仙人日記
   その802012年文月

7月1週 描きたかった心象画



心象画時空の渚  山荘仙人と向日葵の共同創作
ふぃぼなっち向日葵と木星赤斑 
描きたかった
心象画

7月7日(土)曇雨 山荘居間 

この大きな向日葵を
畑から切り採って室内に
生けようなんて誰が想い着くであろうか!

感性がもっとしなやかで
自由であった若き日であっても
想い着きはしなかったであろう・・・
と其れ程までに
この山荘の向日葵は大きかったのだ。

ところがどうだ。
こうして大きな花器に生け
木星の大型壁画の前に立たせてみると
木星原画が向日葵から
新たな生命を得たのか、
死の彩を湛えながらも妖しく
蠢き耀き出したではないか!
あー、狂おしいまでに描きたかった心象画は
これだったのか!

今まで目にしたことの無い
生命を宿した木星の表情に狼狽え、
向日葵の意図が聴こえぬかと
耳を欹てる。
幻聴の如く微かに聴こえるは
どうやら数の羅列、
0、1、1、2、3、5、8、13、21、
34、55、89、144、233,
377, 610, 987, ・・
 

木星壁画に命を吹き込んだのは
もしやこの数の羅列?
となると、これぞ森羅万象を司る
生命の啓示か。
ふぃぼなっちとの出逢い

フィボナッチ数に初めて出逢った時ふと思ったのは
この0,1、1から始まる数を加法ではなく加減乗除の残りの3法で並べたら
どうなるのだろうか?との疑問であった。
簡単なのでその場で直ぐ数列を作り改めてフィボナッチ数の神秘性を体感したのだ。

先ず加法で0,1,1の先を並べると
Fn+2=Fn+1+Fn (F=0 F1=1 F2=1)として
0+1=1, 1+1=2、1+2=3, 2+3=5, 3+5=8, 5+8=13・・・・・
次に減法で並べると
0-1=-1, -1-1=-2, -1-(-2)=1, -2-1=-3, 1-(-3)=4, -3-4=-7, 4-(-7)=13・・・
と正負の数が交互に出てきてどうも自然界とは無縁な数列らしい。

乗法、除法にすると最初の0が総てを0にしてしまうので0をカットし1から始めると
1×1=1、1×1=1 1÷1=1、1÷1=1と永遠に1が続く。
乗法、除法で数列を考えると永劫に0か1
つまり永劫の虚無か総ての動きが1に固定された永劫の静寂

となると0.1.1からスタートする数列はどうやら加法でのみ
自然界と関連する
ダイナミックな生命の数を生み出すらしい。


Fn+2=Fn+1+Fn (F=0 F1=1 F2=1)
0、1、1、2、3、5、8、13、21、
34、55、89、144、233, 377, 610, 987, ・・

わいん・セラー前の向日葵


0は精子無き空虚な子宮と暗渠に排泄される孤独な精子。
1,1は卵子と精子が巡り逢う直前の静寂。
2つの静寂1,1が加法によって合体し爆発し時を生み出す。
2と云う現在は古い過去でなく最近過去の1と交わり
3と云う未来を生み出し、更に増殖を続け幾多の未来を飛超え
144、233、・・・987とワープする。
144から233までには生命の時は存在しない。

そんなイマージュを抱いて
捉えていたフィボナッチ数であったので自然界との関連には
何処となく捏ち上げ的な胡散臭さを拭えないでいた。
資料によるとフィボ数は向日葵の種や花弁どころか
細胞分裂や木の枝別れ、オーム貝の対数螺旋にも現れ
どうも胡散臭くないのである。

で採って来た向日葵の種の螺旋を数えてみた。
どうにか3つの数に近いところまで読めるが
混乱を生じギブアップ。
花弁くらいは数えられるかなと
因みに向日葵の花弁を数えたらオー、34枚在るでは!


