仙人日記
 
 その1324ー2016年  霜月

11月4週・・・54年ぶりの11月初雪が大雪!


焦るボン・シルバー未だ11月だって云うのに!
11月24日(木)大雪 54年ぶりの11月初雪&大雪じゃ!

夜中にカーテンを開けてテラスを覗いて観たら、既に手摺には数センチの雪が積もっているでは!
ストレッチをするため居間のシャッターを開けたらテラスはすっかり雪国。
丸太椅子に積もった雪の深さを計ったら18㎝もあるでは。
このまま夕刻まで降り続くらしいので、20㎝を超える大雪になること間違いなし。

先々週からやらねばと思いつつ忘れていたキウイ収穫と追熟の為の処理を、不幸にも思い出し、
雪の中、西畑に出動。
柵扉の錠代わりのカラビナはすっかり凍てつき開かず。
急いで数十個収穫し、林檎と一緒に袋詰し、そのまま扇山に向かう。
今冬初の雪山トレーニングにウキウキ!  



起きてカーテン開けたら!

滝上の鹿角も雪塗れ

一階テラスも雪国じゃ!

丸太椅子も雪帽子
54年ぶりの初雪

今夜から明日に掛けて
54年ぶりの11月の初雪との予報。
≪1962年11月22日以来、
54年ぶりの早い雪の便り≫ 


つまり仙人が18歳の時
以来の初雪と云うことになりそう。
本格的な登山に目覚め
谷川岳の一ノ倉沢の岩壁や
穂高岳に通い始めた頃。

翌年の1963年11月23日は
単独で吹雪の谷川岳に登り、
山頂の肩の小屋で
ケネディー暗殺の
ラジオニュースを聴いた。

そうだった、あの頃の冬は
マジに寒くて
大雪も珍しくはなく毎年、
冬山での遭難が相次いだ。 


作品棚も壊れそう!
 
山茶花も重そう!
 
前庭は雪の花ばかり
 
君が代蘭も雪を持て余し
 
計ってみたら18㎝もあるぜ!
 
凍てついたジオ



雪は降り続いて
                                     ≪La neige≫

夜中、読んでいた本を置いて、布団を出、冷たい窓ガラスに額を付けて外を見てみました。
薄っすらと雪のかかった木がたわんでいます。地面もまだら模様です。
雪は降り続いています。寒いです。
今日の夕方は、前回彷徨していた上条山リベンジでした。

11月です。日も短くなってきました。そこで迷い人は、バックに懐中電灯を忍ばせました。

ザゼンソウ公園を一人で歩き始めます。すぐに空の暗い雲に気付きました。
雪が降るとの予報を聞いていたのに軽装で出てきてしまいました。



嬉しくて雪の森に大はしゃぎ!
11月24日(木)大雪 森のレストランで一杯やっか!

あーそんな懐古に耽っていてはいかん!即スタッドレスタイヤに交換しないと山荘から脱出出来なくなる。
と慌てふためいて奥庭からスタッドレスタイヤを前庭まで運び、オイルジャッキーで車体を持ち上げタイア交換。
写真を撮ってから、カメラを車のボンネットに載せ、ジャッキーを窯室に運んで、さてそれでは車をゲートに運んで、これで一件落着。

ほんじゃご褒美に、雪の降る前の上条の森にでも行こうかと準備。あれカメラどうしたっけ?イケネー、車に載せたままだ!
急いで車に戻るがボンネットには無い。枯葉の敷き詰められた前庭とゲートの間をウロウロ探すが見当たらない。
おかしいな!あったー!信じられない。カメラが左前輪に轢き殺されてしまっているでは!がーん!
2012年4月25日から4年と6カ月、ホームページの殆どの画像を撮って来た愛用のカメラ・SZ-14が
こんな結末を迎えるなんて!



森のレストラン入口

雪のテーブルに客独り
11月17日ヌーボ解禁

ボジョレー栽培・醸造研究所の
ベルトラン・シャトレ氏曰く、
「2016年は力強さというよりも、
酸と果実味のバランス、
爽やかさと深みのバランスが
素晴らしいエレガントなスタイル」
とコメント

1本1万8百円の"Village"には
及ばないが
手頃なArt's BeauJolais Nouveau 2016が
手に入ったので
手造りチーズケーキと一緒に
どうですか?

