156の3ページー2018年 霜月
栗味の紅悠&紅東はこの強靭な芋蔓海の下 抜くに抜けず切るに切れず悪戦苦闘 ≪どれどれ、仙人は今日も畑の野菜達を相手に優雅に遊んでおるかな!≫ 高芝山の稜線からムクムク顔を出したのは、夏と冬を取っちがえたそそっかし屋の積雲ども。 ストームグラスの結晶があんまり騒ぐので、きっと何かある、空が急変するに違いないと思ってはいたが、 まさかそそっかし屋の夏の入道のお出ましとは! あれっ、雲が三角形に千切れて畑柵のポールにちょこんと座り、ぶつくさブツクサ。 ≪仙人め、嗤いやがったな!夏と冬を間違えただって!うんにゃ、冬を承知でやって来たのさ。 ストームグラスが冬将軍と入道雲はどっちが強いかと訊くもんだから、 笑い飛ばしてやったのさ。云うまでもない。入道様に決まっとるじゃろが! ほんなら冬将軍のように雪なんか降らせられるのかと云うもんだから、胸を張って云ったのさ。 今夜やってやろうじゃないか!≫ |
すっかり芋壁に覆われた山荘 |
キックキックトントン、 長靴を履いて雪の裏山を行く。 夜中静かに 降り続いた雪が積もっていた。 初雪❕ だから今日のご褒美は、 朝の散歩なのだ。 キラキラ輝く雪を踏みしめる。 一緒に出発した 兄の姿はもうない。 少し前に通った兄の足跡に 名が靴を当ててみる。 足跡は暖かい。 雪の日はいいな。 迷子にならない。 |
芋の葉海に浮かぶ山荘 |
蔓が絡んで抜けない! |
この芋蔓を運ぶのが大変! |
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スコップで傷だらけの芋! |
紅悠&紅東じゃ! |
どうですこの大きさ! |
芋蔓式で逮捕じゃ! |
はて、兄の姿は もうないとは さては四郎の妹、 かん子からの手紙かな! 雪の足跡が暖かいのは、 この足跡を 辿って行けば、 春に逢えるからなんだ。 |
入道雲の奴、 大法螺 吹いたけど結局、 雪なんか降らせられない もんだから、かん子に 頼んで仙人に 手紙なんか送ったんだな。 それにしても 冬の終わりの≪雪渡り≫と 初雪を取っ違えて かん子に頼むなんて やはり入道雲の そそっかしさは変わらんね。 嗤えるぜ! |
手強い芋蔓にへこたれそう! |
忘れられた林檎畑の柿 |
穴掘り仙人 春に備えて土作りが始まった。 ゴーヤー棚の蔓を 格子状に張った針金から引き剥がし、 柵際の根を抜いて 蔓と一緒に丸め大きな枯草球を作る。 牛や羊が見たら 涎を垂らしそうな美味しい干し草の |
滝下の梅擬 |
躑躅が狂った様に! |
初収穫・秋のじゃが芋 |
里の真弓でーす! |
頑張っている西畑のオクラ |
大きな球が葡萄畑の柵際にゴロゴロ。 次はこの100mにも及ぶ柵際に 深さ30cm程の穴を掘り、 害虫駆除を兼ねた石灰で 酸性土を中和し 有機肥料である鶏糞を入れて 撹拌し土と和ませる。 |
でも虫に食われて息絶え絶え! |
豊かな稔りを告げる山荘の祈祷師 11月23日(金)晴 落日の光を浴びてストームグラスは語る 1階から2階へ、2階から1階へと踊場を通るのが、とても愉しみ! チラリ吹き抜けの桟に目をやると、桟の上に鎮座ましますストームグラスの中で結晶が騒ぐのだ。 エッヘン、オッほん、それでは祈祷して進ぜようとストームグラス。 ここんとこ、雨が降って無いので畑の野菜共は不満タラタラで、豊かな実りを拒否しとるな。 ちちんぷいぷいと結晶を躍らせれば、今夜は雨だぜ! そんなの嘘に決まってる。 さっき今夜の天気予報やってたけど、西高東低で日本海側では雪や雨だけど山梨県なんか雨の素振りもないぜ! で今朝カーテン開けたらテラスは雨ですっかり濡れているでは! ストームグラスの云うことなんて仙人は信じないけど、畑の野菜達は大喜び! |
香り高い人参スクスク |
鶏糞が有機肥料として 野菜に吸収されるようにするには、 この撹拌作業は欠かせない。 いい加減にやると 肥料に負けてしまい発芽せず 苗を移植しても根は伸びず、 枯れてしまう。 丹念に土を混ぜても 有機肥料が土と馴染むまでには 半年ほどの時間を必要とする。 |
巻き始めた白菜 |
初めての秋じゃが芋 |
そろそろ大根収穫 |
葡萄畑の白菜も小松菜も |
大きくなったブロッコリー |
冬レタスは最高! |
葉も食べられる蕪 |
石灰を吸収して育つ法蓮草 |
従って今こうして土作りをしても 播種や苗移植が 出来るのは来年の4月。 12月の心臓の精密検査の結果次第で 来春に百姓仕事が 出来るかどうか解らないのに、 何とも気の長い 徒労の様な穴掘りだが、 これ結構面白いのだ。 |
西畑柵際の葱も食べなきゃ! |
雨をもたらした去来する雲 11月24日(土)冬晴野菜にたっぷり雨を降らした雲は祈祷師の術か! 穴の中では、こんなにも沢山、何処から伸びて来たのだろうと思うくらい根が縦横無尽に蔓延り、互いに勢力を競い合っている。 地上からすっかり姿を消した雑草たちは 冬の間もこうして地中では、激しい闘いを繰り返し、来年の春に備えている。 闇の中で密かに殺し合いを続けるマフィアを連想しながら、 ニーノ・ロータの≪ゴッドファーザー≫が聴こえて来ないかと地中の穴に耳を澄ます。 |
オブジェの赤と紅葉 |
アメリカの差別社会の地中で 根を蔓延るマフィアは アメリカ資本主義を体現する 警察、政治家、芸能人と絡み合う。 アメリカ社会の頂点に立つ のはイングランド系アメリカ人。 葡萄畑の根を支配するのは 当然の如く赤と白ワイン用の葡萄根。 その下にアイルランド系やイタリア系、 そしてユダヤ系の 根としてゴーヤー、モロッコがひっそり。 はるか下の方に アジア系、そして黒人が位置し、 雑草の根になる。 |
漆も真っ赤っか! |
幾重にも重なる階層の中で、 暴力を手段として勝ち残ろうと マフィアは足掻く。 暴力がテーマの重要な 部分を占めているにも拘わらず、 あの曲があれ程までに 美しいのは何故か! お祖父さんから孫まで、 一緒に食事を取る大家族主義の シーンと |
高山鹿に寄り添う赤山茶花 |
衝撃的な殺人シーンの 対比によるのだろう。 生きることは 闘い殺し合うことの連鎖であり、 生き残ることは 美しく哀しく残酷なことでもあるのだ。 なんぞと相も変わらず シッチャカメッチャカな連想をしては、 穴掘りを続ける仙人でした。 |
美味いの何の! |
銀杏の実がびっしり! |
里芋は今年も不作! |
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