1553ページー2018年  神無月

Tempo Drop
仙人はテラスで74個の結晶と化した!10月20日(土)

三途の川ならず三途の海を無事渡り切るには、嵐を予測する≪ストームグラス≫が必要だろう!

またもやボン・シルバーめ、さもモノローグであるかのようにさり気無く、それでいて聞こえよがしに滝音に載せて喋繰るでは。
そんなもん何処に在るんじゃ、聞いたこともないぜ!
いや、待てよ「海底2万里」なんて大昔に読んだ本に出て来たノーチラス号とか云う船に置いてあった奴か?
確かネモ船長が使っていた天候予測器が≪ストームグラス≫だったような。




ストームグラスの内容が変化する原因ははっきりとしないが、
大気の温度や湿度、気圧、大気電気学的な影響等によって、
溶解度や結晶形状が変化するためと考えられている。

(wikipedia)
  • 天気が晴れるなら、ガラス管内の固形分は完全に底に沈み、液体は澄みきる。
  • 雨に変わる前は、沈殿物の量が徐々に増え、星のような形のものが透明の溶液中を浮遊する。
  • やひどい風の前には、固形分の一部が溶液の表面まで達し、大きなのような形になる。溶液は濁り、発酵しているように見える。この現象は天気の変わる24時間前に見られる。
  • 冬、特に雪や霜のときには、管の高い位置まで沈殿物が積もる。内容物はとても白く、浮遊する点状のものが見られる。
  • 夏、とても天気がよく暑くなるときは、沈殿物は管の非常に低い位置までしか積もらない。
  • 風や嵐が接近してくるときは、接近してくる方向の反対側のガラス管の壁に沈殿ができる。



天候の変化に応じて
何だって、左の灯が
火の途の地獄道で、真ん中が血途の
畜生道で互いに喰らい合い
血だらけになるって!

それじゃ最後の右が刀で
切り刻まれる餓鬼道って訳か!
こいつらの接近を
逸早く≪ストームグラス≫が察知し
教えてくれるのか。


様々な表情の結晶化を
一吹で
この3つの灯を
消せば
≪ストームグラス≫
のスイッチオンで、
仙人は
三途の海への
航海に
 
火途、血途、刀途の灯も≪ストームグラス≫で一吹き! 
乗りだせる
という訳か!

それじゃー、
大きく息を
吸い込んで
そーれ、ぶわー!
消えたぞ!

繰り返す「ストームグラス」

刀はメス、
メスで切り裂かれ出てきたのが
真っ赤な血、
そして大量の血と共に
襲って来る火のような苦痛。

ほんとうはさ、刀、血、火って、
心臓弁膜症とか肺腺癌の迫りくる
オペのことと
仙人は知ってるのでは!

さては仙人め、
≪ストームグラス≫を使って
オペからの逃亡を図っているな!

19世紀航海時の天候予測器


これが仙人の墓じゃ
戒名は≪仙人≫そのもの、命日は2018年10月20日じゃ!

受戒の日を2018年10月20日と決めたら、ボン・シルバーの奴がしゃしゃり出て、
≪ほなら戒名を決めねば!≫と云うからそりゃ死んでからではないのかい。と云い返したら
≪そんな事も知らんのか、仏の定めた戒律を受けるには死んでからでは、どうにもこうにもしゃーないでは!
生きていてこそ死は観えるのさ。さあ、どうする≫ どうするたってそんなの考えるまでもないじゃないか。

≪仙人≫に決まっとるじゃろが!
とその場の勢いに任せて叫んだら、矢継ぎ早に喋繰るボン・シルバー。≪ほなら戒名何処に書く?≫ 
これも勢いに乗って、負けて堪るかと云わんばかりに奥庭の滝じゃと即答。
で、白々と明け行く書斎の窓から滝を見下ろすと、
どうですか黒い岩壁の流れ落ちる滝の中央に≪仙人≫と描かれた眩いばかりの真っ白な戒名。
うーん、本日をもって心身の過ちを超越し、いよいよ仙人になるんだ。




素焼きせず直接本焼きした墓標

この滝全体が墓標じゃ!
墓守
はボン・シルバーじゃ!


