を食べながら こう云ったのです。 「いいかい、アンネの薔薇は破られるべきだったんだ。 第一の理由は、あの薔薇は ボールペンで描かれているんだぜ。 ボールペンが普及するのは1951年、 アンネの死は1945年。 ・ 6年も前にアンネはどうやってボールペンを 手に入れたのさ? つまり、アンネの薔薇は実在しないのさ。 実在しないものを破り捨てるのは 聖玻璃の風に誓って正しい行為なのさ。」 |
標識と共に船出する仙人! |
「そう、納得しないのか? そんなら逃れようもない決定的な 2つの理由を話してあげよう。 先ず筆跡だ。 ・ 1988年に米国の友達に送った 筆跡とアンネの薔薇が 描かれた筆跡は 素人が観ても明らかに異なるのさ。 ・ 最後の止めは アンネの薔薇を描いた ゴーストライターが 自ら名乗り出たと云うことさ。 その人の名は
米国の作家でメイヤー・レビン。 さあどうだ! これでアンネの薔薇は 破られるべきと納得しただろう?」 |
さあ、これで出発! |
警視庁に器物損壊容疑などで 逮捕されて 勾留中の無職の男(36)(小平市)が、 東京地検の請求で 行われた精神鑑定で 「犯行時は 心神喪失の状態にあった」 と診断され不起訴。 (読売新聞より) ・ 「ふふん、不起訴は 初めから解っていたのさ。 裁判で薔薇の不在が 証明されてしまったら神々の 逆鱗に触れ 大洪水によって 権力者共は滅亡の危機に陥ると 知っているのさ。」 |
面舵いっぱい! |
天空の方舟への標識復活 |
アララト山は何処? |
天空に漂う小倉山の方舟が再び叫びます。 「変だぜ!絶対変だぜ! その破り取られた、実在もしないアンネの薔薇がだよ、テラスに載せられた途端に どうして山荘を天空の方舟・ゆぴてるにメタモルさせてしまうんだい?」 ・ 砕かれた方舟の標識を復元し、船出の準備を整えた仙人が すっかり方舟の船長に成りきって語り始めました。 |
神は 全ての生きとし生ける物を 絶滅させてしまうような 大洪水は、 決して起こさない事を契約した。 |
小倉山に掛かる虹 破られた薔薇の花弁は 天空に駆け上り 様々な色彩を放つ虹になった。 |
神はその契約の証として、 空に虹をかけた。 旧約聖書『創世記』より |
まだまだ蒼いね君は。いいかい、人間の愚かな権力者や支配者共は アンネの薔薇なんて存在しないと知っているのさ。 その証拠にアンネの死後も、あの恐ろしい悲惨な戦争は、性懲りもなく続けられ昨今では 戦争を放棄した人類の究極の理想憲法さえもが、葬りさられようとしているでは。 アンネの苦しみや哀しみの総てを吸い取って様々な色彩を放ちながら 凛として咲く薔薇の生命力は、2度と戦争を許さない平和への深い願いなんだよ。 ・ さて、男が縷々と並べたアンネの薔薇が実在しない理由だが、何処かの国の権力者が グダグダと詭弁を奮って、究極の憲法を捨て戦争参加を正当化してるのとそっくりだと思わないかい? 勿論あんなもっともらしい理由は、すべてネオナチや右翼共の絡んだ でっち上げと陰謀なんだが、 あんな風に捲し立てられたら、誰だってアンネの薔薇は存在しないんではと、信じてしまうよね。 ・ でも例え、破られ手折られた花弁であっても、アンネの薔薇は方舟を成し生命を救済することが出来ると 男は薔薇をテラスに飾ったんだ。 濁りのない透き通った水晶の聖玻璃の風を食べるため、大きな口をアフアフさせ 男はこう云ったのさ。 「 おれはひとりの修羅なのだ」 |
2014年7月1日最終更新17時43分 政府は1日午後、 首相官邸で臨時閣議を開き、 集団的自衛権の行使を容認するための 憲法解釈変更を決定。 ・ 自衛隊の海外での武力行使に 道を開くもので、 安倍政権は 説明責任を問われる。 (時事通信) |
薔薇の仕掛け人からのメール 空を向いて口を大きく開けながら歩くので、
何してるのか問いかけたら 「かおちゃんは風を食べてるんだ」そうです。 ・
参ったね! 子供は誰もが詩人なんだ!
毛虫は森を食べ、蚯蚓は地球を食べ
時空は星や宇宙そのものを食べ、
未来を生み出す。
4歳のかおちゃんは風を食べて
何を生み出すのだろう? (6月30日仙人の返メール) |