その150の32018年  皐月

危うし仙人!大動脈から左心室へ流する赤血球
5月9日(水)曇 鬼子母神診療所にてカラードップラー法撮影

 末梢型肺癌又は肺野型肺癌と呼ばれる肺腺癌と診断され有明のがん研有明病院に通い経過観察となり、
そろそろ発症のお呼びが掛かる頃かなと思っていたら、何と新たな強敵出現!
肺の次は心臓と来た。よりによって最強の肺と心臓を敵に回すとは、さすが仙人!
と云っても敵が勝手にやって来ただけだから流石の意味が解らんぜや。で、どうしたって!

心臓肥大を40年前から数人の医師に指摘されたが、
心拍数が45/分と平均値より15も低いのでスポーツ心臓でしょうと云われ続けてきたが昨日、
大動脈弁閉鎖不全(中等度から高度)との診断が下された。


やべー! E/Aが半分の1/2だって!

肺からたっぷり酸素を受け取って
肺静脈を奔り左心房へ
流れ込んだ赤血球は、更に僧帽弁を経て
左心室に至る。

先ずは左心室が拡張し陰圧となり
相対的に高圧となった左心房から
僧帽弁を通り左心室へ血液は流れ込む。
この時の
早期拡張期の血流最高速度を計ったものが
E波(拡張早期波)である。

左心室の拡張の後半期には、
左心房が加勢し収縮し、
弱まった血流を再び加速させる。
その最高速度を計測したものがA波(心房収縮波)だ。

このE波をA波で割った値がE/Aである。
つまり前半の左心室の拡張と
後半の左心房の収縮による血流最高速度が
同じであれば値は1となる。
左心房の収縮の方が大きければ1以下となり、
左心室の拡張が弱まっている。

1以上が正常値であるが、
仙人の値は1/2、つまり平常値の半分。
左心室は左心房の血液を
吸い込む能力が半分しか無いのだ。


■E波とA波(左室流入血流速度波形)
E波:左室急速流入血流速度(最初に心室が拡張する事で左室流入する血流)
A波:心房収縮期流入血流速度(次に心房が収縮する事で左室流入する血流)

正常だと、E波>A波:E/A>1
⇒拡張障害あると、拡張による血液流入↓:拘束パターン
 →E波↓、Deceleration time(DecT)延長(>220ms)
 →代償性にA波が高くなる:E/A<1
(心エコー:拡張能の評価より)

山荘の心臓を抱き咲き乱れるクレマチス
5月15日(火)晴 左心室に左膝を蹴り込み左心房に左手を突き刺す仙人(木星の衝5月9日)

どうも左心室から大動脈に送り出される血液が、大動脈弁の経年劣化により機能不全で逆流し、
焦った左心室が逆流した血液を送り出そうと肥大、拡張しているらしいとか。
その結果、高血圧、心拍数の上昇が生じるが、スポーツ心臓であるが故に、どうもその症状は抑えられているらしい。

赤方変移しているクェーサー(準恒星状天体)の距離を測定するドップラー効果がエコー検査で使われているので感激したが、
そんな感激しているどころではない。何しろ中等度から高度の逆流を示しているのだから、精査すべく
紹介状を書いてもらった国立国際医療研究センター病院に即、向かうべきなのだが、
仙人は相変わらずノホホーンとして、エコー画像に見とれている。
超音波を左心室に当てると血液の流れが読めるのだから驚きである。




ジャーマンアイリス残照

一番咲アンネ薔薇
超音波に対して向かって来る血液は
ドップラー効果で
反射音波は短くなり青となり、
反対に逆流して去っていく血液は
赤方変移し、波長が
延びて赤くなる。

赤方偏移するクェーサーの
距離測定と全く同じでは!
大動脈弁から逆流して
左心室に戻る自らの赤血球を観ながら、
そうだったのか、

お前が最近矢鱈と騒ぎ立てるのは、
警告でもあったのか!と納得!
このまま放っておくと左心室が
過剰な使用に耐えきれなくなって、
突然停止したりするとか!

その一瞬は滅茶苦しいだろうけど、
それさえ過ぎれば目出度く
混沌回帰は実現するかな、
なんぞと(たわむ)れている仙人。
いよいよ仙人の
残された時間も秒読み態勢か!
いや分読み、とか云っちゃって
10年も生き延びたら悪夢じゃ!

