1812ー2020年  師走

即是空 空即是色血の海を渡り彼岸へ
12月7日(月)晴 般若波羅蜜多の夜明け

般若は智慧、波羅蜜多は彼岸に至ること。従って般若波羅蜜多は≪彼岸に渡る智慧≫の意である。

マグマを疾うに失った火山が、嘗て火山であった認識だけを曳き摺って、爆発を試みる。
振動、地鳴り、火山岩噴出前の連続する水蒸気爆発に山体を震わせるが、
実体から空へと血の海を渡り始めた仙人は、為す術もなく、クリスタルのデモクリトスとなって血の海の渚に佇む。

玄奘三蔵が訳した「般若波羅蜜多心経」は、時空を遥かに超越した哲学であり量子力学であると
今更ながらに驚き畏れ入る。
そいつが夜明けの雲を赤血球で塗りたくって、仙人を直撃したもんだから、いとも簡単に
≪実体は空なり≫と実感してしまったのだ!




 
2019年12月18日に4.04mmだったのが
2020年8月に8.9mm、9月には
13mmの3倍に増殖

うーん、此処まできくなったか!
(泉信有Dr呼吸器内科)

そこで再び心電図検査、肺活量検査と続く。
朝8時から15時までかかりっきり。
その間 村上由佳「風よあらしよ」を読む。

呼吸器外科科(長阪智Dr) オペは12月11日に決定。
肺癌から脳への転移が無いか
造影剤ガドリニウムを点滴しながらMRIを撮り、
血液型の確定に2回の血液検査が加わり、
更に1週間前のPCR検査(コロナ感染検査)が必要となり、
12月11日のオペに向けて慌しい。 
国立国際医療研究センター:
循環器内科(岡崎修Dr)心臓超音波検査、
心電図検査、血液検査、
血液内科(中村文彦Dr) 呼吸器内科(泉信有Dr)
検査結果13ミリに増殖。

癌か結核か内視鏡を口から入れて
調べる方法もあるが、下葉の奥なので
内視鏡を入れるのが難しく、
オペで取り出すことにし、呼吸器外科(長阪智Dr)に
明日の診察依頼。

オペ準備として、がん研究会有明病院から
届いている筈の肺活量、負荷心電図の
資料が見つからず、再度こちらの病院で検査。






PET検査では癌は見当たらないんですがね!
(泉信有Dr呼吸器内科)
 



逆流量は減ってますね!
(心臓超音波検査)
 

12月10日(晴)
早稲田大学、サンシャインシティ、
自宅マンションまで眼下に観える
13階の36号室で、現在PCでHP編集中。
個室なのでスピーカを満ち込み
MP3で山荘ミュージックを
聴き乍ら切腹準備。

冷蔵庫、シャワー、TV、ビデオ、
無線LANと設備は揃っているので、
切腹さえ無ければ、
都心のホテルにいるような錯覚。

 

癌を示す赤部が肺に無し!
 
大動脈瘤は43.05mmか!
(岡崎修Dr循環器内科)


林檎,梨、蜜柑、バナナ、ヨーグルト等
病院食では不足する食品を
若松河田駅近くの
スーパーで買い込み冷蔵庫へ。
山荘キウイ、山荘野菜も
加えれば病院食も問題なし。

しかし明日からは
切腹箇所にチューブ差し込んだまま、
術後の洩れる液、
空気など排泄処理を行い、
尿道にもチューブ、腕には
点滴チューブを差し込み、更に
おしめをしての生活が続く。

 
右肺下葉の結節も赤くはないね!



