2021ー2022年 長月 

イオ部屋の光に吸い寄せられる蝉





出窓のサンキャッチャーに登る!

しかし森はかなりの急斜面であり、
藪の中には倒木が累々と横たわり
脚を取られ極めて不安定。
急斜面で筋肉が痛めつけられ、
藪に隠れた倒木で、神経が擦り切れヨロヨロ。

1時間ほどで疲労困憊。
水分補給し30分休み再度、草刈り機を持って
森に入り、何とか
森テーブルまで刈り終える。

その後、疲れた肉体に鞭打って扇山へ。
山荘に戻り汗びちょのシャツ、ズボンを
洗濯機に放り込み、
太陽光で沸かした風呂に入り、さっぱりして
居間に戻ると、ピンポンとチャイムが鳴る。

「あのー下の坂本ですけど、葡萄持ってきました」
出てみると採れ立ての巨峰を箱に詰めて
娘さんがニコニコ。
「先日は桃を持って2度もお訪ねしたんですが、
2度ともお留守でした」
 「態々すみませんでした。東京に帰っていたもんですから」 

森の奴、洒落たことやるね!
きっと娘さんに託して
散髪のお礼に葡萄を持たせてくれたに違いない。

森の床屋じゃ!

随分すっきりして美しく爽やかになり森の木々も
大喜びするだろうと、分かってはいるが
森の藪を刈るのは庭や畑の雑草を
刈るのとはレベルが異なる。

相手は草ではなく
灌木なのでナイロンコードでは伐れない。
草刈り機2台のナイロンコードを
円盤のチップソーに替えていざ出陣。
いつもナイロンコードをつかっているので、
チップソーの力強さに恐怖。

ミスしたら指なんか軽く切断されそう。
切れ味は抜群で、ナイロンコードでは
手も足も出ない直径2cm程の
灌木がスイスイ伐れる。

 
オーロラ薔薇に飛ぶ!


ドラセナ・リッキーの葉裏で羽化

おっ魂消げたな!部屋から蝉が産れるなんて


奥庭の柿の木か林檎の
木の皮に雌蝉が
産卵管を突き刺す。
生み出された油蝉の卵は、
1年間を樹上で過ごし
孵化し、幼虫となって
地面にポタリと落ちる。

仙人は知らずに
その土をイオの鉢植に使い
その日から
幼虫はイオの住人となったのだ。

5年間も鉢に潜んでいたのか!

幼虫はえっさかホッサカ
鉢の大地を掘り潜り込む。
樹木の根から樹液を吸いながら、
ゆっくり5年かけ、
イオの鉢で成長した。

土から這いだし
鉢植のドラセナを登りつめ
幹から葉へ移る。
この羽化の瞬間を
5年間も待っていたのだ。


咲き乱れる仙人草を褥に,番う揚羽蝶
9月2日(金) 奥庭


ふらふら、ヨロヨロ、落下しそうになったかと思えば必死で羽搏き、再び奥庭に舞う。
あっ、この番い、昨日も交接したまま奥庭を飛び回っていたけど、あれからずーっと繋がったままなのかな!
上の蝶が羽搏いてあちこち飛び回っているけど、どっちが雄でどっちが雌なのか、
2日間も繋がったまま離れない秘密は何なのか、うーん、こりゃ夏休みの課題として調べてみる価値、大いにあり!

あれっ、どうやら仙人は70年の時空を遡り少年・薫君にメタモルしたらしいぜ!




揚羽蝶の性器 ゲニタリア


参考文献
Rothchild, W., Ernst Hartert and K. Jordan. 1906. Novitat. Zool. 13(3): 562-566.
Scott, James A.. 1986. The Butterflies of North America, a natural history and field guide. Stanford; Stanford University Press.
川副昭人・若林守男. 1976. 原色日本蝶類図鑑. 大阪; 保育社

右は赤紋も碧紋も濃いので、雌翅が雄の上に被さっている
驚き!つまりおんな上位で雌が羽搏いて雄を運んでいるのである

うーん、ちょっと紛らわしいけど赤い文様は左の蝶のではないんだ。
左の蝶のものにしては、文様の位置が第2結節の辺りにあることになり、後翅の末端にある文様と異なりおかしい。
つまりこの赤紋は、右蝶の翅が左蝶の翅上に被さっている状態で左蝶の腹部に観えるだけであり、実際は右蝶の紋である。
赤紋、碧紋の濃さからこの紋を持つ右蝶が雌であると解るが、
背板の黒筋の縊れからも雌と同定出来る。しかしこの状態では翅が上にある雌しか羽搏けない。

そうだったのか、交尾したまま雌が羽搏き2日間も雄を運んでいたのか!
それにしても結合部は、境目が判別できないほど一体化し、しっかり繋がっているように観えるけど、どうなっているのか?



