174の1ー2020年 皐月
木星壁画に沈む満月 5月9日(土)夜明け4時12分 イオテラスから 8日19時24分扇山の頂よりやや水晶峠に寄った稜線から、満月がぽっかり。 黄金の光を四方八方に放射しているが縦と横の光が特に強く、満月に十字架が掛かっているよう。 天空高く昇ってしまった月は背景を失い、夜明けに山荘の西の森に墜ちるまで、このまま変化を見せない。 ならば、西に在るイオの部屋で夜明けを迎えれば、墜ち行く満月に再び逢えるでは。 未だ明けぬ3時50分、アマルティアのベッドから起き出しイオの部屋に移動し暫く横たわる。 イオテラスを見上げると、大欅と西森の間、山荘ゲートの真上に皓皓と満月が! テラスに出るガラスドアに映るイオの木星壁画が、西森を背景にして鮮やかに浮かび上がる。 もしや満月はあの木星壁画に描かれたイオにペネトレーションを試みるのでは! それなら誰も目にしたことの無い天体ショーが出現するのでは。 急いで階下に降り望遠一眼レフとデジカメを持って、再びイオ部屋に上がり満月を見上げる。 既に満月は西森へのペネトレイトを開始し、肉体の半分を西森に沈ませ、 イオを食いちぎり、イオの火山から噴出する硫黄マグマを翡翠の光に変え、仙人に迫る。 ≪お前は死を恐れ、自らの墓の造成をサボっているな! 造成が遅れればお前の死が先延ばしになると思ったら大間違いだぞ。逆だ!≫ でもって未熟仙人はおっ魂消て、いそいそと墓造りを再開したと云うわけか! |
欠損上顎をプラ補修 |
仙人墓工作メモ 仙人墓の弱点は JS(ジョン・シルバー)の上顎にある。 上顎にあたる眼の下の骨が欠損し、 白いプラスチックで補修してあるが、 不自然さは否めず墓としての耐久性も無い。 そこでこの上顎部分をセメントで整形し、 半永久的な瀧の落ち口に出来ないか 試行錯誤を重ねてきたが、失敗の連続。 セメントは平らな面なら綺麗に固まるが、 斜面や垂直面に塗りつけ 固めるのはかなり難しい。 短時間なら垂直面にも打てるが、 セメント自身の重さで固まらぬ内に 落下してしまうのだ。 そこで今回はプラスチック部分に 網をかけ、更に隙間部分に 小石や貝殻を詰め、 セメントがずり落ちない工夫を重ねる。 セメントの粘度具合を固めにし 1時間養生し、落ちない様であれば 固形化反応を促進する為 霧吹きを行う。 さてこれで上手くいけば、 固まった後で細かい仕上げ補修が 出来るのだが、まあ、 そんな甘い期待は 抱かず明日を待つとしよう。 |
上顎をセメント補修 |
角と一体化した 鹿の頭蓋骨ジョン・シルバーを 滝の落ち口として長年使用して来たが、 重い上に2本の塩ビ管で 支えているので不安定極まりない。 仙人の墓にするには、 もっとしっかり 固定せねばと思いつつ早や10年。 先週から修復作業に取り掛かったが、 想定外の難しさにタジタジ。 空中での落水を可能にした 2本の塩ビ管を思い切って撤去し、 テラス工事で廃棄した窓枠サッシを 支柱にして瀧上の岩に 固定出来ないかと悪戦苦闘。 先ず支柱となる窓枠サッシの平板と ジョン・シルバーの頭蓋骨を 如何にして結び付けるか? 薄いアルミ平板は 角度をつけて折ると、 極端に強度が落ち弱くなり、 その曲げた平板に頭蓋骨を載せる と安定せず、左右にブラブラと動く。 先週ログハウスの屋根から 取り外した雨樋の受けを利用して、 曲げた部分は安定させたが、今度は 大地に打ち込んだ 支柱部分が捩れてしまいう。 支柱の中央部を瀧上の岩に載せ セメントで固定し捩れぬ様にし解決。 |
セメントを白塗りして |
しかし本日は西高東低で風が強く、 常に重い頭蓋骨が揺れる為、 セメントが固まる前に 隙間が出来てしまい、 とても固定出来そうもない。 最後の手段として、サッシのアルミと 岩の双方に穴を開け 埋め込みボルトで 締めるしかないかな! で結局セメントでの固定に成功。 次なる問題はジョイントの位置。 ジョン・シルバーの頭蓋骨の 直ぐ後ろにジョイントをセットしたので、 奥庭から見上げた時、 支柱からはみ出したジョイントとホースが 不細工で、何とかならないか! オブジェとして はみ出しジョイントを活かすには、 黒の三角翼か円盤を 取り付けるしかないかなと、 あれやこれや素材を考えていたが、 どうもしっくりこない。 それでなくても重いのに、これに更に 部材を加えると見た目にも重くなり 実に鬱陶しいこと間違いない。 突然目から鱗が落ちた。ナーんだ! ジョイントを支柱の一番下まで下げれば 一挙解決では! |