左手は右肺下葉の壁、右手が13mmに増殖した結節で
完全に接してます。オペしかありません!
(長阪智Dr呼吸器外科)


切腹当日の夜明け
12月11日(晴)
国際医療研究センター1336号室


10日17時から19時近くまで
超詳しいオペの説明を受けた。
結節の増殖速度から考えると
悪性の可能性が高く、
癌でないとしてもカルチノイド、
硬化性血管腫の
悪性腫瘍が疑われる。

そのいずれの場合であっても
右肺下葉切除術、
気管支のリンパ節郭清を行うが、
術後に入るべき集中治療室が
満杯で使えない。

コロナ重症感染者が
入って居るので10室の内6室しか
割り当てが無く、緊急用ICUより
高度ケア用のHCUか、最悪の場合は
病室に戻されるとの説明。

となると全身にドレーンなどの
チューブや心電図モニター、
点滴チューブ、血圧計、
尿道管を差し込んだまま、
ICUの救けなしに
一般病室で乗り切らねばならない。


各臓器などを原発として生じる癌は
肺に流れ込み、
そこで濾過され肺癌となり、
肺から心臓を経由し脳や各臓器に
拡散し全身癌となる。
そうなると最早治療の方法は無く、
出来る限り痛みを抑え死を待つしかない。
樹木希林の如く・・・・。

「現在増殖中の結節は
このまま放置しておけば、肺の壁(外側)を
突き破り、肺の外側から癌が拡散し
全身に散らばるでしょう。
いやもしや増殖速度から判断すると、
現在すでに外側を
突き破っているかもしれませんね。
見た目は癌や悪性肉芽腫には
観えませんが、
恐らく体力で増殖を抑えていると
考えられます。」

と長阪Drの懇切丁寧な説明は続く。
しかし朝から晩まで外来治療にあたり、
疲労困憊しているだろうに、
実に患者の立場になって熱心に具に
話してくれる長阪Drの熱意に感銘した。

肺は癌のフィルターであり、
育成嚢だったのだとしみじみ実感! 

 
 



 
13階36号室
 今回の右肺下葉の
胸腔鏡手術に関して、
合併症を起こし予定通りに
回復しない可能性が、
10~15%もあるとは驚き。
 
造りはシティホテルと同じ

眼下に自宅マンションが観える 
再手術が必要になったり、
術後に大きな後遺症が出たり
死亡する場合が2~3%で、
術後30日以内の死亡リスクは
0.2~2%、つまり100人中、
多ければ2人は
術後30日以内に死ぬのだ。 

手術がうまくいかず
合併症を生じる患者は、
15人にもなるとなると、
自分だけは例外なんぞと思わず、
そのうちの1人となる
覚悟をしておくべき。
手術のリスクは十数項目に達する。

通常の200㎖を超える大量出血、
薬の効かない耐性菌感染、
膿が肺の周りに集まる膿胸、
水分バランスが崩れて生じる不整脈、
痰が引き起こす肺炎、
原因不明の間質性肺炎、
肺や気管支の切開場所からの
 
右肺下葉の増殖した肉芽腫

空気漏れによる気管瘻、肺瘻、
記憶力判断力が低下する譫妄、
脳梗塞・出血など脳血管の合併症、
心筋梗塞など心臓の合併症、
下肢の血管内に血の塊を作り
肺に飛んで詰まる肺塞栓症。

とまあインフォームドコンセントで
列挙されると、何と
恐ろしいと感じると同時に、
肉体の機能が如何に
絶妙で精緻な働きをしているかに
改めて驚かされる。

日々組織を正常に保ち
活動させるために絶妙で
精緻な働きをしている肉体が、
突然全く理不尽に、
否応なく切り裂かれるのであるから、
本来なら死あるのみ。

その肉体を復活させようと
するのであるから、寧ろ
この程度のリスクで
済むことに驚嘆すべきなのだろう。 

オペ前日からの点滴開始 
 
最後のトイレ、シャワー



4階の14あるオペ室の7号室に
14時12分に入ると既に
7,8人のスタッフが
かいがいしく動き回り、
長阪Drが麻酔医を紹介する。

「とても優秀な麻酔医ですので、
硬膜外麻酔も
安心して任せられますよ」
 
 
術後ベッドが血に染まるとは!