フィボ数の比は森羅万象の根幹に潜む黄金比
限りなく近づく。
5/3=1.66・・・  8/5=1.6   13/8=1.625  55/34=1.617647058
は(1+2,2360679・・・)/2=1.6180339・・・なので
確かに黄金比に近づくが
こうなると黄金比について語らねばならなくなる。

がそれを語る前に何故あの大きな向日葵が
室内に持ち込まれる破目になったのかだが、これ
実に味気ない偶然なる顛末。
単に草刈り最中に草刈り機の操作ミスで
刈ってしまったと云うお粗末。
もったいないからとほんの悪戯心で
大きな花器に生けてみたら木星とチベット壁画が
死の彩を湛えながらも妖しく
蠢き耀き出したのである。


太陽そのもの(西畑)

鳥葬・手眼・向日葵


解くのは実に容易である。
a2=(a+b)b=ab+b2
a2 -ab -b2=0
両辺をb2で割ると
a2/b2-a/b-1=0  ここで解り易くする為にa/b=xとすると
x2-x-1=0 とお馴染みの2次方程式。
ここで解の公式を使い±√の+をとると

a/b=xなのでb=1にするとa=xとなる。
つまり:1に分割すれば
正方形と長方形の面積は等しくなるのだ。
で、一体これは何を意味するのか?
何故、黄金の比なのか?

この連続するフィボ数を2辺とする長方形を作ると
一番安定した美しい長方形となると
一般的には云われているが
勿論だからと云って木星赤斑やチベット壁画が
妖しく蠢き耀き出した訳ではない。

そもそも黄金比はどうやって算出されるのか
中学生に戻って2次方程式なんぞを先ず紐解いてみよう。
ゆーくりっどのオッサンが提示した
黄金分割の問題はこうだ。
《1本の線分をaとbに分ける。条件は a2=(a+b)b
これぞ黄金分割なり 》
解説すると1辺aの正方形の面積と
最初の線分(a+b)とbを2辺とする長方形の
面積を等しくせよ。
されば黄金比は得られん、となる。

 輪廻の髑髏・祈り・向日葵

3番目の黄金比・頂上標識
7月7日(土)曇雨 小倉山頂
 
けっ! だってそんな無理数をどうやったら作図できるんだ?
意味の前にその黄金分割とやらを実演して見せてよ。
よっしゃ!任せておいて。
ほら、この小倉山の長方形の山頂標識だって黄金比で作ったんだ。簡単なもんさ。

小倉山の頂上標識の取り付け(小倉山頂のログ)
おとっとと!
そんなこと考えながら黄金比の陶板を
取り付けていると落ちるぜ!
で、その3番目の黄金比って何だい?
それに大体この長方形は
黄金比にしては横が長すぎるような?

あーそうだったね。
勝手に3番目の黄金比だなんて
タイトル付けといて
説明もせず放っておく訳にはいかんか。
1番目は高芝山、2番目が扇山
そして3番目がこの小倉山
と云う訳さ。

黄金比では無いって!
よく気が着いたね、偉いぞ。
陶板の下を見てご覧、何だか融けたように
波打っている跡が在るだろ。
実は955mの下に《ゆぴてる》と
文字が入る予定だったんだよ。

こんなもんでどうだろう?
つまりもっとこの陶板の縦は長くて
最初は黄金比に作られていた
と云う訳さ。
何故その《ゆぴてる》が無くなったかって?
嬉しいな、そんなに好奇心丸出しで
迫って来る少女は今時中々居ないからね。

あのね、粘土板に文字を彫り込むには
在る程度の堅さが必要なんだ。
で、黄金比の粘土板を作成し乾燥させたが
気が着いたら堅く成り過ぎ。
そこで彫れる堅さに戻す為霧を吹いて
暫く放置しておいたら粘土板の下に水分が
集中し融け出し
こうなってしまい、黄金比は死んだ。

あれー話しが《何故黄金比なのか》から
脱線してしまったね。
何だか取り付けも巧くいってるようだし
それじゃ本題に戻ろうか。 
そりゃ臍曲がりが居て
「ふん、何が美しいだ。美しいかどうかなんて曖昧なもんで人によって異なるのさ。
黄金比が美しいなら証明して見せろよ」と云うかも。
そこで先ず黄金比が無限に繰り返される自己相似表現であることをお見せしようか。
ゆーくりっどのオッサンが提示した黄金比が x2-x-1=0 の2次方程式の
解になると最初に述べたけど実はこの方程式、式も解も
1とXのみから構成される究極の単純美を成す無限連鎖による自己表現そのもの。


どうだまいったか!

