その141の4ー2017年 葉月 |
夏と共に去りぬ蜩コーラス 去来する雲はただ冷たく、蜩の声はもう聴こえません 蜩の声は聞こえません。でもよーく耳を澄ますと何か木魂の様な響きを感じませんか! この木魂の深さから判断すると、どうも50年以上も昔の仙人の学んだ、大学のキャンパスから届いているようです。 内容を思索する場は30年前の夏、仙人は確かヒマラヤの8千メートルの高峰ナンガ・パルバット峰に居た筈。 つまり50年前の思索が、その20年後のヒマラヤで回想されているような。 ちょっと聴いてみましょうか! |
Ⅰ リーマン空間 痛みと呼吸困難の中に、彷徨する意識が混入し、一つの像を結び始めた。 |
山荘の森は茸で賑わっています
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あれっ、卵から真っ赤な卵が! |
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相対性理論を中心に据えた 自然論であり、人間論であり、 格調高い講義であった。 5月当初、50人近く居た学生も 1月、小金井が寒気に すっぽりと包まれる頃には、 私と友人の笠井を含めて 10人程しか残らなかった。 当時、相対性理論を理解出来る者は、 日本に10人は居ないであろうと 囁かれていた時代であり、 その講義には「人類の叡智の総てが 込められているに違いない」と 私は期待した。 アインシュタインの重力場に 於ける光の偏倚を実証した ロンドン王立協会会長のタムソン卿は、 |
「アインシュタインの一般相対性理論は 人類の思考の歴史に於ける、 最大の業績の1つである」と称えた。 高所風が、ヒルヒルと流れる、 まだ夜は明けていない。 雪は止んだのだろうか。 宇宙に突き出したヒマラヤの 小さな突起に身を晒し、 眠れぬままに、C+C=Cを 示した階分数の式を追い求める。 あの日の図書館での 宇宙への落下が30年後のこの瞬間、 再び甦る。 私がナンガーパルバットの山稜で ビヴァークしながら、 30年後に再び 宇宙への落下を開始するのは、 必然であった。 |
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みるみる大きくなって! |
ほら、とうとう立派な茸に! |
ちょきクリーム |
リーマン空間からやって来て、 生命のバリアー、緑のオアシスで、 しばし保育された知的存在は 保育器である細胞を捨てて、 リーマン空間へ回帰しようとしている。 回帰への意図は潜在したまま、 知的存在を操る。 芸術や宗教や化学を育み、 「出発せよ」と囁き続ける。 中島が苦しそうに、 立て続けにゴボゴボと咳をする。 目を覚ますと思ったが、 そのまま眠り続ける。 アタックコートのポッケより 取り出した手帳に、 幾つか数式を書いてみる。 昨夜の交信で指示した、C2から C3へ上げる荷のリストの横に、 すっかり忘れていた の式を完成するまでに1時間以上 かかったような気がする。 この階分数が、ニュートンの世界でも 成立するかどうか考えてみる。 ガリレオとニュートンは 緑のオアシスに歪まぬ空間を見い出し、 暗黒の中世の物理学に 革命をもたらした。 知的存在のエポックメーキング の瞬間であった。 点の運動を時間tと距離xを用い、 X=V t なる惰性系で表現し、 速度Vの値を変えることにより、 無数の惰性系を 原点の回りに回転させた。 無数に存在する種々の世界は、 単純な数式X=V t により、 総て原点のぐるりに集められた。 その惰性系では、 力学の法則は総て成立する。 世界は熱狂した。 偉大なる2個の知的存在は、 生物に模した中世の物理学の支配する 暗黒の世界に 光をもたらした神であった。 力学以外の物理現象も、 歪まぬ空間の真実を表現した2人の 神の数式を基本にして再構成された。 ニュートンの世界は、 生命バリアーの張られた 緑のオアシスを 象徴する真理であった。 |
モンブラン |
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卵の笠親分 |
笠3兄弟 |
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雪降り唐笠 |
相合い傘 |
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アーメンそーめん |
龍の卵 |
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温和で、水と緑に 満ちたその世界では、 長さは変わることなく、 時は常に一様に流れ、 物質は物質であり続け、光は直進した。 もちろん同速度VとVの加法は、 V+V=2Vであった。 絶対空間は存在し、あらゆる存在は、 ニュートンとガリレオの神の元に、 平安であった。 C+C=Cなる物理学は 断じて許されない神への反逆である。 まず階分数のV₁とV₂に 光速Cを代入する。 分母は2になり、分子は2Cになり、 確かに階分数の値はCになる。 次に光速の30万㎞/secに較べると、 限りなく0に近い値、 音速の0.3㎞/secを V₁ V₂に代入する。 |
食べかけチーズケーキ |
分子のV₁ V₂の積は 9×10⁻²となり 分母のC²は9×1010となるので V₁V₂÷C²=10-12になる。 1兆分の1である。 緑のオアシスでは計測不能な、 限りなく0に近い1兆分の1は、 意味がない。 当然分母は1になり、 分子のV₁とV₂の和は0.6になる。 つまりV+V=2Vなのだ。 音速の速さで飛ぶ飛行機から、 音速と同じ速さのロケットを発射すれば、 音速の2倍の速さでロケットは飛ぶ。 しかし光速で飛ぶ飛行機から、 光速ロケットを発射しても、 そのロケットは 観測者に対して、静止し続けることを、 この階分数は示している。 C+C=Cなのである。 |
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花笠饅頭 |
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焼立てパンケーキ |
アインシュタインは 生命のバリアーを超えた、 遥かな空間に呼びかけ、 思念を凝らし、 意識を集中し、 特殊相対性理論を完成し、 この速度の加法公式を導いた。 |
白箒ポッキーチョコ |
霜降り栗饅頭 |
ガリレオとニュートンの 築いた真理の王国を、 あっさり突き破った アインシュタインは、当時僅か26歳、 1905年のことであった。 アインシュタインに初めて、 「出発せよ」と囁いたのは、 羅針盤であった。 |
1つ目兄弟 |
4歳の時父に 見せてもらったその針は、 常に明確で, ある一点を指し続けた。 誰が・・・・・・・・? なんのために・・・・? そしてその点の意味は・・・? それは強烈な衝撃であった。 |
食べたいお菓子の森 |
そして彼は 出発せねばならなかったのだ。 出発後、最初に登りつめた頂点で アインシュタインは、 この階分数と邂逅した。 階分数はガリレオの真理の王国と、 頂点から見える 新しい地平線の彼方を結ぶ、 5次元リーマン空間への パスポートであった |
鬼雪だるまとアリンコ |
魚カルパッチョえっ、これも茸? |
達磨さんが転んだ! |
嘲笑うボン・シルバーに同調する虹 クソ面白くもない、何がリーマン空間じゃ、自由研究が聴いて呆れるぜ! 「しかしなんだな、 ≪奇妙なことに、それは同時に自分自身の内部への落下であった≫ の部分だけ肯けなくもないな! つまり仙人は中学生の餓鬼の頃から、ずーっと落下し続けていると云うわけだ。 で、どうなんだい、一体何処まで堕ち続けるんだい? えっ、なんだってー、≪虹の彼方に≫までだって!阿呆臭くて洒落にもならんぜ」 とボン・シルバーや虹にまで嗤われて混沌仙人はすっかり意気消沈。 山荘とともに魔法の国オズへ堕ちた仙人は、果たして、少女ドロシー・ゲイルのように、 知恵がない案山子、心を持たないブリキ男、臆病なライオンと出会うことが出来るのでしょうかね? そして再び山荘に戻って来れるのでしょうか! |