 
長阪Drの懇切丁寧な術前インフォームドコンセント

 この硬膜外麻酔は、
脊髄を取り囲んでいる硬膜の外側の
硬膜外腔に注射して、
範囲を限定して麻酔できる。
今回は肺周辺に
効くように注射するのだ。

注射後もチューブを残しておいて、
痛みが酷いときはこのチューブから
麻酔薬を注入する。
しかしこの方法は血小板が少なくて
抗血小板薬など使用していると、
硬膜外腔の感染、膿瘍、
血腫形成が生じやすい。






  2日前の麻酔科での
仙人のやり取りメモ。


≪血小板の参考値は
通常15.8~~34.8×10*4/μℓ
なのだが、仙人は11.0と
かなり少ないので、副作用として、
硬膜外腔の感染,膿瘍,
血腫形成の生じる頻度が
高くなるがどうするか?

これは例え患者が同意しても
オペ直前の判断で医師が、
止める場合もある≫
と脅かされる。 
 
クリスマス飾りのロビーで早朝トレ
  若しこの麻酔が
出来なくなるとオペした部分の
局所の麻酔が
極めて弱くなってしまう。
これがあるのでオペ直前に
麻酔医の判断に
委ねることにしていた≫
 

海老のように体を巻き込んで
背骨を向け
先ず痛み止めの注射開始、
その後チューブを
入れる穴を開けるが、
指定場所にチューブが通せず。

2回場所を変えて試すが
上手くいかず、
点滴薬に麻酔薬を
混ぜることに変更。


つまり肺周辺を狙っての麻酔が
出来ないと云う事になってしまったのだ。
優秀な麻酔科医が2回も試みて
チューブを入れられないとなると、
何か原因がある筈?
その前にこの硬膜外麻酔が出来ないと
全身麻酔薬が切れた後、
かなりの痛みに苦しむことになるのでは!

オペ後の麻酔から
覚めての痛みは覚悟はしていたが、
1時間、2時間・・・と時間の経過とともに
疼痛は質と量を増すばかり。
先ずはカロナールを15分点滴したが、
痛みは酷くなるばかり。
耐え難き痛みで神経がやられそう。

 
右肺下葉の肉芽腫を切除し迅速病理に出します
そこで更に
ロキソニンを胃薬と共に飲み、
30分ほどで
痛みを堪えて呼吸が
出来るようになった。

何しろ肺の袋をぶった切って
しまったばかりなのだから、
息する度に
破れた肺から痛みを伴い
血と洩れた空気が出るのだ。 
 
新宿摩天楼に沈む日輪
  胸にあけた穴にドレーンを通し、
切除部からの血や、
切り取られた肺からの
空気が洩れて、体内に
溜まらないように

タンクに排出しているが、
ドレーンから洩れた血が
シーツに流れ、
シーツ全体に3か所の
プールを為し、
おしめも血だらけ。
 
迅速病理の結果、悪性なら下葉切除術、リンパ節郭清します





ナースコール子機に手が回せず、
個室から叫ぶ。4度目の叫びに気づいた
看護師が来てくれたが、
更に強い痛み止めを出すには
担当医の許可が無くてはならないので
もう少し我慢してくれとのこと。
夜明けまでには未だ6時間もある。

痛みで気がふれるなんて話は
あまり聞いたことが無いが、
気がふれるのは
痛みを回避する最後の手段だろうから、
それで決着がつくなら、それもいいかな。
なんぞと作戦を替え、
≪もっと痛みよ酷くなれ、おいらの
神経を奪って痛みのない世界へ
連れてっておくれ≫と願う。

午後になって酸素マスクが外され、
点滴の針が抜かれ
ちょっとだけ人間らしくなる。

 




 
術者・池田岳史、助手・長阪智、末松貴仁Dr他でComplete VATS開始
12月11日(金)晴 14時22分硬膜外麻酔のためのチューブ挿入に失敗 
(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌外科学分野)


 

 

メスで切除後迅速病理へ
迅速病理の結果、癌ではなく、
悪性のカルチノイドでも硬化性血管腫でも
ないと判断され、胸を開いたまま待っていたオペチームは
右肺下葉切除術、リンパ節郭清を行わず、胸にドレーンを差し込み
タンクに繋ぎ胸を閉じた。

