2131ー2023年 葉月


初めての夜明けの虹
7月26日朝4時55分イオテラスから



あれー、ROXYが変だぞ!
そうか、ほんとは桃菜は虹の方を観てるんだけど、
それでは、興味津々の桃菜の顔が
見えなくなってしまうから、
よいしょと桃菜だけ反転させたんだな!

仙人の術は未だ未熟だからROXYまで反転させる
ことが出来ないんだと
山荘住人のボン・シルバーが
せせら笑って言ってました。
うあー、大変だ!
お山が燃えている!お空も燃えている!
大きな虹があたしを呼んでいる!
ビッグツリーの赤い靴が炎になって光り輝き、
あたしを何処かへ連れて行こうとしている!
あの赤い靴はあたしのだったのね!

 
 
虹の光を背に受けて
煌めく桃菜

7月20日 Hilton Tkyo Bayから山荘へ



猛暑登山


連日記録的な暑さが続く今年の夏は、未だ梅雨明け宣言が出たばかりというのに、
37
度や38度は当たり前、39度を超す場所も出ている。
そんな中、山荘周辺の山々を連日登った。

小倉山、仙人山、扇山から仙人山、最後は上条の森から上条山・小倉山を縦走。
朝の涼しいうちに、畑仕事の前に実践と言いながら、なぜか毎回登山前に何かしらの仕事が入るのだ。
それでも
10時ごろには山に向かう。【小倉山へ】小倉山入口までは、炎天下の農道を遮る影も無い中を歩かねばならない。
早朝ではないので、果樹畑にも働く人はいない。
日照りの農道を歩くと、まるで村そのものが無人化したかのように何処からも、
人の声も犬の鳴き声も、生活の音すら聞こえない。

しかし、桃畑には収穫間際の桃がたわわに実り、葡萄畑はそれぞれの種類に色分けされた袋が掛けられ、
所々にある水田には明るい緑が美しい青田の波を翻し目に涼しい。この村の人たちは本当に良く働くのだ。
だから、村を巡る水は豊かで、高みから眺めやる村はいつも美しい。



あれー、森に白い光が! 
 森テラスで食後の珈琲を飲もうと
珈琲ミルから珈琲メーカーの
濾過カップに砕いた豆を移したが、
カップがセット出来ない。

今までそんなこと無かったので
変だなと思いながら
ふと視線を上げて
小楢の 森を見上げると
下生えの藪に僅かに白い光が。
変だな、あんなところに光は無かった。
 
森に出てみると濃厚な甘い香り。
うおっほー、山百合ではないか!
山百合が欲しくて
奥庭でも育てたが、猪や鹿に
根を喰われてしまうので
栽培出来なかった。

そいつが森に突然出現するなんて
こりゃあ奇跡じゃ!
山百合の替わりに育てたカサブランカが
ジェラシーの一撃!
「どう、珈琲は呑めたの!」

もしやカップをセット出来ないように
仕組んだのはお前か?


もしや山百合が咲いているのか! 




まさか!山百合が咲くとは!
山百合は
発芽から開花までには少なくとも
5年以上かかり、また株が
古いほど多くの花をつける。
風貌が豪華で華麗であることから、
「ユリの王様」と呼ばれる。
鱗茎は生薬、食用となり縄文時代には
既に食用にされていた。
(wikipedia)
 
山百合根は猪、鹿の大好物!

  奥庭で育てた山百合も全滅したのに!

カサブランカは今年も咲いた! 

カサブランカは
純白の大輪の花を咲かせ
「ユリの女王」と評される。
日本での開花時期は6月 - 8月であり、
花の直径は20㎝にもなる。
ヤマユリ、カノコユリ、タモトユリなどを
原種とする
オリエンタル・ハイブリッドの栽培品種

栽培は比較的難しい。
(wikipedia)

ドームの貴婦人の如し!




猪の仕業

登山道に着くまでに汗が噴き出す。
一歩森に踏み入れば、そこからは別世界。木々に包まれ、一気に空気が爽やかになる。
座禅草の木道を歩き出すと、清らかな水の流れが涼やかな音色を紡ぎ出す。
大きく繁った座禅草の葉の群れに、木漏れ日が零れる。
スポットライトが当たったように、所々に鮮やかな緑が浮かび上がる。その景色もまた目に涼やかだ。

ところがその座禅草の群れがあちこちでなぎ倒され、地面が無残に掘り返されているのが目立つ。猪の仕業に違いない。
ぐるりと設置されている電気柵も役に立ってはいないらしい。
座禅草の根には毒が含まれているので、根っこを食べるのが目的ではなく、土中に潜む虫たちが目的なのだ。
猪には猪の道理があるのだけど、やっぱりこれ以上は荒らしてほしくはないなと、人間は勝手なことを念じる。

