水晶峠から小倉山巓へ駆け昇る混沌仙人 2月19日(日)日輪登頂 山巓に達する8日前11日7時29分の位置 ≪回帰の抄≫・・・原本が混沌仙人の心象風景であって、 混沌へと回帰する仙人の終焉を、心象から抜き書きせんと意図するものなのだろうか? その抄のプロローグに、仙人は漆黒の山巓へ駆け昇る日輪を掲げた。 漆黒の大地と森の狭間に、数個の光の車輪を侍らせ60兆個の老いた細胞からなる現人は、 漆黒に呑込まれつつ、それでも虚空の山巓を追う。 さあ、終焉の旅に出よう!と。 |
尉鶲(ジョウビタキ) |
山荘の歌姫 ボン・シルバーが ちょっとしょんぼりしてるので お友達を 呼んでやることにした。 |
あれ蒲鉾があるぜ! |
ボン・シルバーの角も餌台に |
鵯(ヒヨドリ)の特等席だ |
山荘キウイは美味いぜ |
さて、どうしたもんか! そうだ、角に 鳥たちの大好物なキウイを 着けてあげよう。 良く熟した山荘キウイの匂いに 惹かれて、 ほらやって来たぜ! |
キウイ、蜜柑とご馳走たっぷり! |
先ずやって来たのは 黒地に 銀の模様をあしらった 背広で めかし込んだ尉鶲(ジョウビタキ) どけどけ、と我が物顔で 乗り込んできたのは鵯。 |
光に吸い込まれ混沌へ回帰する仙人 1月22日(日)晴 ヤオノイ島シックスセンシズのプライベートビーチ 迫りくる終焉のパルスに身を委ね60兆個の細胞が、蒼紫の光の粒子となって漆黒の肉体を駆け登る。 ヒマラヤの未踏峰で凍傷を負い、切断の危機に何度も晒され続けた足指から大腿四頭筋を経て、 腰椎に達した終焉のパルスは、細胞膜を青紫の光で満たす。 離合集散を重ね終焉のパルスは光のシンフォニーとなって、肺を震わせ心筋を叩き小脳、後頭葉を白光に変える。 白光は光の輪廻となって夜明けの虚空と連なり、天空と60兆個の細胞とのウロボロスを成し、 ≪さんさーら、संसार ,さんさーら!≫と光の輪オノマトペーを回し始める。 |
samsāraの優しい響きは、 輪によって 月に運ばれ、 雨水となって地に戻り、 植物に吸収されて 穀類となる。 |
氷融け去り 葦はつのぐむ |
それを食べた男の 精子となって、 女との性的な 交わりによって胎内に 注ぎ込まれて胎児となり、 そして再び誕生する。 (五火二道説) |
その136の1ー2017年 弥生
夜明けの薔薇を疾走する混沌仙人 3月3日(金)晴 山荘イオからの夜明けの薔薇富士 雪で薄化粧し良く耕された畑が、夜明けの光を浴びて歓びの声を上げる。 光を含んだ木々の氷が融けて密やかな呟きを残して落ちる。 昨夜僅かに降った雨が雪になりそんな事も無かったかのように、再び快晴の夜明となったのだ。 結露した窓ガラスに指を触れ曇りを取り除いたら、透明な夜明けが飛び込んできた。 水晶の無数の粒子が光を散乱し不透明であった世界が不意に消失し、粒子を失ったガラスは蒼く深い空間を映し出す。 |
今日も昨日も 雪の空と嘆くボン・シルバー |
春は名のみの 寒びーとボン・シルバー と、そこに失われた筈の水晶が 宙に浮かび、 結晶格子となってキラキラ、キラキラ、 幻想的に揺らめく。 あれっ、結露が取り除けなかったのかなと、 再び指で水晶を落とすが、 透明なガラスの向こうに 煌めく結晶格子は妖しく揺らめき続ける。 |
そうだったのか! 宙に浮かぶ水晶は ガラスの結露ではなく、 2階まで伸びた山茶花の 葉に着いた氷だったのだ。 そいつが夜明けの光を浴びて、 マクロ世界を ミクロの結晶格子に位相変換し、 キラキラ、 幻想的に揺らめいていたのだ! |
アーリャりゃこりゃラ雪だらけ |
さてぃーやぐらは(satyāgraha)とオッペル 3月7日(火)晴 山荘畑に植付けられた発芽馬鈴薯 山荘倉庫の芋が爆発した! もうこれ以上我慢できないと一気に命を迸らせ、≪グララアガア、グララアガア≫と芽を噴き出したのだ。 その様子を小森陽一は、こう記している。 「オッペルに囚われた白象と、それを救出するために≪グララアガア、グララアガア≫と≪嵐のやうに林の中をつきぬけ≫ ≪花火みたいに野原の中へ飛び出した≫象の群れと、ついに政治犯が拘禁されている警察署を 襲うにいたった暴徒化したサティーヤグラハ運動の民衆。 そこには1920年代の同時代読者に対しては、様々な類推を可能にする情報の重なりあいが 組織されているといってよいでしょう。 (小森陽一著・「最新宮沢賢治講義」より 小森原文ではなになっているのでつに変えた) 「サティヤー」はサンスクリット語で「真理」を意味し、「アーグラハ」は「しっかりと掴む様」を意味し「真理の把捉」と訳される。 「オッペルと象」が発表されたのは1926年(大正15年)、 ガンディーのサティーヤグラハ運動中止によって官憲の弾圧を招き、1924年(大正13年)には弾圧激化。 その真っ只中に「オッペルと象」は書かれたのである。 |