赤紋の薄い揚羽蝶の雄
その秘密は
バルバとスーパーウンクス
にあり。

左右から雌の腹部を
鋸刃の着いたバルバで挟み、
鋭いスーパーウンクスを
腹部先端に差し込み
雌の性器を
動けぬ様に固定してしまうのだ。

これじゃ一体化してしまい
境目も解らなくなって
しまうのも納得!


赤紋の濃い揚羽蝶の雌




揚羽蝶の腹部図
左画像が画像2の雄のバルバ(右は雌)


 


画像1


腹部第8腹節の内部に
ゲニタリアは収められている。
画像2


左画像〇内部のゲニタリアを4方向から観る。
腹部の先にある大きな節バルバで
メスの腹部をはさんでつかみ交尾する。
画像3


バルバを開き後ろから観る。
画像4

      
画像3の左側のバルバを
切り取って左側から観る。
 
 
画像5


バルバ内側の中央突起がハルペで
鋸のような歯が着いていて、こいつでメスの腹部をしっかり掴む。
コスタはバルバの基部、サックルスは下側で
アネリフェルは薄い膜でハルペと繋がっている。
 画像6
スーパーウンクス
(superuncus)

 

第8腹筋の突起は
背中からお尻の先に延びていて
スーパーウンクス(superuncus)と
呼ばれこいつがメスの腹部先端に
しっかり喰いこむ。
  
画像7


第9腹節


   
画像9
エデアグス(aedeagus)


幅の狭い輪ゴムの様な第9腹節、
ウンスクは画像8のテグメンの後ろにある
複雑な突起で、第10腹節の背板になる。

やっと辿り着いた肛門の下のエデアグス。
これこそが揚羽蝶の性器なのだ!
第9腹節の中央から突き出したこの
エデアグスこそがペニスであり
堅い骨のユクスタに支えられてメスの性器に
射精するのだ!

 
画像8


上が背板でテグメン、腹板側がヴィンクルムで
ヴィンクルムの最下部にある
サックスは胸側に膨らんでいる。





水源地断水の原因は?

4月16日突然滝の落下水量が極端に減り、明らかに水源地からの水路に異状が発生したと判断し、
水源地まで埋設配管を辿り登ったが漏水箇所や破損箇所は見当たらず。
それから原因究明の探索を重ね、5か月を経て遂に突き止める。


若しやこの下に埋設された弁のトラブルか!

ペンチやスパナでは回せないので10番の
プラグレンチで、どうにか回すことが出来、
ハンドルを外してみたら中央の
軸から水が漏れていると判明。

更にポンプ室から山荘貯水槽への配管と
繋がっている黒の30mm管にも
ピンホールが開いていて漏水。
この滝上のストップバルブは
ポンプ室、水源地、滝上落下口の3か所と
繋がっていて、給水は
ポンプ室と水源地の配管である。

従ってその2か所の給水弁を締めれば、
給水は停止し漏水は止まる筈である。
どうなっているのか?調べるには2か所の
バルブボックスを掘出さねばならない。
深さは如何ほどか、ボックスの下部形状は、
ストップバルブは分解できるのか?
掘出してみない限り解らない。

スコップでは硬くてとても大変そうなので、
先ずは根切り鍬で穴を掘り、
スコップで土を掻き出していく。
バルブボックスは上から差し込んであるだけなので、
簡単に掘出せたが、ストップバルブの
ハンドルの固定ナットが錆ついて回らず外せない。

 
遂に突き止めたぜ!



