その1471ー2018年  如月

あれ!お母さん、亀と遊んでるが居るよ と幻のジュゴンの子供が!
絶滅寸前ENの危惧種・青海亀に遭遇 2月2日(金)晴 ディミパック島


甲羅に燦然と輝く太陽が8つも昇っているでは!
どれどれ、それじゃこの美しい亀さんと一緒に散歩でもしましょう!
と仙人は亀と泳ぎだしたのですが、背後でカプカプ嗤っている子供の声がするではありませんか!
でも仙人は気付かずに夢中になって亀と遊んでいます。
どうやら幾ら探しても巡り逢えないジュゴンの母子が、仙人の心象スケッチから飛び出して一緒に泳ぎだした様なのです。


ウェブ アニメーター
仙人の心象スケッチ

いらっしゃい!
折れたままの槍でも
いいのよ。
あたしへの想いだけを
心に秘めて
海に漂っているだけで
回廊は
拓かれるのよ。

そーら、
ほんの一瞬だけど
入ってきたでしょ!
えっ、見逃したって!
それじゃ、もう一度。
どう、今度は
観えたでしょ。

あたしには折れた槍を
どんな楯でも突き破る
矛に変える能力があるの!

だから、あたしのことを
人魚だなんて云って
大昔から
語り継りついできたのよ。
折れちまったしみに
今日も小雪の・・・


あのね、
折れた槍は慌てて
くっつけたって
もう元には戻らないんだよ。

そりゃ観た目は、
如何にもピンと強そうで
どんな楯でも
突き破りそうだけど、
その槍じゃ
鋭く突き刺したって、
心象風景への
回廊は拓かれないね。

ほらほら、
どんな楯でも突き破る
矛になろうと
槍を持ち上げたって、
やっぱり
折れたままだろう。
ま、人魚は諦めるんだね!
ウェブ アニメーター
いざ、心象へ出陣!



だんだん人魚母子がづいて来ます! でも仙人は気付きません
ボロボロになったスーツを着て仙人は撮影に夢中 2月2日(金)晴 ディミパック島

1泊したセブ島からプロペラ機で1時間半飛び、ブスアンガ島に出て宿泊。更に其処から船で2時間半行った処に
人魚の伝説を掻き立ててきたジュゴンの棲む小さな島・ディミパックがあります。
3日間を掛けて、やっと辿り着いたディミパック島の海で空気タンクを背負い仙人は、待っていたのです。

「あそこだ、よーし音を立てず静かにエントリーせよ!」と人魚探索人・ブランドが叫ぶので、
仙人はレギュレーターを咥え、カメラを構えゆっくり海中へ。
只管に待てど暮らせど人魚は、姿を見せませんでした。でも仙人の心象スケッチには描かれていたんですね。
まさかそのスケッチから人魚の母子が、ディミパックの海に泳ぎだすなんて!



ジュゴン出現!
直ぐにポッカリ浮かび
呼吸するので、船の上から観ていれば
プロの人魚探索人にとっては
発見は容易だとか。

野生下の潜水時間は
平均1分12秒から1分30秒で
遊泳速度も1分で50m程とゆっくり。
潜降水深も精々10m前後なので、
人間がシュノーケリングしてる様な感じ。


しかし何処を観ても居ない!

従って海面に浮かぶ姿さえ
見つければ、
ジュゴンに逢える筈なのだが、
幾ら探せど
影すら見当たらない。

神経質で飼育は非常に難しく、
世界の4か所の施設で5頭の
飼育しか出来ていないとか。
きっと驚いて
逃げてしまったのだろう。


繊細なジュゴンは姿を隠した!

一旦船に上がり
ディミパック島の東に出て
2本ダイビングして
再度ジュゴン・ウオッチング。

「居たぞ!」との人魚探索人の声に
急いでシュノーケリングの
スタンバイ。
しかしまたもや消えてしまい諦め
帰路に就く。

その後4日間、海は荒れ。
高波で船は就航できず。


仕方ない亀と遊ぼう!

嘗ては肉が不老不死や媚薬に
なると乱獲され減少。
捕獲されなくても
極端な偏食で海藻のアマモ類が
無くなれば死滅してしまうジュゴン。

せめてフィーディング・トレンチと
呼ばれる「食み跡」でも
確認出来ないかと海底を彷徨ったが、
見つからず居るのは亀ばかり。

ジュゴンの餌場には亀が集まる。
亀を追っていけば
ジュゴンに逢えるに違いないと
仙人は無心に亀と戯れるのだ。

やっぱ、逢えませんでした!


変な人が居るかられちゃだめよ! と幻の人魚のお母さん
あれ、また亀さんと遭遇! 2月2日(金)晴 ディミパック島

メキシコのラパスDVで立ち寄ったホテル・カリフォルニアの舞台トドス・サントス。
その小さな街で手に入れたCABO SAN LUCASと記された黒いバンダナキャップを被り
仙人は亀に話しかける。

「人は10カ月だけどジュゴンの妊娠期間は13カ月と長くて、その上出産間隔も3~7年と長いんだって!
人間なんて出産して数週間おっぱい呑ませて、後は人工ミルクを与えて授乳お仕舞いだけど、
ジュゴンの授乳期間は18カ月なんだって!
母ジュゴンの負担が大き過ぎて、個体の増加率が、5パーセント以下と低いのも仕方ないね。

それにしてもジュゴンのおっとさんは、何をしているのかね。困ったもんだ!」



ジュゴンの餌アマモは美味いぜ!