でも倉庫の芋は次々発芽 |
妖しく紫に輝く |
「この身もふたもない世界は、 何ものかがあるという以上の 理解を拒絶して、とにかく在る。 俺たちはその一部だ」 高村薫「冷血」上巻の帯封のCMである。 てっきり出版社のスタッフが 書いたものと思い、 ふーん、こいつ中々やるな。 高村薫の本質をずばり衝いているな! と感心して通り過ぎていたのだが 読み終わって、待てよ これ程までに的確に 僅か一行で書けるはずはない。 高村薫本人が文中の何処かに 記しているに違いない。 それを気付かずに 読み過ごしてしまったに違いない。 そこで310ページに及ぶ上巻の何処に 誰のセリフとして書かれているのか 探し出すことにした。 |
しかしこのセリフ、 一家4人を惨殺した井上克美、戸田吉生が 呟いてもぴったりだし、 彼等を追う刑事・合田雄一郎が 独り言ちてもおかしくは無い。 となると探し出すのは 再読に等しいのではと一度は断念したが、 やはり気になる。 昨夜読了したばかりの 上巻のページを再び開く。 3度目になるが全然苦にならないのだから、 如何に高村薫の文章が 優れているか再認識。 あった! 179ページの上段の後半部の合田雄一郎が 犯人の心象を推察するセリフであった。 つまり何ものかが在るだけで、 理解の拒絶された存在としての自己を 認識する部分で 高村薫の心象そのものなのだ。 |
互いに絡み合う発芽 |
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もう待てないぜ! |
畑に植えてやったら大喜び |
象の耕運機じゃ! 3月7日(火)晴 西畑の耕作と馬鈴薯の種芋植付作業 ≪象がちょっと散歩するだけで、堅く凍てついていた大地が光と撹拌されて、ほら、 こんな風に黒々と生き返って、命を宿すのを待ち焦がれている≫ 仙人ときたら大したもんだ。それにこの山荘畑で、うまく自分のものにした、象もじっさい大したもんだ。 力も二十馬力もある。 のっし、のっしと歩くだけで大地は深く抉られ、闇だけを抱えていた抉られた土は光を孕み、 象と共にグララアガア、グララアガアとオノマトペーをハモ・る。 遅い春の足音が山荘にも響き始めたんだね。 |
どうも小倉山が煩い |
檀香梅を 扇山南森の2か所で見つけたので、 きっと上条の森にも咲いているだろうと 座禅草公園から峠に出て、 稜線のそぞろ歩きを愉しむ。 座禅草は先々週観た時から成長が 止まったが如く小さいまま。 そのうえ数も少なく 数年前までの見事な群落は すっかり消えてしまった。 |
座禅草が咲いてるでは! |
稜線に出てから檀香梅の 黄色い影を求めて森に目を配るが、 冬枯れの無数の枝は、 いずれも硬く身を閉ざし早春の兆しも無し。 大体、檀香梅なるものに 始めて出逢ったのは上条の森。 この上条の森では 彼方此方で見かけた記憶があるが、 稜線から平沢に下る森の何処にも、 たった1本の檀香梅をも 見つけることが出来なかった。 |
未だ小さいけど |
もしや片栗の森が伐採され 巨大メガソーラーが建設されたことと 関係があるのだろうか? いや片栗の森からは座禅草公園だって 数百メートル、上条の森なんぞ もっと離れているのだから、 いくら何でもそこまで影響を及ばすとは 考えたくはないが、 野生の植生連鎖は 仙人が考えている以上に 繊細で複雑なのかも知れない。 |
緑と紫のハイブリッド? |
あたし純粋な緑よ |
発熱して虫を呼ぶんだよ |
新たに見つかった地球に似た惑星イメージ 2月23日(木)雨 トラピスト1の惑星をジョックする混沌仙人 米国航空宇宙局(NASA)は2月22日(米国時間)、スピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)などを用いた観測により、 地球から約39光年ほど離れた恒星「TRAPPIST-1」の周りに7つの地球に似た大きさの惑星を発見したと発表した。 同成果の詳細は英科学雑誌「Nature」に掲載された。 今回発見された7つは地球に似た質量で、岩石で構成されているとするほか、そのうち3つの惑星はハビタブルゾーンにあり、 地表に水が液体のまま存在している可能性があるとしており、今後、水が存在するかどうかといった調査などを進めていく予定としている。 |
やっと梅の蕾が開いたぞ! |
万作も咲き出したぜ! |
また、赤色矮星である TRAPPIST-1の大きさは 太陽の0.08倍程度で、暗く、 温度も低いため、 7つの惑星は太陽と水星の 間の距離にすべて存在していながらも、 液体の水が維持されている 可能性があるとしているが、 これらの惑星は、 半面が常にTRAPPIST-1を |