散る芍薬

アイリス花芯



アイリス接吻影絵

これが死の現実。
死の秒読み態勢にありながら死にそうで死なない洽六に倦み、
疲れ果てうんざりし、溜息をつく女たち。
仙人が戯れている死とは死の概念に過ぎない。
老いての死は臭く汚くただひたすらに醜い。

66歳で書き始め12年掛けて78歳で完結した「血脈」は
3巻、各巻600ヘージ程で1800ページもの大作。
父紅緑をルーツに、自身も含めハチローら異母兄弟および子孫たちに伝わる
「佐藤家の荒ぶる血」を纏めた大河小説≫
 

兎に角半端でない血脈は他人事として観る分には大いに愉快だが、
作中人物にとっては地獄じゃ!
最終章≪洽六の死≫

死の秒読み態勢に入り
足掻き続ける佐藤紅緑(洽六)を娘の愛子が
淡々と克明に描く「血脈」中の最終章≪洽六の死≫。

誰もが洽六の死を待っていた。黒田民子は看病の手伝いに来る度に、
「未だかいな」といって入って来た。
「脚にむくみがきたら早いというけどなあ」嘆くようにいった。
「むくみはとっくに来てるわ」とシナがいった。
「病人が駄目になる時は、部屋にある種の臭いがします」と看護婦がいった。
「足が冷とうなって、なんぼ温めても冷たいまんまで温まらんのやて。
そうしたら間もなくやといいまっせ」葉子がいい、
立ち上がって洽六の布団の裾に手を入れに行った。
戻ってきて、「冷たいわ」といった。
・・・今では女たちは遠慮を忘れて洽六の死の時期について予測し合い、
指を折って死が彼の周辺をさまよい出してからの月日を数えては溜息をついた。


 
ヴィーナスになった牡丹



出窓に残された君子蘭
仙人も山荘も手術じゃ!

奇しくも仙人と時を同じくして
山荘も心臓弁膜症に陥ったのだ。
山荘の循環器系の心臓左心室が
貯水槽であると云う当たり前のことに
気づいた瞬間に、
山荘の水の出が悪くなった
原因に思い至った。

肺静脈から左心房を経て
水槽左心室に送られてきた谷の水は、
大動脈を経て山荘のキッチン、
風呂、洗濯場、トイレ、
各洗面所などに送られる。

この水槽にチョロチョロとしか水が
入って来ないと云うことは、
左心房と左心室を繋ぐ
僧帽弁が機能しなくなっている、
つまり不全状態であるに
決まっているではないか!


他の出窓君子蘭は総て庭へ

各部屋に咲き乱れた君子蘭も今はイオだけに!
突然このことに気づき、
余りにも明々白々な事実におっ魂消た。
最も仙人の方は僧帽弁ではなく
仙人の各臓器に赤血球などを送る
大動脈弁の不全だが、
心臓弁の機能劣化
であることは同じである。

不全の原因も同じで
山荘も仙人も経年劣化、
つまり老い耄れてしまったということ。

咲き終わったら庭へ出してあげよう!
その経年劣化に拍車を掛けたのが、
数年使用していなかった
谷からの導水管。
導水管内の赤錆が弁に詰り、
経年劣化と重なり
クリアー出来た流れを阻害したのだ。

ならば弁を新品と
交換すればいいのではと
早速業者に修理依頼。
おそらくこれで山荘の弁膜は
復活するであろうが、
仙人の方はそうはいかない。



診療情報提供書

 平成30年5月9日 紹介先医療機関名:国立国際医療研究センター病院 循環器内科担当医 先生侍史
 紹介元医療機関名の住所及び名称:豊島区雑司ヶ谷3-3-17 鬼子母神診療所 医師氏名: 高岡和彦 患者氏名:坂原忠清 様
 傷病名:①
大動脈弁閉鎖不全(中等度から高度)、②不眠、便秘 紹介目的:①に関して御高診お願い申し上げます。

既往症及び家族歴:既往症:30年前足が化膿してOPE、8年前アキレス腱のOPE 症状経過及び検査結果:平素より大変お世話になっております。
生来健康でダイビングなどアクティビティの高い患者様です。普段は②で投薬しています。健診4にて心拡大・心雑音あり心エコーにて中等度から高度のARを認めました。
現在、心不全症状は認めません。お手数ですが今後の治療方針など精査をお願い申し上げます。 
普段のご様子:グアムにダイビングに行く。コスタリカのココ島が綺麗だった。ガラパゴスの近く。「混沌仙人」の管理者。
若いころはヒマラヤに行った。70歳でダイビングの(に)転向した。フィリピンの人魚の出る島に行った。 
血圧:128/78mmHg 心拍数:45 酸素飽和度:98% 心音整、心雑音あり。SEM+、呼吸音正常 