ジュゴンの飼育の試みは、1955年に
サンフランシスコのスタインハルト水族館が、
パラオ諸島で捕獲されたジュゴンを
飼育したのが最初です。

世界で30例以上の飼育記録がありますが、
いずれも短期間の飼育に終わっていました。


だからジュゴンに着いて行くんだ

ジュゴンDVセンターのオーナー
Dirk
 Hahrenbach(ディルク)

鳥羽水族館ではかつて2頭が飼育されていたが、
オスの「じゅんいち」が2011年2月10日午前8時25分に死亡した。
じゅんいちは鳥羽水族館で約31年間にわたって飼育され、

世界最長飼育記録を更新していたが、
それも11,475日目で途絶えた。
これにより日本国内での飼育は同水族館の
メス「セレナ」1頭だけとなった。
(wikipediaより)


性質はおとなしいジュゴンですが、
とても神経質で音や光に敏感なため、飼育は
非常に難しいと言われています。

鳥羽水族館では1977年から、
ジュゴンの飼育研究を始めました。
1987年にはフィリピンのアキノ大統領(当時)から
日比友好の印としてメスの「セレナ」がプレゼントされました。
(鳥羽水族館HPより)

 
「今度来たらDV料金は要らないぜ!」Dirk


亀に乗って遂に現れたのは仙人の心象ジュゴンか?
でも仙人のカメラは亀しか狙ってないぜ!やはり仙人には観えないのか! 2月2日(金)晴 ディミパック島
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによる人魚(マーメイド)の絵画(1900年

豊満な乳房に溺れて小さな指はゆっくり沈む込み、乳房に融け込み一体化しやがて離れられなくなる。
何という優しさに満ちた柔らかな乳房であろうか、その甘美さは死へと連なる底知れぬ悦楽の坩堝。
融けてしまった指に意識を集中して乳房を(まさぐ)ると、乳首から生命が(ほとばし)る。
乳飲み子は未だ歯の生えていない歯茎で乳首を噛んで、生命の白い汁を貪り呑む。

乳首と直通回線で結ばれた
海綿体組織である細長い陰核体は、乳首の刺激を受け子宮への海の回廊にさざ波を立てる。
海に漂う混沌仙人の前に現われたのは118年前にジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの描いた人魚。
長い髪を亀の背まで垂らし、髪を梳きながら人魚は美しい声で歌う様に誘う。

「さあ、還っておいで!嘗て凄まじい細胞分裂によって子宮の海で生み出されたお前は、
潮騒を奏でる回廊と時を逆行し海に戻り、
染色体を半分の23本に減数分裂させた卵子と精子を遡り、やがて細胞を捨て混沌に還るんだよ」



さっきまで一緒だったけど?!
ドイツ人オーナーのディルクと
フィリピン人で海洋生物学者の
妻ジャネットが、
日本の鳥羽水族館と協力しあって、
長年に亘ってジュゴンの
生態調査を続けています。

(Dive Netより)

えっ、居ないって!



死に至る人魚伝説

ライン川のローレライでは美しい人魚の美声に聞き惚れて船は舵を取り損ね、歌声を聞いた人々は川底に沈む。
ホメーロスの『オデュッセイア』に登場するギリシャ神話の人魚セイレーンも、歌声で船員を魅了し船を沈めた。
逢えば嵐が起こると船乗りたちに懼れられたアイルランドの人魚メロウは、人間の男と結婚し
手指に水掻きのある子供を産むと云う。

嵐や不漁の前兆とされるノルウェーの人魚ハルフゥの呪いは、逢ったことを他言しなければ火打石の火花で解けるとか。
又ハルフゥには予知能力があり、捕えた子供のハルフゥから人は予言を聴けると伝えられている。
いずれにしても不吉な象徴とされることが多いが、美しいことは共通している。!
人魚の美は死へのいざない。
(参照:wikipedia)

臍の緒を体に巡らし海水に漂いながら、繋ぐべき臍の緒の先・胎盤の在る子宮を求めて混沌仙人は彷徨う。
仮の胎盤は200気圧の大気を圧縮した12リットルのアルミタンク。
生きていられるのはタンク内の大気が尽きるまで、最長でも僅か1時間前後の間だけ。
その前に臍の緒を本物の胎盤に繋げねばと、混沌仙人は子宮の海へ連なる回廊を心象に描き、当て所も無く徘徊する。

亀の背に乗ってやって来た美しい人魚が乳房を垣間見せ、妖しい瞳で混沌仙人を(いざな)う。
≪おいで!此処があなたの回帰すべき最後の海よ。さあ、口に銜えたレギュレーターを離して
あたしの胎盤に繋いでごらん!≫

乳房を吸わせ混沌仙人を乳飲み子へと退行させ、直通回線で子宮への海の回廊に潮騒まで響かせ、人魚は秋波を送り続ける。
乳飲み子は人魚の下半身を弄り、レギュレーターを口から離しては人魚の肌に押し着けてみる。
しかし優しさに満ちた柔らかな乳房のような肌は無く、金属質の冷たい下半身の鱗は何処に着けてもレギュレーターを拒否。
人魚には子宮は無く、従って子宮への海の回廊なんぞ在りはしない。
あの美しい回廊に響く歌声は、 人魚の美に耽溺する海衆を死へといざなう幻聴だったのだ。



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