2072ー2023年 如月

木星の激しい流れに身を投じ大赤斑を追う向日葵
2月19日(日)雨 書斎

右脚痛みは軽減しつつあると、相変わらず希望的観測。
しかしヤク害で偏頭痛に耐えつつ、意識が混濁し認知症への途を加速しているとの
被害妄想が波紋を描く。
18日には苦痛と闘いつつも小倉山に登ったし、酷い健忘を愉しみつつ
パソコンでHPの編集もしているし、総ては老劣化による杞憂とせせら嗤っている。

そんな中で書斎で育てていた向日葵が花開いた。
厳冬期に咲いたウクライナの花が、書斎アマルティアの壁画を背景に生命の激しさを謳う。
アマルティアに圧し掛かる木星の大赤斑に挑むかの如く、向日葵の黄金の花弁は捩じれ曲がりつつ、
木星の激しい流れに身を投じ大赤斑を追う

 



2月の山荘


暦の上で春を告げる立春を過ぎてから、特別に寒い日がやってくるのは習わし通り。
ボンシルバーが長い氷柱の髭を生やしたり、一晩で真っ白な世界を描き出す雪が降ったり、
そうかと思えば、上着を脱いでも汗ばむほどの陽光が、早々と夏の花たちを目覚めさせたりする。
今年の2月は殊に乱気流のように激しく上下して、冬と春のかけひきが盛んだ。

夜明けの寒気の中、透明な空に雲一つないことを見届け、小倉山から太陽が顔を出すと同時にドームへと朝食を運び込む。
ドームの気温は未だマイナス5度を指している。冷たいミルクを飲むのが躊躇われるのだが、
焼き立てトーストを頬張るころには、ドームの中がホンワリと温かくなっている。
太陽の光線がドームを包みこみ、たちまち熱を伝えてくるのだ。
温度計の数字は見ている間にプラスに転じ、留まるところ知らぬ勢いで上がっていく。



書斎兼寝室に確かな生命が踊る
「葬送」「砂嵐に星屑」「とめどなく囁く」
「デス・ゾーン」を枕元に積み
4つの世界をワープしながら
眠りに襲われるまで本を読む。

で、ライトを消して布団に潜り込む。
うとうとしていると、
始原の如き柔らかさで存在の総てを
包み込んでしまう乳房が、
「未だ起きてる!」と囁いたかと思うや
布団に潜り込んでくる。

 
激しく闘う向日葵の下で眠る

仙人が乳房を握り締めると、 
風もないのに花弁を靡かせ、
乳房が千夜一夜物語を語り始める。
どうやら向日葵はウクライナの
地平線まで埋めつくす
向日葵畑からやってきたらしい。


 乳房が語るウクライナ
ウクライナの向日葵の花粉を
胸いっぱい吸い込み、
冬でも暖かな仙人の寝室にやってきて、
真冬に遂に花開いたんだ。
闇の中で凛とした光を放ちながら、
ウクライナを語る向日葵。

 
寝室の窓からは雲海が迫る
 
 ベッドの中で語る向日葵



朝日の演出に心奪われ

珈琲が注がれ、フルーツとヨーグルトが登場する頃にはぽかぽかどころか、上着を12枚と脱ぐほどに。
まさに「北風と太陽」だ。温度計は夏日を示す25度を超えるのであるから、太陽の齎す熱が如何に優れているかを実感するのだ。
こんな日の空は何処までも蒼く澄み渡り、裸木の枝から枝を飛び回る小鳥たちや、
裏山を明るい舞台にする朝日の演出に心奪われ、ついつい朝食に長い時間を費やすこととなる。

他愛のないおしゃべりが弾んだり、程よく流れる音楽に耳を澄ましたり、ここで摂る朝食は、
部屋の中で食べるもの以上に、心への多彩な栄養が含まれているような気がするのだ。
気が付くと水底深くに動かずにいた鯉たちが、ゆっくりと浮上してきている。
餌を上げると大きな口を開け、勢いよく食べる。長い冬ごもりから覚め、魚たちも春の活動準備だ。
何よりも嬉しい春の知らせ。仙人の脚が回復への兆しを見せている。
季節と一緒で一進一退の様子も見えるが、それでも確実に復活の気配が感じられる。



山荘産キウイ、干柿などたっぷり

ブロッコリー、法蓮草も山荘産
   
ワゴンでドームへデリバリー
 
 
生ハム、スモークサーモンは野菜サンドに
   
極上な甘さの唐黍も山荘産


昏い向日葵に光を与えねば!
2月19日(日)雨 書斎

たったそれだけのことなのである。
カメラを向ける。当然ながらカメラは雲海の光を捉えて、露出を決める。
しかしそれでは雲海を背にした向日葵は逆光となり、カメラは翳となった昏い向日葵しか画像化出来ない。
では向日葵を翳から救い出す術はないのか!