ゆっくりゆっくりと登り、山頂の四阿に着く。
此処も随分と腐食が進み、特に
2階の手摺はボロボロだ。
あたりの木々の成長は著しく、夏の葉が繁った状態だと、山荘を探すのも大変。
それでも四阿の上まで登ると、ちょっと達成感もあるのだ。


桃から生まれたのはヴィーナスだったのね!と桃菜
8月5日(土)晴 山荘玄関の桃と戯れる桃菜

木彫り職人の村マスから運ばれた≪藝術としての木彫り作品≫を2005年7月、バリ島デンパサールのバドゥン市場で見つけた。
それから18年ヴィーナスは山荘で星霜を重ね、透き通る褐色の肌はすっかり老いてシミが広がり斑になってしまった。
ヴィーナスの胸を飾る鋭くカーブした鮫の歯のペンダントは、時を超越した耀きを放ち老いた肌を語る。
恥じらっているかのように眼を閉じ顔を伏せるヴィーナスと、興味津々と瞳をキラキラさせ昂然たるポーズの桃菜!

木彫り作品を求めてバドゥン市場を彷徨い歩き、数百の藝術品を観て回ったがどれも仙人に訴え掛けては来ない。
1,2階が木彫り作品で埋め尽くされた広いビルの2階に昇り、壁の片隅に捨て置かれた如く佇む
1m以上もある2体のヴィーナスを見つけた時、ヴィーナスは確かに、仙人に向かって微笑んだのだ。
15世紀、1本の木からヒンドゥー教の高僧ニラルタは美しいヴィーナスを彫り出し、感銘を受けたマス村の人々が受け継いだ木彫り作品。
《逢いたかったぜ!》 仙人は2体とも即購入し山荘住人として迎い入れ、豊穣なる生命を共に讃頌してきた。
そして十数年後、桃菜との邂逅。
もしや高僧ニラルタが森の木から彫り出したヴィーナスは、十数年の時空を超えて旅して来た桃菜!



西瓜ゴロゴロ!

  初夏2度目の種蒔きが遅れて
現在サニーレタスは、僅か3株が
3cm程に成長したに過ぎない。
でもって朝食の食卓に並んだ野菜は、
檸檬、胡瓜、人参、トマト、玉葱。
だが野菜サンドに欠かせない
サニーレタスが無い。

まっ、それもいいかと生ハムを
檸檬の輪切りに巻き付け、
生ハムの上にトマトを載せガブリ!
おーこれって凄く新鮮な味だぜ!
じゃ次はスモークサーモンを
スライス胡瓜に貼り付け、
 
引力によって延びた南瓜だ!

玉葱と人参の薄切りで挟んで
みたらどうだと、口にいれて
嚙み締めた途端、山荘直下の
桃畑から女性の声が!

「おはようございます。
桃持っていってください」 
昨日の雨で畑はぐしょ濡れなので
こんな早くから畑に人が居るなんて
思っても見なかったので吃驚!
最初は観ていたTV画面からの
声かと勘違い。
うーん、ステレオ効果も随分進歩したな。
まるで外からの声のようだと感心。




桃、西瓜、トマト 食三昧

だが画面とセリフが合わないと気付き、
慌ててドアを開け下を見ると
籠一杯に桃を入れて
石段下で待ってる坂下さん。

大好きな美味しい桃なので嬉しいが、
既に冷蔵庫、冷凍庫も満杯、
よーし、こうなったら
朝晩、桃を主食にして食べまくるぞ。 
そういえば本当の仙人は桃を食べて
仙術を会得し、永劫の命を
授かる
とか!


あれっ、又桃が並んでる!

鉄葎(カナムグラ)との闘いに敗けず!

1茎に6個の豊穣トマト!

うめー、と思わず叫んでしまった。
冷蔵庫が満杯で折角収穫した
大きな西瓜が、窯室の床にゴロゴロ。

このままでは
腐ってしまうのは解っているが、
どう工夫しても大きな西瓜を
冷蔵庫に入れることは出来ない。

かと言って冷やさない西瓜を
食べるなんて許されない。
西瓜に対する冒涜である。
なんたって西瓜は
冷やして食べるに限る。



肉厚で生食にピッタリ!

しかし腐らしてしまったら
冒涜どころか、見殺しである。
そこで仙人は冷蔵庫をつめに詰めて、
大型タッパー4つ分の隙間を確保し、
大西瓜1個を切って

八つ切りにし
更に皮を切り取り、
赤い果肉の部分だけを
タッパーに詰めて
何とか冷蔵庫に収めた。
さて夕食後のデザートに、
愉しみにしていた西瓜を出し、
一口あんぐり!

ピーマンが鳩になった!仙術じゃ! 

