パラオダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

其のU




Palau

撮影日:2005年11月  場所:パラオ・マラカル島
                            撮影・編集:坂原忠清


I パラオ(パラオ共和国)


相対評価・・・《5》最高、《4》良い、《3》並、《2》やや悪い、《1》悪い
珊瑚の成育 3 透明度 3 魚影 5 静けさ(ダイバー数) 1 周辺環境(汚染等)

総合評価・・・《3+



陸から海への回帰・・・

深海の底で永劫の眠りから覚めた知的存在は
不毛のフロンティア・パンゲアへの上陸を命じた。
命を受けた海の多様な生命体は
「渚」でもう1つの世界への旅立ちを整え
新たなる
異空間への長く困難な旅を開始した。
しかし陸上で肺呼吸を獲得した後
知的存在の命に逆らい海への回帰を図った生命が出現した。
鯨、マナティ、ジュゴン、そしてイルカ。
高い知能を持って海に回帰したイルカは
その意図を語ってくれるだろうか?
 スキューバーDVの泡をデリケートなイルカは嫌う。
一緒に泳ぐには、素もぐりしかない。
何度も浮上し息継ぎしながら潜り、イルカに語りかける。
甲高い、それでいて重低音の囁きが、マラカルの海に広がる。
キ、キ、キと一様に
しか聴こえなかった囁き。
その音程と間隔の微妙な変化に気づき始めると、
イルカは背びれを持って一緒に泳ぐことを厭わなくなった。
背びれを掴むや否や凄い速さで私を誘
(いざな)う。
何処へ?
 誘いの彼方に
ガムリスのブルーホ−ルが在るのを私は知っている。

囁きを聴き
肌に触れ
一体となって
水を切る。
4億年の
遥かなる
過去の命を
受けて
知を受け
継いだ
2つの
哺乳
類の
再会!
イルカとの邂逅 泳者:坂原忠清
撮影:吾郷あすか
(Dolphins Pacific所属)

 


地球生命史で最大の知能を授けられたイルカ。
あらゆる楽器・音楽・歌を好むイルカは
ギリシャの歌人・アリオンを救った。
人間の神経細胞は150億個
イルカは200億個。その50億個の神経細胞の差が
アリオンを救った。
「何故、私よりイルカは神経細胞が多いのか」
アリオンはイルカの微笑にその解を見つけた。
蘇我入鹿は自らをイルカと名乗ることにより
イルカの知能への接近を試み
覇王たらんとしたが、殺されてしまった。
いずれも異空間を旅する為に肺呼吸を手に入れた
2つの哺乳類の
知を介しての劇的な邂逅であった。


抱擁した瞬間
どんなにか
この瞬間を
待ち望んで
いたか
瞬時に理解した。
遥かなる過去に
約束されていた
再会に
痛いほど
心が震えた。
泳者:坂原忠清
撮影:吾郷あすか
(Dolphins Pacific所属)
イルカとのアンブラッセ



にもかかわらず
50億以上の神経細胞を眠らせたまま
イルカは
人類の上に君臨しようとしない。
イルカの秘められた知能に気づいていた太古の人々は
イルカの神聖を畏敬し
イルカが50億のコンピューターを稼動させる日を待っていた。
そして今も待っている人がいる。


イルカが笑った。
「そんな事も
知らないのかい」
「一体
ブルーホールで
何を
見て
きたんだい?」
総ての解
あの光と影
の中に塗り
こめられて
いるんだ」
泳者:坂原忠清
撮影:吾郷あすか(Dolphins Pacific所属)
回帰への意図



イルカの笑み
が消えた瞬間
時空が
反転
した。
1日前の
同時刻
に確かに
私は
ブルーホール
を求めて
木星表面に
限りない
接近を
試みていた・
木星への旅 ブルーコーナー
水深45m



小さな宇宙船に
なって静かに
ブルーホールに
潜行する。
次々と
吸い込まれていく
知的存在。
今、私は
モノリスを目前に
しているのだ。
映画監督キューブ
リックは
土星でなく
木星表面に
巨大モノリス
を置いた。
このブルーホール
モノリスだと
どうして
イルカは知ってい
るのか?
それとも
あの笑みの示唆は
他にあるのか
ブルーホールの入り口 知的存在の行方


確かに
摩訶不思議な
空間である。
洞窟深く
進入するにつれ
て、かつて
この時空間に
身を晒したことが
あるような
親しみが
湧いて来る。
不意に
ボーマンとの
本の中での
共体験が甦る。
ボーマン船長が
「2001年
宇宙の旅」で
吸い込まれてい
ったあの
モノリス。
ブラックホールへ 泳者:坂原忠清
撮影:Hashizo
(Cruise Control所属)


3次元の世界
で2次元の
時空を
繋ぐには、
メービウスの帯を
作ればいい。
4次元で3次元
の時空を
繋ぐには
メービウス
の帯を境界
に沿って繋げて、
クライン管
を作ればいい。
時空を繋いだ
もう1つの宇宙
への通路・クライン管。
その試作品が
ブルーホール。

密やかな
シーラカンス
の企みを見抜いた
イルカ。
イルカの回帰
意図
はここに
あるのだろうか
5つの穴が巨大洞窟で複雑に絡むブルーホール 時空の捩れ


ナポレオン・・・
滅多に出逢うことの出来ないナポレオン。
そのナポレオンがブルーホールの守護神のように
ホール周辺を常に回遊している。

巨大なナポレオンが
岩場の影から不意に出現。
「俺だって頭は大きいんだ」
と言わんばかりに頭の瘤を突き出す。
そうか、こいつの頭脳には
不可思議なブルーホールの
キーワードが組み込まれているんだ。
歌うナポレオン・・・
な、な、何とナポレオンが歌った。
上顎、目下,鰓の関節をいっぱいに広げ
白い関節膜を見せて
イルカに負けじと歌う。

いつも、しかめっ面のナポレオン。
その彼が敢えて歌う歌は
やはり4億年の生命の叙事詩?
それともホールに近づく者への警告?






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