そうなのだ、ウクライナの花にカメラを向け向日葵の光に露出を合わせれば、
光り輝き闘う黄金の花弁を、世界に知らしめることが出来るのだ。
それじゃ雲海がハレーションを起こしてぼやけてしまい、向日葵は総てを呑み込む雲海を見失ってしまう。
そこで仙人は露出を変え同じアングルで2枚の画像を撮り、その後2枚を組み合わせたのである。

 



懐かしい里道を歩き
 
読書の丘迄歩くことが出来た。ぐるりと里を巡って帰ってくるだけなのに、何とも言えない充実感が湧き上がる。
歩けるということが、それほどまでに人の心をワクワクさせる。
赤ん坊が初めて自分の足で立ち上がり、2本足歩行を試みた時の何とも言えぬ得意そうな満足の表情、それはそのまま自由に歩けることへの歓びとなる。
仙人も一歩踏みしめる毎に得意顔の赤ん坊の表情を漂わせている(ようにみえる)。

春の気配が感じられる日、小倉山へ向かった。ゆっくりとしかし確かな足取りで、小倉山への里道を歩く。蠟梅や梅がよい香りを漂わせている。
早春の香りを胸いっぱいに吸いながら、懐かしい里道を歩き、小倉山を目指す。
農家の庭には福寿草が輝くばかりの黄色の花を幾つも咲かせて、春が来ますと告げている。
座禅草の木道を歩くと、まだ小さい座禅草が所々に顔を出し始めている。



花弁に滴を着けて咲く蝋梅 

 
滴を逆さに観るとドームが! 



手摺は最早痛んでボロボロだ

「こっちにあった!」「あそこにも見つけた!」と赤紫のトンガリ帽子を見つけるたびに嬉しくなる。
休日のせいか、散策する人が何人かいた。山路を下ってくる2人連れは地元の人らしいが、鎌を持っているので、
仙人が「何が採れるんですか?」と声をかけると、「採るんじゃなくて、これで刈って整備してる」とのこと。
ご苦労様と見送ったものの、それらしき刈り跡も見つけられず、なんだったのかな??

稜線上をゆっくり進み、山頂の四阿に到着。3階建ての四阿の2階部分の手摺は最早痛んでボロボロだ。
3階まで上り、木々の間に見える山荘を眺め、改めてここまでの距離を歩けたことに感慨深い思いを抱く。
遠くの山荘がきらっと光ったような気がした。あれっ、と思った瞬間いきなり体が軽くなり、気が付けば浮かんでいるでは。
中空から眺めていると、仙人が現れた。仙人は突如奇声を発して、ファイティングポーズを取ると、虚空に向かってパンチを繰り出すのだ。

 



扇山下に山荘が見える

小倉山のログにひと登り 

暖かい陽だまりで
   
仙人の焼いた標識にご挨拶
 



ドームを背景に蝋梅開く
 
あれっ!水玉にドームが映ってる
 
雪を降らせる雲海接近・海に呑まれる高芝山とドーム


森テラスに雪降り積む
 
仙人テラスにも雪降り積む
   
駐車場の屋根の補強せねば潰れる



声の主は人魚⁉

ふとこちらを見上げたかと思うと、大声と共に拳が突き出されるので、
慌てて退きながら「私は敵でない!!」と叫ぶ仙人が闘う相手はカロスキューマの宝石を奪おうとしているらしい。
あの宝石には世界を変えてしまうほどの力があるのだとか。どうなるのかと観ていると、仙人は突然飛び上がると、
頭からカロスキューマに飛び込み、次の瞬間、開花したばかりの金色の向日葵の暗い花芯の中にワープした。

ここから宝石の光を放てば、戦火のウクライナに平和が訪れるのだろうか…?何処かから声がする。
歌うようなその声は「今は未だその時ではないのです。
人間はもっともっと優れた存在の筈なんですけど、光が届くためにはしなければならないことがたくさんあるのです。
闘いもまたその一つ・・・・」いつの間にか、そこは深い海の中だった。声の主は人魚⁉。

 


点々と野生動物の足跡・さては昨夜庭で宴会を開いたな
 ドームでの朝食の用意



カロスキューマは先日劇的な変化

そう感じた瞬間、総てが漆黒の闇の中へと消えていく
四阿の手摺によじ登った仙人がおかしなポーズを取って、シャッターを促している。急いでカメラを向けなおす。
下山しながら「ゆうべ、夢見ました?」と問いかけてみる。
「見た見た!喧嘩してる夢で、盛んに誰かを殴ってた気がするなあ・・」なるほど、
私の白昼夢は仙人の夢の続きかぁ…カロスキューマのいたずらなのか、メッセージなのか。
そのカロスキューマは先日劇的な変化を遂げた。

今までも、カロスキューマの動きは独特な陰影を描き、風に揺れ、光に触れ、その度に見惚れてしまうような軌跡を描き出していた。
涙の形のサンキャッチャーを見つけて、試しにカロスキューマの真ん中に据えたのだ。
 
まるで待っていたかのように、ぴったりと収まり、カロスキューマがほんの少し動くだけでも、信じられない程に大きく変化する。
光は虹の七色を分散し、更に金属の光沢に映え、風に回転すると、あまりの美しさに目を逸らすことが出来なくなる。




うっひょう!マイナス7℃だぜ!

