その147の3ー2018年 如月
人魚のように裸になって遊ぶカルトン村の女の子 陸の孤島から船に乗ってカルトン村へ 2月3日(土)晴 ≪見ーつけた!≫と裸の女の子を見つけて、早速跳び寄る仙人。 未舗装のデコボコ道の横にある村の共同水道で遊ぶ女の子が、恥ずかしそうな視線を投げかける。 嬉しくなって駆け寄るが、女の子たちはもじもじして離れてしまう。 ≪おいでよ!≫と呼びかけたら真剣な顔して戻ってきた。 今日は土曜日なので学校は休み。≪えっ、この小さな村に学校があるの!≫ 道路の反対側、すぐ目の前が小学校なんだって! ちょっとだけ覗いてみようかな。でも休みだから閉まってるかな。 |
マリカバン湾の対岸へ |
写真付きで生徒の名前が 張り出されている。 さっきの女の子は何処かな? 生徒は何人いるの? 「この子がそうです。24人の生徒が 2つの教室で学んでいます。 でも1つは準備展示室で いつもは同じ教室で勉強します」 |
戸数20軒程に観える村に学校があるでは! |
そうか、それで1つの教室に 大黒板が2つあって 机がそれぞれ半分だけ黒板に 向き合っているのか! |
先生2人今日は土曜日で生徒無し |
脚を折り曲げて 小さな机に座ってみる。 この村で漁師の子供として生まれ、 今年やっと1年生になって、 机に座った仙人。 |
生徒になって小さな机に座って! |
この教室から世界を覗くのだ。 大きな果てしも無く続く ブスアンガ島が 実はパラワン島の北に位置する 小さな小さな島であると もうすぐ知るのだ。 |
アルファベットから勉強 |
静かに此処は学校です 平らな場所が無く急峻な崖を切取って 建てられた細やかな学校。 2つの小さな教室は 子供達の夢がぎっしり詰まった宝石箱。 |
その新鮮な驚きの瞬間を想い、 心が躍る。 |
ヴィンセント君が村を案内してくれた |
お母さんは共同水道で洗濯 |
お父さんはアウトリガーの取り付け |
大きな盥で洗濯するお母さん。 共同水道は 子供達だけでなく誰もがやって来る 大好きな場所。 |
海ではお父さんが 船にアウトリガーを取り付けて、 船出の準備。 |
船を安定させるアウトリガーに乗る仙人 |
リゾートから迎えの高速船 |
ようこそ、el rio y marへ |
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残照の一瞬が実に美しい! |
レストランに灯が燈る |
真っ白で何も書かれていない 一日が始まり 真っ白のキャンバスに 適当な線を引いてみたり 気紛れに色付けしたりして ≪陽のあたる地獄≫の1日が終わる。 陽が翳ると 混沌仙人の胃袋が騒ぐ。 いよいよビアタイムだぜ! |
桟橋で夕刻ヨガ |
能天気な仙人の一言に 物言いがつく。 ≪えっ、何だって地獄だって! 何処を探せば 地獄があるってんだ! 勝手に御絵描きなんぞしていて 地獄はないだろ! そんなら真っ白なキャンバスなんぞ ビリビリ破ってしまえ≫ |
幻の人魚に乾杯! |
どうも単純な仙人め、 今読んでいる中村真一郎の ≪陽のあたる地獄≫に 感化され、地中海の人魚荘と el rio y mar が 渾然一体となってしまったのでは! 此処は地中海ではなく ブスアンガの海だぜ! |
カサモレナ34からの海 |
カサモレナ桟橋 |
月光の海がヒタヒタと心象に |
カサモレナの海・ハウスリーフの珊瑚海 |
再び物言いが。 ≪夜明けを筋トレで迎え、 渚をジョギングしたり 彷徨い歩いたり・・・・・。 飽きればレストランに出向き のんびり時間を掛けて朝食をとり 気の向くまま シュノーケリングしたりカヤックで 海に乗り出したり。 山に登ったりダイビングしたり。 |
