その1431ー2017年  神無月


壮麗なる墓標ナンガ・パルバット峰南壁麓キャラバン幻想
1990年8月18日ナンガ・パルバット峰(8125m)に戸高隊員登頂、中島隊員墜死

目を奪われたのはランドヴェンチャーの背景であった。
ヨーロッパアルプスの嶮しい山岳路を走らせ、
さあどうだ、これこそが雪道での軽四駆では世界最強のランドヴェンチャーじゃ!とばかり。
しかし車に魅かれる前に、背景の雪山がグーンと迫る。

せっせと登り詰めたモンブラン、マッターホルン、アイガー、モンテローザなどの背後に更にヒマラヤの峰々が屹立する。
北壁、南壁、西壁と5回も挑み続けた≪壮麗る墓標≫と呼ばれたナンガ・パルバット峰(8125m)が、
僅かに朱を帯びた夜明けの光を孕み、キャラバンハートを駆けるランドベンチャーを見下ろす。
27年前のあの日、戸高雅史が登頂し中島修が頂上直下で墜死した。
その後も挑み続けた我がヒマラヤ隊員は、8名が山に消えた。
最早登れなくなり混沌を深める仙人は、8隊員の眠る≪壮麗な墓標≫をランドヴェンチャーで追う旅に出るのだろうか!



雪道では最強のランドヴェンチャー

車の世界で日本を代表するものといえば軽自動車。
軽自動車が雪道を走ったら、いったいどの車が1番強いのか?
ということをハッキリさせるために各メーカーの主要な軽自動車たちを比較。
やはりジムニーが雪道でも強さを見せ、一位となりました。
以下2位ミツビシ・パジェロ 3位ダイハツ・テリオスキッド 4位スズキ・ハスラー 5位ダイハツ・キャストアクティバ。

ジムニーはフルタイム四駆(常に4輪が駆動輪となる方式)ではなく、パートタイム四駆です。
実はパートタイム四駆のほうが質実剛健、極悪路に向くと言われています。

一位になる理由としてジムニーは前後サスペンション共に車軸式サスペンションを搭載、極悪路での接地性を確保し、
さらにボディーとシャーシが別のスズキ伝統ラダーフレーム式であるため車体への衝撃にも強く、
他の車とそもそもの構造が違います。
ジムニーは男の中の男、真の冒険野郎にピッタリの汗臭い車です。
(自動車ファンcom)



僅かでも狂うと接合出来ない

崖側」にも支柱を打ち込む
微妙な杭打ち

4m×3mもの広い屋根を
4隅の4本柱だけで支えようとしても、
力学的にかなり無理があるのに、
当初はその屋根を
2本の単管パイプだけで済ます

つもりだったのだから、
素人の考えることは恐ろしい。
いや無知なる仙人の考えることは
恐ろしいに訂正。


その2本の柱でしか
支えられていない屋根に乗って、
ポリカーボネート波板を打ち付けるなんて、
まるで自殺行為。

が、これが自殺行為ならば、
当然雪が積もったら、この屋根は
一溜りもなくなく潰されること間違いなし。

と気づいた仙人は3本目の柱を打ち込み、
車の出入りにぶつからぬ様、
更に反対側の奥に
4本目の柱を打ち込む。

最後の2m単管パイプで補強

フェリオとの別れ近し



これがランドヴェンチャーの棲家じゃ!
この屋根、果たして大雪に耐えられるだろうか?

今度こそ小学生の工作ではなくて、せめて中学生並の作品に仕上げようと、設計図らしきものを作成し、
必要資材を書き出し万全の準備で臨んだが、2日目にして、ありゃ、なんだこりゃ!の連発。
先ずは最も重要な基礎となる3本の柱、打ち込みの深さも、鉄の大槌で10回打ち込む毎にメジャーで慎重に計測し、
狂いを最小限に収めた筈なのに狂った。

狂ってもクランプでの位置調整が可能なので、作業を進めたが、
横に渡す梁をクランプで止めようとしたら3本の内、中央の単管にジョイント出来ない。
2点はいつでも直線上に持ってこれるが、3点を1直線上にもってくるのは2次元でも難しい。


縦横の梁を接合

クランプで締める

板材は太針金で固定

それを3次元で実現するには
先ずその3点を同一平面上に
持ってこなければならない。

だが3本の単管パイプを同一平面上に
持ってくることが出来なかったのだ。
で、結局いつもの如く
悔しいが、
掘立小屋しか出来ないのだ。

いよいよ屋根の固定

5本の3m単管パイプに
12Fの板材6枚、4の直管パイプと
10の波板8枚で
屋根を作るとなると、相当な重量になる。

それにしてもメートルとフィートと尺が
入り混じった資材では、
どうしてもピッタリ収まる筈は無い。
掘立小屋にならざるを得ないか!

