2211ー2024年 卯月

どうだい!光の蠱惑に満ちたこのドームテラス! 
4月7日(日)晴 遂に完成した仙人の力作・ドームテラス



下がった梁を上げねば!

床板をジャッキに!

鉄棒で迫り上げる!


えっ!山茱萸の花にまん丸の輪が出来てる! 
4月1日 急いでネットサーフィンしてみたがこれ程見事な輪は無い





右腕機能せず!
テラス建設の生々しき
犠牲肉体

墜落の衝撃痕!

傷口の上には血小板が次々と積み重なっていきます。
凝集した
血小板からはセロトニンが放出され、
出血を最小限にとどめるために
血管を収せます。
この段階で、ひとまず血管壁の傷口はふさがります。
この応急処置を一次止血といいます。
応急処置のままでは、
血流の圧力によって
傷口は再び開いて
しまう危険があります。
そこで、止血の第2段階である
二次止血がスタートします。
血小板や破壊された組織からは
組織因子が放出され、トロンボプラスチンは
血液凝固因子であるプロトロンビンを活性化し、
トロンビンに変えます。 



トロンビンは血漿の中に存在している
可溶性のフィブリノゲンを、不溶性の
フィブリンに変化
させます。
すなわち、それまで水に溶けていたもの、
水に溶けない物質に変化させるのです。
フィブリンは細長い線維状の分子で、
たくさん集まることで
網目構造を作ります。
この
網目に赤血球がかって
塊(凝血塊)ができ
、それが口を覆うと
二次止血が完了します。
血液が固まって二次止血が終わるまでに
要する時間は
、2〜6分程度です。
動脈切断では中枢動脈の
圧迫止血が出来ないと止まらない。
(昭和伊南総合病院健診センター) 


梯子の段に激突!



  床板にしている
スチール足場板にはスリップ防止に
穴が開けられ、穴の縁が
ギザギザになっている。

このギザギザの穴に
強風が吹き込み、
重い人工芝を持ち上げてしまう。 

 これを防ぐにはスチール足場板に
開けられた穴を逆に利用し、
人工芝とスチール足場板を
針金で縫いつけるべき。

結果は上々で大満足したのだが、
問題は葡萄畑と
テラスの床との距離が3m前後あり
上の床まで手が届かない。

脚立を使えば問題ないのだが、
床下は野菜の残滓の捨て場で
地面は柔らかく急傾斜で
脚立をかけても不安定。


筋挫傷の腫れ瘤! 

  

その上葡萄棚になっていて
脚立が立てられない。
更に大きく育った
ラフランスの木が邪魔をするので、
此処での作業は危険極まりない。

遂に墜落し右腕強打。
あっという間に腕は
2倍程に腫れあがり、
全く右腕が動かない。
即湿布を2枚貼り、包帯で
保冷剤を2個巻き付け、
サポーターで抑える。

腫れ痛みに効く治打撲一方
筋肉痙攣や痛みに効く芍薬甘草湯
筋緊張に効くミオリラーク
痛み止めロキソプロフェン
一気に4種類を服用。

それでもハンドルが握れず、
左手だけで車を運転。
交差点で曲がろうとしても右腕が効かず、
ウインカーが出せない。
総てウインカー出さずのスロードライブで、
2.5mの単管パイプやクランプを
買い求め何とか無事帰還。


落下で右上腕と背中を強打!
奥庭から葡萄畑への
借地力杭打ち工事
突き出したドームは、
強風の通路である。

ここに新たに杭打ち工事で
造られたテラスも
強風に煽られる。


 
動脈切断で出血止まらず
5日後にやっと止血!


 
右顔面の出血!


雪富士から流れ落ち迫る雲海
4月9日 テラスで永遠の向日葵が雲海に対峙

 


 
ウクライナ危うし! 

冷酷なる烈風吹きすさぶ

雪富士からの暗雲!


