その96の3ー2013年霜月 |
新雪の道無き山・剣ケ峰へ 11月16日(土)晴 剣ケ峰南斜面の登山開始口 |
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コースタイム 11月16日(土)晴 剣が峰(2053m)、塩水山(1758m)、23089歩 16162m 697kcal 山荘発7:40→柳平8:40→鶏冠山林道分岐9:20→剣ケ峰南峰10:30→剣ケ峰10:50着、発11:15→ 林道分岐12:00→塩水山12:40→柳平14:00着、発14:05→山荘着14:45着 山荘ー柳平間28km、往復56km(往:1時間、復:40分)
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で、ちょっと寄り道じゃ! 登山道も無い未開の山々を駆け巡り 山荘に戻り、紅葉に染まる太陽風呂で汗を流す。 心地よい筋肉疲労と、谷の真清水で仕込んだ山荘ビアに酔い痴れ さてそれでは未開の山々の地図でも作ろうかと パソコンを開いたら いきなり飛び込んできたのは 暫くご無沙汰していたハッブル宇宙望遠鏡の最新画像。 ・ もう地図作成なんぞ完全に吹っ飛んでしまい 画像に夢中でのめり込み 想いは遙かなるキャッツアイ星雲へ。 更にソンブレロ銀河に惹きこまれ、赤色超巨星V838 Monで 完全にノックアウト! |
Photograph courtesy NASA, ESA, HEIC,
and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA) 複雑な形のキャッツアイ星雲は、 |
Photograph courtesy NASA and
the Hubble Heritage Team (STScI/AURA) M104ソンブレロ銀河を真横から見た画像。
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Photograph courtesy NASA
and the Hubble Heritage Team (AURA/STScI) 2002年に赤色超巨星V838 Mon |
えっ! 山荘の太陽風呂に入って 山荘ビアを呑みたいって? ハッブルの宇宙へと 目を奪ったとか云うあの瞬間を 体験したいって? ・ そりゃ無理だが、 それじゃせめて山荘の 太陽風呂からの 紅葉銀河をお見せしよう。 ほら、じーっと観ていると 何処か赤色超巨星V838 Monに 重なって来ないかい? |
《2》 今冬の初雪 驚いたことに、ゲートの先は雪と氷のミックス地帯、滑らないよう注意深く歩きはじめる。 ゲートが閉められた理由はこの雪なんだ。 今冬の初雪、嬉しくなりながらも、スニーカーに毛が生えた程度のハイキングシューズの足元が気になる。 防水はされてないので、濡れることは覚悟しなくては。久々に厚手の毛糸の靴下を穿いてきたのは正解か。 車も人も通らない林道は静かで快適。真っ青な空に、葉を落とした大樹の枝が美しいラインを描き出す。 白銀に輝く雪富士も優美な姿を現す。40分登ったところで、再び通行止め。 ・ 工事の車両が入っているので、工事人に剣ヶ峰への道を確認すると、方向は教えてくれたが登山道への標識は無いとのこと。 見当を付けて、登り始めるが、クマザサの生い茂る斜面は全く道なき道となる。 雪に覆われたクマザサの上を歩くが、たちまち靴の中にも雪が入り込む。 歩き難くてもたついているうちに隊長はどんどん斜面を上って行ってしまった。 姿が見えなくなったので、トランシーバーをオープンにしておくよう声の支持がある。 |
Photograph courtesy SAKA and
the Intoxicated Ascetic Team (Jupiter/Cottage) 星の周囲に見える直径数兆キロの印象的な渦巻きは、 2004年にハッブルがこの画像を撮影するまで 存在が認識されていなかった。 ・ とNASAは記しているけど、SAKAと両方の画像をじっくり観察すると その直径数兆キロの印象的な渦巻きこそ実は山荘であると気が付くんだ。 えっ気がつかないって! あーそういう人には山荘のお風呂に入っても美味なる山荘ビアに酔い痴れても 銀河への遙かなる旅はとても出来ないね。 あの楓や欅の紅い葉の一枚一枚が、赤色超巨星の光のパルスに 観えないとしたら、哀しいかな君には銀河鉄道への切符を手にすることはできないんだ。 ・ あれ、これって単なる酩酊した呆け仙人の戯言じゃない? |
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交通止 鶏冠山林道分岐 |
