1582ー2019年  睦月


甘味を増す枯露柿の平干
最後の仕上げ

吊るされて40日間、
キラキラ輝く
透明な冬の光を
たらふく吸い込んだ枯露柿。

最後の仕上げは平干。
吊り下げられた
垂直の眠りから
水平の眠りに移る。

 厚い果肉が横に広がり
光の届かなかった
果肉の芯にまで
光が達し更に甘さを増す。
里に下り
畑道を散策していると
幾つもの白菜畑を
眼にする。

凍てつきを防ぐため
新聞紙を巻いたり
そのまま放置したり。
いずれも白菜は
死に体状態で、
とても食べたいとは
思わない。

が、どうだ山荘の白菜は!
ー7度の寒さに
襲われながらも、
凍てついて枯れることも無く
生き生きとしてるでは!

マイナス7℃に耐えた白菜干



陽だまりの中で!
この陽だまり
が堪んない!


昨年は庭の光を
全身に浴びて漬物作業に
勤しんだのだが、
今日は風が冷たいので
轆轤室に逃げ込んでの作業。

硝子越しの光が轆轤室を
温室に変え
暫く力仕事をしていると
汗をかいて来る。
堪らなくなって硝子戸を開ける。


陽を吸い込んだ大根

唐辛子、柚子、昆布をたっぷり!

うおー、重いぜ!

あらしお3%を揉みこんで!

昆布だけ日高産で!
真っ赤に熟れた鷹の爪が
西畑に迷い込んできた
赤い風船
るーじゅのアンサンブルを
奏でていたのは
初秋の扉が開いた9月1日だったね。

あれから赤い風船に敗けない
立派なルージュになって
飛切り辛くなって
今こうして白菜とのアンサンブルを
夢見ているんだね。

2週間後には
樽から出て、ちょっとお洒落な
お皿に載って、
白菜や柚子や昆布と一緒に
冬のアンサンブルを
御披露するんだって!


さあ、これで4樽じゃ!


前庭の森にる刹那の光
イオの金色仏陀も初デビュー

観たいって!そりゃ無理だね。
25年も山荘で暮らしてる仙人だって、こんな森の光に出くわしたのは初めてなんだぜ!
森が突然光を放ち始めた瞬間、ウインドブレーカーのポッケに手を入れたが、カメラは無い。
急いで母屋に駆け戻りカメラを掴んで戻ってみると光は薄れ、
光の中に森が透過され、ぼやけた光景になってしまった。

これは夕陽と畑の焚火の煙と森と風の合作なんだ。
西畑の夏野菜の枯れた葉や茎を燃やした焚火の煙を、遠い盆地から吹いて来た風が山荘の前庭に運び、
森が煙を絡めとり、其処に西のゲートからの夕陽が突き刺さり、描き上げた作品さ。
煙、風、森、光のアンサンブルだね。
そうそう、忘れてはいけない、サムイ島から来て新たな山荘住人となった仏陀も加わってるね。



夏の収穫に感謝!

多くの美味しい野菜を有難う!

ゴーヤー、茗荷の枯葉が燃える
木勧進(キッカンジョ)
「お小屋作り」のための木を
集めることだったようですが、
現代では子供クラブを
運営するためのご祝儀を
あつめることに転化しています。

「きっかんじょ」は、
夜間に行われる光による
幻想的な行事でもあります。

どんと焼きの準備
暗く寒い夜道を
ろうそくをともした手作りの
灯籠をたよりに、
「きっかんじょ、きっかんじょ、
お祝い申せ」と大きな声で
はやしながら、
組内の家を回り、各戸に入ると、

「家内安全無病息災大当たり」また、
その家の生業に合わせて
「家内安全農業繁盛大当たり」
あるいは「家内安全商売繁盛大当たり」
と唱和して、ご祝儀をもらいます。

木勧進のお小屋

道祖神として祀られる
猿田彦の命は
道の神、旅人の神である。

高天原から日向国高千穂峰
天孫降臨の際にガイドを
勤めた猿田彦の命なら
迷える旅人の道案内も
してくれるだろうとの思惑。

さて、迷える仙人は何処へ
案内されるのかね!

猿田彦命を祀る厄除け



イオのテラスで雪富士と乾杯!
富士が
って来た!

元旦の富士と初春の乾杯!

数十枚の雪富士の画像を
元旦の山歩きで
カメラに収めたのに、
ホームページにアップしたのは
たったの3枚。

≪もっと載っけてよ、
どうせこのホームページも
3月で終わってしまうんだろ!
なんでもサーバーの
ヤフーのジオシティーズが
サービスの停止を
発表したとか≫

とせっつかれたので、
一緒に呑もうと
ちょっと声掛けしたら
ずんずん迫って来てこの調子。
ま、そんなら
この新しいテラスで一緒に
新年会と洒落るか!

そうなんだ、新たな
サーバーに引っ越すには
図体が大きくなりすぎて、
この際もうアップするのは
止め様かと!
何しろ10年と2カ月の記憶が
ぎっしり詰まってるんだ!
山巓から東稜に
流れる雲と
上のテラスの背景に聳える
富士の雲を
よーく見較べてごらん!

左に細く千切れて
天空に消えていく様子が
同じだろう!

こんな風に時を固定し
空間だけを移動させると
過去が現在に
甦り記憶の意味が観える。

最早自由に取り出すことの
出来なくなった
膨大な記憶を抱えて
老いたインデックスとしての
脳は空間移動に
総てを託し、
記憶の海に溺死するのだ。
 
脳の投影記憶の海である雪富士が背後から仙人を呑み込む



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