華麗なる雪と氷のレースを纏った穂高
5月3日( 2017年) 撮影:栗田陽介 登坂者:坂原忠清

2017年といえば今から7年前、仙人73歳の雪稜登攀の画像である。
この7年間も山トレーニングは欠かさず、毎日の筋トレ、ストレッチにも励み体力が衰えたとは考えられない。
しかし今、この雪稜を登れるかと言えば、数回の墜落を覚悟せねば無理と答えるしかない。
となると73歳の仙人は、未だこの美しい雪稜に心奪われ、雪稜との熱い抱擁に身を焦がすことが出来たということだ。

ヒマラヤ遠征の度に通い続けた雪富士が、居間から書斎から奥庭や前庭から大きく迫り話しかける。
《やっと自らの心象風景の雪稜を登攀していたことに気付いたね。
30数回に及ぶ世界の高峰登山の1つ1つは、登攀後に仙人の心象風景に取り込まれ、反芻され昇華され風景の中枢を成してきた。
老衰した仙人の肉体はやがて加齢の重さを失い、永劫の心象風景の登攀を繰り返す。
仙人はシシュポスになるんだよ!》




さて池から這い上がってみるか!

何!種を喰ってみろだと

こんなもん喰えるか!
 
異文化のカロートか!


檸檬の種をガリりと噛んだ時、
種なんて食べるもんじゃないわ
と強要される社会規範から
ほんの少し解放される気分になって、
この種は山荘住人の
回し者かと疑ってしまう。

疑いの払拭されぬうちに、種は
胃袋から小腸、大腸へと旅を続け
異文化を持ち込み吸収され発芽する。
異文化はやがて食生活を変え、
感性や思考にまで枝を伸ばし
葉を茂らせ
光を結実するかもしれません。

 全く言うことを聴かず二進も三進もいかず、
投げ出したい耕運機。
前に進むどころか
留まり続ける回転刃は、
いや増して大地を掘り出し
ドツボに嵌ったマシンは深く埋没。

誰にでも操作できるように小型化され、
鍬で耕す100倍以上の力を発揮して
耕運するマシンは囁き続ける。
そうそう、もう少しちょっとだけ
上に上げてごらん、ほら前に進むだろう!

諦めずにマシンに耳を傾ければ、
きっと聴こえるはずだよ。
囁きが聴こえたら、再び
山巓に立てる日を
夢見ることが出来るかも!

 

 
耕運機なんて真っ平!
 
あたしゃ日向ぼっこさ! 
 




早春のアリアを声高らかに謳う杏子
4月1日 今年も奥庭の杏子が春を謳ってます 




菜の花畑になった林檎畑(林檎畑)

前庭に踊る水仙!(前庭)

朝の光をパクパク!(前庭)
 
番う大土斑猫(座禅峠下)
 
地中に産み出された数千個の
大土斑猫の卵は孵化し一齢幼虫となり
ぞろぞろと草花を昇り
花の中に潜り込み花蜂を待つ。

運良く花蜂が来たら乗り移り、
花蜂の巣まで運んでもらい棲み着く。
そこで花蜂が運んでくる餌を
横取りして成長するとか!

金属光沢の碧色で美しいが、
こいつカンタリジンという毒を持っていて
触れると水膨れになるので要注意。

生まれたばかりの大水碧(山荘北森)




生命の光・生まれたばかりの大水碧(オオミズアオ)
4月17日(水) 山荘の森入口  

山荘の森はこんな命の光に満ち溢れている。
でもこの光が観えない人がいる。観ても心象風景には届かなくて、草と虫としか観えない。貧しさに心が痛むね。
もしや一郎君なら単なる草と虫を透過して、きっと命の光が観えるに違いない。
招待状を出したら総てを放っぽリ出して、馬車別当にいざなわれ山荘に跳んで来るんだ。
山荘に来るや、真っ先に生命の光を感じて、森に飛び出し大水碧に出逢うに違いない。

碧の神秘的な光との邂逅に胸を躍らせ、「わたしはだーれ!」と一郎君は独り言ちる。
大水碧の命の光が一郎君の心象風景を直撃し、一郎君の生命は我を失い大水碧と一体化してしまうのでしょうか!
それとも38億年前の生命の魁から連なる光に呑み込まれ、
碧そのものになってしまうのでしょうか!




