タオ島ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ







其の7

Tao・Samui

             撮影日:2006年5月  場所:タオ島・サムイ島
                      撮影or編集:坂原忠清


O タオ島(タイランド)


相対評価・・・《5》最高、《4》良い、《3》並、《2》やや悪い、《1》悪い
珊瑚の成育 透明度 魚影 静けさ(ダイバー数) 周辺環境(汚染等)

総合評価・・・《


体長13mにも達する世界最大の魚類・甚平鮫。
出逢いを求める最初のダイビングは
アンダマン海のリチェリュー・ロックであったが甚平はやって来なかった。
マンタのようにクリーニング・ステーションを持たない甚平との遭遇率は極めて低い。
石珊瑚類が一斉に
産卵放精する時期に甚平は
捕食するためにやって来るとの伝説がある。
ならば遭遇は不可能ではない。
昨年5月のチュンポン・ピナクルでの甚平鮫・・・Photo by Tamako

出逢いを求める2度目のダイビングはタオ島チュンポン・ピナクル。
しかし4日間連続の嵐、透明度10m以下で最悪のダイビングとなる。
甚平の影無しどころか撮影対象其の物が無かった。

汚染され易い湾内の島であるにも関わらずタオ島はリゾートが増えすぎ
排水等の汚染が進み透明度は極端に低く珊瑚の成育も酷く悪い。
タオ島は死に体
シミラン諸島のように保護の為の閉鎖期間を検討せねばなるまい。


タオとは「亀」。
にも関わらず
亀すら居ない
17本のDVで唯の一度も
亀との遭遇はなかった。
前回のシパダン島では
至る所に亀ありで
亀タクシーと錯覚するような
人を恐れない奴もいた。

ここでは何処にでもいる
燕魚さえもレアだと言う。
仕方ない
燕魚でも撮るか?
DVpt: Chumpon Pinnacie
DVdate:
 5月25日
DVaF
 173
燕魚の舞


甚平が出なければ
撮るものは無い。
小物(マクロ)を拡大して
形や色を楽しむしかない。

撮って!撮って!
と鯊がしゃしゃり出る。
ミラーボールの光を
浴びたように星々を
全身に鏤めた鯊。
其の名も《銀河鯊》
何とも凄いネーミング。

こいつの目がいい。
悪さをした後の
悪戯坊の瞳
思わず聴いてしまう。
「今度は何をやったの?」
銀河鯊・銀版 DVpt: Sairee Beach 
DVdate:
 5月25日
DVaF 
175


「内湾や、澱んだ砂地や
砂泥底を好む」
と図鑑にはある。
確かに汚染の進んだ
シャム湾のタオ島こそ
彼らに相応しい棲家。

せめて色を変えて
砂泥地の魔術師に成ろうと
悪戯坊主は
変身の術を手に入れた。

だが変身には数年も
かかるらしい。
なんとも

悠長な魔術師。
DVpt: Sairee Beach 
DVdate:
 5月25日
DVaF
 175
銀河鯊・黄版


こんなピン呆けの写真等
載せたくない。
しかしここでは
蝶々魚すら珍しいのだ。
輪抜け奴か
この月蝶々魚しか
目につかない。
何とも寂しい海。

撮るものが無いので
出てくるたびに
カメラを向けるが
意外に神経質で
素早く逃げ去る。

透明度の高い海では
見たことが無い月蝶々魚。
蝶々魚の
落ち武者
なのだろうか?
道理で逃げ足が速い。
月蝶々魚 DVpt: Twin Rocks 
DVdate:
 5月24日
DVaF 
172


いつ何処で潜っても
こいつは居る。
日本には棲息してないので
和名は無い。
歯が兎に似ているので
ラビット・フィッシュと言うが
藍子の仲間だろうか?

藍子は
体の文様に特徴がある。
迷路のような「虫食い藍子」
斑紋のある「霜降り藍子」
等1属27種ある。

背鰭、臀鰭、腹鰭の
棘基部には毒腺があり
刺されると
酷く痛むらしい。
DVpt: Chumpon Pinnacie
DVdate: 
5月23日
DVaF
 167
ジャワ・兎魚


巨大な甚平鮫2頭!
ついに出現!
慌てて
カメラを広角に変えて。

しかしそれにしては
ダイバーがのんびりしてる。
ダイブコンピューターの
警告を無視して
急浮上する。

なーんだ!
クルーズ船だ。
右の奴なんか体を捻って
まるで
生きてるようじゃんか?
すわ!2頭出現か? DVpt: Chumpon Pinnacie
DVdate:
 5月25日
DVaF
 173



シミロン諸島と同じ
花崗岩から成るタオ島の
ダイビングポイントは
花崗岩ピナクルが多い。
巨大な岩塊が重なりその
隙間に迷路が開かれる。

しかし
パラオのブルーホール
サイパンのグロットのような
スケールは無く
神秘性の欠片も無い。
生命相にも乏しい。
せめて珊瑚が成育して
花崗岩を覆う程になれば
豊穣な海に
なるのだが。
DVpt: Leam Thian
DVdate:
 5月27日
DVaF
 180
花崗岩窟の迷路


嵐をものともせず
合計17本、13時間31分
唯ひたすら
甚平を求めて
潜り続けた。

現地ガイドは語る。
「私も500本潜って
甚平に逢ったのは2回だけ」
0.4%の遭遇率。
これが世界で最も遭遇率の
高い島の1つとして名を
馳せているタオの実態だ。


しかし0.4%の遭遇率は
奇跡的に高い。
外洋を生活圏とする甚平が
石珊瑚の乏しいタオに
何故やって来るのか?
誰も知らない。
甚平鮫を求めて DVpt: Chumpon Pinnacle
DVdate:
 5月25日
DVaF
 173








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