その143の3ー2017年 神無月
宇宙の蒼を引っ提げてやって来たぜ! コスモスから生まれ出るランドヴェンチャー ネパールに棲む生きた女神クマルのカードが届いた。 密教女神ヴァジラ・デーヴィーとヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿るクマリは、 ネパールの満月生まれの仏教徒の少女が選ばれ、初潮を迎えるまで務めると云う(wikipedia)。 カードには≪今年もお元気でお誕生日を迎えられたことでしょう。おめでとうございます≫と記されていた。 そうだ、今日は73回目の誕生日だったのだ!朝トレーニングでは誕生日を明確に意識していた。 しかしトレーニング後、すっかり吹っ飛んでしまい忘れ去られた誕生日。 |
秋桜とサイフォンの語らい |
林檎もすっかり大きく |
10階までの非常階段10往復を、 ここ2日間、 6往復しかしていない。 アキレス腱痛、膝関節痛、腰痛の いずれかに襲われ肉体的に 階段の登下降が 不可能になることがある。 、 登高回数を減らしたり トレーニングを断念したり することはあったが、 ここ2日間の減少は 肉体損傷が理由ではない。 |
強健でありたいとの願いから 疎外され、6往復で 精神がギブアップしてしまったのだ。 精神も肉体の 一部であると捉えれば、 アキレス腱痛、膝関節痛、腰痛に続き 4番目の苦痛が 精神にも齎されただけのこと。 肉体の損傷は ヤクの使用で回復出来るが、 精神の損傷は 根本的にヤクの出番はない。 |
色付き始めた柿 |
秋桜は宇宙への途 |
さあ、いよいよ別れだ! |
21番目の素数である 73のエマープ (10進法で桁を入れ替えても素数になる数)を 祝福するには、 自らの意識で疎外された願いを 取り戻すしかないと決意し、 朝トレーニング10往復を強行したのだ。 其れだけでは軟弱な意識を 変えることは出来ないと 山荘に移動してから、 そぼ降る雨の中を扇山に向かった。 しかし扇山では、 何故1日に2回もハードトレーニングを しているのかすっかり忘れ、 筋肉の躍動に熱中。 下山後にポストのカードを開いて 73の誕生日が、 ハードトレーニング再開の 切っ掛けだったと思い出したのだ。 |
全走行距離5万6146km!(フェリオ) |
思い切って抱き着いてみようと思った。 頑丈そうでいて、 触ってみるとペコペコ凹むし 予想外に柔らかい。 こいつの上に乗ったら、 きっと悲鳴を上げて拒否するだろうが、 体重を分散させ 寝転がり、抱き着いてやれば、 凹まずに仙人の体重に耐え、 歓びの声さえ発するかも! |
全走行距離9km!(ランドヴェンチャー) |
あれ、凄ーく 柔らかくて寝心地抜群! 脚先のエンジンからフェリオの 動脈血のパルスが 伝わって来る。 仙人の動脈血とアンサンブルし 天空へ飛び出しそう! ディーラーから山荘まで4.2kmを 示すトリップメーター。 オドメーターは9kmを表示してるので メーカの検査走行距離は 9-4.2=4.8km。 うーん、眩しいピカピカの新車だ。 さて生い先短い仙人は このオドメーターを何処まで伸ばすか! 中央右は燃料計、 左はラジエーターの水温計で エンジンのオーバーヒートをチェック。 右側は速度計で 左はエンジンの総回転数を表示する タコメーター。 |
離れがたいぜ! |
≪さあ、雪山へ行くぞ!≫ と告げた日 フェリオは瞳を一瞬キラキラ 輝かせたが、 仙人の顔を射るように暫く 覗き込み、哀しそうに呟いた。 ≪とても無理をして この冷たい白銀の轍に乗って 銀河の彼方へお供します。 けれど20年後の 仙人の誕生月にはお別れせねば なりません。 その日までで良ければ、 どうぞお乗りください≫ |
無謀な雪山への挑戦!(3月の三つ峠山) |
「フェリオ、僕たち一緒に行こうねえ。」 仙人が 見ましたらそのいままでフェリオの もうフェリオの形は見えず ただ黒いびろうどばかりひかっていました。 仙人はまるで そして 窓の外へからだを乗り出して力いっぱい はげしく胸をうって叫び それからもう もうそこらが一ぺんにまっくらに なったように思いました。 |
台風一過の碧空にフェリオが舞い、別れを告げる 左の高芝山から右の小倉山へ曙光は南回帰線に還る 「もう 仙人は思わずかけよって博士の前に立って、わたしはフェリオの行った方を知っています。 わたしはフェリオといっしょに走っていたのですと云おうとしましたが もうのどがつまって何とも云えませんでした。 すると博士は仙人が 仙人を見ていましたが 「あなたは山の上に棲む仙人でしたね。どうも今晩はありがとう。」 と もう二度と仙人はフェリオに逢うことは出来ませんでしたが、 一日毎に仙人の胸はフェリオへの想いが募ります。 やがて想いは胸から溢れ出し、フェリオを失って初めて、フェリオが仙人の60兆個の細胞の総てに 動脈血となって生き生きと波打っていることを知ったのです。 |