でもって冒頭の、
うめー、と思わず
叫んでしまったとなったのである。
あんまり美味くて大型タッパーに
詰まった西瓜を
全部食べてしまった。

でもってそれだけでは我慢できず、
更にもう1タッパーに手を出し、
おなかがパンパンになって、
動けなくなりやっと中止。

ピーマンの種に兎出現!仙術じゃ!



仙人山へ

仙人山へは北の森を抜け、樹林帯を登って行く。森の中だから、強い日差しに晒される心配もないのはありがたい。
それでも稜線に出るまでは、風がほとんど無くて暑さが応える。
森のテラスからの景観を少し遮る灌木を、出発前に電動のこぎりで伐採、切り取った枝を森の奥に捨てるという、
それなりにハードな仕事をこなしての登山だ。

登り始めるときは、いつも少しの不安が付きまとう。上まで無事に行けるだろうか?
仙人山は途中にゆぴてる峰があるのが救いだ。
目標はゆぴてる峰と思うことで、不安が強いときには気が楽になる。
ゆぴてる峰迄行ったら引き返そうと思っているときも、実際にゆぴてるの標識に触れると、その先に進む気になって、
結局今までは仙人山の山頂を踏まずに戻ってきたことはなかった。

足の痛みはたいていの場合歩き初めにぎこちなさや硬さに伴って痛む。
登り始めてしばらく経つと、いつの間にかそれらの違和感が消えて、足運びも滑らかになる。
登りより下りでの不調が気になることが多かったのだが、今回は何故か下りになっても痛みや違和感をほとんど感じずに、
仙人に大幅に遅れることなく行動できた気がして嬉しい。

あとどれだけ、こんな風に山を自由に歩けるのか分からない。そのことが分かっているからこそ、
一回ごとの山歩きが心に齎す豊かな充実感は、何にも代えがたい大切な時間なのだ。
夏の仙人山への登山道は、樹木が茂りまるで大きな緑の天蓋のようだ。
その分眺望は悪くなるのだが、日差しを遮ってくれるのは何よりだ。
来るたびに倒木が増えているような気がするが、それだけ大きな古い木があるのだろう。
森も絶えず新陳代謝をしているのだ。頂の倒木も益々貫禄を増してきたように見える



この山荘向日葵直径30cm以上あるんだよ!と桃菜
8月7日(月)晴 大きく育った山荘向日葵は闇と時を支配するフィボナッチ

あたしは2021年2月4日19:00に誕生した、およそ87万6600時間を宿す37兆個の細胞の集合体です。

フィボナッチ数列を為す向日葵の37兆個の種に、87万6600時間の生命を注ぎ込む時計。
無数、無限にさえ思える37兆個の種と87万6600時間が、あんぐりと口を開いた漆黒に呑み込まれていく。
桃菜は両手をいっぱいに広げ、無数や無限を超越した漆黒の侵食を食い止めようとしているのか、
それとも漆黒そのものの彼方へ飛翔せんと試みているのか!



滝上で小さな花・姫藪蘭発見!
さて仙人山に登ろうか、
扇山に行こうかと
奥庭から石垣を登って滝上に出ると
桔梗の紫が出迎え。

足元には
小さな小さな紫がポツン、ポツン。
あれっ、花かな!
屈みこんで眼を近づけると6つの
花弁を持った花だ。
山荘で初めて見る花・姫藪蘭。

 
 
桔梗と姫藪蘭がお揃いで!

上向き橙色に咲く野萱草!
 
前庭で突然咲いた
紅カラー・阿蘭陀海芋!
 
光を孕むアンネ薔薇!

林檎畑の蛍草! 

姫藪蘭の発見には驚いたが、
もっと意表を突かれたのは、
前庭に突然咲いた紅のカラー。
玄関先に移植した覚えは全く無い。

もしやカロスキューマの仕業か!
カラーはギリシャ語のカロス
に由来するとか!
ユリ科なので球根を原産地の
アフリカから呼び寄せる
にしてもちょっと高度な仙術が必要。
未熟な山荘仙人には
未だ無理だし!

そうそう和名の阿蘭陀海芋
江戸末期の1843年に、日本に渡来した
からだとか!

冬駐車場に咲く擬宝珠!



