1762ー2020年  文月

流るる雲を吸う凌霄花の繚
7月6日(月)雨 都知事選で再選された小池百合子

昨日の都知事選で小池が366万1371票で圧勝。
2位の宇都宮けんじ84万4151、3位の山本太郎65万7277票を合わせても150万1428票で小池の半分にも及ばない。
完全なる圧勝である。因みに仙人は小池の批判票として宇都宮に投じたのだが・・・。

石井妙子の「女帝小池百合子」を読んで小池百合子の実態を知ってしまったら、とても小池には投票出来まい。
小池はカイロ大学卒業どころか、進級試験に落ちたにも拘わらず、日本の新聞社には
日本人女性初として学士号を獲得したと述べ、
1976年の、≪サダト大統領夫人来日≫のコンパニオンとして日本のメディアを翻弄する。



折角蕾を出したが

移植後初めての蕾は摘花
本書110ページにはこう記されている
「小池は日本社会の、
とりわけ日本メディアの甘さを、
この時、はっきりと
感じ取ったことだろう。

大抵の嘘は
見抜かれない、ということを。
自分が語ることをそのまま信じて
活字にしてくれる男の記者たち。


相手が何を喜ぶか、
どんな話題を欲しがっているかを
考え投げてやればいいだけだった。
新聞で活字になれば、
それは事実として世間に認定される。
新聞記者は
あまりにも騙しやすかった」
 

摘花後の蕾を卓上に

水に砂糖を加えたら咲いた!



空飛べるんだぜ!本当だってば!ニイニイ蝉の登場!

これが事実で無いとしたら
小池は黙っていない。
当然ながら著者を名誉棄損で訴え、
損害賠償請求の
裁判を起こす筈だが、
このカイロでの同居人の証言を基に
書かれた本書に対して
小池は沈黙。

この嘘がバレるのを防ぐため、
小池は同居人に対して
「あのね。私、
日本に帰ったら本をかくつもり。
でも、そこには
早川(同居人の仮名)さんのことは
書かない。ごめんね。
だって、バレちゃうからね」

と述べている。

地中から大空への羽ばたき直前!

石井は本書を書くにあたって
小池百合子に
取材の申し込みを3回行い、
断られている。
学歴詐称の噂を消そうと、
選挙の際に提示した卒業証書の
提出も再三求めたが、
小池は応じなかった。

小池のカイロでの同居人である
早川が、何故仮名でしか
名乗れなかったのかの事情も
語られている。

多くの人が小池について
証言することに躊躇し、怯え、
躊躇っている中で、
よくぞここまで調べ上げ、
書き上げたもんだと感嘆!

≪権力に溺れたナルシズム≫
とマックス・ヴェーバーの
著作「職業としての政治」
からの引用が嵌っている。

全身に泥を被った抜け殻と脱皮したニイニイ蝉



デマゴーグって知ってる?
中島岳志の
≪小池は男社会に過剰適応し、
社会的地位を獲得していく。
現在の小池は、
男社会と共犯関係を結ぶことで、
権力者の地位にたどり着いた。
そんな彼女は、

社会的弱者に冷淡だった。≫

(村上メールより)

大衆扇動者型政治家さ

深山川蜻蛉のお出ましじゃ(竹森川のミヤマカワトンボ)

権力の為に権力を
も的確な指摘だね。
小池の行動は確かに
冷徹なプラグマティズムを感じさせるが、
石井妙子は最終章で
ヴェーバーを引用して一刀両断、
暗に小池のナルシズムと臭わせている。

享受する政治家さ!