電動粉骨機で
2mm以下の粉にしてこの
ボン・シルバーの滝口周辺に
振り掛けるんじゃ!

2mmを越えると刑法190条の
遺骨遺棄罪で
罰せられるし、粉骨に入歯とか
首飾りとか混じってると
不法投棄になるし、
合法的に散骨するのは
色々面倒なんじゃ。


さて刑法をクリアーして
撒かれた粉骨は、
滝の蔓薔薇や凌霄花、花水木等の
肥料となって花を咲かせたり
するだろうか!!

滝から池に注いだ水と共に、
山荘の東側を流れる滝川に混じって
日川、重川、笛吹川、富士川へと
旅を続け、仙人の粉骨の1粒くらいは
太平洋までの旅を
続けることが出来るだろうか!


此処に1944-2018と入れよう



先ずを作陶して!
墓標作陶

 昨日の釉掛けの
不足部分に乳白釉を追掛けし、
ポンスの穴開けに
失敗し割れてしまった文字を
セラミックペーストで
貼り付け窯入れる。

棚板にアルミナ粉を解かした
溶液を塗り、
釉薬流れによる
棚板との融合を防ぐ。
それだけでは不安なので
ツクを小皿の下に置き
二重に融合を防ぐ。
いつもは焼き物の
棚板との接触面に
釉抜き撥水剤CP-E
(トルエン、アセトン、酢酸エチル)
塗布するのだが、
大皿の底面など幅が
40cmもあり、多量の
撥水剤を要するので今回は
ツクだけで対処。

炎の通路を作り流れを
イメージしながら
2段の棚板を組み
温度センサーに作品が
触れぬ様、位置を決め
いよいよ火入れ。

岩壁に留めるビスを開けて!

皹、割れに緊張!

7mmポンスに詰まった土を除く

人偏の作陶

電磁ポンプのリセットボタンを
押すと灯油がバーナーに流れ、
10~30秒後には
自動点火する筈なのだが、
1分経過しても点火せず。

この状態が続くと
灯油が流れ続け、
バーナー内部の点火芯が
湿り過ぎて着火しない。
窯を修理してから着火トラブルは


無かったのだが、
以前は良くあったので
焦ることなく新聞紙を紙縒りにして、
先端に火を着け、炉内から
バーナーに点火。

その後は5分ほど窯の蓋を開けたまま
窯を暖め、作品の温度急上昇を押え
2時間かけて200℃、
4時間で750℃まで酸化焼成の
手順にそって温度管理。  


ザイル、ピッケルを背景に

これでどうだ!



爆裂した墓標年号


1230℃で焼かれた墓標
窯蓋を開けてガックリ!
急激な失敗の衝撃に備えて幾つかの
失敗例を想定していた。
其の1、釉薬が流れ落ち
アルミナ粉の防御が無効となり、
作品が棚板に接合してしまう。

其の2、作品が罅割れたり
著しい変形を生じてしまう。
其の3、作品が傾き釉薬で
作品同士が接合してしまう。


≪1944-2018≫は3枚とも爆発

この程度なら失敗の衝撃に
耐えられなくはない。
しかし現実はこれ以上の酷い失敗は
あり得ない最悪の事態となった。

墓標年号を入れたプレートは
文字を掘り込むので
1cmもの厚さの長方形にしたが、
こいつが3枚とも爆裂し
粉々に吹き飛び、他の作品上に飛び散り、
ほぼすべての作品に
融合してしまったのだ。

墓標プレートは2段目の棚に入れ


爆発破片は大皿に飛び散り

3段目に幅40cmも
ある大皿を置いたので、
2段目の墓碑銘が爆裂しても
3段目の大皿まで破片が
飛び散ることはあり得ない。

しかし現実には
大皿一面に破片が散乱し、
大皿としっかり融合しているでは!