 
甘い香りの雌蕊(奥庭)
   
20℃になると花開く (奥庭)
 
ドーム前の木瓜も真っ赤に!
(奥庭)

桃が満開(水神池)
 
一面に広がる桃の海(水神池)





春の森・命の輝き


生まれたての小さなもみじと小さな銀杏の葉っぱが貼られた招待状が届きました。
森からのお招きに違いありません。仙人山のてぺんでどんぐりたちがおちゃ会をひらきます。どぞ、いらしてください
そんな訳で、一郎くんはわくわくしながら馬車別当の操る蒼い車に乗って、森へとやってきたのです。

杖を突いた仙人に導かれ、森の道をゆっくりと登り始めた時です。
淡緑色の頼りなげな小さな影が、芽生えたばかりのモミジの赤い葉にしがみついているのに目を止めた一郎君。
「これはね、生まれたばかりの山繭蛾の仲間でオオミズアオっていうんだよ。
未だ5cmくらいだが、羽が完全に伸びると12cmくらいになって、夜に山荘の窓ガラスに止まると、とても美しい姿なんだ。
山荘が出来たころには毎夏見られたのに、今じゃ見かけなくなってしまったね。」仙人が教えてくれます。

緑の若葉が投げかける鮮やかな影と見紛うようで、透明感に溢れる小さな妖精のような存在に、一郎くんはすっかり魅せられてしまいました。
夜になるころには羽も伸びて、ふわりと、灯りを求めて飛び立つのだろうか想像するだけでもドキドキしてしまいます。
ポケットに キャンディがあったのを思い出した一郎くんは、「この水色のキャンディを嘗めたらきっと早く羽がのびるよ。
君にあげるよ。」とそっと差し出しました。ところが、一郎くんは思いもかけない返事を受けます。




ドーム残照 
 
ドーム朝の光
 

ドーム下の畑にはトマト苗

林檎畑の菜花



この碧い妖精のような蛾は・・・

「ありがとう、けれども私は繭から出た後は何も食べることは出来ないの。
だって、口がないんですもの。もちろん消化器官も無いし。
私の役目はいい匂いのフェロモンを出して,雄を待つの。そうしてつぎの世代のオオミズアオの卵を産むこと。
私が生きていられるのは1週間くらいしかないの。
だから餌を探したりしている無駄な時間は必要ないのです。」

オオミズアオは透き通った風のようなきれいな声で、囁くように答えたのですが、
一郎くんにとっては信じられないことで、あまりに驚いて何にも言えませんでした。
人魚姫が足を得るために声を失ったように、この碧い妖精のような蛾は
美しい羽根と引き換えに口を手放したというのでしょうか。

何故だか、一郎くんは悔しくて悲しくてやりきれない気分で腹が立ちました。
それからだんだん心細いような切ない気持ちがするのでした。
何という生命の企みと不思議さに、一郎くんの心は圧倒され翻弄されたのでしょうね。



 



真空には何かが在る

そんな一郎くんに向かって、仙人は突拍子もない問題を出します。
「真空は知っているよな。例えば水の中で真空をつくるために必要なものってな~んだ?」
え~っっ?と一郎くんは、頭の中をフル回転させます。
《真空には何かが在る。何が在るんだろう!》仙人は呟きます。

この前お兄ちゃんに教わったばかりなので、真空のことは知っていますが
さっきあげられなかった水色のキャンディを嘗めている内に
「くうかん?」突然閃いて呟くと、「偉い!よくわかったね。その通り、空間なんだ」仙人が嬉しそうに笑っています。

一郎くんもさっきの気分は吹っ飛んで、どんどん足が進み、楽しくなってきました。
さっきから仙人が独り言のように話している言葉の内容は、
繰り返し出てくる『認識にんしき』のことについてらしいけど、さすがに一郎くんには難しすぎて分かりません。
けれども、その言葉は未知の世界に一郎くんを連れ出してくれそうな気配があって、
だから今は分からなくても、
一郎くんはなんだかとくんとくんと心が跳ねあがってくるような気がしてくるのでした。




林檎が満開 
   
農薬無しでも結実して!