笠釘を波板の凸部に打つ

その屋根の重量を片側の支柱だけ
で支えるとなると、
その柱に掛かるモーメントは
かなり大きくなる。
 
今はきちんと立っていても、
そのモーメントを柱が支えきれず
やがて倒壊する
危険性を考慮すると、
柱の補強を考えねば。

先ずは柱を支える2mの
単管パイプを斜めに打ち込み補強。
柱の数を2本から3本にしたが、
更に2本打ち込み
5本にしたらどうか?

板材の無い部分は針金固定

槍に向かっての遥かなる旅立ち
笠ヶ岳山荘発 5時40分 稜線上のたった一人の旅人
2015年8月4日天空に屹立する槍の穂先に向かって、ランドベンチャーはひた走る。

この微妙な緑・クールカーキパールメタリックは、ランドベンチャーだけの彩である。
カーキーグリーンを車に使うのは、明らかに深い森のヴェンチャーを意識しているのでは!
一目で魅せられた。きっと山荘の森の駐車場にピッタリだろう。
そこで実物を観たいとネットで探し回ったが、関東近県には見当たらない。

甲府のスズキアリーナまで出向いて調べてもらったら、長野県の飯田市に1台あると判明。
えっ、幾ら何でも飯田市までは遠過ぎるぜ!
仕方ない最初から欲しかった宇宙の蒼を染み込ませたノクターンブルーパールにしておこう。
そう決めたが、もしや、このカーキーグリーンの実物は画像を超えた深遠を湛えているのかも!
宇宙の蒼を選んでも悔いはないが、ある日何処かでこのカーキーグリーンを目にしショックを受けるかと
想い始めたら、どうも落ち着かない。

そうしたら福田オートから電話が入り、クールカーキパールメタリックを持ってこれる目途がついたと云う。
早速出かけて実物と対面。残念ながら闇が強すぎて緑が死んでしまっている。
長い星霜を経れば、この彩はしっくりと心象に馴染むだろうが、今はまだ命の緑が欲しい。
そこで当初の通り、ノクターンブルーパールメタリックに決定したが実物は未だ観ていない。
果たして夜想曲の蒼は、山荘に溶け込むことが出来るだろうか!




水漏れチェック

雨水の落下方向確認

合格!問題無し

 これだけでは未だ不安なので
各柱には2mの単管パイプを
補強支柱として打ち込んだ。
しかし4隅の内、手前の右側は
車の出入りに邪魔になるので、柱無し。

この柱無しの屋根に乗って、
ポリカ波板を打ち込むのは極めて危険。
そこで此処に脚立を立て、
微調整にブロックを積み仮の柱にして
屋根を葺くことにした。 


さて、次は床にコンクリート打ち 
このアイディアは大当たり。
無事に屋根を葺き終わったが、
問題は床となる
地面のコンクリート打設である。
計500kgのセメントに水を加えて
溶くだけでも大仕事。

ミキサーが無くては
とても出来る仕事ではない。
そこで石卓下から電源を30m近く引いて、
陶芸用の釉薬攪拌機をミキサーにして
コンクリート打設開始。 

板材の梁に銀を塗したら鉄と板が和音に!
不協和音奏でる天井

屋根材のポリカ波板を
打ち付けるには
木材板が必要になる。
ところが柱、梁は金属で、
屋根材はポリカーボネートときては、
板材が浮いてしまう。

天井に目をやる度に
不協和音が鳴り響くのだ。
そうか、いっその事
この板材をシルバー塗装してしまえば、
金属系の色彩となり
不協和音が和音になるのでは!

早速シルバーのラッカー塗料を
吹き付けてみたら想定外の効果。

板材はシルバーの装いで
単管パイプや
ポリカーボネイトと
和音を紡ぎ出し、すっかり同化。 

掘立小屋を超えて
ある種の
美しささえ垣間見せるでは!
(なんぞと自画自賛する愚か仙人め!)

次の問題は床に打ったコンクリート。
水を流してみて凹凸を調べたら、
明らかな水溜まりが2か所出来た。

これを埋めないと
洗車の度に足元の水溜りに悩むことになる。
凹みを埋めるセメントを
2回にわたって流し込む。

ブロック塀の支柱部分の溝も
スプーンを使ってセメントで埋め、
何とか駐車場らしくなったかな。

20年間も山荘に登り続けたフェリオ




ポルトランドセメント25kg
床のコンクリート打を始めて今日で3日目、
なんとかけりを付けなくちゃと
夜明けからフル回転。
一番の厄介事はセメントを如何に短時間で、
最小限の労力で溶くか!

