212の1ー2023年 文月
2つの空間が抱擁する山荘の彼誰時 かわたれどきになると蒼く連なる山々に心象風景が忍び寄り、静かに打ち寄せる闇を抱く。 抱かれた闇はより一層闇を深くし、里の灯を点々と浮かび上がらせ光をいだく。 闇と光の媾合が形而上の幻想の実存と、形而下の実存する幻想のアンサンブルを奏で、蠢動を舞う。 幻想が実存であり、実存が幻想ならば 実存を時空へ送り出す卵子と精子の舞いはレゾン・デートル(raison d'etre)を失う。 |
森と里の渚に灯もちらほら! 5つのVを組み合わせたシルエットが闇を招く。 Vとはフランス語でVie(生命)の意。 《せらび》 《こんなもんさ、人生は!》ではなく これこそが生命なんだ! と訳してみると意味は反転し、 ミクロからマクロへの回廊が開く。 |
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天空を駆ける赤い靴2つ! |
雨粒を無数に孕み機能を失った蜘蛛の巣 |
大玉金柑でーす! |
あたしも咲きました! |
雌蕊がプックリ! |
凄まじいブーイング! ビッグツリーの幹を3本 伐採した直後、 金柑の花も彼方此方で 咲き乱れる白い蘭も 一斉に喚くのだ。 《なんで伐るんじゃ!》 |
そりゃな、のほほーんと あいつを育ててやっても いいんじゃが、 それじゃ唯のビッグツリーで 終わってしまうじゃろ! あの3本の幹を伐りおとせば、 残りの1本は、 もしや天空まで達するかも知れん! |
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開いた君が代蘭でーす! |
勝手に咲き乱れる蘭! |
梅雨の晴れ間・珍しい放射状波状高積雲 7月6日(木) 見上げるウッドデッキのカロスキューマ |
あら、時計がみえないわ! |
凌霄花め隠したな! |
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随分延びたね! それじゃ観えるのは凌霄花の 葉っぱばかりで、 仙人の活動する様子も観えないし、 存在していることそのものを 忘れ去られてしまうな。 お前さんがお隠れになると 12も1も2も失われ 仙人の時間は光のある昼と 存在が漆黒に塗りつぶされる夜の 2種類になってしまい、 仙人の世界は二進法に なっちまうのさ。 |
散髪だ!と壊れ梯子出動! |
まあ、ヴぃVie(生命)の世界は、 生と死の二進法なんだから それでいいんだけど、 時の切り売り屋の時計としては、 そうもいかないらしく、 鬱陶しい凌霄花を切り落として くれと煩いんだ。 ほんじゃ散髪してやっか! と取り出した脚立を開いて梯子にした 散髪道具を観て驚き! 最上段のステップがばっきりと 音が聴こえる様な折れ方。 脚立の上下を繋ぐレバーも ひん曲がって今にも 梯子が分解し地面に落下しそう。 それでも恐々と梯子に登り、 何とか散髪を終えた仙人。 |
スッキリしました! |
あたしの向日葵時計どう! |
仙人と一緒にあたしも寝ようかな! 6月28日(水) 仙人山のてっぺんで 瞼がだんだん墜ちてきて、目の前の世界に霞がかかり輪郭を失い、世界が消えていく。 体中から力が抜けて、ほら右手もだらんと垂れ下がり、指も萎れてきてあたしは融けてしまう。 目の前のあたしだけのミクロ世界が消失した途端、瞼裏のスクリーンに映し出されたのは、 5つの漆黒のVを天空に突き立てたビッグツリーと2つの耀く赤い登山靴。 枯れた幹に当てた左耳からビッグツリーの囁きが聴こえる。 《ようこそ!マクロの世界へ。45億年の小さなガイアから産み出された桃菜が今観ているのは、 眼を開いていると決して観えないマクロ世界のゲートなんだよ。 さあ、これから桃菜は漆黒のビッグツリーに乗って、 5つのVが目指すコスモスへの旅を始めるんだ!ナビゲーターはもちろん仙人さ!》 《桃菜が自分の脚で仙人山のてっぺんに立つ日まで、 仙人は桃菜の世界に認識をとどめて居られるのかな!》 と巨大な倒木が、揶揄すると 仙人は高々と右手を天空に翳しVサイン! どうやら如何なる困難が待ち受けようと、その日までは出立を遅らせ、 桃菜の世界に仙人はとどまるつもりらしいな! |