繚乱する君が代蘭を笑う
7月6日(月)雨 読むべし!石井妙子「女帝小池百合子」

わっははは!可笑しくて臍が捩れるぜ!
そんな風に美しく装って冷徹なプラグマティズムを振りかざして騙そうたって、そうはいかんぜ!
築地から豊洲への移転を汚染が酷いと云って反対し、石原慎太郎を追い詰め、
2年後には「築地は守る、豊洲は活かす」と語り、豊洲の追加工事を進め
その結果基準値の170倍のベンゼンが地下水から検出されたにも拘らず、
自らの公約なんぞ何処へやら、豊洲への移転を決めちまったんだぜ。

つまり都知事になって2年間、散々都議会を掻き回し、築地市場の業者や都民、国民を弄び
挙句の果て基に戻し、あたしのお陰で豊洲への移転が果たされたかの如く振る舞う。
つまり端から小池にとって汚染など、どうでもよく、自分が目立ちさえすればよかったんだ。
豊洲への移転は、自民党にすり寄って≪女性初総理の座≫を狙う小池の魂胆が見え見え!
それが冷徹なプラグマティズムだってのかい?


悪の華

序章のトップに引用された
ボードレールの【悪の華】に参った。
この引用だけで
石井妙子が只者でないと実感!

≪気紛れにそなたは歓喜を
災害を処かまわず植え付けて≫と
小犬のように小池百合子の後を追う
ぞっこん惚れた宿命と
百合子の所業を重ね合わせるなんぞ、
誰にでも出来るもんじゃない。

飛びぬけた繊細な感覚と
一挙両断に断ち切るずぶとく
激しい殺傷力を併せ持っていて
初めて為せる業。

石井妙子(51歳1969年生)
それだけではない。
序章、1~7章、終章と展開する
エピローグに唸ってしまった。
数回の小池百合子への接触を試み、
果たせなかった筆者は語る。

≪彼女に会う機会があったなら、
私は何を聞くだろう。
崖から飛び降りたことを後悔してるか、
それに見合うだけの人生は
手にいれられたか、
自分の人生を歩んでいるという実感は
あるのか、あなたは何者になったのか。
そして太陽は
あなたに眩しすぎなかったか

と聞くだろう≫


この太陽は眩し過ぎなかったかと
結んだ部分に痺れた!
裁判の最後で、殺人の動機を
≪太陽が眩しかったからと述べた≫
カミュの「異邦人」を
引っ張り出してくるなんて
心底参ったぜ!
 
文藝春秋2020年5月発行

その人はひどく怯え、絶対に
自分の名が
特定されないようにしてくれと、
何度も私に訴えた。
同じ様な言葉をこれまでに、
いったい
どれだけ耳にしたことだろう。

ある日を境に電話に出てくれなく
なってしまった人もいれば、
家族が出てきて、
「二度と近づいてくれるな」と
追い払われたこともあった。
皆、「彼女を語ること」を
極度に恐れているのだ。
彼女のことを古くから知る
というその人は、
躊躇いながらも上ずる声で
話し出すと、
憑かれたように語り続けた。

「何でも作ってしまう人だから。
自分の都合のいいように。
空想なのか夢なのか。
それすら、さっぱりわからない。
彼女は白昼夢の中に居て、
白昼夢の中を生きている。

願望は彼女にとっては事実と一緒。
彼女が生み出す蜃気楼。
彼女が白昼見る夢に、
皆が引きずり込まれてる。
蜃気楼とも気づかずに」

(序章 平成の華の冒頭より) 
 
月刊文藝春秋7月号




暗い深淵から出て来たか
石井妙子「女帝小池百合子」

女性初の都知事であり、女性初の総理候補とされる小池百合子。
「芦屋令嬢」、破天荒な父の
在、謎多きカイロ時代。キャスターから政治の道へ。男子社会にありながら常に「風」を巻き起こし、
権力の頂点を目指す彼女。誰にも知られたくなかったその数奇な半生を、つきまとう疑惑を、
数百人を超える関係者の証言と3年半にわたる綿密な取材のもと描き切った。
あなたは一体、何者なのですかー
(表紙カバー見出し)

「暗い深淵から出て来たか、明るい星からうまれたか?
ぞっこん惚れた【宿命】が子犬のように後を追う。気紛れにそなたは歓喜を災害を処かまわず植え付けて、
一切を支配はするが、責任は一切もたぬ」
(ボードレール・堀口大学訳【悪の華】)




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