蒲公英離陸直前 
 
綺麗ではあるけどね!
 
畑の至る所蒲公英
   
山荘のあちこちで躑躅
 

前庭の花蘇芳(ハナズオウ)

池石垣の錨草(イカリソウ)

前庭の芝桜



自然の生命の営み


檜の植林がもうすぐ途切れる
尾根直前の斜面で、新たな発見です。
檜の根元の樹皮が剥がれて、
真新しい木肌が剥き出しになっている
木が3本も並んでいるのです。

爪痕がないから、熊ではなくて
鹿が食べたのだと、仙人が教えてくれます。
生々しい木肌は、それが剝がされたのは
つい最近だということ示しています。
昨夜か今朝、もしかしたら
笛の音に驚いていまさっき逃げて


われた檜

行ったのかもしれないと思えるほど、
真新しい傷痕です。
一郎くんは鹿が木の皮を
かじり取っている様子を想像して、
鹿の生命力の貪欲さに圧倒されます。

食べるエネルギーを惜しんで生殖に
励む山繭蛾が存在するかと思えば、
貪欲な食欲で生殖の季節に
備える鹿たちがいる。
森の中の自然の生命の営みは
なんてすごいんだろうと、一郎くんは
あらためて驚嘆するのでした。




 
銀河系最大の恒星質量ブラックホール「ガイアBH3」と伴星の軌道運動の想像図。
ガイアBH3の軌道が赤、伴星の軌道が青(ESO/L. Calçada)



一郎くんを大歓迎して

仙人山への稜線に出ると、谷底へ向かってあちこちに三つ葉躑躅が
紫がかったピンクの可憐な花を咲かせているのです。
芽吹き始めた柔らかく明るい緑の中で、一層ピンクの花は美しく華やかです。
見つけるたびに、一郎くんは歓声を上げて、指さすのです。
山桜と共に春爛漫を告げる花の使者です。

春霞の中に南アルプスの白い主峰たちが顔を覗かせてくれています。
体中に元気が漲りウキウキしながら歩いていくと、とうとう仙人山の頂に到着です。
小ぶりのどんぐりたちが、もうそれはそれははしゃぎ回って、一郎くんを大歓迎してくれました。
この秋はどんぐりが不作で、仲間が少なかったことを伝えながら、
中にはもうちっこい芽を出しながら土の中に半分潜っている者もいます。
どんぐりたちも次の世代の為の準備を怠っていないことを、一郎くんは気が付いています。



   
さよなら木蓮の春
 

2階橋の金蘭が咲いた! 
 
テラスのラフランス
 
至る所に菜の花

奥庭の白椿

梨雄蕊の黒斑点
 
白椿の花芯



一番美しい生命の季節

森はみんな生きているんだ、僕も森の仲間なのかなと一郎くんは思うのでした。
もうひとつおまけの発見がありました。
春の空を、ほんのちょっぴりちぎったような空色の小さな春竜胆が一輪、
思わぬところに咲いていたのです。

見下ろせば、まだ桃の花のピンクが残り、小倉山はむくむくと緑のバリエーションを増やしつつ、
新緑の鮮やかさに染まっていこうとしています。
リンゴ畑には菜の花の黄色い絨毯が敷かれています。
梨の白い花が揺れ、山桜の花びらが一瞬の風に花吹雪となって舞い散ります。
小鳥たちは恋の唄を賑やかに囀っています。

一年で一番美しい生命の季節が巡ってきたことを、総ての命が全力で訴えかけてくるような気がします。
シートを外されたドームと新しいドーム広場が、一郎くんを待っていました。
爽やかな春風に吹かれ、そこで贅沢な晩餐会が開かれて、一郎くんは今日一日が
なんて素敵な夢のような時間だったんだろうと、本当の幸せを見つけたような気がしたのでした。


 




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