となればこの異常な速さで増殖した肉芽腫の正体は何だったのか!
長阪Drは「カンラクセイニクガシュですね」と云う。
「カンラクとは落ちるの陥落のことですか?」
 「あれ、漢字ではどうだったかな、
そうそう乾燥の乾と酪農の酪だったかな。」


 
肺内部
調べて観るとどうやら、免疫を司る
マクロファージが、
細胞に侵入した結核菌を
貪食して出来る肉芽腫だと判明。
マクロファージが結核菌を喰い尽くして
勝利した結果に残るのが、
白いチーズの様な結核菌の死骸であり、
そこから乾酪懐死を伴う
類上皮型肉芽腫
と付けられたのだ。

結核菌の死滅を伴わない肉芽腫は
非乾酪性肉芽腫と呼ばれる。
つまり迅速病理の結果は、
自己免疫でマクロファージが結核菌を
貪食して、増殖している最中であると
示したのである。

進行性感染ならこのまま放置しておくと
体力のある限り
マクロファージは闘い続け、
増殖を繰り返し
肺全体に及ぶことも有り得る。
 
完全胸腔鏡手術
 8年前の有明癌センターの時と
全く同じ症状で、あの時は
若い肉体が結核菌を完全に抑えつけ、
3mm以上の増殖を許さず、
石灰化してしまったのだ。

「お母さんが結核で
お亡くなりになったんですね。
おそらくその結核菌を引きずって
時たま細胞に侵入するんでしょうね」
と長阪Drは話す。

つまりこのような結核腫は
今後も生じ、その都度マクロファージが
駆り出され、力を失った
老いたマクロファージは、
戦士となる類上皮細胞や
ランゲルハンス細胞にもなれず、
やがて闘うことも出来なくなるのだ。
  
 
「≪メスで執刀していてですね、
あれ、変だな柔らかすぎて
メスが先走ってしまう。
気を付けないと残すべき
部分を切り取ってしまう恐れが
あるので注意して欲しい≫ 

手術中にオペチームに
そう呼びかけたんですが、
どうも筋肉や組織の
結びつきが弱くて、
何か根本的な生命に
係る問題がありそうなんです。
心当たりのある症状は
有りませんか?

例えば膠原病とか」
 「数年前から手の甲などに
チアノーゼが出易く、
皮膚も傷つき易くちょっとの
打撲で出血したり、傷口が
大きくなったりと
気にはなってました」
 
 「右肺下葉の手術が
ひと段落したら、血液内科で
詳しく調べてもらってください」
長阪Drとその話をした直後、
看護師が来て
点滴の管を固定していた
テープを剥がしたら、2か所で
皮膚が破れた。
1か所には水疱が生じ、
テープ如きの粘着力で
皮膚が容易に剥がれてしまう
と云う弱さを露呈した。 

早速ネットで調べてみた。
結合組織と血管を
病態の首座とする
類似疾患には、結合組織疾患、
リウマチ疾患、自己免疫疾患が
あるが、膠原病はその3つを
重ねたような疾病らしい。

今後も益々老化と共に
死に至る要因が現われる。
さてどう対処すべきか?  





ID:07185641の記録を開く 2020/12/18


山梨厚生病院 呼吸器外科

 奥脇英人先生御侍史


  国立国際医療研究center呼吸器外科 椙村彩、長阪智
(椙村印;記載者椙村) 診断名:右肺結核腫 紹介目的:今後の御加療をお願いします。
添付資料:手術記録、入院サマリー、CT 【治療経過・既往症・家族歴】 平素より大変お世話になっております。

結核腫疑い術後の患者様のフォローアップのお願いです。2919年9月の健診レントゲンで異常陰影を指摘され、
当院呼吸器内科紹介となりました。
CTで右下葉S6に境界明瞭な5mmの小結節を認め、フォローしていたところ、12mmに増大傾向を認めたため
外科的診断加療目的に当科紹介となりました。
 

2020年12月11日胸腔鏡下右下下葉部分切除術施行し、術中迅速診断で類上皮肉芽の診断となり、部分切除で終了しています。
肺の検体の培養検査で抗酸菌陽性となり、結核腫やNTMと思われます。