このまま室温が上昇を続けると午後には
何度になるのかと、ドームを覗いてみたら
49,3℃となってるでは!
光さえあれば真冬であっても、ドーム内は
南回帰線上の世界を現出するのだ。

五感を研ぎ澄まし光に耳を欹てると、
幻覚と実感の臨界に、ダイビングで訪れた
南太平洋のタヒチ、フィジー、バヌアツ、
ニューカレドニアの潮騒が流れる。 

真夏日の雪

キリリとした夜明けを突き破って小倉山の山巓から昇る
南回帰線の光が、真冬のドームを真夏に変える。
夜明け前にはー8℃であったドーム内が、
光と共に急速に室温を加速し、1時間もしないうちに
25℃を越え、やがて真夏日になり
朝食が終わるころには猛暑日となる。


太陽が出ると雪はどさり!



山荘という場の持つ磁力

 朝、昼、夕とそれぞれに微妙な変化を見せながら、どの場面でも惹きつける魅力に変わりはない。
山荘には光が溢れていて、どの光もそれぞれに魅力的で、
出逢うと暫し佇んでしまうのだが、カロスキューマに関しては、今や別格で見飽きることがないと言っていい。
カロスキューマが回転して生み出す不思議な渦は、じっと見つめていると凝り固まっていた意識の何処かを、
一瞬にして解きほぐし、新たに収斂して別の場所に戻す、というような何とも不可思議な体験をさせられているように感じることがある。

今やそこに無限の色が加わり、とんでもなく広い世界へ意識が連れ出され、解放されそうな予感もある。
逆に、その渦に閉じ込められてしまいそうな不安も無きにしも非ず。
どちらにせよ、カロスキューマの変化が齎した特別な何かが始まろうとしている気がする。
早春の白昼夢に過ぎないかもしれないが、山荘という場の持つ磁力が一層高まったのは確かなように思う。




敗北したら近平が世界を支配するぜ!

装備の乏しいウクライナは欧米の支援に支えられて
何とか持ちこたえているものの、ロシア軍には
人命を顧みない「兵力」と「時間」という優位性がある。
実際、ロシアは東部や南部戦線で構築した防御ラインを足掛かりに、
真綿で首をしめつけるような包囲戦を展開し、ウクライナ軍を圧倒しつつある。

ここでウクライナが大規模な反転攻勢に出なければ、
このまま
「敗北」という最悪のシナリオもありうる状況だ。
戦車専門誌「月刊PANZER(パンツァー)」の戸塚謹編集長
ウクライナに侵攻して1年

国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続く地域での
死傷者の数については、まだ正確に確認がとれていないとして、
実際の数は大きく上回るという見方を示しています。
ロシアがウクライナに
侵攻してから1年が過ぎた。
この間の戦況を振り返れば、首都キーウをめぐる攻防戦が繰り広げられた
第1期

ロシアが激戦の末にアゾフ海に面するマリウポリを陥落させた
第2期
ウクライナが機甲師団を用いてハルキウ、ヘルソンを奪還した
第3期
そしてドネツク州のバフムートでロシア、ウクライナ両軍が
一進一退の消耗戦を繰り広げる現在の
第4期に分けられるだろう。

 
ウクライナでも咲いておくれ!(イオテラス)


 



  プーチンが虐殺を開始して1年
2月24日(金) ウクライナ市民8千人を虐殺


国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まった去年2月24日以降、ことし2月15日までに、確認できただけでも
8006人のウクライナ市民が砲撃や空爆などによって死亡したと発表しました。
このうち
487人は18歳未満の子どもだということです。
また487人の子どものうち、年齢が確認できたのは441人で、年齢別では、17歳の死者が49人と最も多く、次いで14歳が44人でした。
さらに、1歳の赤ちゃんが22人、1歳未満も7人亡くなっています。

地域別では、市民の犠牲は特に東部に多く、▽ドネツク州で最も多い3810人▽ハルキウ州で924人▽ルハンシク州で485人と、
東部の3つの州だけで5000人を超えます。
それ以外では、▽首都キーウと周辺のキーウ州であわせて1017人▽南部のヘルソン州で447人などとなっています。
また、けがをした市民はウクライナ全土で1万3287人に上るとしています。
(2023年2月24日20:00NHK)


 


     
     

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