つまり爆発は半端ではなく、
炉内に隈なく破片が飛び散る
大規模なものであったということだ。
唯一被害を逃れたのが、
≪仙人≫の文字。


予備に2枚焼いたのに総て爆裂

これも不測の事態に備え、
2つ作っておいたがその1つだけが
奇蹟的に難を逃れ無傷であった。
これを大いに歓び、
他の無残な作品からは
厳しい教訓を学び取り、
失敗を謙虚に受け入れよう。

爆裂原因は只1つ。
1cmもの墓碑銘の厚みにある。
厚ければ厚いほど土を良く練って
粘土内部の気泡を追い出す必要がある。
僅かでも気泡が残れば、
気泡は厚い粘土に遮られ脱出出来ず、
熱せられる程爆発力を増すのだ。

重々承知し良ーく解っているので
念入りに練ったつもりであったが、
不充分であったということなのだ。
解っているだけに悔しい!

なぜ仙人だけ爆裂しなかったのか!


世界の民族楽器をでて祝おうぜ!
吹き抜け灯の埃を取って74個の結晶に光を!

昨日から更に2℃下がり5℃となった夜明けのテラスに浮かぶ雪富士。
先週までは裾野を縁取っていた大地もすっかり雪に覆われ、黒々とした御岳山塊を台座として眩いピラミッドを秋天に突き立てる。
写真を撮ろうとカメラを構えるが、あれっ、窓が汚れているでは!
網戸も邪魔だし。夏が終わってしまったのを頭では理解していたが、網戸撤去や窓拭きには結びつかなかった。

て云うか実は網戸撤去にしても窓拭きにしても1、2階で数十枚もあり、余程覚悟して掛からないと
途中で投げ出すことにもなり兼ねないと解っているだけに、気づかぬ振りをしていたのだ。
やらねばならないと覚悟を決め、ドライバーで網戸の固定螺子を緩めては、1枚1枚出窓から外す。



此処でどうだい!

やべー梯子がスリップ

見晴らし抜群!

出窓の両端は
湾曲したレールに沿って
網戸が嵌っているので
とても外し難い。
しかし乱暴に外すと網戸が
変形して壊れてしまう。

うんざりしながら慎重に扱い、
総て取り外しホースブラシで
洗浄してから轆轤室に格納。


うーん、次は窓拭きだが、
2階は梯子を掛けねば拭けないし、
まっ、真っ青な空だから
梯子じゃなくて、山に登っているつもりで
愉しみながらやればいいか!

ズルッ!梯子が動くでは!墜ちる!
大腿骨頸部骨折、
いや大腿骨転子部骨折か、
いやいや
そんな甘いもんじゃ済まないぞ。


大窓の森が透明になった

慎重に降りる!
 
と覚悟を決めた瞬間、
梯子の下に着いている滑り止めが
動きを止めた。
この間僅か1秒足らずだったような、
途轍もなく永い時が過ぎ去ったような。

転落は回避されたのだ。
昨日の窓拭きは、
2階の屋根に達する高所での
作業だったので、梯子が
いつ横滑りして転倒するかと
恐れ戦いていた。

今朝の玄関大窓は4m程の高さだし
家の中なのでリラックスして
作業していただけに、梯子が
滑り出した瞬間は
恐怖を感じる暇も無かった。


綺麗になったか! 
 梯子の滑り止めの摩擦機能が
フローリング上では
著しく低下するなんて、
考えてもみなかった。

ここ数年サボって玄関大窓の
窓拭きをしてないが、
以前は同じ様にフローリング上に
梯子を乗せて拭いていたのだ。

だが梯子が滑り出したことは
一度も無い。
壁に立てかける角度が
急だったので偶々
スリップしなかったのであろう。

この偶々は
神の思し召した恩寵と心せよ!



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