うーん、もう少し右がいいかな



 南回帰線に還る太陽・蒼い夜明け(高芝山)
えっ!何も感じないって!
あーいつもの数式に対する拒否反応が起きてしまったんだね。
それじゃ1とXを1枚の葉に置き換えてごらん。
ほら葉が無数に集積し1本の樹になりやがて樹々は限りなく連なり
大地を覆い森を成しその彼方に黄金比が・・・。
1/Xや√の葉のその重なりに想いを寄せると森の中で
無数の葉が繁り風に揺れて黄金比の囁きさえ聴こえるような・・・

そうか駄目か!聴こえないか。それじゃ星だと思ってじーっと見つめてみて。
最初の小さな星が1/Xや√にひっそりと棲んでいて・・・
そう小さな星を地球と考えてもいいかな。
そこから空を見上げると無数の星々が煌いている。
その星は総て1/Xや√なんだ。
つまり太陽系が在って銀河系が在って更に沢山の銀河が広がり
その彼方にx2-x-1=0 の解である黄金比が観える。

森の中に森が在り星の中に星が在る
と云う森羅万象の存在の本質的構造を黄金比は示していると
直感的に捉えられれば
数式に対する拒否反応はぶっ飛ぶんだけどな。
そうなれば実は数式こそ宇宙を、存在そのものを語る唯一の言語だと気づき
拒否反応どころか心底惚れ込んでしまうのさ。


惚れるなんてとんでもないって!
それじゃ最後の取って置きの生命の話しをしよう。
無限連鎖する1/Xや√に38億年前に生み出された最初の生命とも云える
真正細菌・バクテリアを入れてみよう。
さあ、そこから26億年の旅を経て生命は多細胞を獲得し
その6億年後つまり現代からは6億年前のカンブリア紀に生命は爆発した。

やがて魚類、植物、節足動物、両生類、恐竜へと無限連鎖を続け
2億年前の哺乳類、鳥類に達し
限りなく1/Xや√は生命と云う同型を保ちつつ一定値に収束していく。
その永劫に動きを止めぬ一定値こそが黄金比のイマージュ。

勿論単純美を成す無限連鎖する数は枚挙に暇は無いが
その数がこれ程までに生命と密接に結びついているのは黄金比を置いて
他には無いと云っても過言ではないのさ。
えっ!それにしても数はそれこそ無数に在るのに何故《1》だけしか
登場しないのかとても気になるって!
うーん、だからこそ究極の単純美だなんて云って山荘仙人も
惚れ込んでいるのだが、最後の最後に
冒頭の、面積の等しい正方形と長方形の図を使ってその
究極の単純美を描いてみよう。

 朱に染まり黄昏る雲海富士山)


髭の消えた烏瓜(中畑下)

採れすぎの茄子(中畑) 

雌蕊が黄色なのはゴーヤだよ(葡萄畑)

お洒落な白縁の春菊(西畑) 
 
紅まるこぽーろ(奥庭)

今盛りの麗しき山荘の姫君達も先程から耳を傾けて
《あーら、私の花弁の数や葉、枝の派生数や種までもが黄金比とかの
フィボナッチ数が潜んでいるなんて
とても面白いわ。もっと話して》なんて・・・云う訳ないか。
でも孤独な仙人は花々を生徒と錯覚しているのか呆けているのか
話しを続けるのでした。