向いている常に昼の状態にあり、 地球の気象パターンとは まったく異なるパターンである 可能性があるとしている。 なお、NASAでは 2018年に打ち上げ予定の 「James Webb Space Telescope 宇宙望遠鏡)」などを用いて、 水やメタン、酸素、オゾンなどの 大気の組成の調査などを 詳細な調査を今後も 継続して行っていくとしている。 |
ほら柳だって! |
午後には開きました |
ヒマラヤK2峰(8611m)の氷河とそっくりじゃんか! 3月6日(月)晴 コズミックフロントの≪アイボール・アース≫の山を登攀する混沌仙人 いやー懐かしいな!30年以上も通い続けたヒマラヤの氷河そのものでは! ベースキャンプから山巓に向かうと、先ず立ちはだかるのが氷河。 遥かな高みから落ちて来る雪と氷は山稜下部で巨大氷河を成し、登攀者を阻む。 深い亀裂を無数に走らせ、割れた氷の巨塊は互いにぶつかり合い、 日々崩壊を繰り返し、迷路となって氷河は登攀者を死に誘う。 ピッケルを振るいピトンを打ち込み、ザイルを張って荷上げルートを作っても、翌日には跡形もなく消えたり、 今こうして登っている瞬間にも、氷壁が崩壊するかも知れないのだ。 従って死に身を曝さねばならない回数と時間を、可能な限り少なくする為K2峰での我が日本隊は、 標高5200mのベースキャンプを前進させ、 この危険な氷河を超えた標高5500mに、新たなベースキャンプABCを設営した。 勿論この死の氷河の先にも更なる危険が待ち受け、この年のK2遠征では、ウクライナ、米国の隊員4名が死に 我が日本隊を含め多数の負傷者が続出した。 仙人の目の前で、標高差1000mもの氷壁を落下していった米国隊員スチーブ。 スチーブの奴、地球から4.25光年離れたプロキシマ・ケンタウリbの氷河で登攀を愉しんでいるかも。 もうすぐ行くから一緒に登ろうぜ! |
雌蕊だけにピンが合ってる(オオイヌノフグリ) |
蕗味噌で香りを愉しんでます |
山荘一番咲の水仙 |
山茱萸も蕾を |
白菜だって咲いたよ! |
今日は!と土筆 |
ぷろきしま・ケンタウルの氷の沙漠じゃ! 3月6日(月)晴 コズミックフロントの≪アイボール・アース≫氷原を旅する混沌仙人 (2016年8月24日にヨーロッパ南天天文台 (ESO) は、プロキシマ・ケンタウリを公転する惑星プロキシマ・ケンタウリbを発見したと発表した。 プロキシマ・ケンタウリから0.05 au(約750万 km)の距離を11.2日で公転しており、推定される下限質量は地球の1.3倍とされている。 また、プロキシマ・ケンタウリbはプロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン内を公転していて、表面上に液体の水を有する可能性がある) |
小倉山の頂からの日の出 |
大地に潜む命のさざめき 3月12日(日)晴 ≪いまこの暗い巨きな石の建物のなかで 考えていると、 みんなむかし風のなつかしい 青い幻燈のように思われます≫ |
夜明けの畑仕事は愉しいぜ! |
菜花の仄かな花粉に包まれて夜明けの耕作じゃ! 3月20日(月)晴 山荘ポラーノ畑 ポラーノ広場がそんな風に青い幻燈になってやって来た。 ポラーノ広場があの森の一番奥にあることは解っているのだが、 幾ら硬い決意をして森の奥を目指しても必ず途中で迷ってしまい、中々到達できない。 |
耕せば耕す程良くなる土 |
ポラーノ広場に行きたいと思った時は、 ポラーノ広場のことだけを想って、 意識を一点に集中させて眠る。 夢の中にファゼーロとロザーロ、 羊飼のミーロや、顔の赤いこどもたち、 地主のテーモ、山猫博士の ボーガント・デストゥパーゴの誰かが 現れたらきっと ポラーノ広場へ辿り着けるに違いない。 |
この土の匂い堪んないね! |
土が歓びの声を上げるなんて! |
そうしたらどうだい、 ≪ポラーノ広場≫を書いた前十七等官 レオーノ・キューストが出てきて、 「早春の夜明けを明日届けよう。 昏い巨きな石に閉じ込められた 115番目の春を 闇から救い出してあげよう」 と告げたのです。 |
その言葉に偽りは有りませんでした。 ≪そして私たちはまっ黒な林を通りぬけて、 さっきの 古いポラーノの広場につきました≫ 小倉山から赫奕と昇る 夜明けの光を浴びながら、 春の海への航海に出ることが出来ました。 |
何度でも繰り返し繰り返し深く! |
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