セメントも小麦粉などと同じ様に、
粉を先に入れてから水を入れる。
水の中に小麦粉を入れると
ダマ(玉)ができてしまい、
いったん出来たダマは被膜を作り
幾ら撹拌しても溶けない。

それを良く知っているので
今までも信じて疑わず律儀に
セメントでも同じように後から水を入れていた。
ところがセメントは重いので、
ミキサーで幾ら撹拌しても底やバケツの側面に
張り付いたセメントは溶けない。

そこで移植鏝で剥がすのだが、
容易には剥がれず
労力と時間をとられ、めっちゃ大変!
思い切って水の中にセメントを入れて撹拌したら、
ありゃ、何と5分の1の短時間で
溶かせるでは!
これでピッチが上がり、
夕刻までに目安が付いた。

うーん、こりゃ目から鱗!
何でも常識を鵜呑みにせず、
先ずはやってみるもんだと実感!
コンクリート打の表面仕上げは
鏝では上手くいかず、ネットで調べたら
箒で均すとザラザラ感が出ていいとか。
早速実行してみたら
簡単に表面を均すことが出来、大正解。

4m×3mの屋根を支える柱の強度
が心配なので、
今日、更に3本の柱支えの
バットレスを打ち込んだが、最後まで打ち込めず
途中放棄。
腕も肩も筋肉痛でバリバリ。

ミキサーで撹拌

ワイアメッシュの上に流し込む

橋を掛けワイアを埋めていく

次は枠を外してコーナリング

最後は箒で表面処理


薔薇の放つ妖しい血の潮騒
奥庭で咲き続けるアンネ薔薇の囁き

畑に追われながらも仙人は気が狂いそうな程、脳がスカスカになり閑でひまでしょうがないと嘆く。
しっかり奥庭で仙人を観察しているのは、厳寒期を除いて1年中咲き続けているアンネ薔薇。
「そろそろ限界かな、これ以上放っておくと仙人は鬱に陥り、闇から抜け出せなくなる。いよいよあたしの出番よ」と薔薇がほくそ笑む。
「先ずは薔薇の露を夜明けの光に滲ませて動脈血に潜り込ませ、とんとんと仙人の命を叩いてみよう!」

そりゃ闇はいつでもおいでと誘い、ねっとりと仙人の命に絡み着くでしょうが、
そうはさせるもんですか!≪闇から脱出するペガサスを遣わしてあげましょうか≫ とんとん。

ベタベタと闇のタールを滴らせ、仙人はそれでも自らの命の声に耳を傾ける素振りを見せ、動脈血との会話を試みる。
「そうなりゃこっちのもんよ。」と薔薇。
≪さあ、いい加減にフェリオを捨ててランドベンチャーを手に入れ、新たな旅に出なさい。
どうやってランドベンチャーを手に入れるかって?
先ずは森の中にランドベンチャーの素敵な棲家を造ってあげなさい。≫

えっ、そんなことで仙人は駐車場を造り始めたの!
果たしてそんな土方紛いのやっつけ仕事で仙人は本当に鬱の闇から、脱出できるのでしょうかね!



ど素人仙人が何故駐車場?

何故かって!実はあたしのオペよ
闇の中で
感覚を最大限に研ぎ澄まし、
虚空に潜む幽し音色を探し求める。
音量を極限まで絞った
小さな2つのスピーカーから「早春賦」が、

フルートに乗って微かに流れる。
余りにも微かな響きなので、
音色は所どころで
闇に吸い込まれる。


昨日の土方仕事で全身筋肉痛で
眠れそうもないので、
筋肉の強張りを改善する
ミオリラーク50mgを夕食後
2倍の100mg服用し、
就寝前に更に1錠追加。

同時に痛みを和らげる
ロキソプロフェン60mgを呑み
本を読みながら眠りを待つ。
3時間後に目覚めてしまうが、
このまま起きて
活動を始める訳にはいかない。

ほら、こんな風に光を発して

そーら造りたくなーると魔法をね!




さあ、森の中の駐車場が出来たぞ!
幾ら何でも睡眠時間が短すぎて、
翌日の危険な土方仕事に
支障が出ることは間違いない。
下手すれば致命的な
事故につながりかねない。

そこでベッドに体を横たえたまま
虚空と対峙し、
あと2時間程は体を休ませようと
ステレオのスイッチを入れ、
幽し音色に身を委ねたのだ。

数キロある鉄の大槌を
連日振り下ろし続け、
遂に親指と人差し指の間が
内出血し痛みが酷い。

バイクの方向指示器釦の操作は
この左手の親指で行うが、
その釦さえ痛みを堪えて
やっとこさ押している始末。
その指と指の間に
「早春賦」の音色が滑り込む。
もっとしっかり響きを確かめるため
左手をいっぱいに拡げ、
指の間に感覚を集中する。

無数の細胞が
痛みに怯えながらも、
生命の復活を告げる春に
想いを寄せ、
芽を吹き出そうと試みる。

掌をいっぱいに広げ
指の間に母の乳首を挟み、
生命の唱を聴いた幻想が
不意に湧き起る。

乳首を人差し指と中指の間に移すと
「城ヶ島の雨」が、
更に指を移すと「荒城の月」がと、次々に
日本歌曲が
乳液となって溢れ出し、命を謳う。

やっぱ、掘立小屋かな!

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