仙人日記
   その79の32012年水無月

6月5週・・・・森蒼蛙と(ひぐらし)の大合唱

石割山、杓子山・ 森蒼蛙と蜩の大合唱
     コースタイム
実施日:
6月30日(土)晴曇 
山荘発(67km)
帰路49km
 
6:40 
二十曲峠 8:20着 8:30発 
鹿留林道彷徨 8:30~9:45   
登山再開 9:45   
石割山頂  10:10 10:20出
二十曲峠   10:45 11:00出
鳥居地峠   11:30 11:30出
高座山  12:14 
 杓子山 13:10  13:20出
鳥居地峠   14:15 14:20出
計   5時間45分    
山荘着  15:50 



山苧環の群落と無数の蜩


迷い込んだ鹿留林道は長い間封鎖され
森の住人が生命を自由に謳歌し
美しい山苧環も人に採られることもなく群れ
路傍に咲き乱れている。
静寂に支配されている尾根の西側から東の
喧騒の森へと続く山苧環の群落に
謳う蜩を見つけた。

だが幾ら眼を凝らしても混声合唱のもう1つの低音パート
樹上に棲む森蒼蛙の姿は見えない。
保護色の緑で森に融け込んでいるとは云え
1匹くらいは見つけられるかと思ったが徒労であった。
森蒼蛙と(ひぐらし)の大合唱

吸い込まれた静寂が肺胞に流れ
肺胞壁に走る毛細管網にゆったりと滲みこんでいく。
吸気された静寂は活動の残滓である
二酸化炭素と入れ替わり総ての細胞に忍び寄り
コスモスの活動を封じ
肉体を静寂そのものに同化させてしまう。

究極の静寂は死なのだろうか?なんぞと
つらつら慮りながら尾根を超えて外寄沢に出た途端
深遠なる神秘的な静寂は
全く唐突に爆発し森蒼蛙と蜩の大合唱に変じた。
静寂の深奥に潜んでいたのは
死ではなく
ビッグバーンに連なる生命の原点だったのか。

酸素に代わって60兆の細胞に
静寂が忍び寄る荘厳な体感が描けない。
山苧環もひぐらしの画像も
心象スケッチとの乖離に唯嘆き悲しんでいる。

 森蒼蛙が歌うと蜩も負けじと歌う



野薔薇(ノイバラ)

山苧環(ヤマオダマキ)

空木(ウツギの仲間)

浅黄斑(アサギマダラ)


呑気で動きの鈍いシロヒトリが
あんまりの騒々しさに
葉影から姿を現し一言ポツリ。
「ったく、寝てられねえな。
オイラは夜活動するんだから今は
お寝んねの時間。
もう少し静かにしてくれよ」

森彷徨・太陽から降りてきた蔓
未だ大きく成り切っていない
可愛らしい浅黄斑が
白い野薔薇や空木に飛び交う。
樹上の森蒼蛙が白い太陽を
取り囲んで更に声を張り上げ高らかに
梅雨の森を謳う。
 
白燈蛾(シロヒトリ)

莢蒾(ガマズミ)

檜扇菖蒲(ヒオウギアヤメ)

草橘(クサタチバナ)



さて登るか?(二十曲峠)
ピクニックの山だぜ。
お弁当持って幼児が家族と一緒に
歩く散歩道だぜ。
そこで1時間15分も迷い続け
又、元の登山口に戻り
登り直すとは一体どうゆうことなんだ。

峠の石碑で写真を撮ってもらい
「さて登るか!」と
登山口を探すが何処にも道標が無い。
閉鎖された2つの林道が
在るのみで登山道らしき踏み跡は
見つからないのだ。

こんな立派な道標が?(石割山頂下)

僅か25分で頂へ(石割山頂)

登山道は出ていない(二十曲峠)

杓子山を望む石割山頂
そうか多分林道を辿れば途中で
石割山への登山道に
合流するのだろうと峠に居た2人に
確かめてみた。
「石割山はこの林道からでしょうか?」

山で人に道を訊くことは殆ど無いのだが
この時は持参してる地図が
古くて目の前の林道も出ていないので
念のため確かめたつもり。
これがそもそも間違いの第一歩だった。
「そう此処からです」と
迷いも見せぬ返事に納得し
閉鎖されゲートの降りた林道に進む。