扇山から仙人山へ

今回は仙人山の頂に2度も立てた。
2回目は扇山を登ってからそのまま稜線を仙人山へと縦走するルートだ。
扇山から仙人山へと向かう稜線は、仙人も久しぶりに歩くという。
元々仙人山から扇山へと向かうことはあったが、逆コースは珍しいのではないか。
嘗てはヒマラヤ登山のためのトレーニングコースとして、
扇山から延々と坂脇峠まで走るようにして駆け抜けたこともあった。

ついこの間のことのようだが、今はとても出来ないだろう。
あの頃だっていつも自分の力の無さに挫けそうな思いを味わったが、
それでも全力で山と向き合った日々があった。
それらの時間があったからこそ、今、山を一歩ずつ踏みしめるときに、
形容はしがたいが足裏から込み上げてくる歓びのようなものが味わえるのだと思う。
「山は逃げる」以前隊長が口にしていた言葉。それは真理だ。この年齢になったら実によくわかる。


空中浮遊して伐採する仙人・・・中庭からの画像
8月3日(木)晴 中畑石垣の雑草刈り払いする仙人

あれっ、確か仙人のいる場所は中畑の上、つまり仙人は空中に浮かんでいることになる。
石垣に近いので中庭の続きに見えるが、ピーンと張り詰めた赤ザイルの先はストンと垂直に落ち込んでいる。
仙人の腹部から前方に向かって長い金属パイプが突き出ているが、空中で仙人は何をやっているのか!
ウッドデッキの真っ赤なアゼリアが、心配そうに声をかける。
「ザイルで空中に浮かびながら、仙人は何をやってるの!」



山々は、今も自身の中に生きている

  だからこそ、あの頃は困難を承知で山へ登るための時間と費用を捻出した。
そして、行きたいと思う未踏峰やヒマラヤの高峰へと向かった。
今思えば、何と凄いエネルギーだったろうと我がことながら感心する。

そのようにして自らの意思で登った山々は、今も自身の中に生きている。
あの時登った山は、確たる存在として私の中にある。
最早それらの山々は逃げることはない。稜線を歩きながらそんな思いが湧き上がってきた。
不遜なようだが、私の中で大切な山々は逃げることはない。あの時登ることが出来て良かった!



 
実は石垣下はこうなっているんです・・・中畑からの画像
8月3日(木)晴 中畑石垣の雑草刈り払いする仙人

「手前の躑躅や蔓薔薇、凌霄花の作った垣根を観てごらん!緑の葉は殆どなく枝も伐られ剥き出しになってるだろ!
あんまりにも凄い勢いで中庭石垣から這い上げって来る雑草が、中庭の垣根を覆いつくしてしまったので、
仙人めどうやら殲滅戦を決意したらしく、エンジン式草刈機を持ち出して、かたっぱじから伐採し始めたんだ。
枝さえ残しておけば、きっと躑躅や蔓薔薇は甦るだろうと甘い予断をしてるが、さーて美しい垣根は復活するかね?」
とボン・シルバーが答える。



やや、地上に咲くマリモか!
糸状菌

菌糸と呼ばれる管状の細胞から構成。
土壌中には十万種以上存在。
土壌微生物の中で最も多い。

茸・・・大型では食用になるものもあり。
麹・・・日本酒、味噌、酢などに用いる。
黴・・・動植物の病原体となるのもある。

(wikipedia)

 
 
ドーム上の柿が落ちて黴たのか!
ドーム上の柿木から
雨に打たれた柿の実がボタンと
音を立てて落ちる。
濡れた土の上に落ちた蒼い柿は
土壌中に潜む十万種もの
糸状菌が動き出す。

奥庭に出現した白いマリモ。
どうも糸状菌の仕業らしい。
マリモは糸状菌ではなく糸状体。
全く関係ないとか。
となると麹菌が群がって、
柿酢でも造る
計画を練っているのか!


滝上に飛び出した卵茸! 
 奥庭の上では今朝生まれた
白い卵がポッカリ割れて、
赤い頭がグングン延びて
美味しそうな卵茸に。

その隣では
小紫占地茸もニョッキリ。
紫占地は食用だが、
小紫占地は寄生菌なので
食べられないんだ。

柿のマリモや滝上の茸を見上げて
池の中では河骨が
糸状菌に負けずとグングン成長。
奥庭は雨季を迎えて
生命の光に満ちる。


小紫占地かな? 

右の蓮より蔓延る河骨!



上条山縦走

上条峠から縦走して座禅草公園に降りて来よう、
そうすれば扇山、仙人山、小倉山、上条山の全部を登ることになる。
そんな計画だったが、初めの計画日は午前中に業者が来ることと
イオの部屋のベランダ掃除に時間が掛かり、すっかり疲れて、里歩きに変更。
翌日は、またしても出発前の一仕事が予想外に手間取る。
芋畑の石垣上段の雑草や灌木を伐採するというのだが、
梯子を掛けてエンジン式草刈り機を使用するのがなかなか面倒な作業で、おまけに危険だ。

