その145の3ー2017年 師走
ジャングルのパガット洞窟入口 |
ジャングルにも 深い洞窟があるんだって! 洞窟の入り口に立つと 深奥から痺れを伴う仄かなパルスが、 60兆の細胞を駆け巡る。 最初にこの仄かな パルスに気づいたのは、 キューブリックの≪2001年宇宙の旅≫。 時空洞窟の入り口・モノリスを 見出したボーマン船長の 仄かなパルスが、 自らの動脈血と共鳴し始めたのだ。 ≪唯一生き残ったボーマン船長は HALの思考部を停止させ、 探査の真の目的 であるモノリスの件を知る。 |
単独で探査を続行した ボーマン船長は木星の衛星軌道上で 巨大なモノリスと遭遇、 スターゲイトを通じて、人類を超越した 存在・スターチャイルドへと 進化を遂げる≫。 時空洞窟はボーマンを 星の子へと変えた。 ≪木星に向かう 宇宙船ディスカバリー号は「精子」を表し、 木星は「卵子」を表している。 木星探索船 ディスカバリー号が映し出される。 ここに月のモノリス =「ペニス」から放出された ディスカバリー号=「精子」は、 木星到達のスターゲート =「ワギナ」目がけて突入するのである≫ (藝術大全) |
細い穴のの奥には洞窟湖があるとか! |
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アレフレッドにジャングルで逢う |
高床式のチャモロ人の住居跡 |
石穴に穀類を入れて粉にするとか |
ボーマン船長の仄かなパルスが、 自らの動脈血と 共鳴するとの感性は、仙人の 極めて独善的な偏見と誤解から 齎された特異な現象。 と思っていただけに、 この(藝術大全)の記述に触れた時は 心底お魂消た。 なーんだ、独善でも 偏見でも誤解でもなく、 |
急斜面には固定ロープも |
あの描写から、画像から モノリスと云う洞窟に、 生命の原点を見出すのは、 寧ろ自然だった のかと暫しポカーンと放心! だから仙人の頭は すっからかんだと云われるんだ。 忘れちゃいかん! 原作者アーサーCクラークは この作品発表後に何と云ってるか。 |
東海岸の荒波に穿たれた穴 |
パガット岬への穴 |
北朝鮮の工作員か! つまり免許証不携帯である。 うーん、と唸ると「それじゃ、パスポートでもよござんす!」と追い打ちを掛けて来るでは! パスポートこそ盗まれたら再発行まで2週間もかかり、帰国出来ない。 タンザニアのキリマンジャロ登山で強盗詐欺に遭い、パスポートまで盗まれ既に経験済み。 当然貴重品、免許証やパスポートは一緒にしてホテルの金庫の中。 つまり身分を証明するものは何も無いのだ。 となるとアジア系の身元不明者が米海軍基地に不法侵入を目論んでいると云う事になる。 昨今の北朝鮮と米国の一触即発の状況から鑑みれば北朝鮮の工作員と疑われ、 営倉に放りこまれ厳しく尋問され、 疑いの晴れるまで帰国出来ないなんてことも有り得るのでは! |
入り組んだ洞窟の奥へ ≪「もし、この映画が、一度で観客に理解されたら、われわれの意図は失敗したことになる≫ つまり識閾を含む潜在意識に及ぼすメッセージをクラークは行間に組み入れ、 キューブリックはそのメッセージを画像の深奥にサブリミナルとして刻み込むことに成功したのだ。 だからこそ、観客は鑑賞後、 識閾に残された掴めそうで到達できぬ何かを求めて再び、三度 ≪2001年宇宙の旅≫を観ることになるのだ。 |
透明な洞窟湖出現! |
突然神秘的な洞窟湖が 数回通う内に 曖昧模糊とした識閾の画像は ピントを結び、 やがて木星探査船ディスカバリーは 漆黒の宇宙空間に 鮮やかな精子となって浮かび上がる。 総てはクラークとキューブリックによって 仕組まれていたと気づかない阿呆は、 仙人だけかも知れない、 と思い巡らすことすら出来ぬ、 お粗末な仙人の脳。 |