現在
培養結果待ちのため、最終判断がつきましたら再度ご報告いたします。 


 
山梨厚生病院 呼吸器外科 奥脇英人Dr

乾酪性肉芽腫の位置が何処に在るかによって、
切開部分がどう異なるか、
図を描きながら説明していた最中だったので、
それじゃそのメモは頂けますか?と訊いたら
「いやー、こんなの恥ずかしくて渡せませんよ。

乾酪性肉芽腫の位置が、肺下葉の外側に接していた為に、
切開部分は最小限で済んだんです。
これが肺の中央や肺元近くにあれば、切開部分は
この2倍3倍、場合によっては
下葉総ての摘出にもなるんです」と云う。

 山梨厚生病院
12月18日(金)
 

「長阪Drは4つ下の後輩で
山梨大医学部で一緒でした。
新築される前の国立国際医療研究センターには
訪ねて行きましたが、
最近はご無沙汰してます」と奥脇英人Drは語る。
カメラを向けたら、少年のような
はにかみを浮かべ、肺画面から身を引く。


左下の半円が切断面です 



胸腔鏡下肺切除術
 

術後経過良好で12月15日退院の運びとなりましたが、今後のフォローアップを自宅が近い
貴院でお願いしたいというご本人の希望がございました。
お忙しいところ大変恐縮ですが、今後の
抗酸菌加療を含め、
貴院でのフォローをお願いしたい所存です。末筆とは成りますが、先生の益々のご健勝を祈念しております。 

患者番号07185641 血液型A型RH+手術名:胸腔鏡下肺切除術 手術日2020年12月11日 執刀医:池田岳史 
主訴(紹介元)当院呼吸器内科 泉Dr  既往歴:大動脈弁不全症(2度)→当院循環器内科フォロー中、
Bicytopennia(WBC,Plt
↓),→血液内科で経過観察中 胸部大動脈瘤最大短径43mm
→当院循環器内科フォロー中 【現病歴】2019年9月の健診レントゲンにて
胸部異常陰影指摘され、当院呼吸器内科紹介初診。
右肺下葉に5mm大の小結節を認め経過観察中。
一度本人の希望で当院に逆紹介の経緯あり。画像上は悪性所見を疑わないものの、
増大傾向を認めたため、外科的診断目的に200(2020のミス)/11/26当科紹介。


 



 
かなり長く切ってますね
抗酸菌に
侵された細胞


診察の仰けから、乾性乾酪化に至る
マクロファージの
免疫活動についての、イラスト図
なんぞを持ち出して、抗酸菌に
侵された細胞が、どう変容していくか
について不明な点を質問したり
したもんだから、奥脇英人Drは
面食らったのかと反省。

この患者、訊けば僅か1週間前に
胸腔鏡手術をしたばかりで、
傷口も塞がっていないのに、態々
東京から山梨の地方病院に
やって来て、来るなり、

「抗酸菌は結核菌だけでなく、調べたら
マイコバクテリウム族の癩菌等も
あるとか出てましたが、私の場合は
どうなんでしょう、再発とかも
あるんでしょうか?」なんぞと
云い出して、こいつは何なんだ!
 と言いたいところ
ニコニコ穏和な表情で答える。

 
右肺下葉の3分の1迄はいかないか!



懐死巣内に石灰化も観られる

 PET(9/10)右肺下葉S6の円形節に集積無し、その他優位集積無し。
明らかな脳転移なし。麻酔時間2時間13分、
手術時間58分(15:20~16時18分 出血40ml)
 尿量140ml 自動縫合器:2個 超音波石灰装置なし アプローチ:胸腔鏡下
 最大創径:3cm 生物組織学的接着剤:なし術中輸血なし port::2つ 

術者:池田岳史 助手1:長阪智、助手2:末益(松?)貴仁 麻酔:全身麻酔肋間神経ブロック、アナペイン
  左側臥位、片肺喚気にて手術開始。
 第六肋骨中腋窩線上に右手操作用ポート(直径2.5cm:Wound retracter XXS)
第3肋骨中腋窩線上にカメラポート(直径5.5mm)、第5肋骨中腋窩線上に

