その148の12018年  弥生

早春の光を放つ鳥葬を司る禿鷲
3月4日(日)8時21分 居間の壁画≪時空の渚≫

禿鷲の嘔吐する光が≪陽のあた地獄≫を可視化する。
修道女・ジャンヌは嘔吐する光によって隔てられた此岸から彼岸の、もう一人の修道女・ジャンヌに祈りを捧げる。
中村真一郎が新田瑛子との間に産み出した娘・ジャンヌへ。
天国、地獄、復活の作為に縛られる修道女が、原始キリスト教の500年も前に生まれた彼岸へ何を祈るのか!

早春の光とチベット壁画の刹那のアンサンブルが発情する深遠な美に、どんな言葉で応えればいいのだ!
修道女・ジャンヌが傀儡師であることは解っている。
さあ、出てこい!



俺の縄張りだ!

尉鶲は唯待っているだけ

鵯の嘴に春の雫
尉鶲(じょうびたき)なんぞがちょっとでも
近づいたなら即出撃!
奥庭の餌台を見張る(ひよどり)は、
柿の木、李、無花果の枝に止まり
その一瞬を逃さない。

それでも
餌台下の西畑の梨の木に止まり
辛抱強く待ち続ける尉鶲。

仲間内で闘い浴室硝子に衝突した鵯
けたたましく威喝の鳴き声を
張り上げ小型の
尉鶲を追う鵯の素早さは
迫力満点。

図体が大きいだけに
急旋回する度に風を切る音は鋭く響き、
威喝音を増幅し、
空中戦を賑々しく演出する。

1月から咲いている蝋梅
ドスンと黒い影が
浴室の窓硝子に激突。
その黒い影を追う鵯は硝子に気付き
見事な飛翔で急旋回し
山茶花から夏椿の枝を掻い潜って
逃げ去る。

風呂場の窓下に動けなくなった
一羽の鵯。
即死かと思ったら目を開いているでは!

3月になって咲き出した座禅草



知の営みを呑み込む漆黒と抗う白龍
 時空の方舟となって山荘テラスはただ俯瞰


直近の記憶がまるで何事もなかったかのように、真っ白に消去されている。
いや、本当に何も無かったのでは!
ならばと≪無い筈の記憶のアイデンティティを打ち消す事実≫を探し求める。
「邪の家系」を絶つため父の殺害を決意する『悪と仮面のルール』の文宏と亀山郁夫の『ドストエフスキー 父殺しの文学』で語られる
カラマーゾフの3人の兄弟が重なり、
これこそ中村文則の最高傑作と夢中になって読んだ記憶が、全く欠落している。



雲海に吸い込まれる石卓

現だったのか!

お前はモノリスか!

殆ど中村文則の小説は
読了しているのに
こんな面白い優れた小説を
読み落としていたのかと、先週から
貪るようにして読み始め、

巧みな心理描写や状況設定に
引き込まれて居るうちに、
主人公・文宏のその後が
観えることに気づいたのだ。


総てを呑み込め!

ストーリー展開から
ある程度予測出来るという
その後では無く、もっと具体的に、
知られていない地下室に
父を閉じ込めて殺害しようと計画する

文宏のその後が観えたのだ。
ここで初めて≪無い筈の記憶の
アイデンティティを打ち消す事実≫に
思い当たったのである。


光を奪われる太陽光灯

狼狽え老衰の現実に
唖然とするには、
それと同様な事実が余りにも
日常化されつつあり、
唖然などお呼びではない。

おやまー又かいなてな感じで
寧ろ混沌仙人は、
愉快に思っているのでは!


やがて撤退する雲海



雲海の彼方に突如現れた漆黒の山巓
カロスキューマは≪時空の渚≫のモノリスか!

しかしこの≪無い筈の記憶のアイデンティティを打ち消す事実≫が出てこない場合、
記憶は決して浮上することなくその須臾の時間は永遠に失われる。
其れを強烈に実感しているからこそ乗りたくない飛行機に乗って
態々≪人魚を求めて遥かなるディミパック島へのダイビング≫を決意したのだと不意に解った。

こうすれば如何に記憶の消去が日常化されても、よもや人魚を追い求めた鮮烈な記憶までが奪われることはあるまいと、
浅はかな混沌仙人は慮ったのだ。
それは究極の老衰が如何なるものか予測も出来ない浅はかな混沌仙人の儚い悪足掻き。



先ず支柱で切断部を支える
直径30cm以上ある赤松が
北森の防獣柵に倒れ、
コンクリート基礎で固められた
金属支柱をへし曲げた。

柵そのものが大きく歪み、
その結果柵に取り付けられたゲートが
強い張力を受け
留め金が掛けられなくなってしまった。


2本で支えないとヤバイ!