それなのに この陽のあたる海の何処に 地獄があるんじゃ!≫ そりゃ地獄が陽もあたらぬ 美しくもないと云う 前提条件でしか成り立たぬ 撞着語法に 弄ばされているだけ。 美や悦びそのものが 実は地獄と同質の回廊で 結ばれていると 気づいてしまったら どうする? |
白いヨットがひっそり佇む海 ハンターピークより |
パドルボートのシエスタ |
こうも能天気な画像を並べると 如何にも老後を愉しむ 混沌仙人にしか観えない。 で、実際仙人のサングラスから 画像を覗いて観ると ありゃ、何やら 死の直前の78歳の 中村真一郎が見え隠れしてるでは! |
海を褥にゆらり |
硝子の様な透明な海へ |
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パドルボートもカヤックも無料 |
陽のあたる地獄 「そうして、おれは、 陽のあたる地獄の中の、 夢ともうつつとも判らぬ 時間のなかの彷徨に 転落して行ったのだ・・・・・。」 ≪夢ともうつつとも判らぬ時間≫が 電気ショック療法で 失われた38歳の1年間の 空白の記憶と絡み合い、 新たな白痴状態の 発作が中村真一郎を襲い 『四重奏』最終楽章は終わったと 感じたが、ザラザラとした 違和感が残る。 78歳、死の1年前に 書き上げた「陽のあたる地獄」で 描かれるカトリックの 修道女となったジャンヌとの禁断の 性交そのものが 「陽のあたる地獄」だったのか! |
カヤック逍遥も愉快! |
海に浮くスパハウス |
頂から観えた白いヨット |
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海上のスパは最高!! |
しかし指圧師は何処? |
仙人の心象スケッチ |
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いざ、心象へ出陣! |
ハンターピーク登山口 |
修道女となった実の娘を モデルにした としか考えられぬ修道女・ジャンヌが 齎す白痴状態の発作は、 新田瑛子を背景にした 妻、娘、カトリック修道女への禁断を 通奏低音にし、 ジャンヌへのアナルセックスで 引き金を引かれる。 |
稜線上の十字架 |
蓋つき食虫植物・ウツボカズラ |
極楽鳥花 |
穴に墜ちた虫は穴に同化 |
「後ろは許して!」・・・ そうして、おれは 彼女のその言葉に逆に 指図されるような思いで、 彼女の後部を差し貫いていた。 |
左がマリカバン湾、右はスル海 |
39歳で妻・新田瑛子(文学座女優)を 自殺で失い、 精神を病み中村真一郎は 電気ショック療法を受け、 おそらく妻との 壮絶な確執であっただろう1年間の 記憶を失なう。 |
マリカバン湾を眼下に |
後方にシエラデルタの三角形が見える |
急峻な登りで誰も登らないとか |
手前がメイン桟橋、奥がモレナ桟橋 |
禁断が、留まることなく 移り変わる社会体制、 構造、文化から必然的に 排出される 倫理観でしかないと認識し、 |
島全体がリゾートのパラダイス |
ジュゴン・センターの写真集で人魚研究じゃ! 午後は読書タイムで小さな図書館やセンターの本を漁る その倫理観に捉われながら禁断をスパイスにし 生きる術を身に着けた中村真一郎にとって、 死の1年前に還る場所が、果たして新たな白痴状態であったのだろうか! 白痴となって失うことでしか還れないと、中村真一郎が悟ったとは到底思えない。 |
読書・「陽のあたる地獄」人魚荘にての章を読む |
小さな図書館のシャコガイ人魚 |
ざらざらとした違和感の 奥に潜む「陽のあたる地獄」の 正体を暴かねば! なんぞと思い切って脱線し、 中村真一郎を 眺めて観るのも頗る愉快。 |
さてさて肝心の仙人なんぞ、 白痴にもなれず 三途の川をウロウロ、 うろうろ彷徨うだけで、 何処にも還れないのでは! と山荘住人たちは申しております。 ごもっとも、ごもっとも! |
ジュゴンセンターのブランド |
読書ときどきシエスタ |