85歳の敬三さん来る
締めてから1時間を経て調べてみると、
ポンプ室からの30mm給水管の
漏水は完全に止まったが、
山荘貯水槽からの漏水は
水量は減ったが止まらない。

弁の水漏れ2か所修理
給水弁を更に強く締め直したら、
その場では止まったかのように観えたが、
その後瀧口から
ちょろちょろ流れ出ている。
唯単に給水弁の締めが弱いのか、
他に給水源があるのか?

赤のストップ弁を青のボール弁に交換
うーん、解らん。
川村造園の敬三さんに
掘り出したストップバルブを観てもらい
2か所の漏水個所、30mm管と
ストップバルブの交換を
してもらうことに決める。
 




何じゃこりゃ!こんな複雑な水路が地中に埋設されているなんて、誰の仕業じゃ!
A、Bが大動脈で毛細管が3つの庭、4つの畑、滝、山荘へと迷路の如く張り巡らされ、山荘活動を担っている。
もちろん最初は地下水をポンプで汲み上げ、揚水槽Aの水を山荘貯水槽Cに導水し、
山荘の生活水として使っていただけで実に単純な水路であった。

ところが山荘建設2年後に、この揚水槽Aのポンプが被雷し地下の揚水モーターが焼き焦げ、断水。
里に降りて訳を話し水を貰って車で山荘まで運び、モーター交換までの1週間節水生活を送った。
モーター交換と云っても、モーターを取り出すには、地下数十メートルまで埋め込んだ鉄管を掘出さねばならず大工事。
そこで扇山湧き水を山荘へ引こうと計画した頃から、庭、畑への散水計画も加わり、
迷路の如き配水管が、地下に延ばされることになったのである。

この迷水路を地中に埋設した仙人ですら、その複雑さに屡々悩み、弁の操作を誤る。
山荘後継者が弁の操作を試みようとしても、配水管は地中に埋設されているので、繋がりの全容を掴むことは難しい。
となると滝や池の給排水の管理、庭や畑への散水も出来なくなり、山荘活動は大幅な縮小を余儀なくされる。
昨今の仙人は著しく認知機能が低下し、口述による申し送りも危なっかしい。
となると何としてでも山荘給排水管の繋がりの全容を示す、図を作成して置かねばならないと決意。
その結果、悪戦苦闘し生み出されたのが《山荘給排水Map》である。


4か月と8日もの長い間、
考え続けていた謎が突然解けた!
余りにも明快な解答であり、
なぜそれほどまでに
明らかな原因に気付かなかったのか!

 解答を見つけた悦びよりも、
4か月もの思惟の積み重ねが
明察に至らなかった愚鈍さにがっくり!
《瀧のボン・シルバー落水停止、
龍口は緩やかに落水、
源泉まで登るが
石蓋開けられず。原因不明。》
 
4月16日突然
滝の落下水量が極端に減り、
明らかに水源地からの水路に
異状が発生したと判断し、
水源地まで埋設配管を辿り登ったが
漏水箇所や
破損箇所は見当たらず。


バルブボックスを掘出し水漏れ発見
配管工事を施工した
川村造園にも調べて貰ったが
原因は解らず、配管に枯葉や土が
詰まったとしか考えられなかったのだ。

そこで最後の手段として昨日、
滝上部のストップバルブを
掘り起こしてみたが、
漏水箇所を2か所見つけただけで、
この漏水が落水停止の原因とは
心底納得できなかった。
差し当たりこの2か所の漏水箇所は、
バルブや配管を交換
し修理することに決め、4度目の
修理下見に来た川村造園に依頼。

しかし2箇所の漏水は僅かなので、
水源地からの水が以前のように
勢いよく落下することは
無いだろうと察してはいた。


ボール弁はレバーなので位置調整

ボール弁に合わせ切断

これでレバーが回せる
 
自在ユニオンでボール弁を繋ぐ
落水は突然止まったのだから、
ちょろちょろと零れる漏水が
原因であるはずがない。

ストップバルブの部品は
ホームセンターのナフコに十数種類も
置いてあるのを確認してあるので、
自分で交換出来る。

が、それでは
4度も修理下見に来ている
85歳にもなる敬三さん(川村造園)
申し訳ないので修理依頼したが
その結果、滝の落水が
復活することはないと
自らに言い聞かせていた。

埋め立てさあ、これでOK!



 

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