プラ上顎では不満 池水を止めても谷水は流れ続けているのだから、 一時的にせよ瀧口の水が止まるのはおかしい。 水流が弱くなるのは当然だが、 流れ続けている水流が中断される筈がない。 そこまで考えて、ふと気づいたのだ。 池水を止めた事により、谷水が瀧口以外に 流れ出る水路が一瞬作られたからに違いない。 他の水路と云えば1つしかない。 池水ホースである。 池水ポンプを停止した途端、池水ホースの水は 瀧口からずーっと下の池に逆流し、 そのホースに谷水が流れ込み、 ポンプ停止後は谷水が瀧口だけでなく、 もっと下の三又ホースジョインに 取り付けてある池水ホースへと流れ込む。 つまりポンプ停止と同時に谷水は、 瀧口と池のポンプ吸い込み口へと 2方向へ流れ出すのではないか? 昨夜それに気づき居ても立っても居られなくなり、 ブリッジのライトを点灯し、 懐中電灯を持って2階のブリッジから瀧口へ直行。 開け放しにしてある池水ホースの 弁を閉じたら、2倍の勢いで 瀧口から水が噴き出すでは!やったね! |
そこで朝一で先ずははみ出しジョイント問題を解決。 次は吹き出し口に被せるペットボトルを紅く塗り、 火を吐く龍に合わせ、更に池からの取水ホースを交換し石組の やり直しと試行錯誤を重ねたが、まだまだ納得出来ず。 ≪線路は続くよどこまでも!≫の線路を墓作りに替え、 ハミングしながら仙人は嬉しそう! 激しい水流が復活しない! ホースにゴミが詰まったのか? ホースの途中が屈折して流れを阻害してるのか? ヒントが無いわけじゃない。 谷水とポンプで汲み上げた池水の双方を 同時に三又ホースジョインに流し、 その後池水だけを止めると瀧口の水が完全に停止し、 数秒後に谷水が流れ始めるのだ。 |
仙人墓、一応完成だが・・・ |
仙人山と豊穣で濃密な刻を共有 4月26日(日) 仙人山のてっぺん 最大の敬意と溢れ出る情感を込めて仙人山との逢引を果たしたい。 先週は3回、仙人山と豊穣で濃密な刻を共有したが、最大の敬意と溢れ出る情感を注ぎ込むまでには至らなかった。 どうしたらこの想いを仙人山に届けられるだろうか! 遠くから深い想いを込めて、じっと見つめながら一歩一歩ゆっくり距離を縮めるには、 鉄塔山から長い稜線を辿り鉄塔峠を下り、最もきつい登りとなる北峠を経て仙人山に至るルートがベスト。 鉄塔山へは、鉄塔峠からの往復ではなく、更に北へ延びる林道の終点まで登り詰め、 そこから全くルートの無い急坂の原始林の藪漕ぎをしながら達するのがいい。 |
池面に映える山吹 |
中庭で咲き始めた躑躅 |
畑に蔓延る蒲公英て |
そう決意し10時に山荘を出て 鉄塔山へ向かう。 1時間で倒木や落石で塞がれた 鉄塔山林道終点に出る。 十数年前に此処から先の原始林に マークを着けて置いたのだが、 全く見当たらない。 鉄塔山にダイレクトに突き上げる 尾根を選び、ずり落ちそうな |
食卓を飾るチューリップ |
急斜面を黙々と登る。 標高が高いので山荘周辺では 咲き終わってしまった三つ葉躑躅が満開で、 花簪まで咲いているでは! 山頂から鉄塔まで下り、 眼下に上条山や小倉山を見下ろし、 一気に鉄塔峠に下る。 小ピークを幾つか越え 北峠から魔の急登ルートと対峙。 |
林檎畑の蕾 |
防火帯と森の コンタクトラインを縫いながら、 仙人山に至る稜線に出る。 目の前に仙人山の標識が現れる。 山巓標識にご挨拶していたら、 眼下の里から正午を知らせるチャイムが 緩やかな春風に載って流れて来る。 山荘から2時間。 やっと逢えたね! さあ、此処から扇山への、 芽吹いたばかりの命に満ちた 稜線歩きが始まるぞ。 |