お粗末な 仙人の脳は慮る。 となると この洞窟の最奥部は 子宮であって、 大地から浸みだし 蒼く透き通った 液体は羊水なのか! |
ボーマン船長は ディスカバリー号 なる「精子」に 乗って、 木星のワギナと なったモノリスに 突っ込んだのか! |
羊水に漂い十月十日を経て ボーマン船長が スターチャイルドとなって洞窟から 生まれ出ずるなら、 仙人も羊水に肖り星の子ならぬ、せめて 数の子くらいにならぬかと 万年見習い仙人はゴクリ! おいおい、羊水呑んでどうすんだ! 胎児の呼吸様運動を真似て、 羊水を肺へ取り込んでも、 星の子にはなれないぜ! |
後から他のトレッカーも入って来る |
あたしに着いて来ておくんなまし! グアムは北朝鮮の核ミサイルの射程圏内にあり、 ここ数か月で観光客は激減しているとの情報を得て、そんなら空いてていいやとノコノコやって来た仙人も、 まさか海軍基地で、とっ捕まるとは完全に想定外。 すわ一大事、そこで仙人は考えた。何か持ってないか!そうだ、レンタカーの貸出前の事前点検した黄色の Vehicle Inspection(点検カード)があった筈。 黄色の用紙を差し出すと超美人のおねーちゃんは、黄金の微笑みを見せ、 「あたしに着いて来ておくんなまし!」と云って、反対車線に飛び出し、ラッシュの車を次々と停車させ誘導。 ところが、検問所に居た上司らしき男の兵士が待ったを掛けるでは! 「おいおい、怪しいぜ、その顔コンピューターに掛けてチェックする必要があるな」 そんな、ジョークにしてもきついぜ、と仙人は顔面蒼白。 |
ティアラにする花 |
ライムの様な実を着ける |
野性のポインセチア |
ジャングルの花々 ガイドのジェッセが 小径から逸れては青い実を 捥いできて噛んでいる。 ポッケから石灰を取り出し 噛んだ実に混ぜ再び噛む。 やがて口から赤い唾がにじみ出る。 パプアニューギニアで お馴染みの光景。 |
ビートル・ナッツの代用の実 |
そうだったのか! この実はビートルナッツの代用品か! 訊いてみたら頷き 「食べるかい?」と差し出す。 身体中が熱くなって脈拍が早くなり 目が虚ろになる。 テンションが上下に変化し やがて立っていられなくなると云うあの ビートルナッツか! |
半分花弁の恋人草 |
ジャングル桔梗 |
2つ合わせると1つの花になる |
一人悦に入る救い難き仙人 ところがだ、若くてボインで超美人の兵士は嫣然と微笑み、上司の命令を無視。 さあ、この絶妙なタイミングを逃したら営倉送り間違いなしとばかり、 仙人は反対車線の車の隙間にレンタカーを突っ込んだのだ。 検問所の兵士は窓から身を乗り出し、何やら銃らしき黒い筒状の金属に手を掛けているでは! オーノー、これで一巻の終わりか! まさか2日後、この海軍基地の上空をセスナ機を操縦しながら飛ぶことになるとは思ってもみなかった。 ざまーみろ、拳銃なんぞちらつかせやがって、其処からじゃ 拳銃ぶっぱなしたって、届かないぜ。と仙人は海軍基地上空を悠々と旋回。 操縦桿を握りながら無意識の裡にあの超美人を探してみたが、いくら何でも観える筈は無い。 それでは美人へのお礼にと操縦桿を左に回し、ゆっくりと右へ回し機体を羽ばたかせサインを送る。 解る筈も無いのに、≪解ったかな!≫なんぞと一人悦に入る救い難き仙人 |
海底時空洞窟から浮上したボーマン船長は仙人を凝視 何故、ボーマン船長から仙人は顔を叛けるのか? 遥か遠方からわたってくる光に照らされ、外縁部をほのかにうかびあがらせているその形のない混沌が、 いまだ星をかたちづくらない物質、いわば将来の進化の原料であることを彼は知っていた。 そこではまだ「時」ははじまっていない。 いま燃えている星ぼしが死んだはるか後に、光と生命が新しい銀河系をかたちづくっていくのだ。 心ならずも、彼はその空虚をわたってきた。 |