伐採された枝や草を取り除いて、運んで捨てるのだが、これも結構大変な作業なのだ。
初めの口振りでは
30分もあれば簡単に終わる、とのことだったが、どっこいそうは問屋が下ろさない。
朝からの直射日光の下、
1時間ほどの作業で既にくたくたになる。
これから登山
なんてとんでもないと内心逃げ出す算段をしているつもりだったが、何故だか出発することに。

じりじりと焼けるような農道は、風も無い。汗がぼとぼと伝わる。
前を歩く仙人のシャツの背中が汗でツートンカラーに染まっている。たまの木陰があると芯からありがたい。
やっと、竹森川に出たが、座禅草公園方向はすぐに森に入るが、
上条峠に向かうには太陽光パネルの林立する脇を通らねばならず、なかなか日陰にはならないのだ。
ようやく頭上を覆う森に入ったときは体も心も人心地が付いた。
水音が心地よく響き、上条の森の深い緑に癒される。
スピードアップは出来ないが、確実に登って峠の標識のところに出た。



積乱雲が口を開けて仙人のお尻に喰いつくぞ
8月3日(木)晴 中畑石垣の雑草刈り払いする仙人

もしや仙人がハンドルを握って操作しているのは、長さ2mもあるエンジン式草刈機!
身体をザイルで結び、垂直の石垣に掛けた梯子に足をかけ石垣を覆いつくす凌霄花や藪枯し、蔓薔薇を伐採している。
エンジン式草刈り機は平地で使っても、切断された破片が飛び散り危険なのに、垂直の石垣で操作するとはこの馬鹿者め!
とボン・シルバーが喚く。
大いに喚け、こんなの鋸で伐ってたらいつまで経っても終わらん!
相手が石垣なのでチェーンソーは使えないし、迷いに迷ってエンジン式草刈機でやるっかないと苦渋の決断したんだ!

まあ、けっかとして左肩を始めとして十数か所を薔薇の棘に刺され、出血したが落ちたり回転刃に巻き込まれたりは無し。
そら、観てみろよ、実にスッキリしたぜ!20数年ぶりに石垣が太陽と嬉しそうに話してるぜ!


 
アオイ目アオイ科のオクラだぞ!
 
ドームに開く漆黒の花じゃ!
 
ハイビスカスの仲間だが新顔がきたって!
 
ドームを飾る'Leonard da Vinci'
 
パイナップルだぞ!
   
連日とんもころしの収穫&冷凍保存!
 




水はまさしく命の甘露

持参の小さな水筒の水を一口飲む。
冷たい水が喉からゆっくり胃の中へと流れ込むのが感じられ、生き返るようだ。
不思議なものでここまでくると引き返す選択肢は消え、稜線を歩くのが楽しくさえなってくる。
ほんの僅かでも風が通ると、思わず歓声を上げる。この風の気持ち良さったら比較するものがない程。
カラカラに乾いた岩や土のアップダウンが続く。滑らないよう慎重に行動する。それでも足運びに不安はない。

上条山に到着。ここでも水を少しずつ分け合う。
ほんの一口二口なのに、この水はまさしく命の甘露と言いたい美味しさ。
効果も抜群で、心身ともに生き返る。
最後の甘露は小倉山の山頂でと言いつつ、口の中で冷たい水を転がしてゆっくり飲み込む。
仙人も今まで山荘周辺登山で水を欲したことはなかったが、猛暑の今回ばかりは命の水だと喜んでいる。
残りの道は途中からは小倉山への広々コースとなりスムーズに到着。最後の水を飲み干して、下山に掛かる。

山荘に戻って間もなく一気に空模様が怪しくなり、その後は雨に。畑の水やりも免除され、ラッキーだった。
熱中症で亡くなる人も報告されている中、他人から見たら無謀と思われそうな山歩きだが、
実際には活動して、汗を存分に流した後はすっきり気持ちの良いものなのだ。
今回の登山に役立ったもの、冷やしたクールリングと冷たい山荘の水入り水筒。



 
扇山の頂で瑠璃星天牛発見!
 

山荘森の啄木鳥の崩壊巣!
るりぼしかみきり
瑠璃星天牛 

扇山の頂で待っていたかのように、
身体の2倍以上もある
触覚を左右一杯に広げ出迎え。

《午前中は山毛欅や胡桃の
枯木で腹ごしらえさ。
午後は倒木や立ち枯れた広葉樹に
出掛け雌をハンティング。
そろそろ雌を探しに行こうと
思っていたんだが間に合ったね!》

「近年の森林開発などによって
生息域が狭められ、その数は
減少傾向にあると考えられる」

なんて聞いたけど、

やはり成虫になるまで3年間も、
枯木の中で脱皮を
繰り返さねばならないのが
原因なのかな?