左手操作用ポート(直径5.5mm)の3ポートでアプローチ。胸腔内を観察、肺の炭分沈着は軽度,気腫性変化は
軽度、明らかな胸水は認めなかった。中葉外側面に一部、および縦隔側に2か所癒着を認めこれを剥離した。

病変はS6c外側に存在、直径10mm強の黄色調の表面平滑な結節を認めた。
Powered Echelon 60Gold×2にて部分切除し摘出した。結節からのmarginは十分であった。
術中迅速診断にて類上皮肉芽腫の所見であり悪性所見なしとの診断を得た。
止血を確認、胸腔内を生食にて洗浄後、リークテスト施行、明らかなリークを認めなかった。

右手ポート創部より20Fr.トロッカーカーテルを胸腔内に留置し型通り閉胸、手術終了とした。
 病理組織診断診断医:宮崎秀幹 初見:右肺腫瘤組織学的には内部に広範な
乾酪懐死を伴う類上皮型肉芽腫である。
懐死巣内に石灰化も観られる。腫瘍性変化は指摘できない。

 



 
乾性乾酪化した仙人の右肺下葉の肉芽腫
幾多の奥脇論文

「マクロファージに感染して
増殖する能力が比較的に高い結核菌は
他に感染しますが、
それ以外の抗酸菌は人に感染しません。
3週間後の病理検査を待たないと
何とも言えませんが、今後の再発など
無いと考えてもいいんじゃないでしょうか」

 さすが長阪Drが敢て
仙人の希望する塩山市民病院を避けて、
紹介するだけあって、奥脇英人Drの
対応には感心させられた。
普通の医者なら患者のくせに、
ごちゃごちゃ煩い事云うんじゃないよ。

そんなこと説明する義務はないんだよ。
文句あんならさっさと他の病院に行け
と云われても当然。
調べてみると幾多の奥脇論文が
ネットに載せられており、
呼吸器外科医としての、活躍ぶりが窺われる。


甲斐の赤ひげ

2003年の「左肺癌縦隔リンパ節郭清法の問題点」
と題する論文では、奥脇英人Drの肩書は
何と、国立国際医療研究センター
呼吸器外科となっているでは!
 
その呼吸器外科の専門家が、山梨厚生病院では
水、金と週2日、山梨大学から出向いて
診察しているが、
何と内科医として勤務しているのだ。
この地方では大きな病院である山梨厚生病院には、
若しや呼吸器外科が在るのではと、
チェックしたが、呼吸器外科は無いし、
奥脇英人Drの名も出ていない。

呼吸器外科の記されていない山梨厚生病院に
恐る恐る紹介状を出したが、
案内されたのは内科5番。
寒くなりインフルエンザやコロナウイルスが蔓延り、
内科は大混雑し患者の列。

地方の専門医は風邪の患者も
診なければならないのだ。
奥脇Drは小児科医としても活躍、
そう知って見直すと
小石川養生所の医師・新出去定
≪赤ひげ≫の面影も何処か、チラリ。

 
免疫マクロファージが類上皮細胞やラングルハンス巨細胞となり
抗酸菌を貪食し酸素を絶ち
懐死させる


残照の丘に立つ右肺下葉手術後10日目の逍遥
12月21日(月)晴冬至 9時間45分の1年で最も短い光に包まれる丘のモニュメント 

先週11日(金)のオペの始まったのと同時刻、14時22分に淡い金色の光を放つ読書の丘に佇んだ。
今この瞬間、硬膜外麻酔のチューブを差し込むため局所麻酔の1本目が打たれ、
上手くいかず更に他の場所を探し2本目の麻酔が打たれ、結局チューブを入れることが出来ず、
脊髄からの局所麻酔を断念した時間である。

僅か1週間後に読書の丘を流離うことが出来るなんて、考えることも出来なかった。
淡い金色の光に包まれているだけで、涙がにじんで来る。あー今この瞬間、確かに生きている。




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