そういえば今年の山荘ヌーボは
どうしたんですか?
≪忙しくて葡萄の収穫時期を
逸してしまったんです≫

注文はボジョレーヌーボー!

摘みはチーズケーキ!



干柿の屋根が潰れそうだ!
11月24日(木)大雪 雪山トレーニング中止して除雪


夕トレは小倉山にして豪華2本立ての雪山トレーニングを考えていたが、
ふと葡萄畑の干柿屋根に目をやると、20㎝を遥かに超えた積雪に屋根は撓み、今にも葡萄棚から落下しそう。
こりゃ夕トレどころの話ではないと、ストックをスコップに変えて葡萄畑に出動。
縦横格子状に張ったワイアーの上に積もった雪を、屋根の下からスコップで落とすのは難しく、
途中から雑草取りの立鍬に変えて悪戦苦闘。


スコップと立鍬を武器に
雪を落とそうとしても、
立鍬の刃がワイアーに引っかかってしまい
雪を落とせない。
仕方なくワイアーに固定してない
ポリカ波板を葡萄棚から外して、
固定してある屋根の上の雪をどうにか落とす。

今朝の最低気温は
ー3.5℃と今冬の最低気温を記録。
これじゃゲート前の急坂の雪は

昨年は雨で全滅、今年は雪か
当分解けることは期待できない。
先ず冬の駐車場に車が入れるよう除雪し、
冬用の南斜面の急坂ルートも
雪掻きせねばと朝一で出陣。

夏ルートの急坂部も除雪しないと、
山荘から下ることも出来ないが、
此処は朝食後にじっくり
時間を掛けてやるしかない。 

格子ワイアーに阻まれ難しい除雪



脱出路を作らねば



昼近くになってかちんかちんの雪が
少し溶けて来て、
スコップでの除雪が楽になりスピードアップ。
100㍍程の上段の急坂除雪を終え、
いよいよ問題の最難関、下段の
急坂の除雪に取り掛かかる。
 
朝トレは雪掻きじゃ!

朝焼けの鉄塔山を見上げては除雪
汗びっしょりになって急坂カーブを左に曲がり、
ふと下を見るとがーん! 
今までの数時間にわたる除雪は
何であったのか!
総ては水の泡!
直径30センチ以上ある巨木が
道路上に長々と寝そべって、通せんぼ! 



頭の中は白く霞んで
                                            ≪La neige≫

迷い人は暑がりでありながら、非常な寒がりでもあるのです。
雪の予報を聞いた時、暖炉の前でのんびりしている図が浮かんでしまったのでした。
山荘でそんな事は絶対にあり得ないのは分かりきっていることです。
しかし、私の頭の中では懐中電灯を持っていく事と、防寒・雨具を持ってこない。

この二つの事が矛盾しないのです。このように私の頭の中は白く霞んできてしまっているのです。
空の淵を鈍色の雲が覆ってきました。寒くなってきました。
寒さに弱い私に今は何も羽織る物がないのです。
白く霞んだ頭ではこの山から抜け出す事は出来ないかもしれません。



森からの頭上雪崩に襲われながら!
11月25日(金)晴 ゲート前で車の除雪

枯れた巨木が雪の重みに耐えきれず倒れたのだが、見事なまでに完全に道路を遮断しているため、
車どころか人間も通過出来ぬ完全封鎖。
それにしても360度何処にでも倒れるスペースがあるのに、
よりによって何故細く狭い道路上に倒れたのだ!

この道路を生命線とする山荘住人にとって、正に致命的ダメージ。
一瞬チェーンソウでの切断も考えたが、太い上に長々と寝そべっているので、数か所を切断して運ばねばならず、
除雪よりもはるかに面倒で時間が掛かる上に、
雪の降り積もった巨木の切断という、技術的な難しさも加わる。




人参、レタスも雪の下


公道なら市役所に電話すれば、
数時間で問題は解決するが、
考えたらここは云ってみれば山荘専用道路、
一体誰がこの問題を解決するんじゃ!
答えは訊くまでもないでは!
よーしやったるぜ!
ガックリきて暫し言葉も出ず。
ま、人生なんてそんなものさと、
月並みな言葉を吐いて、
こんな時は潔く諦めてさっさと退却すべしと、
スコップを肩に担ぎ踵を返す。
2歩3歩戻り始め気がついた。

 
白菜、玉葱、ピーマン、パセリも見えない


さて車は除雪したが、路の雪は!
11月25日(金)晴 ゲート前の急坂はたっぷり積雪じゃ!