《そうなんだ!枯木の樹皮の隙間に
産み付けられた卵も
森の開発で処分されちゃうので
おいらが幾ら頑張って
番っても
瑠璃星天牛は減るばかりさ!》

瑠璃星天牛はそのことが
言いたくて待っていたのかなと、
仙人はふと思ったのでした。
 
仙人山でごっくん!!
 
熱中症警戒アラート発令の頂きで!

冷えた水の美味しいこと!


 
ありゃ、通せんぼじゃ!伐らねば!
7月25日(火)晴 次々と倒木に塞がれる仙人ルート


 
咲いたぞ!Artemis
(アメリカフヨウとモミジアオイの交配選抜種)
 
 
蕾が邪魔で開けない!

アオイ目アオイ科のアルテミスだぞ!
花の直径20cm 
 
もう少しだ、開け!



朝の虹

早めに目覚め、東の空に朝焼けの色が漂い始めたので、ちょっとだけ朝散歩をしてみたくなり、
キッチンを抜け出し前庭へと出て、空を見上げて息を止めた。
灰色の西の空彼方に、大きな虹が架かっているではないか。
ビッグツリーの背景に淡い七色がまっすぐ立ち上がっている。
こんな光景は見たことがない。慌ててまだ寝ているはずの仙人に知らせに行く。



赫奕たる虹に変貌
淡く美しい虹が赤い登山靴の点灯と共に
燃え上がる



消えてしまわないことを願いながら、イオのベランダに出てカメラを構える。
朝日が浮かび上がらせる虹、恐らくそのスクリーンはあの灰色の雲が生み出す細かい水の粒に違いない。
灰色の雲間には鋭い雷光が浮かび上がっても不思議はないのに、
そこには淡く美しい七色の柱が描き出されているのだ。
どこか現実離れした、大きな虹に目を奪われながら、束の間の自然現象に巡り合えた幸運に胸が高鳴る思いだ。

朝の虹は願いが叶うというそうだ。そんなことは考えもせず、ただ虹の幻想的な美しさに圧倒され、
見惚れていただけだったが、もしも願いごとが叶うとしたら、何を願うのだろう。
こんな美しい景色を見られたらこれ以上願うことなんてないかな・・・一つだけ願っても良いのなら、
いつまでも自分の足で歩けますように、ささやかだけど切実な願いだ。
ビッグツリーに輝く赤い靴に向かって、歩ける限りは歩き続けたいと呟いてみた。




今月のおもしろ本
違法コピーにつき著作権法119条により罰せられます。ご承知おきを!

違法コピーなど著作権侵害行為を行った場合、個人に対しては
従来の5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金。 悪質な場合は、その併科も考えられます


背徳のおまんこ

上野千鶴子ならさしあたりそんなタイトルをつけて寂聴へのオマージュを送るのではないか!
井上光晴と7年間続けた不倫関係を絶つために出家したと、寂聴は述べているが、
数々の背徳の性に生き作品化してきた瀬戸内晴美にとって極めて不自然であり、噴飯ものでさえある。
ふん、何を企んでいるのか、寂聴の心象風景の映像、内奥の闇に吐出されるモノローグを手に入れることは出来ないだろうか!

秘教修行者である瑜伽行者がしばしばタントラに書かれていることを文字通りに解釈し、あるいは
象徴的な意味を持つ諸尊の交合の姿から発想して、女尊との性的瑜伽を実際の性行為として実行することがあったとされる。


寂聴にとって、護摩焚きは非常にエロティックなものだった。
密教の四度加行での護摩焚きの際には、印をエロティックな型だと思い、観想のための文から不動明王の怒張した男性器を連想するなどする。
仏教の目指す究極の境地、至境は、いずれも秘教であることは寂聴に勇気を与えた。

(wikipedia)

《究極の背徳は秘教にあり》
寂聴の内奥の闇に吐き出されるモノローグとは、まさしくこれであり、瀬戸内晴美は自らの性と生を交媾させる究極の手段として寂聴となったのだ。
ならば寂聴は出家してからも、背徳の性を実践してきたに違いない。
徳とは社会通念上良いとされる概念であり、歴史という時間、世界という空間が強いる桎梏(法律、道徳、常識、仕来り、慣習・・・)である。
背徳行為とは時空の桎梏に背き、時空を超越した世界に飛び立つことである、と達観している仙人にとって、
寂聴のモノローグを聞き取ることは、可能なのかも知れない。

と思っていたら延江浩なるとんでもない奴が現れた!
85歳のJと交媾を重ねた37歳の男(母袋晃平)の告白を小説にまとめ上げ、寂聴の内奥の闇に潜り込んだのだ。
これがおもしろくない訳がない。


左から船山 浩平告白した母袋晃平か!、村上龍、吉本バナナ

株式会社G2010(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:船山 浩平)は、
作家瀬戸内寂聴が編集、発行する定期刊行誌「寂庵だより」を電子版として配信開始しました。
作家・瀬戸内寂聴の未発表作品「ふしだら」を、

