1604ー2019年  弥生


高芝山に迫る最後の光
仙人テラス
3月23日(土)17:48

暮れ泥む高芝山が
最後の息を
吐き出すようにして
天空を染め
ひっそり闇に沈んだ。

これ程までに美しく
息絶えた
高芝山に逢えたのは
仙人の高芝山に対する
オマージュが
届いたからだろうか!

 山荘の借景として
天空を画する山々の連なり
の中で最も美しい翳を
落とす高芝山。

その高芝山と
仙人と遠征隊員の墓標である
小さな瀧を望める
テラスを
彼等へのオマージュとして
造れないだろうか!

暮れ泥む高芝山と
扇山の泉を集める瀧を
見詰めながら
仙人テラスと名付けた高架で
最後のパルスを
聴くことが出来ないだろうか!

オマージュの深奥で
左心室が最後の収縮の
一打を響かせ
高芝山に迫る最後の光と
アンサンブルする。

懼れつつもその回帰の刹那が
愛おしく懐かしい。


高芝山と対峙する仙人テラスで朝からアル中状態の仙人

仙人テラス工事開始

資材置場となった奥庭

間口を決める角材取付

仙人も
出窓工事じゃ!

 
廃品出窓の大きな
枠付きガラス(142×120㎝)
テーブルに使えないかと
3日間、脳の散歩。
問題はテーブルの脚である。
ペアガラスとアルミサッシの重量は
23.4kgあり幅1m42cmもあるので、
大きくて重くて、とても1人で
運んだり脚を付ける加工したりは無理。

そこで脚はアルミサッシに
取り付けず卓脚の上に
テーブルを載せることにした。
となるとガラス面は
脚の点荷重で直接支えられるので
割れる懼れあり。
硝子は垂直方向からの力に
耐えるようには出来ていない。


壁を穿ち床を支える基礎を打ち込む

23.4kgの重量が
垂直に働いたらひとたまりもなく
ガラスは砕け散ってしまう。

そこで脚の数を
4本でなく8本に増やし、更に
2脚のガラスとの接触部を点でなく
横棒を渡して線荷重にし、
計4本の横棒で硝子テーブルを
支えてはどうかとテスト。

バリンと一気に割れ砕け散ってしまったら、
どうしようと恐る恐る
カリストの部屋で硝子テーブルを
両手で持ち上げようとしたが、
全く持ち上がらない。
こうなったら脚の上に斜めに立てかけ
硝子テーブルを
徐々に倒して載せるしかない。


床の骨組組み立て

3本の支柱と壁を繋げる

床張りし手摺工事



の呼吸で!
斜めに立てかけ脚に載せると
最初にガラスと脚との接触は当然ながら
ガラス面と脚の点荷重となり、
その点部分に一瞬にして
23.4kgの力が加わることになる。

果たして薄いペアガラスが
23.4kgの点荷重に耐えられるだろうか?
もうすぐクロス張替工事に職人が来るので、
それまで待って手伝ってもらい
2人で硝子テーブルを持ち上げた方がいいのでは!
しかし待てないのだ。

何故なら仙人はすっかり幼児退行が進み、
想い込んだら最後、直ぐその場で
やらないと我慢できず
泣きわめいてしまうに違いない。

 
緊張の



ドアの無いテラス
≪バリンと一気に割れ
砕け散ってしまう≫音を
何処かで聴きながら仙人は
硝子テーブルを斜めに立て掛け、
ガラス面への点荷重を
最短時間に収める為
一気に脚の上に引き上げる。

あれっ、びくともせず
割れる気配なんぞ
どこ吹く風で全くなし。
それどころか、
さあ、どんと来いと言わんばかりの
堂々たる風情。


出窓にドアを付けるか?

この大きな出窓を撤去

でかい、重い!

これ何かに使えないかな?

二階廊下のドア設置

≪実はねあたし、出窓の
ガラスでは無くて
本当は硝子テーブルに憧れていて、
そのメタモルチャンスを
ずーっと狙ってたの!≫ 

そうだったのかと
すっかり騙された仙人が大喜びし
せっせとテラスのインテリアに
励んだのは云うまでも無い。

この東壁テラスを今日から
≪仙人照らす≫じゃなくて
≪仙人テラス≫と名付けようと、
瀧の龍に話掛けたりして
大はしゃぎする仙人でした。


ドア枠の嵌め込み

廃品出窓、硝子テーブルに変身
出窓工事終了祝

山荘の北森に
春蘭が咲き出し、
扇山の森に檀香梅の
仄かな香りが漂い始めた。

小さな和水仙しか
咲いてなかった前庭も
各種の水仙が花弁を拡げ、
やっと華やかな色彩の
到来を予感させる気配。
昼は大きな鳶が
悠々と旋回し、夜は
蝦蟇が煩く啼き出した。

昨日に続き
素晴らしい夜明けを迎えたので、
どうにかインテリアを
終えた仙人テラスで光の抱擁を
愉しもうと、
赤ワイン、コーヒドリッパー、
サラダやパンを
仙人テラスに運び上げ朝食。


苦労して製作した
硝子テーブルが夜明けの
太陽に透過され、
ワインもサラダも中空に浮かび
料理そのものが
いつもより遥かに豪華に
観えるでは!

