早春の雪崩に消えた8人を悼む混沌仙人


その1371ー2017年  卯月

迫りくる雪雲・里はすっかり雪化粧
3月27日(月)雪後晴 この日、那須温泉スキー場の雪崩で8人死亡

吹雪、それも地吹雪の時が一番恐ろしい。
雪崩が巻き起こす原爆の茸雲のような雪煙が地吹雪に紛れ、雪崩の襲来を感知することが出来ない。
地吹雪の大量に雪を孕んだ激風が一瞬で雪崩にとって代わり、登山者を巻き込む。
後続する雪の津波が巻き込んだ登山者に覆い被さり、更に深く登山者を沈め、
ギリギリと雪の圧力を増し、登山者の身動きを奪う。

山に挑もうと訓練に励んでいた高校生らを、突然の雪崩が襲った。
二十七日朝、那須町湯本の「那須温泉ファミリースキー場」付近で、登山講習会に参加していた県内の高校生や教員らが雪崩に巻き込まれ、
大田原高校の男子生徒ら八人が心肺停止となり、多くの生徒がけがを負った。
県は陸上自衛隊に派遣を要請。消防や警察などと連携して懸命の救助活動を展開した≫
(東京新聞:藤原哲也)


 キャンプ2を襲う雪崩
ナンガ・パルバット峰(8125m) 1983年遠征の記録より

呼吸しようと足掻いても口を開くことすら出来ない。
僅かに呼吸出来たとしても、呼吸によって出来た小さな空間は表面が凍結し雪に含まれた空気をも遮断する。
数分で酸欠による失神に陥り、雪で固められた肉体は体温を奪われ、やがて死に至る。
K2峰、ナンガ・パルバット峰などを一緒に登った成田隊員は、そうして彼岸へ旅立った。
仙人も数回雪崩に巻き込まれ、尚此岸に留まっている。

山荘周辺の山々を駆け巡り畑を開墾し、共に汗した成田を雪崩の下から掘り起こし
再び此岸で時間を共有することは出来ない。
しかし成田の想いを振り下ろす鍬に込めて、畑を耕すことくらいなら出来るかもしれない。




ボン・シルバーの角のキウイ、ご馳走様!
鵯の嘆き!

解っていました。
どんなに努力をしたって、
一途に想いを一点に収斂したって、
その熱が炎となり、
凍結した厚い雪の壁を融かす
ことなんて出来はしないと。

と云うか、努力や想いが
老化と共に
意味の喪失に侵され、熱量を失い
蜃気楼だけが只管に
不毛の砂漠を
彷徨い歩く状態になり果て、
最早、収斂しても炎にはなり得ず、
死を待つのみだったのです。
ふん、ふん、又訳の解らんことを
鵯の奴、囀りだしたな。
≪つまり努力も想いも
続かなくなって、その努力や想いを
にひりすてぃっくに色付けし更に
不毛な砂漠なんか持ち出し、
独りよがりな自己肯定に浸ろうと
云う訳か?

それでどうしたの?
里も山も雪に覆われて、
食べるもんも無いし
おいらの角にやって来て、
キウイ食べながら
嘆いているのかい!≫

カーテン越しに撮ったら角にピントが!


雪解の花でーす

雪に押しつぶされた水仙
11月から5月迄
登山全面禁止だって!

慌てふためいた栃木県教育委員会。
「11月から5月の間に
高校の部活動で登山することを
全面的に禁止することを
検討することになりました」
と記者会見で発表。

何という貧しさ。
慌てふためき自己保身に汲々とする
小役人の醜態そのもの。

若しかすると
検討はこの急場凌ぎで、
「検討を重ねた結果、やはり
安直な禁止措置で逃げてはいけない。
今後更に研鑽を重ね
遭難事故を未然に防ぐ努力をし
積雪期登山活動を
認可することにしました」なんて
ことにならないか!

雪の大地から上がった水仙

雪解の水晶に小倉山が逆さに



咲き初めた白梅を襲う名残雪
死の雪に超然と咲く白梅

檀香梅を扇山南森の
2か所で見つけたので、
きっと上条の森にも
咲いているだろうと座禅草公園から
峠に出て、稜線のそぞろ歩きを愉しむ。

座禅草は先々週観た時から
成長が止まったが如く小さいまま。
そのうえ数も少なく数年前までの
見事な群落はすっかり消えてしまった。
稜線に出てから
檀香梅の黄色い影を求めて
森に目を配るが、
冬枯れの無数の枝は、いずれも
硬く身を閉ざし早春の兆しも無し。

大体、檀香梅なるものに
始めて出逢ったのは上条の森。
この上条の森では彼方此方で
見かけた記憶があるが、
稜線から平沢に下る森の何処にも、
たった1本の檀香梅をも
見つけることが出来なかった。

重く凍てつく雪を背負って咲く



紅梅も咲きました

誰が?新標識デビュー

膨らむ壇香梅
もしや片栗の森が伐採され
巨大メガソーラーが建設されたことと
関係があるのだろうか?

いや片栗の森からは
座禅草公園だって
数百メートル、上条の森なんぞ
もっと離れているのだから、
いくら何でもそこまで影響を
及ばすとは考えたくはないが、

野生の植生連鎖は
仙人が考えている以上に
繊細で複雑なのかも知れない。 

仏の座の笑顔

何だか春蘭までも微笑んで



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