決意を新たに山荘倉庫に戻り、夏に弟子が購入した切れ味抜群のチェーンソウを
胸に抱いて倒木現場に復帰。
さっきの落ち込んだ気分は何処へやら、何だか救急隊員か、犯罪現場に向かうSP警視庁警備部警護課第四係にでも
なったつもりの仙人は、
強力マシンガンを翳して倒木現場に立ち、巨木と対峙。さて最も致命的な一撃を放つには何処を狙うべきか?



冷たくなった体に寒さが
                                               ≪La neige≫

迷い人は迷い、ただひたすら歩き回ります。寒いのに汗をかきます。
汗をかいて冷たくなった体に寒さがしみます。
どうしよう。そこで私はしっとりと濡れた服を一枚ずつ剥がしていきました。
もう白く霞んだ頭で考えられるのはそんな事くらいです。
すると、身体の震えは無くなりました。
ここは何処なのかしら、目の前の大きな木のてっぺんに登って周りを見渡しました。



枯巨木が雪で倒れたので伐採じゃ!
11月25日(金)晴 山荘への登坂路

最初の狙撃を誤れば、マシンガンは切り込んだ割れ目に挟まれ、
動けなくなりギブアップせざるを得なくなる。
例え時間かけてマシンガンの機能を回復させても、切断に失敗すれば、
その後なんども切断を繰り返さねばならず、切断の回数が増せば増す程、
マシンガンを奪われる危険は多くなり、撤去は致命的となる。

そこで瞬時の熟慮の末、最も危険度の高い根元からの切断を決意。
道路のコンクリート縁に被さる太い幹は、梢を道路反対側の高いコンクリート壁に載せ、
根を谷に落としているので、ここを切断すると梢も根も、当然ながら下に落ちる。



がーん!閉じ込められたぞ

しかし何処を伐ればいいのか!

車で脱出するには伐らねば!

つまり梢に連なる倒木の先も、
コンクリート縁に載っている根も
下方に力が働く。
その結果上方から切り込んだ
チェーンソウの刃は、
伐り進むに従い、切り込んだ上部隙間に
巨木の圧力が掛かり、
動きを封殺されてしまう。

従って決してコンクリート縁の
根元からの切断を
してはいけないのだ。
解っていながら敢て、其処こそが
一撃で倒す唯一の致命箇所と
判断したのか?

直感の指示に従ったのだ。
直感が瞬時に判断したことを
後になって分析してみて、初めて
その直感が正しかったと納得。


つまり太く重い根に連なる部分を
切断しても落ちぬ様、
コンクリート縁の梢側に切れ目を入れる。
こうすると切断後、根に連なる
重い部分は、コンクリート縁が
支える事となる。

しかし当然梢に連なる上部は
下に落ちるので、
片側からの圧力は避けられない。
が、この梢に連なる部分には
数本のかなり太い枝が道路に接地し、
上部の幹に掛かる重力を
分散している。

結果として想定外の威力を発揮し、
この根元への一撃で闘いは
あっけなく終わってしまったのだ。
チェーンソウが圧力を受けることなく、
太い幹を一気に切断した時は、
我ながら信じられぬ思い。
やったね! 


チェーンソウの刃が奪われるぞ!

どうでい、成功じゃ!



仙人が切った大木
                                    ≪La neige≫

辺り一面真っ白です。私は何だか嬉しくなって、てっぺんで大きく木を揺らします。
小枝も葉もない老いた木なのにしなやかに揺れます。私はそんな大木に貫かれながらゆらゆら揺れます。
これは大木の夢なのか、白く霞んでしまった私の夢なのか。

揺れる度に景色は変わります。季節も変わります。そしてこんな雪の日を何度迎えたことだろう、と思います。
これは大木の見ている夢かも知れません。
最後に大木は大きな息をしたかと思うとバタリとあの道に倒れたのでした。
・・・が昨日の夢で、仙人が切った大木がそれという訳でした。



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