現在クレソンの育成を
優先してるので瀧上からの水を
クレソンの生えている
龍口へ流している。
従って仙人テラスから
見下ろしても瀧の落下が
観られず寂しい。

そこで奥庭に降りて瀧上の弁を
開き瀧の落下を試みたが、
瀧はうんともすんとも云わず。
若しや給水管を
間違えて接読したか?
如何にも仙人のやりそうなこと。

うーん、食欲をそそるぜ硝子テーブル!


小さな廃品出窓はログ卓に!


残りの出窓の設置

此処なら見晴らし抜群!

卓脚を金属パイプに

イオの出窓を
産業廃棄物として棄てて
しまうなんてとても出来ない。

先ず25年間も共に歩んできた
仲間であり、
精神的な苦痛が大きすぎて
棄てられない。


これでしっかり固定

2番目に出窓そのものは
アルミサッシの付いた2重ガラスで、
これをゴミとして扱うなんて
犯罪行為にさえ思えるのだ。

てな訳で工事後の
アルミサッシの付いた2重ガラスが
4枚、山荘の倉庫に眠っている。


ぴったりだな!

東壁の出窓は撤去後、
早速仙人テラスの硝子テーブルに
生まれ変わったので、
イオの出窓も何とか
利用出来ないかと熟慮。

考え続けた結果、
ログの南通路のテーブルにしたら
どうかと閃いた。
1日かけてどうにか完成。
その出来栄えに
思わず自画自賛。
やったぜ!

出窓はログへ引っ越し完了!



杏子も満開で花見じゃ!

言語や視覚を失い
僅かに残された聴覚や触感を頼りに、
始原の宇宙で自ら臍の緒を作り出さねばならない。
それとも産道に押し込まれる前に
産婆なるものが現れて、
始原の宇宙へ連なる引導を渡すとでも思っているのか?

引導は六文銭無くしては示されず、産婆に追い返されるか
臍の緒無しで
三途の川へ漕ぎ出すことになるのだ!

そんなら六文銭は何処で支払えばいいのだろうか?
なんぞと、すっかり幼児退行化現象に陥り、
仙人は硝子テーブルを
ログに取り付ける作業に、せっせと勤しむのでした。

おっと、ガラスを落とすなよ!
始原の会話

≪ 懼れつつもその回帰の刹那が愛おしく懐かしい≫
だって!なに戯言(たわごと)言ってんだ!
その刹那が苦痛の極致にあると認識しての戯れ言か!
≪愛おしく懐かしい≫とは切なる願望か!

このまま幼児への退行が進むとやがて最も苦痛に満ち満ちた狭い
産道に押し込められ、強烈な圧力に
押しつぶされ始原の宇宙へ戻るのだ。
そこで更に生き延びる為には
始原の宇宙と結びつかねばならないと解っているのか!

 
ログも大歓び!



棚にも廃品出窓を利用!
曙光に煌めく
ガンダーラ


K2峰、ブロード・ピーク
ガッシャブルム峰、5回に亘り
南壁、西壁、北壁から
登り続けた
壮麗な墓標ナンガ・パルバット峰。

8千mを超える
パキスタンの巨峰に繰り返し
挑んだ日々、
キャラバンで立ち寄った
山麓の村や街で目にした
ガンダーラ美術の悠久な造型。

山荘の片隅で
ひっそりと深い眠りについていた
ガンダーラが、
夜明けの光に対峙する
仙人テラスに飾られ目覚めた。

≪まじかよ!≫
お決まりの常套句を
またもや呟いてしまった。
完成後の仙人テラスを
ちょっと離れた
瀧上から観てみようと、
北の森に登って振り返った呟き。

どう見たって
このテラス、100年も昔から
山荘に着いてましたよと
云わんばかり!

敢えて視界からテラスだけを
切り取って
数日前の山荘を描こうとしても、
アンバランスで不自然過ぎて
思い浮かばない。

ドジだね仙人は!
もっと早く山荘の想いに
気が付いてやるべきだった。

から観た仙人テラス



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