1733ー2020年  卯月

登山靴で装う大欅に沈む19夜月
4月12日(晴)夜明け5時12分 イオテラス

未だ芽吹かぬ枝だけの大欅の背後に、19夜月がくっきり。
ゲートの左手に高々と聳える大欅が19日の月に語り掛ける。
≪今朝も雲1つ無い光あふれる夜明けになったね。桃源の里から這い上がって来た桃の絨毯が山荘まで登り詰め、
山荘が桃色に染まりそう。やがて大欅も芽吹いて山荘は生命に満ち溢れる季節を迎えるんだ。
次の満月の夜明けが愉しみ!それまでさようなら!≫ 

6時ジャストに高芝山の稜線から光が飛び出すと、19日の月は影も形も失せ、
山荘森では鳥たちの囀りが光に絡まってタピスリーを成し、
仙人はただただ見とれているのです。
さあ、仙人山へ行こう。この雲1つ無い空を齎した高気圧も、午後に通過し不安定になりそうだから、
ザックにチェーンソーやガソリンを入れ、朝一番で仙人山に登り、山巓をトリミングしてやろう。
≪あのー、仙人山だけでなく原始仙人の頭も、もう少しカットして、さっぱりしたら!≫




凄いぜ!
朝食後のパワー


足が重力と小気味よく戯れる。

≪うーん、重くて上がらない。
もう少し重力を弱めておくれ!≫と
山に登る度に嘆いてばかりいた仙人が、
驚いたことに今朝は
重力と蜜月を語らっているのだ。


仙人テラスの朝食

フルーツもたっぷり

仙人山で伐採開始

運び易く切断

≪ふんふん、
お前さんの深く引き込む吸引力、
中々悪くはないな。
吸い込まれピタッと足が
大地に捉われた瞬間、
ゆっくりお前さんの重力を
振り切って
再び足を高く持ち上げる。

     

やべー、刃が喰い込んだ!
その無限の繰り返しが、やがて山巓へと仙人を導く。
つまりお前さんとの戯れこそが山巓への回廊と云うわけだ。
そらもっと重力を高めてごらん!
締め付けが強くなればなる程、登り甲斐があると云うもんだ≫

 一体どうしてしまったのか!
今朝の仙人の足はまるで軽いのだ。
ここ数カ月、畑仕事を終え夕刻登山に出る仙人の足は鉛の如く重く、
重力を呪いつつ山巓を目指していたような気がする。




別のチェーンソーで反対側から伐って、喰い込んだ刃を取り除く

その足の重さの背景に老化衰退が、深い翳を
忍ばせているのを仙人はしっかり認識していた。

先日、山荘の緩やかな森で、ヨレヨレと倒れ掛かり
目の前の灌木を左手で掴み、身体を支えたが支えきれず、
半回転したまま
ズルズルと仙人の目前で崩れ落ち倒れてしまったF。

  

やったー、これですっきり! 



山頂らしくなったぜ!

軽やかにハミングでもしたくなるような気分で、
足取り軽く山を駆け巡るなんて、もう2度とあり得ないと
堅く思い込んでいたので、重力と戯れる
今朝の脚の軽さに、仙人はびっくり仰天!

いつもの空身の山トレーニングと異なり背中には、
重いチェーンソー、ガソリン工具など詰まったザックを
背負っているのだが、その背中の
重みさえ実に心地よく、
ハミングだけでなく、口笛さえ吹きたくなる」気分!

Fを目の当たりにし、
その姿こそ自らの実態であると
強く自覚した仙人は、
最早この現実から逃れる術は、無いと悟ったのだ。

 
序にゆぴてる頂も伐採



桃源郷に聳える仙人山
4月12日(夕曇)  竹森川左岸

原因を考えてみたら何と云うことは無い。
人参、セロリ、胡瓜、春菊などを生ハムや法蓮草、レタスでくるんだサラダをたっぷり食べ、
粗挽きウインナーとピーマン炒めに焼立て自家製パン、自家製干柿、キウイ、林檎、パイン、苺、葡萄、グレープフルーツを
ヨーグルトのトッピングにした朝食をゆっくり愉しみ、
体中にエネルギーが、満ち溢れているだけの話しだったのだ。

昼飯抜きで夕刻まで畑で汗を流した後の、エネルギーの枯渇した腹ペコ状態とは、比べ物にならない。
そうだったのか!
あれ程までに夕刻登山の足が重かったのは、老化衰退だけが原因ではなかったのか!
足が重かったのは、ただ単に腹が減っていただけとは、こりゃ驚いたぜ!
そんな当然なことに気がつかぬことこそ、老化現象だと仙人は認識しているのかね! 