現在の処方:モーラステープL40mg 10×14cm(7枚/袋)1日1回28日分 アローゼン顆粒1g分、就寝前30日分 ブロチゾラム錠0.25mg[日医工]1T分、
就寝前30日分、ミオナール錠50mg3錠分3、毎食後30日分 ゲンタシン軟膏0.1%(10g/本)1本1日2回使用 強力ポステリザン(軟膏)(2g/本)30本
≪2ページの報告書:心エコー検査 ドップラーは省略≫

 



赤血球の警告に従って手術すべきか否か!
5月15日(火)晴 森の新緑と眩い陽光を吸い込んで復活を願う赤血球

耐久性の優れた人工材料を用いた機械弁、化学的に処理された豚等の生体材料を用いた生体弁
および人間の死体から大動脈弁、肺動脈弁を採取し凍結保存されたホモグラフトのいずれかを使うにしても、
人間の心臓手術は貯水槽の弁交換の様にはいかない。
心臓手術専門医・渡部剛によると≪全国の平均の手術成功率は97%で、30人に1人は死亡する≫とか。

そりゃま、貯水槽の弁交換よりリスクは大きいが、
豚の心臓弁を移植する生体弁なんてもんがあるだけでも豚さんに感謝せねば!
で、どうなのかね、仙人は豚の心臓弁貰ってまで長生きしたいのかね?
いや、若しかすると手術なんぞ拒否し、左心室が過剰な使用に耐えきれなくなって突然停止する瞬間を待ち望み、
これから更に、せっせとトレーニングに励むのかも!


それとも左心室ギブアップ前に、石灰化し沈黙していた肺腺癌が活動を始め、心臓より先に肺が仙人に止めをさすか!
いずれにしても心臓と肺の熾烈な先陣争いを高み見物しながら、仙人は山に登り続けるのだ。





こりゃ重症ですね!
難しい工事
24年の鉄管弁、老化に耐えきれず

浄化槽上の僧帽弁に相当する最初の弁と、
左心室から山荘体内に
水を送り出す大動脈弁にあたる貯水槽弁は、
新たな耐久性の優れた
人工材料を用いた機械弁と交換し
オペは成功したかに観えたが?

各弁を開くと山荘活動を
可能にする水が以前と同じ様に流れ出し、
こりゃ感動もんじゃと暫し見つめる。
仙人の大動脈閉鎖不全も
こんな風に復活出来ればいいが、
30人に1人の死亡率といなると、
死までに至らないが
弁の機能は完全には復活しないで、
オペ後遺症が生じる例もあるのだろう。

で、いよいよ最後の奥庭の
野菜洗い場の弁交換のオペに掛かる。
本管の末端部から立ち上げた
給水機の弁なので、このオペが
一番容易かと思っていたが、
この最後の弁は地中深くに位置し、

掘り進めて見たら途中に
肋骨に相当する大きな石やブロックが
現われ、オペの障害となり、
更に窯室、母屋から轆轤室への
地下電気配線にぶち当たり、
切開の途中でオペ中止。



弁から漏れてます

弁交換には此処を外さねば!

機械油を注し炎で焼き外す

耐久性の高い弁と交換

左心室(水槽)の僧房弁も交換

奥庭の弁は漏水が酷くオペ不可
 
大きな石の1つは
窯室の礎石になっており、これを
取り除くと窯室の柱が倒れてしまう。
柱を仮止めして他の石も
取り除いたとしても、血管は
窯室の真下を通っていて
オペは難しくなる。

弁近くまで掘り出すと
更に新たな問題に直面。
弁から漏れ出している水が溢れ出し
掘った穴に溜り、この状態では
管の切断や弁の取り付けは出来ない。
 
オペ開始後4日目にして終わらず
 
元栓を閉じて穴に溜った水を
ポンプで排水して、数日待てば
オペは可能になるが
元栓を止めている間は当然外部の
人工心臓に頼るか完全に
活動停止し仮死状態になるか。

医師の提案は、思い切って
弁の位置を変え、
滝下の梅や薔薇、石楠花の咲く庭を
掘り起こして水道管を探し、
其処に新たな弁を
付けてみたらというもの。
色々考えたが
結局それが最良の方法かも!



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