登山開始 柳平ゲート |
登山口を求めて 鶏冠山林道 |
思わぬ初雪に吃驚! |
さて何処から登ろうか?鶏冠山林道 |
大空に延びる山欅(ブナ) |
雪の白に負けぬ岳樺 |
昨日の吹雪を記す大樹 |
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吹雪の跡が残る案内板を見つけたが・・・ |
《4》 眩しい白い大地 太陽が降り注いで眩しい白い大地と、抜けるような青空が待っていた。 一本の木の幹に手作りらしい標識が取り付けられていた。<剣が峰・2053m>、 此処は2千mを越える高さなのだと改めて見まわすが、眺望はさほどない。 写真を撮って、すぐに下山。クマザサの上には雪が積もっていて、登りより下りは遥かに滑りやすい。 「滑るから注意して!」との隊長の声が届いた時にはもう滑って尻餅をついていた。 ・ 何度も滑りそうになりながら、クマザサの斜面を一気に下り、登りとは違うルートを取りながら、ぐんぐん下る。 此処でも先行する隊長はたちまち薮の彼方へ。トランシーバーが役立つ。 指示通り、沢の源頭の雪の途切れたところから一気に下ると、林道にそのまま出られた。 入山した場所より、大分上まで入っている。この沢沿いに登れば、山頂までは更に短く簡単に登れるのであろう。 林道を戻り、工事現場に着くと、隊長と合流できた。 靴の中で、濡れた靴下が水分を含んでいるのが分かる。 |
雪は深くなり登山路は無し |
森の木々は吹雪の跡 |
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雪の無い熊笹の斜面求めて |
さてこれは獣道か? |
《5》 次は塩水山へ でも、あとは林道を下山するだけかと思いきや、次は塩水山へ。 |
初めて観るマーク |
さて山荘はどの辺り |
道無き山になぜ標識が? |
履き初めのメレルが嬉しくて |
自分撮りでパチリ |
やっと現われた村上 |
山頂は雪の森 |
交信しながらの登頂 |
《6》 沢から再び登り返して 次々にマークは表れるが、直上すれば近いだろうにと思われるにもかかわらず、 沢沿いを迂回しながら登って行くようにルートが採られている。 稜線に出ると、クマザサの中に倒木や木の根が多く足を取られやすく歩き難い。 既に到着した隊長が示すのは、赤錆色に変色してかろうじて読める山頂標識。 その向かいにある古木に赤いスプレーでかろうじて判読できる<塩水山>の文字。テープを付けた人の仕業かな? 下山は直ぐと思ったのだが、此処で予想外の展開に。 ・ 決して歩き易かった訳ではない登りのルートを止めて、クマザサの中をまっすぐ降りようとしたのだが、 全く何も目印になるものも無い同じような地形で、下りても降りても、林道に出ない。 一旦は沢まで出て、沢伝いを下ろうかと試みたが、どうも、方向的に倉沢山の方へ向かっているようなので、 沢から再び登り返して、もう一本別の沢を渡りようやく元のルートへと戻れた。 あのマークは、実は考え抜かれルートだったのだろう。 この短い彷徨で、熊笹の雪が靴の中へたっぷり侵入して、林道へ出た時には靴の中がチャプチャプど音を立てそうなほどだった。 |
ちょっと登ってみようかしら? |
剣ヶ峰の噴火だって? |
花崗閃緑岩を垂直に貫いたとか |
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高さ45m、幅27mの火山岩体 |
やっと判別出来る標識 |
うん、確かに塩水山の頂だ |
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赤スプレーで塩水山と |
どうにか読めるね |
《7》 初雪の山に乾杯! さすがに毛の靴下はありがたく、幸い凍傷も免れたが、晩秋の山行としては、少々甘かったなと反省。 (無論替え靴下は用意してたが使わず済んだ)両山とも、熊笹に覆われた山だったなと振り返る。 林道を下り始めると、結構勾配もあり、こんなに長く登ったかなと感じる。 しかし気持ちの良い林道歩きで、通行止めが却って、今日の山行に味わいを与えてくれたような気がする。 熊笹歩きだけではきっとこの晩秋の豊かな山の空気感を満喫するには至らなかっただろう。 ・ ちょっとした冒険も加わり、実際の山以上に心象に残る山になったような気がする。 帰路は、往きよりも更に速くて、3時前に山荘に帰り着く。 まだ太陽の光に包まれながら、山荘の一番美しい季節を愛で、初雪の山に乾杯! 5時間以上の山歩きで、全く飲み食い無しだったご褒美の山荘ビールが何と美味しかったことか! 忘れられない、山がまた一つ増えた。 |