山荘まで昇った桃源

味噌などの塩分を始め、大好きな檸檬スライスも
熱い飲み物や冷たい飲み物も受け付けず。
仕方なく敢て危険なステロイド、ロコイド軟膏を
左頬の内側に塗りたくった。さあ、どうなるか!

それにしても何処も痛くない生活が出来るなんて、
何と贅沢なことかと、しみじみ思うのである。
もしこの口内の痛みから解放されたら、
スキップしながら我が肉体を
仙人山の天辺に連れて行ってやろう。
裂けた仙人Ⅱ

痛む裂傷は口内の右側なので、
どうしても飲み物、食べ物は左側で咀嚼する。
それが2週間も続けばどうなるか!

当然ながら左頬の内側が叛乱を起す。
左頬は炎症を生じ未だ右の裂傷痛が
退かぬ内から痛みが始まり、遂に醤油、

 
菜花眼下の桃源郷



菜花の海でPCと戯れる仙人
4月14日(晴)  山荘西畑の青梗菜&白菜花

幾ら頭を掻きむしっても、最早仙人の脳味噌からは何も出てこない!
頭上の白い辛夷が囁き合う。
≪おやまあ、畑仕事もせず菜の花畑にどっかり座っちゃって今日も又、仙人はおさぼりかね!≫


苦痛が肉体の危機を知らせる警告であることは言うまでもないが、
絶えざる自己超越を強いられている脱自的存在である実存のトリガーでもある。
いや、寧ろ仙人にとっては警告よりも遥かに、実存認識のトリガーであるに違いない。
能天気であろうと切に願う背景に、このいつ暴発するか解らぬ仙人のトリガーへの懼れがあるのは見え見え。

ある程度の苦痛までは、自らを危機的状況に追い込み、その危機を超克せんと没頭することで抑えることが出来る。
≪口内裂傷の痛みなんぞ、敢て危機的状況に追い込むまでもなく、ちょっとハードルの高い面倒な作業でもやらせれば、
仙人は直ぐ忘れるさ!≫ ジョン・シルバがいつもの辛辣なモノローグ。
そこで仙人が手を付けたのは、ログテラスとログハウス、ウッドデッキのオイルステン全面塗替え。
こりゃ塗替えと一口で言ってしまえば、あっけないが実は大変な作業量なのだ。



屋根の縁の樋から

切妻部分を丁寧に!

①ログハウス屋根を覆う楢から
落ちた枯葉、団栗、枯れ枝は、
うず高く積もり先ず、
こいつを総て取り除く。
②テラスのテーブル、椅子、
大きな鉢植え、

作品棚の陶芸作品などの移動。
③テラスの床板の隙間に
挟まった団栗、枯れ枝、枯葉を箆や
マイナスドライバー等で
丹念に取り除く。
④よく絞った雑巾で
床板の汚れを落とす。



高芝山が雪山になって絶景!

⑤オイルステンを塗る。
今回はログ屋根の雨樋を外して、
こびり付いた土を箆と束子で
削り取る作業が加わる。

上向き作業なので
保護メガネをしているが、
汚れ土や塗った塗料が眼に入る。
うーん、半端じゃないぜ!

で、どうだ!
ジョン・シルバーの
モノローグはぴたり!
仙人はすっかり
口内裂傷の痛み何ぞ忘れて、
熱心なペンキ屋に変身。
まぁ、仙人の苦痛何てそんなもんさ!

腐らない様に浸み込ませる

急で滑り落ちそう!


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