その79の3ー2012年水無月 |
6月5週・・・・森蒼蛙と
石割山、杓子山・ 森蒼蛙と蜩の大合唱 | |||||||||||||||||||||||||
コースタイム 実施日:6月30日(土)晴曇
|
山苧環の群落と無数の蜩 迷い込んだ鹿留林道は長い間封鎖され 森の住人が生命を自由に謳歌し 美しい山苧環も人に採られることもなく群れ 路傍に咲き乱れている。 静寂に支配されている尾根の西側から東の 喧騒の森へと続く山苧環の群落に 謳う蜩を見つけた。 ・ だが幾ら眼を凝らしても混声合唱のもう1つの低音パート 樹上に棲む森蒼蛙の姿は見えない。 保護色の緑で森に融け込んでいるとは云え 1匹くらいは見つけられるかと思ったが徒労であった。 |
森蒼蛙と 吸い込まれた静寂が肺胞に流れ 肺胞壁に走る毛細管網にゆったりと滲みこんでいく。 吸気された静寂は活動の残滓である 二酸化炭素と入れ替わり総ての細胞に忍び寄り コスモスの活動を封じ 肉体を静寂そのものに同化させてしまう。 ・ 究極の静寂は死なのだろうか?なんぞと つらつら慮りながら尾根を超えて外寄沢に出た途端 深遠なる神秘的な静寂は 全く唐突に爆発し森蒼蛙と蜩の大合唱に変じた。 静寂の深奥に潜んでいたのは 死ではなく ビッグバーンに連なる生命の原点だったのか。 酸素に代わって60兆の細胞に
静寂が忍び寄る荘厳な体感が描けない。 山苧環もひぐらしの画像も
心象スケッチとの乖離に唯嘆き悲しんでいる。 |
森蒼蛙が歌うと蜩も負けじと歌う |
野薔薇(ノイバラ) |
山苧環(ヤマオダマキ) |
空木(ウツギの仲間) |
浅黄斑(アサギマダラ) 呑気で動きの鈍いシロヒトリが あんまりの騒々しさに 葉影から姿を現し一言ポツリ。 「ったく、寝てられねえな。 オイラは夜活動するんだから今は お寝んねの時間。 もう少し静かにしてくれよ」 |
森彷徨・太陽から降りてきた蔓 |
未だ大きく成り切っていない 可愛らしい浅黄斑が 白い野薔薇や空木に飛び交う。 樹上の森蒼蛙が白い太陽を 取り囲んで更に声を張り上げ高らかに 梅雨の森を謳う。 |
白燈蛾(シロヒトリ) |
莢蒾(ガマズミ) |
檜扇菖蒲(ヒオウギアヤメ) |
草橘(クサタチバナ) |
さて登るか?(二十曲峠) |
ピクニックの山だぜ。 お弁当持って幼児が家族と一緒に 歩く散歩道だぜ。 そこで1時間15分も迷い続け 又、元の登山口に戻り 登り直すとは一体どうゆうことなんだ。 ・ 峠の石碑で写真を撮ってもらい 「さて登るか!」と 登山口を探すが何処にも道標が無い。 閉鎖された2つの林道が 在るのみで登山道らしき踏み跡は 見つからないのだ。 |
こんな立派な道標が?(石割山頂下) |
僅か25分で頂へ(石割山頂) |
登山道は出ていない(二十曲峠) |
杓子山を望む(石割山頂) |
そうか多分林道を辿れば途中で 石割山への登山道に 合流するのだろうと峠に居た2人に 確かめてみた。 「石割山はこの林道からでしょうか?」 ・ 山で人に道を訊くことは殆ど無いのだが この時は持参してる地図が 古くて目の前の林道も出ていないので 念のため確かめたつもり。 これがそもそも間違いの第一歩だった。 「そう此処からです」と 迷いも見せぬ返事に納得し 閉鎖されゲートの降りた林道に進む。 |
誰も居ない頂(高座山頂) |