誰も居ない頂(高座山頂)

が、行けども行けども何処にも
登山道らしき踏み跡は現れない。

登山道どころか標識そのものが無く
この地図に載っていない林道が
何処に繋がっているのか全く解らない。
「変だな、間違っているな」と
確信しジョックで引き返し始めたが既に遅し。
峠は遙か先。

考えてみれば峠に居た2人は
峠で富士を狙っていたカメラマンと
バイク乗りで登山者ではなかった。
多分登山道が何処に在るかなんて
知らなかったのだろう。
 
頂まで草原が続く(高座山)
峠で改めて登山道を探してみると
巨大石碑の後ろに藪道があり
その先に石割山の案内板が建っているでは。
しかしこれじゃ解らんよ。

ロスした時間を取り戻そうと
ジョックで石割山へ向かい25分で登頂。
空模様が怪しくなってきたが即、
車で鳥居地峠に出て高座山から杓子山
へと登山を続ける。

一滴の水も呑まず食物も採らず
汗を滴らせ全速力でガンガン飛ばす。
朝方見えていた富士も霧に巻かれ
暗雲が垂れこみ不穏な空気。 
 
頂の鐘とは珍らか(杓子山頂)


 
黄色衝羽根空木?(キイロツクバネウツギ)

下野草く(シモツケソウ) 
 
大葉擬宝珠の蕾(オオバギボウシ)
 
檜扇菖蒲(ヒオウギアヤメ)・杓子山頂 

高座山(たかざす)に人影無し。
若しや杓子山の頂も
誰も居ないのではと走り上がると
4人の中高年が昼食中。
湿地を好むアヤメが,乾いた山頂に
珍しく群れているので
カメラを向けたら藪の中から
女性が1人出現。
お花摘み(小用)の最中だったようで
こりゃ、失礼!

どうやら4人の中高年と一緒だとか。
女性と互いに写真を撮り合い
頂滞在10分で下山開始。
急な崩壊した赤土斜面はグリセードで
滑り抜け55分で峠に戻る。
呑まず喰わずの後、
山荘テラスで呑んだビアの、あー何と
美味かったことか! 

山躑躅(ヤマツツジ)・杓子山頂 


下山後の山荘
6月30日(土) 曇


南瓜の花(奥庭)

龍舌蘭(中庭)

マルコポーロ百合(奥庭)

紫陽花(玄関)

龍舌蘭(中庭)

紫陽花(玄関)
蔓を絡ませる大きなリングを付けた花器
と共に山頂標識を2枚焼いた。
標識の無かった高芝山山頂に標識を
取り付けたのは4月22日。
考えてみると
扇山と小倉山の頂にも標識は無い。

むしろ標識なんぞ無い方が
如何にも山荘の裏庭の山と云う感じで
好ましいのだが
どうも山に言わせるとやっぱり
名札が欲しいらしい。
で、扇山と小倉山の山頂標識を焼いた。

新作品:大きな花器(奥庭)
扇山の頂は森になっていて
標識は立木に打ちつけるしかない。
そこで標識板を幹の曲面に合わせて
曲げて焼いたのだが
素焼き後の不注意で割ってしまった。

陶器用接着剤で着け本焼きしたが
接着面が熱で動いて失敗。
高芝山に引き続き割れた標識になって
しまったが
如何にも無骨な標識でこれはこれで
許せるだろうと頂に付けた。
どうだろう、気に入らないかな扇山君!
 
新品耕運機到着:QM30(奥庭)
 17年間山荘の畑で耕し続けた
ヤンマーの耕運機MT3が遂に御臨終。
鉄の車が拉げハンドルが2度も折れ
アクセルレバーが破損し
リコイル・スターターの紐が切れ
熔接や部品交換で命を永らえさせて17年。

汗と苦節を共にしてきた山荘一番の働き者。
未だエンジンは快調なのだが
ハンドルの付け根が金属疲労で破断。
修理費は3万5千円だとか。
涙を呑んでお別れをし同じヤンマーの
MT3の後輩にあたるQT30を
新規購入した。
さようなら、山荘の17年!

焼きたて標識(扇山頂) 



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