鍬で叩いて梅の実を落す |
はて、青梅を食べると 青酸が含まれているので 死んじまうとか! 子供の頃脅されたが、熟した梅は、 なんで食べられるんじゃ! 化学が大得意だった仙人は、 早速ネットサーフィンして 情報をコピペし補足事項を書き入れ 《無害なアミダグリン》を作製。 うーん我ながら明快な図じゃな!! コピペしておきながら 自画自賛とは烏滸がましいぜ! |
前庭の琵琶もどっさり収穫! |
仄かな甘さに痺れるな! |
鵯、烏対策に防鳥ネットを張るが・・・! |
赤く熟れた広瀬梅 |
美味そうじゃの!おらにも喰わせろや! 仙人池:複眼の接する鬼蜻蜓(オニヤンマ)出現! 未だ熟してない青梅や琵琶を食べると青酸カリで死んじまうかも知れないぜ! それでも良ければ喰ってみろよ! 《解ってないね仙人は! おいらの腸には青酸を発生させるβグルコシダーゼと名乗る腸内細菌なんて居ないのさ》 それを聴いた仙人の慌てふためいたこと、化学の得意だった仙人は、 βグルコシダーゼなんて聞いたことなかったのだ。 まさか山荘池の住人である鬼ヤンマに嘲られるとは!まっ所詮、仙人の《得意》なんてそんなもんさ! |
梅シロップ仕込み開始! |
わしゃ梅の神様じゃ!(玄関) |
梅汁を砂糖だけで抽出する! |
梅香にクラクラ! |
そうだったのか! 熟してない梅や琵琶を食べると 腸内細菌が青酸を発生させ 中毒症状に陥り 大量摂取で死に至ることもあるのか! 成人で300個、子供で100個 食べると中毒症状になるとか! そんなに食べれんよ。 心配不要じゃ! 熟したりシロップ加工すれば 青酸は分解されて 消えてしまうのだから青梅でも 問題なしと納得!。 |
8ℓ瓶を9個で約90kg仕込み! |
テラスの透明屋根が枯葉や苔で不透明に! 7月25日(火)晴 森テラスの屋根ポリカーボネートを掃除する仙人 |
屋根にホースを引き上げて! |
森テラスの透明屋根をゴシゴシ! |
さてさて、12万年ぶりの暑さと なれば如何に 涼やかな風が流れるとはいえ 夜明けのドームでの食事は、 ちょっと遠慮かな! 《そんなの決まってるでしょ! 熱暑の夏は森テラスが 最高とラブコールを送っているのに まるで存在そのものを 忘却してしまったかのように、 知らん顔! 激しい真夏の太陽を遮り、 森に包まれ 爽やかな涼しい空気に 満たされた森テラスには、 あの鬱っとおしい眼纏い、蚋や蚊も 姿を見せないし、 最高のレストランでしょ!》 階段の踊場を通る度に、 森テラスの背丈2mも あるユッカが、 そう言って秋波を送るのだ。 こいつ大きくなりすぎて、 森テラスの透明な屋根まで 延びてつっかえている。 |
《変だな! 確かに明るくて空があるのに どうして これ以上伸びられないのかな !》 と透明なポリカーボネートを 認識できず、ユッカは、 真っ直ぐ伸びる葉を仕方なく 屋根に沿って横に這わせている。 よしよし、そんなら早速 森テラスを綺麗にしてこれから 夜明けのレストラン開業の CMを森に流してやろう。 透明な屋根も落葉や苔なんぞが あるから掃除してやろう。 そうすれば、森の鹿、猪、狸、狐達も 夜にはやってきて、 夜中のレストランも最高だぜ! なんぞと喜ぶに違いない。 まっ、そんなわけでせっせと 透明な屋根を仙人は 掃除し始めたのですが、 肝心のユッカは、 これ以上屋根が綺麗になって空が、 そのまま頭上に広がったら、 どうしたらいいのでしょうかね! |
7月31日の日経新聞夕刊一面トップ.。 「地球『12万年ぶりの暑さ』」。 世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の 気象情報機関「コペルニクス 気象変動サービス」が、今年7月の 世界の平均気温は 観測史上最高になる見通し。 同紙はこの記事の中でさらに、 海外の古気象学の研究者に取材。 地層やサンゴ、アイスコア (氷床のサンプル)類に 保存されている数十万年分の 気泡やちりなどの分析から、 「世界の平均気温はおよそ12万年ぶりの 最高気温を記録」と報じている。 |
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苔が中々落ちないぜ! |
どうにか透明になったか! |