(参照:黄金比のいろいろ)
この摩訶不思議な黄金比で出来た長方形
ABEFをじーっと見つめてごらん。
そうそう黄金比の作図で使った1辺を1にした
正方形の隣にBEが黄金比になる
Aの正方形を加え、更に同じようにしてB、Cと
正方形を加えていくんだ。

ほら同型の正方形を無限連鎖させると
限りなく黄金比の長方形ABEFに近づいていく
のが観えるだろう。
そう、無限連鎖の四角形は森、星、生命。
同型の森や星や生命が限りなく連鎖を繰り返し
その無限の彼方に黄金比は完成する。


もうこれだけで仙人は興奮を抑えきれなくなり
花々を相手に口角泡を飛ばし
誇大妄想狂になって叫びだすのさ。
「ざまーみろ!すげーだろ、これで《1》が黄金比の
出発点となり1/Xや√が無限連鎖する
イマージュが観えただろう?」
えっ!未だ観えないって!

1日で落ちる夏椿(前庭) 

咲いてしまったブロッコリー(西畑) 

 咲き始めた秋桜(西畑)


茄子の初収穫(中畑)

モロッコも初めての稔り(葡萄畑)

トマトは未だだな(中畑)

いつの間にか大きくなったピーマン(中畑)
誰だげらげら笑っているのは?
おや、お前は
大きく成り過ぎた茄子野郎だな。
れれ・・先週は小さくて見えなかった
モロッコまでがいつのまにか
でかくなりゃがって莫迦嗤いしてるな。

おいおい未熟な蒼いトマトにまで
嗤われたくはないね。
大きくなったとは云えピーマンなんか
中身は空っぽで
何も考えていないくせにカラカラ
嗤いやがるぜ。

あれ!胡瓜も(葡萄畑)
 
薔薇苺も最後(林檎畑)

春菊の終わり(西畑)
  
今年の枇杷は不作(前庭)
 
少し大きくなったかな?(奥庭)
でもってあんまり五月蠅いので
山荘の畑に出てみると
太陽を一杯に浴びて実に幸せそうに
身を揺すらせて嗤いのコーラスを
指揮してるのは
やっぱり一列に並んだフィボナッチの
果実どもでした。

そうかい、そうかい。
大いに嗤うがいいさ。
もう少し経ったら俺様が
お前達をむしゃむしゃ食べてやるからな!
 
 
富士が実ったね(林檎畑)

一番南瓜だ!(奥庭) 

キウイも徐々に育って(西畑) 
 
あれ、いつの間にか西瓜も(中畑)


描きたかった心象画の向日葵への
想い入れの程は解ったけど
背景のあのどぎつい巨大赤斑を放つ
木星はどうなるのさ?

そりゃなんたって木星は
山荘のテーマだから想いが深すぎて
言葉にならないのさ。
だから今回はすっぱり諦めて
薔薇の最後を惜しんで
ひたひたと打ち寄せる雲海を眺めながら
嗤いさざめくフィボナッチの末裔達を
料理して喰っちまおうぜ!

それじゃ茄子野郎は
げらげら笑いの罰として火炙りにして
大根おろしを掛け
ちょっと生姜も加えて丸かじりだ。

雲海に漂う薔薇の末後 (テラスにて)
莫迦嗤いしたモロッコは
石川五右衛門よろしく釜煎にして
烏賊リング等添えて
マヨネーズでどうだろうかね。

先々週に収穫したじゃが芋も
畑の果実とつるんで
倉庫の収納箱(コンテナ)の中で
ふてぶてしく嗤いやがったから
こいつはお湯でなく油の釜茹でにして
クレソン、レタスと
一緒に喰っちまおう。

香り高い畑のパセリはスペアリブに
ぴったりだが今日は
鰈に添えて喰うとして宴準備完了。
何の宴かって?
決まってるじゃないか!
  仙人と向日葵の共同創作である心象画
《時空の渚》の完成を祝ってさ。

焼き茄子と大根

モロッコと烏賊リング

ジャガ揚げクレソン&唐揚げ
 
パセリと合う鰈



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