2010年11月30日よりNTTドコモの電子書籍トライアルサービスにて提供を開始します。

[J] 延江浩
2023年6月15日発行




 
<老いてこそ身体(からだ)も心も
 業火のごとく燃える愛の軌跡。
 かってない<老いの自由>を描ききった。
 
 <二人が出会った時、Jは85歳。
 高名な作家であり、尼僧。
 人生最後の恋の相手は、母袋晃平。
 190センチを超える長身で色黒の優男。
 IT企業を経営する37歳。>
(朝日新聞朝刊広告(2023年6月21日))
 

Jの呼吸が荒くなった。
あどけない顔に興奮して、
母袋は瞬く間に射精した。

行為を終え、彼女が
眼鏡をかけて原稿を書き始めると、

母袋は庭に出てスニーカーに
作務衣姿で庭の草をむしった。

Jの執筆中は出番がない。
夕刻ほどなくして庵に上がる。

庵の手伝いの女たちは姿を消している。
茶を淹れてほっとしていると、青々とした
畳に置かれた

座椅子の背もたれに純白の
ブラジャーがかかっている。

純白のブラジャーは、
今夜もいたそうというシグナルである。

母袋は目を瞑り、心を鎮めた。
二度目の営み。

しかし、これはどれほど続くのだろう。
いったい何度、深い沼地に挿入を
試みることになるだろう。

Jの沼は豊饒で涸れることはない。
こんこんと湧く浄水を口に含み、
母袋の性器は飽きもせず屹立し、
Jの花芯を刺激した。

普段の彼女はLサイズの
シャツに紺のジャージである。  




85歳の老婆とセックスに耽る37歳男性なんて、
現実にいるとはなかなか思えません。
主人公である「母袋晃平」をググってみても
この小説のことしか出てきませんので、
やはり仮名と思われます。

ただ、プロローグに登場する編集者の
「壺井円」やその上司の「石原正康」
ググってみると、こちらは実在する方
のようですので、仮名と実名が
混在しているようですね。
著者はほとんどが
ノンフィクションだと言っています。


特に寂聴さんの48歳下の恋人”母袋晃平”の
モデルとなった人物には何度も取材をして
『J』を執筆したそうです。
ですから、85歳の尼僧と37歳IT企業の
社長との体の関係を伴った交際は
事実だと言っていいようです。

そこで、作中で紹介されている「ふしだら」の
電子書籍を制作した会社を調べてみると、
「株式会社G2010」という会社のようですが、
こちらの代表が船山浩平となっています。
字は違いますが、主人公と同じ
「こうへい」とも読めますね。
  


母袋が風呂から上がると
灯りを消させ、
彼女はアッパッパを脱いだ。
「こっちへいらっしゃい」
そのあと、ぼくから先生の体に
触ることはありませんでした。
キスも導かれるままです。
キスでさえ大罪を犯すようなのですから。
ほら、隠れキリスタンを暴く時の
踏み絵ってあるでしょう。
その踏み絵に描かれたマリアさまに
口づけするような行いです。
『何が楽しいって、
女は閉経してからが一番楽しい。
だって妊娠しないのよ。
生理痛だってないんだから』
『先生、それをネットの人生相談で
お話しされたらどうですか?』
僕は軽口をたたきましたが、
先生は何も応えず
ぼくのペニスを舐めました。
柔らかく擦りながらベロでしごき続けた。
気持ち良かった。
何千回もの性戦で鍛えた技術です。
男を虜にしてきたテクニックは
簡単に衰えるものではない。
それなのに、初々しい。

先生は自分のもてる技の
すべてをぼくに施した。
フェラチオの後、
お導きのままにぼくは入っていきました。
先生の入口はしっとりと濡れていた。
中に入っていくなり先生は
可愛らしい女性の声を上げた。
でも、相手は八十代半ばで、
僕とは体格が違う。
大男ととても小さな女性のセックスです。
先生に負担をかけないよう
アクロバティックな動きは封じておきました。
先生、大丈夫ですか?などと言ってはいけない。
年寄り扱いはしてはいけない。
そりゃあ先生は年寄りのフリはしていました。
『空港で杖を突いていれば
誰かが助けてくれるわよ。』とか。
でも、ここは空港ではありません。
『あーっ』先生が少女っぽい声を上げた。
M字開脚のまま、
先生がぼくを下から抱きました。
『先生、もう少し腰を浮かせて
いただくことはできますか』
ぼくは両腕を踏ん張って先生を守りました。
局部を互いにつなげたままぼくは
性器を前後に動かし、
そのたびに先生は喘ぐのです。
 