仙人の部屋22階の09室からの星光 |
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下の混みあった世界では、 今ごろレーダー・スクリーン上に 物体が閃き、 大追跡望遠鏡が空を 捜しているにちがいない。 そして人びとが考えている歴史も 終わりをつげるのだ。 1千マイル下方の動きに、 彼は気づいた。 |
きらめく玩具 |
身じろぎする死の積荷 |
まどろんでいた死の積荷が 眼をさまし、軌道上で もそもそと身じろぎしている。 そんな弱々しいエネルギーなど すこしもこわくはないが、 彼はきれいな空 のほうが好きだった。 |
意志を送り出すと、 空を行くメガトン爆弾に 音もなく閃光の花が咲いた。 眠っている半球に、短い いつわりの朝が訪れた。 それから彼は、 考えを整理し、まだ試していない 力について黙想しながら、 待った。 |
いつわりの朝 |
つぎに何をすべきか |
世界はむろん 意のままだが、つぎに 何をすればいいのか わからないのだった。 だがそのうち 思いつくだろう。 |
この辺りに住んでいた |
半世紀前の ジャングルと遠浅の海だけの この地にボーマン船長は 還って来た。 |
大和育夫さんて知らない? |
半世紀前のジャングルに浮かぶは高層ビルの蜃気楼か! 半世紀ぶりに還ったタモン湾の浜辺を走る。 海底の洞窟・ブルーホールでダイビングし、嘗て彷徨ったジャングルに入り、 羊水を湛えたパガット洞窟に浸り、更に天空に洞窟を穿ち空を舞いながら時空洞窟を幻想してみた。 星の子が観えるかもしれないと、胸をときめかせ生きていくのも悪くはない。 |
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大和育夫さん、おじいちゃんかな? |
大和さんと来たのはのは此処か? |
恋人を入れ墨した男が肯く |
赤んぼうはタモン湾のモノリスの深みをのぞきこみ ≪すでに人間を超えた集中力をその眼差しにみせて,赤んぼうはモノリスの深みをのぞきこみ、 そのかなたに横たわる様々な謎をー理解するまでにはいたらないがー眺めた≫ そうか時空洞窟への旅だったのか! それで何故、ボーマン船長から仙人は顔を叛けるのかが観えてきたような。 ≪60兆個の細胞全てを星ぼしに変換せよ! そう、肉体を捨て去り意識をコスモスそのものに移すのだ≫ |
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ガスステーションの兄さんにも訊く |
レンタカー従業員も孫かな? |
半世紀後の旅の終わり |
ボーマン船長とのパガット岬での邂逅 やがて赤んぼうはおとなしくなった ≪60兆個の細胞全てを星ぼしに変換せよ!≫ その知的存在のシュプレヒコールこそが仙人が発し続けた究極のマニフェストでは無かったか! 見習い仙人は秘めたる熱望をいとも簡単に見破られ、未熟さをそのまま曝け出してしまった。 となると≪見習い≫すら剥奪され、仙人はただただ混沌の極みに陥るしかない。 60兆個の細胞は1つ又1つと機能を失い、腐敗し細胞膜を消失し唯1つの腐乱卵細胞への旅を始める。 腐敗臭をは放ちながら、液状化した60兆個の細胞は激しく波打ち逆巻き、1つのカオスとなって 存在そのものから、総ての記憶を奪い跡形もなく粉砕する。 混沌仙人となって時空洞窟に潜む生命の臭いを追い求め、混沌そのものへ回帰するしか術は無いのだろうか! |