山トレーニングには欠かせない
ゲートであり早急に
解決せねばと思いつつ、
その作業の困難さを考えると
二の足を踏んでしまう。

やっと決意し
チェーンソー、鉄の大槌、ザイルを
引っ提げて倒木現場に向かう。


1箇所切断しても動かない

山荘側から扇山へと
鉄柵を潰して倒れているので、
倒木上部から切り込みを入れれば
柵から外せると考えていたが、

倒木の梢は森の木に
寄りかかっており、このまま切り込むと
梢ではなく、切り込み部分が
先に落ちると判明。


仕方なく根元も切断

そうなるとチェーンソーは
切り込み部分に挟まれ、
伐採途中で動かなくなってしまう。
そこで切り込み部分が

先に落ちないよう丸太1本で
倒木を支えてみたが、
切り込みの両端を支柱で支えないと
チェーンソーが取られてしまう。


これでゲートは開くか!


修道女・ジャンヌは傀儡師じゃ!
雲海に翻弄されつつボン・シルバーは叫ぶ!

大槌で丸太を打ち込み、倒木を支えている森の木を伐採し伐採準備完了。
切り込みを入れると梢側の支柱が動いてしまい、抑えながらの伐採となり極めて危険。
少しづつ切り込んではチェーンソーが切り込みに取られてしまわぬか確認。

やがてめりめりと恐ろしい音を響かせ、巨木が動き出す。
慌ててチェーンソーを持ったまま逃げ出す。
どうにか伐採には成功したものの、根元から柵に倒れ掛かった残りの巨木は、どうしたら柵から外せるか?
ザイルを掛けて引いてみたが、ビクとも動かない。



チェーンソーの刃はどれだ!
再度切り込みを入れるしかないが、
倒木先端は
柵に掛かっているので切り込んだら、
切り込みには下向きの力が加わり
チェーンソーが挟まれてしまう。

切り込み位置を少しづつ変え
どうにか伐採できたが、
それでも柵に寄りかかっている巨木の
重さは大したもんで、
ザイルを掛けて引いても揺れるだけ。


この30°は刃の角度か!
初挑戦
チェーンソーの刃研ぎ


悪戦苦闘し巨木を
大地に倒した時はヘトヘト。
怪我も無く闘いを
終えられたことを感謝せねば!


何故切断出来るのか
考えもせず、
ただその凄まじいまでの切断力に
恐れ戦きながら
使用していたチェーンソウ。

恐ろしいまでの威力だが
巨木を数本伐採すると
切れ味は鈍くなり、
やがて幾ら回転させても
伐れなくなってしまう。

以前は新品のチェーンに買いかえて
取り付けていたが、
チェーン1本で4千円近くするので
何とか研ぐことは出来ないかと調べ、

チェーンを外して調べる
「研ぎ上手448」なる商品名の
ソーチェーン刃の研磨具を購入。
説明書をじろり見詰めたが、
とても面倒くさそうで
2年ほど見向きもせず放置。

先週の伐採でチェーンソウの切れ味が
落ちたので、今度こそ
逃げず真正面から取り組んでやれと
ソーチェーンを観たが、
どれが刃なのか解らん。

つまりこのチェーンソウは
どうして巨木を
伐り倒すことが出来るのか仙人には
構造原理が解っていないのだ。

最初に解ったのは
1本のソーチェーンには
右刃と左刃が交互に13個づつ
着いていると云う事実。

それを知った瞬間の
無知なる仙人の驚きは
如何ばかりか!

 
ソウガードからチェーンを外す

どうもこれが刃らしい
 
これで30°方向かな!
 
1mもの長いチェーン総てに
刃が着いてると思っていたが、
とんでもない、
僅か26個しかないのだ。

右刃と左刃の間隔は35mm。
半円の窪みの片側に刃があり、
この刃を直径4mmの電動棒状鑢で
30度の角度で前後させ、
回転させながら
研磨する仕組みと判明。
 
電動スイッチを入れ研ぐ



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