が、行けども行けども何処にも 登山道らしき踏み跡は現れない。 ・ 登山道どころか標識そのものが無く この地図に載っていない林道が 何処に繋がっているのか全く解らない。 「変だな、間違っているな」と 確信しジョックで引き返し始めたが既に遅し。 峠は遙か先。 ・ 考えてみれば峠に居た2人は 峠で富士を狙っていたカメラマンと バイク乗りで登山者ではなかった。 多分登山道が何処に在るかなんて 知らなかったのだろう。 |
頂まで草原が続く(高座山) |
峠で改めて登山道を探してみると 巨大石碑の後ろに藪道があり その先に石割山の案内板が建っているでは。 しかしこれじゃ解らんよ。 ・ ロスした時間を取り戻そうと ジョックで石割山へ向かい25分で登頂。 空模様が怪しくなってきたが即、 車で鳥居地峠に出て高座山から杓子山 へと登山を続ける。 ・ 一滴の水も呑まず食物も採らず 汗を滴らせ全速力でガンガン飛ばす。 朝方見えていた富士も霧に巻かれ 暗雲が垂れこみ不穏な空気。 |
頂の鐘とは珍らか(杓子山頂) |
黄色衝羽根空木?(キイロツクバネウツギ) |
下野草く(シモツケソウ) |
大葉擬宝珠の蕾(オオバギボウシ) |
檜扇菖蒲(ヒオウギアヤメ)・杓子山頂 |
若しや杓子山の頂も 誰も居ないのではと走り上がると 4人の中高年が昼食中。 湿地を好むアヤメが,乾いた山頂に 珍しく群れているので カメラを向けたら藪の中から 女性が1人出現。 お花摘み(小用)の最中だったようで こりゃ、失礼! ・ どうやら4人の中高年と一緒だとか。 女性と互いに写真を撮り合い 頂滞在10分で下山開始。 急な崩壊した赤土斜面はグリセードで 滑り抜け55分で峠に戻る。 呑まず喰わずの後、 山荘テラスで呑んだビアの、あー何と 美味かったことか! |
山躑躅(ヤマツツジ)・杓子山頂 |
下山後の山荘
6月30日(土) 曇
南瓜の花(奥庭) |
龍舌蘭(中庭) |
マルコポーロ百合(奥庭) |
紫陽花(玄関) |
龍舌蘭(中庭) |
紫陽花(玄関) |
蔓を絡ませる大きなリングを付けた花器 と共に山頂標識を2枚焼いた。 標識の無かった高芝山山頂に標識を 取り付けたのは4月22日。 考えてみると 扇山と小倉山の頂にも標識は無い。 ・ むしろ標識なんぞ無い方が 如何にも山荘の裏庭の山と云う感じで 好ましいのだが どうも山に言わせるとやっぱり 名札が欲しいらしい。 で、扇山と小倉山の山頂標識を焼いた。 |
新作品:大きな花器(奥庭) |
扇山の頂は森になっていて 標識は立木に打ちつけるしかない。 そこで標識板を幹の曲面に合わせて 曲げて焼いたのだが 素焼き後の不注意で割ってしまった。 ・ 陶器用接着剤で着け本焼きしたが 接着面が熱で動いて失敗。 高芝山に引き続き割れた標識になって しまったが 如何にも無骨な標識でこれはこれで 許せるだろうと頂に付けた。 どうだろう、気に入らないかな扇山君! |
新品耕運機到着:QM30(奥庭) |
17年間山荘の畑で耕し続けた ヤンマーの耕運機MT3が遂に御臨終。 鉄の車が拉げハンドルが2度も折れ アクセルレバーが破損し リコイル・スターターの紐が切れ 熔接や部品交換で命を永らえさせて17年。 ・ 汗と苦節を共にしてきた山荘一番の働き者。 未だエンジンは快調なのだが ハンドルの付け根が金属疲労で破断。 修理費は3万5千円だとか。 涙を呑んでお別れをし同じヤンマーの MT3の後輩にあたるQT30を 新規購入した。 さようなら、山荘の17年! |
焼きたて標識(扇山頂) |