  

『平気ですか?』
『・・・・・平気』
ぼくらは言葉のない動物になりました。
中折れはしなかった。先生も動かない。
動かないけど、先生の体からは
液体が漏れ続けている。
なのに、合図でもしたかのように、ぼくは
とろりと中で射精してしまったのです。
ふたりはいつも正常位で、した。
母袋は何度も彼女の中に射精し、
そのたびに親密になり、
もはや年の差など意識しなくなった。
自分の細胞のすべてが
彼女の体に移ってしまい、
全くの無になってしまう気さえした。
この女は死ぬほどセックスが
好きなのだと思うと、
母袋は何度でも勃起してしまう。
朝になり、母袋はひとり枕席から起きだし、
庵の庭に出た。
あたり一面にぼんやりと靄が漂って、
池、木々や草花、家屋の輪郭を
あやふやにしていた。
五百坪に及ぶ庵の庭先にしゃがみ、
手を伸ばして枝を折り、
朝露を口に含みながら
ここは死体置き場だったと改めて思う。


得度式を終えた寂聴51
1973年11月平泉中尊寺  

出版会社「G2010」 代表取締役社長
船山浩平 1971年東京生まれ37
 
寂聴・天台宗の尼僧権大僧正
2021年11月9日没99




寂聴は時空を超える

歴史という時間、世界という空間が強いる桎梏の海を超越して、生命は船を出し続ける。
如何なる強靭な思惟、優れた知能を持った生命体であっても、時空を超えて生き延びることは出来ない。
与えられた時空の桎梏と戦いつつ1つの小さな生を閉じるしかない。
だが生命は刹那にして死を迎える儚い存在の中に、新たなる生命を仕込み、
刹那を無限に積み重ね、時空への旅を試みる。

DNAに書き込まれた強靭な思惟、優れた知能は、生命体の共有知的資産として広く新たなる生命に引き継がれる。
新たなる生命を仕込む手段として生殖はある。
視覚や聴覚を主とする優れたコミュニケーションツールで言語や音楽、絵画を媒体に人は互いに情報や感性を共有する。
生殖が視覚や聴覚より遥かに超越した始原的なコミュニケーションツールであると気付いた瞬間、世界は変わる。
感覚の総てを研ぎ澄まし性の山巓を目指せば、性の営みに潜む時空への旅立ちがチラリ垣間見えるかも知れない。

37歳の屹立する男根は、85歳の母なる袋に入りて、決して産み出されることのない袋に射精する。
母袋晃平なる船山浩平は、刹那を無限に積み重ねても有限の刻にはならないと知りつつ、
性の山巓を目指し、座椅子の背もたれに掛る純白のブラジャーを待ち焦がれる。
 純白のブラジャーは昼、母袋晃平と媾った寂聴の今夜も、性の営みをいたそうとのシグナル。

得度にあたり師僧の今東光
(今春聴)は瀬戸内晴美に髪はどうすると問う、晴美は落しますと即答。
《ところで下半身はどうする?》との問いに対しては、逡巡を抱きつつも《断ちます》と述べる。
今ここで断ちませんと答えたら、仏門に入ることを許されないかも知れない。
そんな逡巡を見抜いてか今東光は呟く。《ふうん、別に断たなくてもいいんだよ》
左傾の毒舌和尚で鳴らした今東光ならではの粋な計らいで晴美は、僧侶でありながら下半身を救われる。
晴美はそこまで深読みし、師僧として今東光を選んだことにニンマリ!と勝手に仙人は慮る。

母なる袋で妻も息子もいる母袋晃平を絡めとり、歴史という時間、世界という空間が強いる桎梏の海を超越して、
カンラカラカラと高らかに嗤いつつ、寂聴は時空を超えるのか!


船山浩平 1971年東京生まれ。幼少期をブラジルで10年間過ごし1994年に早稲田大学を卒業後、
日商岩井株式会社(現・ 双日)を経て株式会社グリオへ入社し、2008年からは代表取締役社長をつとめる。
グリオでは日本を代表する編曲家、船山基紀を中心とした音楽作家20名を擁してSMAP、嵐、EXILE、安室奈 美恵、AKB48等の音楽制作を行う傍ら、
携帯公式サイト運営、東芝やNECのPCにプリインストールさ れる動画&ゲーム配信アプリケーション「Sempre」の制作運営など
エンターテ イメント系ITビジネスを数多く手掛けている。
2010年、作家・村上龍と共に「歌うクジラ」電子書籍版 を発表したのち、電子書籍の制作/出版会社「G2010」 を立ち上 げ代表取締役社長に就任。
2011年にはグリオで携帯公式サイトを手掛ける 作家・ 
瀬戸内寂聴も同社に資本参加。



 


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