林檎の花です |
アイリスが前庭で数十本揺れる |
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瀧下の芍薬は誰にも観られず散る |
昨年移植した花大根が咲く |
芝桜も食卓に載せる |
仙人テラスのペチュニア |
石卓に咲き誇るアイリス |
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忘れていた木蓮は散る |
来年はきっと蕾を撮るよ |
遥けき聖岳、赤石岳に微睡む仙人 5月11日(月)晴 躑躅満開の小倉山てっぺん |
芝桜に花水木はぴったり! |
烏野豌豆が我が物顔に蔓延り、 庭も畑も, もう待ったなしであることは、 口煩いジョンシルバーに 云われるまでもない。 しかし西畑の菜畑を掘り返し 満開の菜花を処分し、施肥し 耕耘機掛けを最優先しなけらばと、 横目を畦に向けると 烏野豌豆が否応なく目に障る。 そりゃ烏野豌豆には何の恨みも無いが、 蒲公英なんぞと結託し 畦道を塞ぐと野良仕事に 大いなる支障を来す。 古代には原産地の オリエントから地中海で、 麦作農耕と並行して栽培され、 食用にされていたのだから、 嘗ての様に若芽や豆果を採ったり、 豆を草笛にしたり 利用すればいいのだが、やたらと 手間暇ばかり掛かり最早 誰も見向きもしない。 |
相棒の赤花水木は咲かないね! |
昨年移植した藤が咲いた |
でも成長がとても遅い |
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重い唐鍬を振り上げ汗だくになって、 どうにか西畑の菜花の 掘り起しを終え、いよいよ畦道の 烏野豌豆退治に取り掛かる。 最初はカルサーで 刈ればいいと思っていたが、 それでは根が残り来週には スクスクと成長し再び カルサー草刈をせねばならなくなる。 大変だが根こそぎ作戦に変え、 唐鍬で根起し開始。 登り坂の畦道を2mも根起しすると 腰痛が始まり、この先未だ 延々と続く畦道の 烏野豌豆根絶やし作戦は、 あっけなく終了。 |
憎っくき烏野豌豆も美人だね |
即カルサー草刈作戦に戻り、 人力から機械力に! まっ、西畑の雑草取りは 鼻歌気分で進んだが、前庭、中庭、奥庭、 更に葡萄畑へと進むにつれ、 機械力でも楽ではないと実感! その上雑草を刈る ナイロンコードの消耗が頻繁で、 その都度カルサーのヘッドを外して コードを引き出す作業が加わり、 回転盤を取外している内に 回転盤の部品が落ち、 雑草に紛れて行方不明になったり。 ヘトヘトに疲れ、 最早野良仕事後の ご褒美山散歩なんぞあり得ない。 |
牡丹が咲くと奥庭は華やぐ |
しかしこのまま山散歩をネグれば、 余りの薄弱精神に落ち込み、 仙人は悪夢に魘され 睡眠も儘ならぬ ことになること間違いなし。 そこでよろよろと ストックに縋り付いて 里路に歩き出したのだ。 ≪美しいのに、食べられるし笛にもなって 人間の役に立つのに、 人間に憎まれ刈られてしまう烏野豌豆。 野良仕事で雑草を刈る度に、 遥かに遠い心象風景の彼方で心が痛む。 その痛みと樹麗のオペや悠樹の記憶がクロスする。 ≪生きて在ることの哀しみ≫が 仙人に働きかけているのだろうが、 2つを繋ぐ回廊が観えない≫ |
アイリスの複雑な花芯 |
山頂は躑躅が満開 ≪小倉山くらいなら、もう登っても良いかな!≫ なんぞと傷めた左膝に訊いたって、答えは解っている。 だもんだから何気ない振りをして、 如何にも森の散歩だよ、と問われもしないのに呟いたり。 一歩一歩、進むにつれて勾配が増し、 ≪森にしてはちょっとおかしいぜ!≫と気づかれぬ内に、 小倉山のてっぺんに立ってみると、 何だかいつもより森も空も一段と美しい。 一触即発のプレゼントかな! |
一触即発 先週傷めた左膝の靭帯にお伺いをたてながら、 小倉山の森を漂い、てっぺんに着く。 僅かに南アルプスが雲と戯れてはいるが、 空は澄み渡り満々と碧を湛え、仙人を眠りに誘う。 |
見上げると若葉が眩しい! |